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キャッシュカード

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
ICチップ内蔵ないぞうカード(うえ2つ)と磁気じきストライプカード(一番いちばん)。口座こうざ番号ばんごうなどがエンボス加工かこうされ、磁気じきカードには黒色こくしょく磁気じきストライプがはいる。
デビットカード機能きのうきキャッシュカード。表面ひょうめんにクレジットカード番号ばんごう記載きさいされ、挿入そうにゅう方向ほうこうもカードリーダようとATMようのものが別々べつべつ表示ひょうじされる。

キャッシュカードえい: cash card)は、現金げんきん自動じどうあづばら(ATM)を操作そうさするさい本人ほんにん確認かくにんきょうする金融きんゆう機関きかん口座こうざ開設かいせつしゃ発行はっこうするカード。ATMカード(ATM card)[1]バンクカード(Bank card)ともいう。

歴史れきし

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キャッシュカードは、もとはATMをかいして金融きんゆう機関きかん預金よきんしゃとのあいだ現金げんきんれをおも目的もくてき利用りようされるカードで、これが口座こうざあいだ資金しきん移動いどう決済けっさい手段しゅだんとしても利用りようされるようになった[1]

決済けっさい手段しゅだんは、米国べいこくではパーソナルチェック(個人こじんよう小切手こぎって)や1950年代ねんだい導入どうにゅうされたクレジットカード普及ふきゅうしたのにたいし、日本にっぽんでは現金げんきんとキャッシュカードによる決済けっさい主流しゅりゅうという状況じょうきょうつづいた[1]電算でんさんおこなわれる以前いぜん日本にっぽんにおいては預金よきん通帳つうちょうかいした取引とりひきおこなわれ、預金よきん払戻はらいもどしの意思いし確認かくにん届出とどけでしるし捺印なついんっていた。

銀行ぎんこうでは現金げんきん自動じどう支払しはらい (CD) の導入どうにゅうに、にゅう出金しゅっきん機能きのうゆうする現金げんきん自動じどうあづばら(ATM)が開発かいはつされると顧客こきゃく利便りべんせいたかめるため普及ふきゅうすすめた[2]。ATMの支店してんがいへの設置せっち増加ぞうか機能きのうで、キャッシュカードは口座こうざあいだ資金しきん移動いどう決済けっさい手段しゅだん利用りようされるようになった[1][2]。そのさい認証にんしょうもちいる媒体ばいたいとして預金よきん通帳つうちょう届出とどけでいんえてキャッシュカードと暗証あんしょう取引とりひき登場とうじょうした。

最初さいしょのキャッシュカードはカードに鑽孔さんこうしたパンチカードちかいものであった。その、プラスチックに磁気じきたいをつけた磁気じきストライプカード、さらにICチップを搭載とうさいしたICチップ内蔵ないぞうカードが普及ふきゅうした。

一部いちぶのぞ日本にっぽん銀行ぎんこうのキャッシュカードは、ジェイデビット (J-Debit) システムによるデビットカードとしての使用しよう可能かのうであり、銀行ぎんこう口座こうざ残高ざんだかを以って、J-Debit加盟かめいてんでの決済けっさい利用りようできる。取引とりひき内容ないよう当初とうしょ預金よきん払戻はらいもどしにくわえて、預入よにゅう振込ふりこみ定期ていき預金よきん預入よにゅうたからくじ購入こうにゅうなど範囲はんいひろがっている。

キャッシュカードの構造こうぞう種類しゅるい

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キャッシュカードの規格きかく統一とういつはオンラインシステム寄与きよした[2]。キャッシュカードは一般いっぱんてきはば85.60 mm、たかさ53.98 mm、あつさ0.76 mmサイズのプラスチックせいで、これはISO (ISO/IEC 7810) やJIS (JIS X 6301) によって規定きていされているカードサイズである。

カードには口座こうざ番号ばんごう氏名しめい文字もじエンボス加工かこうされて刻印こくいんされている。2010年代ねんだいになると、発行はっこうする金融きんゆう機関きかん銀行ぎんこうめい統一とういつ金融きんゆう機関きかんコードなどに由来ゆらいする点字てんじがエンボスされたキャッシュカードも登場とうじょうするようになった。

