リフ

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ギターリフから転送てんそう

音楽おんがくにおけるリフriff)は、オスティナート、つまり、かえされるコード進行しんこうおとがたリフレイン、または旋律せんりつおとがたである。

概要がいよう[編集へんしゅう]

おもリズムセクション楽器がっきによって演奏えんそうされ、楽曲がっきょく基礎きそ伴奏ばんそうとして成立せいりつするものをす。とくロックラテンファンクジャズなどにおいて顕著けんちょであるが、ラヴェルの『ボレロ』のように、クラシックもまたときにシンプルなリフのうえっている。シンプルでありながらキャッチーなリズムおとがたをホンキングするサックスのように、あるいは、カウント・ベイシー・オーケストラのヘッド・アレンジける、リフをもと展開てんかいされる変奏へんそうのように、リフとは単純たんじゅんでもあり、ぎゃく複雑ふくざつなものとしても成立せいりつする。

ギターによるものが顕著けんちょではあるが、ベースキーボードすくなからずもちいられる。

デヴィッド・ブラケット(1999)は、リフを「たん旋律せんりつ」と定義ていぎし、おなころリチャード・ミドルトン(1999)は同様どうように「みじかいリズムてき旋律せんりつてき、または和声わせいてきおとがたかえしであり、楽曲がっきょく基礎きそ構造こうぞうとなるもの」と定義ていぎした。リッキー・ルークスビー(2002)は「リフとはみじかく、かえされ、おぼやすフレーズであり、ギターの低音ていおんもちいられ、ロックにけるエネルギーと興奮こうふん中心ちゅうしんである」とべた。

歴史れきし[編集へんしゅう]

リフというスラング登場とうじょうしたのは1920年代ねんだいのことであり、ロックやジャズについてかたられるじょうもちいられたのが最初さいしょであった。ほとんどのロック・ミュージシャンはリフを“音楽おんがくてきアイディア”の近似きんじとしてもちいた。

チャーリー・パーカー1945ねん作品さくひん“Thriving on a Riff”は、この単語たんご一般いっぱんてきなものとしてひろまるきっかけとなった。

語源ごげん正確せいかくには不明ふめいであるが、いくつかの資料しりょうはリフとは“リズムおんがた(RHYthmic Figure)”や“リフレイン(REFrain)”の省略しょうりゃくだと説明せつめいしている。このかたりコメディにおいても意味いみ使つかわれ、その話題わだいたいして即座そくざされる早口はやくち意味いみである。

解説かいせつ[編集へんしゅう]

イントロダクションから間奏かんそう部分ぶぶんにのみ使用しようされる場合ばあいと、歌詞かし部分ぶぶんにも演奏えんそうされる場合ばあい、さらにサビ部分ぶぶんにも使つかわれる場合ばあいもあり、きょくによっていくつかの種類しゅるいがある。一般いっぱんてきにはロック・ギターで、うたのバックとなるかえしのコード進行しんこうとメロディーの中間ちゅうかん位置いちするようなテーマをしめすことがおおい。

ハードロック以降いこうはギターのおとゆがみ(ディストーション)がかかっていることもあり、つるもちいたコードよりも5コードなどの1~3ほんつるもちいたものがこのまれたためおおくのリフがきょくかおとしてされた。ヘヴィメタル以降いこうはさらに複雑ふくざつなものもおおい。

リフの効用こうようとしては、かえかせることにより、そのきょく印象いんしょうつよ根付ねつかせしたしみやすくさせる。また、そのリフをけばきょくをすぐ認識にんしきすることができ、楽曲がっきょく形作かたちづくるうえでの重要じゅうよう部分ぶぶんであるといえる。

関連かんれん概念がいねん[編集へんしゅう]

リフは、「フィル」(旋律せんりつ合間あいまかなでられるみじかいパッセージ)にまれることもある。関連かんれん概念がいねんである「リック (lick)」もかえされるコード進行しんこうふくむが、リックはコード進行しんこうよりも単音たんおん旋律せんりつせんむすびつくのが通例つうれいであるというてんことなる。リフ同様どうよう、リックもきょくとおした基礎きそになりる。もし「フック」の定義ていぎ楽曲がっきょく訴求そきゅうりょくのあるものとし、目立めだたせることのできる音楽おんがくのアイディア、パッセージまたはフレーズ”、“リスナーのみみらえる”をたすのなら、リフはフックにもなりる。

リフ、リックのどちらのかたりクラシック領域りょういきもちいられることはない。クラシック作品さくひんにおける、楽曲がっきょく基礎きそとなる独立どくりつフレーズを場合ばあいは、わりに「オスティナート」または「シンプル・フレーズ」がもちいられる。現代げんだいジャズの作曲さっきょくたちもまた、リフやリックのようなオスティナートを、モード・ジャズラテン・ジャズなか使用しようしている。