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コルク

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キルクから転送てんそう
コルクをいてつくったびんせん

コルクせんらん: kurkえい: cork)は、コルクガシ樹皮じゅひのコルク組織そしき剥離はくりして加工かこうした、弾力だんりょくせい素材そざい総称そうしょうである。空気くうきをよくふくみ、やわらかい。

とう項目こうもくではコルクにせてつくった合成ごうせい素材そざい合成ごうせいコルクについても記述きじゅつする。

概要がいよう

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コルクは本来ほんらいコルクガシ樹皮じゅひである。コルクガシは地中海ちちゅうかいせい気候きこうこのみ、みなみヨーロッパきたアフリカ分布ぶんぷする。イベリア半島はんとうをはじめ、イタリアなどでもコルク製造せいぞうのために栽培さいばいされる。

おも生産せいさんポルトガルであり、ぜん世界せかい生産せいさんりょうやく52%をめる。そのほか、スペイン (29.5%)、イタリア (5.5%)、アルジェリア (5.5%)、モロッコ (3.7%)、チュニジア (2.5%)、フランス (1.1%)などで生産せいさんされる。世界せかいのコルクりん面積めんせきやく228まんヘクタール。その内訳うちわけポルトガル (32.4%)、スペイン (22.2%)、アルジェリア (18.2%)、モロッコ (15.2%)、フランス (4%)、チュニジア (4%)、イタリア (4%)である。

なお、コルクガシはコルクそう採集さいしゅう目的もくてきだけではなく、防砂ぼうさりんとしてもえられている。

生物せいぶつがくではロバート・フックがコルクの断面だんめん観察かんさつし、多数たすうしょう部屋へやつけてこれにCellと名付なづけ、これがのち細胞さいぼう(cell)のかたり使つかわれたことから、細胞さいぼう発見はっけん素材そざいとしてもられている。

採取さいしゅ加工かこう方法ほうほう

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採集さいしゅうするさい形成けいせいそうなどのきた組織そしきいためないように、樹皮じゅひのみをはいで製造せいぞうする。コルクガシを植樹しょくじゅすうねん段階だんかいで、だい1かいりをおこなう。このときられた樹皮じゅひ(バージンコルク)は表面ひょうめん亀裂きれつ凹凸おうとつみ、加工かこう製品せいひん素材そざいとしてはてきさない。そのため、ようランのような熱帯ねったいせい着生ちゃくせい植物しょくぶつ着生ちゃくせい状態じょうたい栽培さいばいするときざいとして利用りようされる。

そのすうねんごとに再度さいどあつ成長せいちょうした樹皮じゅひっていく。この2かい以降いこうられた樹皮じゅひ表面ひょうめん平滑へいかつ均質きんしつせいたか材質ざいしつであるので、いてワインなどのびんせん製造せいぞうする。られた樹皮じゅひはまず高温こうおん蒸気じょうき処理しょりける。これによって樹皮じゅひ弾力だんりょくやし、まるみがとれてたいらになり、きやすくなる。かれてのこった樹皮じゅひ粉砕ふんさいされたのち接着せっちゃくざいとも圧縮あっしゅくされ、圧搾あっさくコルクとして利用りようされる[1]

なお、コルクガシのほかには、日本にっぽん自生じせいするアベマキからもコルクそう収穫しゅうかくすることができるが、コルクガシにくらべてしつおと[2]。アベマキは、1961ねんには広島ひろしまけん岡山おかやまけん兵庫ひょうごけんなどを中心ちゅうしんやく6000tが生産せいさんされていたが、1966ねんには乱獲らんかくがたたり236tと激減げきげん[3]需要じゅよう大半たいはんは、本家ほんけのコルクにわった。

利用りよう

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粉砕ふんさいしたコルクをうす薄板うすいた圧縮あっしゅく成型せいけいしてつくったコースター

発泡はっぽうプラスチックのように多孔たこうしつで、弾力だんりょくせいがありみずをほとんどとおさないが、通気つうきせいはわずかにあり、保温ほおんせいすぐれている。天然てんねんゴムひろられるまで、欧米おうべいけんにおける緩衝かんしょうざい密閉みっぺいざいとして重要じゅうようなものであった。

現在げんざい代表だいひょうてき利用りようとしてはワインびんせんげられる。ただし、この用途ようともちいられるコルクはコルクの全体ぜんたい消費しょうひりょうやく15%にすぎない。しかし、収入しゅうにゅうにおいては66%をめている。なお、バージンコルクはかたちわるいので、ワインせんには普通ふつう使つかわれない。コルクせんいたのちはしざいは、粉砕ふんさいして成型せいけい加工かこうされ、フローリングようゆかざい断熱だんねつざいなど、様々さまざま用途ようときょうされる。

コルクは精密せいみつ機械きかい緩衝かんしょうマウントなどとしても重要じゅうよう素材そざいであった。近代きんだい以後いご成型せいけい自由じゆうたか硬度こうどのコントロールも可能かのうで、また安価あんか天然てんねんゴムや合成ごうせいゴムってわられていったが、現在げんざいでもまだ化成かせい素材そざいくらべて可塑かそざい滲出しんしゅつい、紫外線しがいせんつよいといった長所ちょうしょがあり、三脚さんきゃくのカメラマウントなどの高級こうきゅうひんではコルクばん使用しようされることがある。

多孔たこう構造こうぞう弾力だんりょくせいにより、はりいちした程度ていどではほとんどこんのこらない。これを利用りようし、メモなどをピンめする掲示板けいじばんコルクボード)としてもちいられてきた。より安価あんか合成ごうせい発泡はっぽう素材そざいのボードや、損耗そんこうがないマグネットボードが普及ふきゅうした現在げんざいでも、ボード自体じたいをコルクの風合ふうあいをかしたインテリア、つまり室内しつない装飾そうしょくひんおよ住宅じゅうたく建材けんざいとしてもちいられる[4][5]