磁気じきストライプカード

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プラスチックの本体ほんたい刻印こくいんほどこし、磁気じきストライプをつけて、口座こうざ番号ばんごうとう情報じょうほう磁気じき情報じょうほう記録きろくしたもの。ATMでは、記録きろくされた磁気じき情報じょうほうのみをもちいて手続てつづきをおこなう。

エンコード方式ほうしきとATM

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日本にっぽんと、アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくふくめたしょ外国がいこくとでは、キャッシュカードなど金融きんゆう取引とりひき使つかわれる、カードの磁気じきエンコード方式ほうしきことなる。

JIS X 6302では、裏面りめん磁気じきストライプカード(JIS I がたようのエンコード方式ほうしきと、おもてめん磁気じきストライプカード(JIS II がたようのエンコード方式ほうしき規定きていしている。JIS I かたよう方式ほうしきISO/IEC 7811一致いっちしており、クレジットカードや国際こくさい航空こうくう運送うんそう協会きょうかい (IATA) 加盟かめい航空こうくう会社かいしゃ会員かいいんカードに採用さいようされている。JIS II がたよう方式ほうしきは、日本にっぽん独自どくじ規格きかくであり、日本にっぽん銀行ぎんこうキャッシュカードに採用さいようされている。

国内こくない金融きんゆう機関きかんATM両方りょうほう対応たいおうするものは、従前じゅうぜん外国がいこく銀行ぎんこうまたはゆうちょ銀行ぎんこう設置せっちするATMしかかった。コンビニATMでは、セブン銀行ぎんこうATMが両方りょうほう磁気じきエンコードに対応たいおうするクレジットカードおよびICキャッシュカード対応たいおうし、のATMでも徐々じょじょ対応たいおうするのがおおくなってきた。

問題もんだいてん

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つよ磁気じきさらされると磁気じき情報じょうほう破損はそんして使用しようできなくなることがある。また、後述こうじゅつのセキュリティーの問題もんだいから磁気じきストライプのカードの発行はっこう中止ちゅうしして、ICキャッシュカードにえる銀行ぎんこうもある[3]。この場合ばあい当然とうぜんながら、磁気じきストライプを前提ぜんていとした各種かくしゅサービスは利用りようできない[4][5]

ICチップ内蔵ないぞうカード

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上記じょうき磁気じきストライプカードの本体ほんたいに、さらにICチップを搭載とうさいして機能きのう安全あんぜんせいたかめたもの。安全あんぜんせいたかめるため磁気じきストライプを搭載とうさいせず、ICチップのみを搭載とうさいしたカードも存在そんざいするが、利用りようじょう制約せいやく[4][5]おおいため、本格ほんかくてき普及ふきゅうにはいたっていない。GMOあおぞらネット銀行ぎんこう標準ひょうじゅん発行はっこうされているほか、2023ねん3がつ三井住友銀行みついすみともぎんこうが「Olive」サービスにおいて都市とし銀行ぎんこうはじめて、「磁気じきストライプし・ICチップのみ」のキャッシュカードを発行はっこうした(キャッシュカードとしての磁気じきストライプを廃止はいし。クレジットカードとしての磁気じきストライプは残存ざんそん[6])。

カードごとことなるかぎ情報じょうほうをICチップない内蔵ないぞうし、このかぎもちいてATMと暗号あんごう通信つうしんおこな機能きのうつ。カードない暗号あんごうかぎそのものが、外部がいぶとやりりされるわけではないので、おな情報じょうほう偽造ぎぞうカードを作出さくしゅつすることは困難こんなんである。ただしリバースエンジニアリングひとし手法しゅほうにより、メモリない暗号あんごうかぎ直接ちょくせつされた場合ばあい現時点げんじてんでは、たいタンパー機能きのう計算けいさん量的りょうてき出来できないとされる)や、通信つうしん内容ないようから暗号あんごうかぎ推測すいそくされた場合ばあいには複製ふくせい可能かのうとなる。物理ぶつりてき電気でんきてきに、ICチップが破壊はかいされると使用しようできなくなる。

