カラドジョウ

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
カラドジョウ
カラドジョウ
カラドジョウ Misgusnus dabryanus
分類ぶんるい
さかい : 動物界どうぶつかい Animalia
もん : 脊索せきさく動物どうぶつもん Chordata
もん : 脊椎動物せきついどうぶつもん Vertebrata
つな : じょうひれつな Actinopterygii
上目うわめ : ほね鰾上 Ostariophysi
: コイ Cypriniformes
: ドジョウ Cobitidae
ぞく : ドジョウぞく Misgurnus
たね : カラドジョウ M. dabryanus
学名がくめい
Misgurnus dabryanus
(Dabry de Thiersant, 1872)[1]
シノニム[2]
  • Paramisgurnus dabryanus Dabry de Thiersant, 1872
  • Misgurnus mizolepis Günther, 1888
  • Misgurnus oligolepos Chen Shen & Li, 1994
和名わみょう
カラドジョウ[1]

カラドジョウから泥鰌どじょう学名がくめい: Misgurnus dabryanus)は、コイドジョウ分類ぶんるいされる淡水魚たんすいぎょ一種いっしゅ中国ちゅうごく大陸たいりくなどを原産地げんさんちとするが、日本にっぽんにも外来がいらいしゅとして定着ていちゃくしている。

分布ぶんぷ[編集へんしゅう]

アムールがわ中国ちゅうごくちゅう南部なんぶ海南かいなんとう台湾たいわんインドシナ半島いんどしなはんとう朝鮮半島ちょうせんはんとう分布ぶんぷする[3]。また、日本にっぽん本州ほんしゅう四国しこく九州きゅうしゅう)にも移入いにゅう分布ぶんぷする[3]。 また、和名わみょうのカラドジョウの"カラ"とは、中国ちゅうごくことである。

形態けいたい[編集へんしゅう]

成魚せいぎょ体長たいちょうは10〜20cm。くちひげは5たい10ほんドジョウMisgurnus anguillicaudatus)とくらべて、くちひげがながく、体高たいこうたか[4]。また、びれの基底きてい上部じょうぶにドジョウにはられる暗色あんしょくまだらがない[5]。ただ、これらの特徴とくちょうりょうたねあいだ個体こたい変異へんいにより判別はんべつ困難こんなん場合ばあいすくなくない。

分類ぶんるい[編集へんしゅう]

カラドジョウぞくParamisgurnus dabryanusとして記載きさいされたが、きんえんしゅとの系統けいとう関係かんけいからドジョウぞくMisgurnusふくめるせつもある[6]ほんしゅたいMisgurnus mizolepis学名がくめい使用しようされることもあったが、これはP. dabryanus新参しんざんシノニムとかんがえられている[6]

生態せいたい[編集へんしゅう]

水田すいでん農業のうぎょう水路すいろ生息せいそくする。

雑食ざっしょくせいで、カイミジンコるいホウネンエビ、ケシゲンゴロウ幼虫ようちゅうミズムシユスリカなどのそこせい生物せいぶつべる[7]冬季とうき冬眠とうみんのような状態じょうたいになり、ほぼえさべずにごす。[5]

繁殖はんしょくは4~6がつで、水温すいおんが20をこえたころ水田すいでん小溝こみぞあさ湿地しっちなどで産卵さんらんすることがられている。飼育しいくでは10ねん以上いじょう生存せいぞんする[8]

地方ちほうめい[編集へんしゅう]

  • 島根しまねけん ヒラドジョウ[8]

外来がいらいしゅ問題もんだい[編集へんしゅう]

日本にっぽんには1960年代ねんだい導入どうにゅうされ、青森あおもりけん秋田あきたけん岩手いわてけん宮城みやぎけん山形やまがたけん福島ふくしまけん群馬ぐんまけん栃木とちぎけん茨城いばらきけん埼玉さいたまけん千葉ちばけん東京とうきょう神奈川かながわけん静岡しずおかけん愛知あいちけん長野ながのけん岐阜ぎふけん富山とやまけん石川いしかわけん福井ふくいけん滋賀しがけん三重みえけん奈良ならけん和歌山わかやまけん兵庫ひょうごけん香川かがわけん愛媛えひめけん山口やまぐちけん福岡ふくおかけん大分おおいたけん熊本くまもとけんなどに定着ていちゃくしている[8]。ドジョウと区別くべつするのがむずかしいため、ドジョウの放流ほうりゅうじって各地かくちひろがっている危険きけんせいがある[4]