楽器がっき

オーボエクラリネットファゴットサクソフォーンといった木管もっかん楽器がっき接合せつごう部分ぶぶんにもコルクがもちいられ、楽器がっき内部ないぶ密閉みっぺいせいなどにおおきくかかわってくるため、音色ねいろなど楽器がっきのバランスに重大じゅうだい影響えいきょうおよぼす。

スポーツ用具ようぐ

野球やきゅう硬式こうしきだましん卓球たっきゅうのラケット、バドミントンのシャトルなどがげられる。

バット改造かいぞうしてコルクをめることは公認こうにん野球やきゅう規則きそく禁止きんしされている[ちゅう 1]。これはコルクの反発はんぱつ係数けいすうたかいためである。

ルアーフライフィッシングよう竿ざおのグリップ部分ぶぶんにもよく利用りようされる。すべりにくく竿ざお感度かんどがダイレクトにつたわり、みずれにほとんど影響えいきょうされず、なにより風合ふうあいがいため、おおくのルアーりやフライ・フィッシング愛好あいこうこのまれている。

その

最近さいきんではアクセサリーの素材そざいとして利用りようされることもある。中国ちゅうごくなどでは、コルクのいた彫刻ちょうこくして立体りったいてき彫刻ちょうこく製造せいぞうされている。

くつやサンダルのソールや、家具かぐフローリングこすれるのを防止ぼうしするマットなど機能きのうくわえて天然てんねん素材そざいであることからエコやナチュラルなイメージをかした製品せいひんおおい。

鉄道てつどう模型もけいにおいては粉砕ふんさいコルクを成形せいけい加工かこうしたものを「コルク道床どうしょう」としておもレイアウト製作せいさくにおいて使用しようするほか、バージンコルクの表皮ひょうひ質感しつかんかして「いわかべ」を表現ひょうげんするのにもちいられる(「コルクロック」という名称めいしょう販売はんばいされている)。また、各種かくしゅおおきさに選別せんべつした粉砕ふんさいコルクが「コルクパウダー」という名称めいしょう販売はんばいされており、これらはいわいしバラスト表現ひょうげんもちいられる。

合成ごうせいコルク

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コルクの代替だいたいひんとしてプラスチックなどの合成ごうせい素材そざいつくったコルクのような物質ぶっしつは、合成ごうせいコルクとばれる。合成ごうせいコルクの商品しょうひんとしては、NkorcやNomacorcなどが存在そんざいする。

合成ごうせいコルクはおもにワインのびんせんとして使用しようされる。安価あんかなワインに使用しようされることがおおいが、コルクガシからったコルクが天然てんねん素材そざいゆえに微生物びせいぶつによる汚染おせん(それによってカビにおいブショネなどとばれる不快ふかいにおいがワインにうつってしまう)やコルクダストなどの問題もんだい存在そんざいするのにたいし、合成ごうせいコルクにはそれらの問題もんだい存在そんざいしない。

ポルトガルの最大手さいおおてコルク製造せいぞう会社かいしゃアモリンによると、2017ねん世界せかい生産せいさんされたびんりワインやく190おくほんのうち70%以上いじょう天然てんねんコルクが使つかわれた。一時期いちじきがっていた天然てんねんコルクの比率ひりつは、2010ねん以降いこうふたたたかまっている。これには、ワイン消費しょうひりょうえている中国ちゅうごくで、天然てんねんコルクせんこのまれていることが背景はいけいとなっている。中国人ちゅうごくじんは、天然てんねんコルクせんけてワインをむことが伝統でんとう重視じゅうしする文化ぶんかてき行為こういかんがえているほか、消費しょうひざい偽造ぎぞうひん横行おうこうしている中国ちゅうごくにおいて、高級こうきゅうワインでえをおこなった場合ばあい合成ごうせいコルクせんやスクリューキャップとくらべて、底部ていぶのシミや側面そくめんふくらみにより熟成じゅくせいじょうきょうかる天然てんねんコルクせん判定はんていしやすいためである[6]

ギャラリー

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脚注きゃくちゅう

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注釈ちゅうしゃく

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  1. ^ 2003ねんサミー・ソーサがコルクをめたバット使用しようし、罰金ばっきん出場しゅつじょう停止ていし処分しょぶんけた。

出典しゅってん

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  1. ^ Sughero: estrazione in Sardegna /As the CORK is harvested in Sardinia Agricura.it - YouTube
  2. ^ コルクガシ ブリタニカ国際こくさいだい百科ひゃっか事典じてん しょう項目こうもく事典じてん
  3. ^ 小野おの陽太郎ようたろう「コルクガシ」『新版しんぱん 林業りんぎょう百科ひゃっか事典じてんだい2はんだい5さつ p256 日本にっぽん林業りんぎょう技術ぎじゅつ協会きょうかい 1984ねん昭和しょうわ59ねん発行はっこう
  4. ^ cork-house” (英語えいご). Architecture.com. 2020ねん5がつ16にち閲覧えつらん
  5. ^ コルクについてろう”. RESTA. 2020ねん5がつ16にち閲覧えつらん
  6. ^ Nikkei Asian Reviewから】コルク復活ふっかつ 中国人ちゅうごくじん支持しじ/ポルトガル『日経にっけい産業さんぎょう新聞しんぶん』2018ねん4がつ19にち(グローバルめん

関連かんれん項目こうもく

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