日本国にっぽんこく内用ないようICキャッシュカードについては、一般いっぱん社団しゃだん法人ほうじん全国ぜんこく銀行ぎんこう協会きょうかい策定さくていした接触せっしょくがたICチップの方式ほうしき原則げんそくとして採用さいようしている。

生体せいたい認証にんしょうカード

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上記じょうきのICチップ内蔵ないぞうカードに、生体せいたい認証にんしょうもちいる情報じょうほう追加ついか記録きろくしたものである。ATMでもちいられる生体せいたい認証にんしょうとして、てのひら静脈じょうみゃくパターンを方法ほうほうと、ゆび静脈じょうみゃくパターンを方法ほうほうの2種類しゅるい採用さいようされている。

ただし、生体せいたい認証にんしょう廃止はいしないしは新規しんき停止ていしした金融きんゆう機関きかん存在そんざいし、みずほ信託しんたく銀行ぎんこういたっては、生体せいたい認証にんしょう対応たいおうカード自体じたい使用しよう不可ふかとする措置そちっているほか、三菱みつびしUFJ銀行ぎんこうゆうちょ銀行ぎんこうなど、全国ぜんこく規模きぼ金融きんゆう機関きかんでの廃止はいし・サービス停止ていしったケースも存在そんざいする。

一般いっぱん生体せいたい認証にんしょうカードは、おおくの金融きんゆう機関きかんでATM限度げんどがく高額こうがく設定せってい可能かのうとしている。一方いっぽうで、高額こうがく設定せってい可能かのうなことをかれ、特殊とくしゅ詐欺さぎ多額たがく被害ひがいいたるケースが発生はっせいしている[7]。2020ねん1がつ横浜銀行よこはまぎんこうは70さい以上いじょう預金よきんしゃたいして、生体せいたい認証にんしょうカードもふくめたすべての種類しゅるいのキャッシュカードの限度げんどがく一律いちりつげた[8]

その機能きのう

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ICチップ内蔵ないぞうカードには、クレジットカードとの一体いったいがたカード、利用りようがくおうじてポイントがくポイントサービスきカード、電子でんしマネーきカードなどがある[2]

キャッシュカードの発行はっこう

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手続てつづき

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通常つうじょう発行はっこうには申込もうしこみから1週間しゅうかんから2週間しゅうかん程度ていど(クレジットカード一体いったいがたは、クレジット部分ぶぶん発行はっこう審査しんさふくめて1ヶ月かげつ前後ぜんこうないしはそれ以上いじょう)かかり、簡易かんい書留かきとめゆうメールとう送付そうふされる。金融きんゆう機関きかんによっては、普通ふつう預金よきんのみのカードなど、一部いちぶのカードについては、申込もうしこみのそのることができるサービスを提供ていきょうする場合ばあいもある。近年きんねんでは、地方銀行ちほうぎんこうだい地銀ちぎんなどでも発行はっこうするケースがられるようになってきたが、窓口まどぐち在庫ざいこのあるしろカードに磁気じきストライプやICチップにデータをんで、券面けんめん口座こうざ番号ばんごうとうをプリントするエンボスレスカードが発行はっこうできるシステムを以前いぜんくらべて導入どうにゅうしやすくなったこととうげられる。

なお、生体せいたい認証にんしょう対応たいおうのICつきカードが即時そくじ発行はっこうできる場合ばあいは、その生体せいたい認証にんしょう同時どうじ登録とうろくできるケースもある。このケースでは、金融きんゆう機関きかんによっては、即時そくじ発行はっこうするキャッシュカードへ生体せいたい認証にんしょう登録とうろくすることにより、印鑑いんかんわって本人ほんにん確認かくにんおこなかたちになっている。