在来ざいらいしゅのドジョウと同所どうしょてき環境かんきょう生息せいそくし、競争きょうそうすることで駆逐くちくすることがかんがえられる[4]外来がいらい生物せいぶつほうにより生態せいたいけい被害ひがい防止ぼうし外来がいらいしゅ指定していされている。

ただし、現在げんざい日本にっぽん生息せいそくするほんしゅ海外かいがいからの養殖ようしょく種苗しゅびょうみとされる一方いっぽうで、国内こくないにもふるくからカラドジョウの特徴とくちょうをもったドジョウがすで生息せいそくしていたとする報告ほうこくもある[9]

イギリスではドジョウるい輸入ゆにゅう規制きせいされている[7]

参考さんこう文献ぶんけん[編集へんしゅう]

  1. ^ a b 本村もとむら浩之ひろゆき「カラドジョウ」『日本にっぽんさん魚類ぎょるいぜん種目しゅもくろく これまでに記録きろくされた日本にっぽんさん魚類ぎょるいぜんたね現在げんざい標準ひょうじゅん和名わみょう学名がくめい鹿児島大学かごしまだいがく総合そうごう研究けんきゅう博物館はくぶつかん、2020ねん、29ぺーじ
  2. ^ Fricke, R., Eschmeyer, W.N. and Van der Laan, R. (eds). 2022. Eschmeyer's Catalog of Fishes: genera, species, references. Updated 04 October 2022. Available at: http://researcharchive.calacademy.org/research/ichthyology/catalog/fishcatmain.asp. Accessed on 30 October 2022.
  3. ^ a b カラドジョウ 国立こくりつ環境かんきょう研究所けんきゅうじょ 侵入しんにゅう生物せいぶつDB
  4. ^ a b c きの保彦やすひこ監修かんしゅう財団ざいだん法人ほうじん自然しぜん環境かんきょう研究けんきゅうセンター編著へんちょ)『決定けっていばん 日本にっぽん外来がいらい生物せいぶつ平凡社へいぼんしゃ、2008ねん4がつ21にちISBN 978-4-582-54241-7 
  5. ^ a b DECO へん へん外来がいらい生物せいぶつ事典じてん池田いけだ清彦きよひこ 監修かんしゅう東京書籍とうきょうしょせき、2006ねん、P228ぺーじISBN 4-487-80118-4 
  6. ^ a b 清水しみず孝昭たかあきドジョウ:資源しげん利用りよう撹乱かくらん」『魚類ぎょるいがく雑誌ざっしだい61かん 1ごう日本にっぽん魚類ぎょるい学会がっかい、2014ねん、36-40ぺーじ
  7. ^ a b 加納かのうひかりじゅ斉藤さいとう秀生ひでお渕上ふちがみ聡子さとこ今村いまむらあきらしん今井いまいひとし多紀たき保彦やすひこ渡良瀬川わたらせがわ水系すいけい農業のうぎょう水路すいろにおけるカラドジョウとドジョウの出現しゅつげん様式ようしきしょくせい」(PDF)『水産すいさん増殖ぞうしょくだい55かんだい1ごう、2007ねん、109-114ぺーじ2011ねん9がつ4にち閲覧えつらん 
  8. ^ a b c 中島なかじまとおる 『LOACHES OF JAPAN日本にっぽんのドジョウ 形態けいたい生態せいたい文化ぶんか図鑑ずかん』 やま渓谷社けいこくしゃ 2017ねん 76~79ぺーじ ISBN 4635062872
  9. ^ カラドジョウ”. 淡水魚たんすいぎょ図鑑ずかん外来がいらいしゅ. 地方ちほう独立どくりつ行政ぎょうせい法人ほうじん大阪おおさか府立ふりつ環境かんきょう農林のうりん水産すいさん総合そうごう研究所けんきゅうじょ. 2023ねん1がつ30にち閲覧えつらん