代理人だいりにんカード

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代理人だいりにんカードは、口座こうざ本人ほんにんもうむことで発行はっこうされ、口座こうざからATMでにゅう出金しゅっきんとうのお取引とりひきおこなうことができる代理人だいりにんようのキャッシュカードで、たとえば、夫婦ふうふひとつの口座こうざからATMで預入よにゅう・引出ができる[9]同居どうきょ親族しんぞくであれば発行はっこうできる(城南じょうなん信金しんきんなど)、配偶はいぐうしゃかぎる(横浜銀行よこはまぎんこうなど)といったように、金融きんゆう機関きかんにより運用うんようおおきくことなる。

  • 生計せいけいともにする親族しんぞく1めいかぎ発行はっこう - 三菱みつびしUFJ銀行ぎんこう[10]、みずほ銀行ぎんこう[9]、りそな銀行ぎんこう成人せいじんかぎる)[11]
  • 2まいまで発行はっこう - 三井住友銀行みついすみともぎんこう[12]

キャッシュカードの安全あんぜん管理かんり

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ATMは、挿入そうにゅうされたカード本体ほんたいと、あたえられる認証にんしょう情報じょうほうとをもちいて、目前もくぜん人物じんぶつ当該とうがい口座こうざ開設かいせつしゃかを確認かくにんする。盗難とうなんカードの使用しよう偽造ぎぞうカードの作成さくせい使用しよう暗証あんしょう番号ばんごう入手にゅうしゅ推測すいそくなどの手段しゅだんもちいて第三者だいさんしゃがATMをあざむいて不正ふせい口座こうざ取引とりひき、なかんづく預金よきん払戻はらいもどしや口座こうざへの振込ふりこみの操作そうさおこなこと可能かのうである。これをふせぐためにICカード生体せいたい認証にんしょう導入どうにゅうなどの対策たいさくはかられる。

カードそのものの盗難とうなん不正ふせい使用しよう

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磁気じきカードや、生体せいたい認証にんしょうもちいないICカードでは、第三者だいさんしゃ真正しんせいカードと暗証あんしょう番号ばんごう入手にゅうしゅして不正ふせい操作そうさおこなこと可能かのうである。

  • くるまじょうらしでキャッシュカードととも免許めんきょしょう保険ほけんしょうとうぬすし、これらの書類しょるい記載きさいされている生年月日せいねんがっぴ住居じゅうきょ番地ばんち電話でんわ番号ばんごうとうから暗証あんしょう番号ばんごう推測すいそくして不正ふせい操作そうさおこなれいがある。
  • また、ATM操作そうさちゅう肩越かたごしにのぞたりひじうでうごきから入力にゅうりょくしている番号ばんごう推測すいそくし(ショルダーハッキング)、そのうえでバッグをったくったりカードをスリるなどして、不正ふせい操作そうさおこなれいもある。
  • ぬすものったくるもの現金げんきんもの分業ぶんぎょうしているために首謀しゅぼうしゃ特定とくていしにくく、警察けいさつ捜査そうさ難航なんこうして検挙けんきょりつひくい。

カードの盗難とうなんについて、金融きんゆう機関きかんがわ暗証あんしょう番号ばんごう漏洩ろうえいければ依然いぜん安全あんぜんであるとして、生年月日せいねんがっぴとう情報じょうほうから容易ようい推測すいそくされる番号ばんごうけること、また、適宜てきぎ暗証あんしょう番号ばんごう変更へんこうするなどの対策たいさくびかけた。また、2004ねんあきより、ATMで1にち取引とりひきできる限度げんどがく順次じゅんじげて、被害ひがいおおきくなるのをふせぐとした。

偽造ぎぞうカードの作成さくせい

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ことに、磁気じきカードでは、どういち形式けいしきのカードが銀行ぎんこうオンラインシステム以外いがいにももちいられるようになるとともにカードリーダとう機器きき入手にゅうしゅ容易よういとなり、キャッシュカードの磁気じきたい情報じょうほうったり偽造ぎぞうカードを作成さくせいすること困難こんなんではなくなってきた。認証にんしょうかかわる磁気じき情報じょうほうすべ露出ろしゅつしているのにくわえて、その情報じょうほうべつのカードに記録きろくすること容易よういであることから、スキミングによる偽造ぎぞうカードの作出さくしゅつと、それを使用しようした不正ふせい操作そうさ社会しゃかい問題もんだいとなった。

  • 磁気じき情報じょうほう窃盗せっとうで、はいってもものらずに、キャッシュカードの磁気じき情報じょうほうだけをすととも暗証あんしょう番号ばんごう推測すいそく役立やくだ情報じょうほうり、別所べっしょ偽造ぎぞうカードを作成さくせいして不正ふせい操作そうさおよれいられる。
  • 2004ねんには、銀行ぎんこうのATMコーナーに、安全あんぜん対策たいさくかたりカードき、カードをとおして暗証あんしょう番号ばんごう入力にゅうりょくもとめる事件じけんがあった。あやまってカードをとおして暗証あんしょう番号ばんごう入力にゅうりょくした利用りようしゃなかから被害ひがいったれいもある。
  • 2005ねん1がつあかるみに群馬ぐんまけんのゴルフじょうでのスキミングによる不正ふせい引出ひきだしでは、ゴルフじょう職員しょくいん犯罪はんざい加担かたんした。キャッシュカードの暗証あんしょう番号ばんごうをロッカーに設定せっていするケースがおおてんをつけ、貴重きちょうひんロッカーをマスターキーでけてカードから磁気じき情報じょうほうるとともに、管理かんり機能きのう利用りようしゃ設定せっていした暗証あんしょう番号ばんごう不正ふせい操作そうさおよぶ。
  • 2005ねん後半こうはんにはATMにぬすめカメラを仕掛しかけてキャッシュカード表面ひょうめん文字もじ番号ばんごうとうと、暗証あんしょう番号ばんごう入力にゅうりょくする様子ようす撮影さつえいし、られた情報じょうほうから磁気じき情報じょうほう作出さくしゅつしてカードに記録きろくし、これをもちいて預金よきん不正ふせい引出ひきだしにおよんだれい確認かくにんされた。
  • 2006ねん11月には、「あなたはNHK受信じゅしんりょう支払しはらい状況じょうきょう懸賞けんしょうきん進呈しんていするので、口座こうざ番号ばんごう暗証あんしょう番号ばんごうおしえてほしい」と電話でんわをかけ、キャッシュカードを偽造ぎぞうする事件じけん発生はっせいした。
  • 2008ねん11月には、健康けんこう食品しょくひん会社かいしゃから流出りゅうしゅつした個人こじん口座こうざ番号ばんごうもと偽造ぎぞうカードが作成さくせいされたうたがいがつよ不正ふせい引出ひきだ事件じけん発覚はっかくした。暗証あんしょう番号ばんごう電話でんわによる残高ざんだか照会しょうかいサービスを利用りようしてした模様もようで、スキミングとはことなる手口てぐち[13]

カードの盗難とうなんでは、被害ひがいづいたら、すぐにとど口座こうざやカードを凍結とうけつできるが、スキミングではカードそのものは本人ほんにん手許てもとにあるため、通帳つうちょうへの記帳きちょう利用りよう明細めいさいをチェックするまで被害ひがいったことづかない。

生体せいたい認証にんしょうカードでは1にち限度げんどがく最大さいだいで20ばい程度ていどになるてん悪用あくようし、特殊とくしゅ詐欺さぎ手段しゅだんとして生体せいたい認証にんしょうカードをつくらせて現金げんきんだまれいが、東京とうきょううち多発たはつしている[7]

デビットカード

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銀行ぎんこうならびにコンビニに設置せっちされているATMには監視かんしカメラしつらえられており、カードの不正ふせい使用しようさいしては容貌ようぼう記録きろくられるリスクがある。しかし、小売こうりてんのレジとうには監視かんしカメラがことめずらしくなく、記録きろくられるリスクなく不正ふせい使用しよう可能かのうとなる。ただし、顔貌かおかたち特徴とくちょうてんをいかにこう精度せいど記録きろくできる防犯ぼうはんカメラが設置せっちされていようとも、顔面がんめん一部いちぶまたは全体ぜんたい身体しんたいてき特徴とくちょう違和感いわかんなく隠蔽いんぺいする手段しゅだん複数ふくすうかんがえられるため、一定いってい効果こうか期待きたいできるが、いわゆるプロによる犯行はんこう阻止そし、あるいは検挙けんきょがかりとするには充分じゅうぶんとはいえないとする見方みかたもできる。同時どうじに、小売こうりてんのPOS端末たんまつとうのセキュリティにかんしては問題もんだい指摘してきされている。

不正ふせい使用しようへの対応たいおう

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盗難とうなんカードや偽造ぎぞうカードをもちいた不正ふせい引出ひきだしを防止ぼうしするための対策たいさくがとられている。一方いっぽうで、実際じっさい発生はっせいした不正ふせい使用しようと、それにともな被害ひがい補償ほしょうについては、ようや対応たいおうがとられるようになってきた。

対策たいさく

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磁気じきカード対応たいおうのATMは、コンビニエンスストア設置せっちのものもふくめてすで多数たすう配置はいちされており、ICカードへのえや生体せいたい認証にんしょう方式ほうしき導入どうにゅうには時間じかん費用ひようがかかることから、下記かきよう対策たいさくがとられている。

当座とうざ対策たいさく

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暗証あんしょう番号ばんごう漏洩ろうえいふせいだり、ATMの利用りよう方法ほうほう制限せいげんするために、以下いかげる対策たいさくられている。

  • ATM・テレホンバンキングとう暗証あんしょう番号ばんごう変更へんこうける
  • ATMで暗証あんしょう番号ばんごう入力にゅうりょくするさい数字すうじ配列はいれつならえる(この方法ほうほう数字すうじをタッチパネルに入力にゅうりょくする機種きしゅかぎられる)
  • 金融きんゆう機関きかん暗証あんしょう番号ばんごうをチェックし、個人こじん情報じょうほうから推測すいそく可能かのうなものの場合ばあいには変更へんこう推奨すいしょうする(暗証あんしょう番号ばんごう変更へんこうさいに、しん番号ばんごう同様どうようのものの場合ばあい受付うけつけ制限せいげんする場合ばあいもある)
  • ワンタイムパスワード方式ほうしきもちいて1かいごとことなる暗証あんしょう番号ばんごう使用しようする
  • 金融きんゆう機関きかんごとに下記かきいずれかの方法ほうほう預金よきんはらもどし・振込ふりこ可能かのう金額きんがくげる
    • 一律いちりつ限度げんどがく決定けっていする
    • 口座こうざ開設かいせつしゃ自分じぶん限度げんどがく設定せっていする
  • 口座こうざ開設かいせつしゃ自分じぶんでATMの使用しよう可能かのう時間じかん限定げんていする設定せっていおこな
  • 口座こうざ開設かいせつしゃ自分じぶん通常つうじょうはATMで使用しようできないように設定せっていしておき、使用しよう都度つど携帯けいたい電話でんわとう一時いちじてき使用しよう可能かのうにする

金融きんゆう機関きかんによっては、不正ふせい支払しはらいをより抑止よくしするために、キャッシュカードを発行はっこうせず、口座こうざ開設かいせつてんにおいて対面たいめんでの手続てつづきのみをおこな預金よきん口座こうざ取扱とりあつかい開始かいししたところもある。

偽造ぎぞうカードへの対策たいさく

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磁気じきカードでは前述ぜんじゅつようおな情報じょうほうつカードを複製ふくせいすること容易よういであるが、ICカードは原理げんりてきおな情報じょうほうつカードを複製ふくせいすることは不可能ふかのうとされており、えがおこなわれている。

第三者だいさんしゃによる不正ふせい使用しようへの対策たいさく

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暗証あんしょう番号ばんごうによる認証にんしょう方式ほうしきは、暗証あんしょう番号ばんごう情報じょうほうそのものが個人こじんから独立どくりつしているものであり、口座こうざ開設かいせつしゃ本人ほんにん不注意ふちゅういや、ソーシャルエンジニアリングによって漏洩ろうえいし、第三者だいさんしゃわた可能かのうせいがある。生体せいたい認証にんしょうでは本人ほんにん肉体にくたい特徴とくちょう由来ゆらいする情報じょうほう認証にんしょうもちいることで、第三者だいさんしゃによるなりましを防止ぼうしする効果こうか期待きたいされる。

キャッシュカードを使つかわない(スマホATM)

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2017ねん、キャッシュカードを使つかわずにスマートフォンQRコード使用しようしてATMでにゅう出金しゅっきんする、いわゆる「スマホATM」が登場とうじょうし、採用さいようする金融きんゆう機関きかんえている。

日本にっぽんでの被害ひがいへの救済きゅうさい

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日本にっぽんにおける盗難とうなんカードや偽造ぎぞうカードの被害ひがいについては、預金よきんしゃ保護ほごほう施行しこう(2006ねん2がつ10日とおか施行しこう)の前後ぜんご対応たいおうおおきくわる。

預金よきんしゃ保護ほごほう施行しこうまえ

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金融きんゆう機関きかんは、挿入そうにゅうされた磁気じきカードに記録きろくされた情報じょうほう入力にゅうりょくされた暗証あんしょう番号ばんごう正規せいきのものとみとめてったはらもどしについて、結果けっか責任せきにんわないとするカード利用りよう規定きてい全銀協ぜんぎんきょうによるカード利用りよう規定きてい試案しあんだい10じょうだい2こう (PDF) )をたてに、本来ほんらい口座こうざ開設かいせつしゃかさねての預金よきんはらしをこばむ。

  • 当該とうがい規定きていについては、民法みんぽうだい478じょう根拠こんきょもとめられる。どう条文じょうぶんでは、債務さいむ返済へんさいにあたり、善意ぜんい過失かしつ弁済べんさいした相手あいてしん債権さいけんしゃではなかった場合ばあいでも、その返済へんさい有効ゆうこうであり、あらためてしん債権さいけんしゃ弁済べんさいする必要ひつよういと規定きていしている。これを預金よきん払戻はらいもどしに類推るいすい適用てきようし、機械きかい処理しょりただしい磁気じき情報じょうほうつカードを所持しょじただしい暗証あんしょう番号ばんごう提示ていじする人物じんぶつしん口座こうざ開設かいせつしゃみとめるのはなん問題もんだいく、善意ぜんい過失かしつであると主張しゅちょうする。なおどう規定きていについては、根拠こんきょ民法みんぽうだい480じょうもとめる見解けんかいや、いずれの条文じょうぶんにも根拠こんきょもとめない独立どくりつしたものとする見解けんかいもある。
  • 裁判さいばんでは、カードや暗証あんしょう番号ばんごう管理かんりいこと、つ、不正ふせい操作そうさおこなわれるにいたった一連いちれん経緯けいいつまびらかにして被害ひがい偽装ぎそうしたものではないこと、そして、現行げんこうのオンラインシステムが偽造ぎぞうカードの存在そんざいゆる事実じじつをもって、権限けんげんしゃによる不正ふせいはらしを排除はいじょするシステムを構築こうちくする努力どりょくおこたったとして民法みんぽうだい478じょうにいう善意ぜんい過失かしつとはえないこと口座こうざ開設かいせつしゃがわ証明しょうめいする必要ひつようがあり、補償ほしょうるのは困難こんなんである。なお現時点げんじてん(2006ねん2がつ)では偽造ぎぞうカードによる不正ふせい引出ひきだしをゆるすオンラインシステムにたいする民法みんぽうだい478じょう適用てきよう可否かひや、規定きてい有効ゆうこうせいについて判断はんだんする裁判所さいばんしょ判決はんけつい。

しかし偽造ぎぞうカードによる不正ふせいしが増加ぞうか社会しゃかい問題もんだいしていることから、預金よきんしゃ保護ほごほう制定せいてい施行しこうされた。

預金よきんしゃ保護ほごほう施行しこう

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預金よきんしゃ保護ほごほうは、不正ふせいはらもどしにたいする民法みんぽうだい478じょう適用てきよう除外じょがいし、預金よきん補償ほしょうする規定きていである。どうほうしたでは、盗難とうなんカードや偽造ぎぞうカードなどで預金よきん不正ふせいはらされた場合ばあいであっても、金融きんゆう機関きかん善意ぜんいかつ過失かしつであって、かつ預金よきんしゃ本人ほんにん重大じゅうだい過失かしつがあることを金融きんゆう機関きかん証明しょうめいした場合ばあいのぞき、預金よきん全額ぜんがく補償ほしょうされる。なお、預金よきんしゃ本人ほんにん重過失じゅうかしつとは、暗証あんしょう番号ばんごう故意こい他人たにんおしえたり、カード表面ひょうめん暗証あんしょう番号ばんごう記入きにゅうしたりした場合ばあいす。

ただし、どうほう適用てきようされるのは個人こじん口座こうざかぎり、また、盗難とうなんカードや偽造ぎぞうカードによる被害ひがい限定げんていされる。法人ほうじん口座こうざや、盗難とうなん通帳つうちょうによる被害ひがい対象たいしょうがいである。

また、盗難とうなんカードや偽造ぎぞうカードをデビットカードとして使用しようした場合ばあいも、どうほう範囲はんいがいである。

米国べいこくでの被害ひがいへの救済きゅうさい

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米国べいこくではクレジットカードは公正こうせいクレジット請求せいきゅうほう(Fair Credit Billing Act)、キャッシュカードは電子でんし資金しきん移転いてんほう(Electronic Fund Transfer Act)にさだめがあり法律ほうりつことなる[1]電子でんし資金しきん移転いてんほうではキャッシュカード亡失ぼうしつとど預金よきんしゃ責任せきにんはないが、とどまえ不正ふせいとしがあった場合ばあいとどまで期間きかん預金よきんしゃ負担ふたんことなる(銀行ぎんこうからの口座こうざ残高ざんだかステートメント郵送ゆうそう60にち以内いない銀行ぎんこう連絡れんらくしないと無限むげん責任せきにんとなる)[1]

脚注きゃくちゅう

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  1. ^ a b c d e f 大寺おおてら廣幸ひろゆき. “米国べいこくのクレジットカード… 過去かこ現在げんざい未来みらい”. 郵政ゆうせい研究所けんきゅうじょ月報げっぽう(2001.7). 2021ねん9がつ16にち閲覧えつらん
  2. ^ a b c d 長岡ながおか壽男としお. “ATM戦略せんりゃく発展はってん過程かていとその考察こうさつ”. 関西大学かんさいだいがく. 2021ねん9がつ16にち閲覧えつらん
  3. ^ 磁気じきストライプのカード発行はっこう中止ちゅうし”. 日本経済新聞にほんけいざいしんぶん. 2021ねん9がつ16にち閲覧えつらん
  4. ^ a b 【Olive】キャッシュカードを使つかって口座こうざ振替ふりかえ契約けいやく申込もうしこみはできますか? | よくあるご質問しつもん三井住友銀行みついすみともぎんこう”. qa.smbc.co.jp. 2023ねん5がつ23にち閲覧えつらん
  5. ^ a b 【Olive】ジェイデビットカードサービスの利用りようはできますか? | よくあるご質問しつもん三井住友銀行みついすみともぎんこう”. qa.smbc.co.jp. 2023ねん5がつ23にち閲覧えつらん
  6. ^ 東奔西走とうほんせいそうキャッシュレス(7) SMBCグループが導入どうにゅうする金融きんゆうサービス「Olive」の疑問ぎもんをチェック”. マイナビニュース (2023ねん2がつ13にち). 2023ねん5がつ23にち閲覧えつらん
  7. ^ a b 相次あいつぐ「生体せいたい認証にんしょうカード」詐欺さぎ ATM限度げんどがくの20ばい 警視庁けいしちょう 産経新聞さんけいしんぶん 2015ねん10がつ18にち
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