ザザ人じん

ザザ人じんの老女ろうじょ

トルコにおけるザザギ語ごの分布ぶんぷ図ず

ザザ人じん（Zaza people）とは、主おもにトルコ東部とうぶに住すむイラン語ご群ぐんのザザキ語ごを話はなし、約やく半数はんすうはイスラム教いすらむきょうの一派いっぱであるアレヴィー派はを信奉しんぽうし、残のこりはスンナ派はを信奉しんぽうする人々ひとびと。トルコ国内こくないに数すう十じゅうあるといわれる少数しょうすう民族みんぞくの一ひとつである。100万まんから200万まん人にんいるとされる。

ザザ人じんの歴史れきし的てきルーツ

言語げんご学がく的てき研究けんきゅうによれば、ザザ人じんがカスピ海かすぴかい南岸なんがんから現在げんざいの居住きょじゅう地ちに移住いじゅうしたことが推定すいていされている。ザザ人じんの中なかには自みずからの民族みんぞくアイデンティティを「ディムリー（ Dimli ）」という言葉ことばで表現ひょうげんする者ものもいる。ザザ語ごで「ディムリー」という言葉ことばは、現げんイランのギーラーンに関連かんれんするものをも指さし示しめす。ギーラーンは古名こみょうを「ダイラム」ともいう。言語げんご学者がくしゃによっては、 Dimli は、アルボルズ山脈さんみゃくに住すむダイラム人じんに関連かんれんがあると考かんがえており、ザザ人じんはデイラマーン (都市とし)から西にしへ向むかって移動いどうしたと信しんじられている（Daylamiは、945年ねんにバグダードを占領せんりょうしブワイフ朝あさを開ひらいたダイラム人じんと関係かんけいがあるのかも知しれない。ダイラム地方ちほうとは、カスピ海かすぴかい南岸なんがんの一いち地方ちほうである）。今日きょうでは、イラン系けい言語げんごはまだカスピ海かすぴかい南岸なんがんで話はなされており、それには、サングサル語ご, マーザンダラーン語ご, Tātī (Herzendī), セムナーン諸語しょご, タリシュ語ごを含ふくむが、これらは、文法ぶんぽう的てき・語彙ごい的てきにザザ語ごに非常ひじょうに近ちかい。このことは、ザザ人じんがカスピ海かすぴかい南岸なんがんから東ひがしアナトリアへと移住いじゅうしたとの論議ろんぎを支持しじする 。ザザ人じんはクルド人じんの居住きょじゅう域いきの近ちかくにも住すんでいる（クルド人じんは、別べつのイラン系けい民族みんぞくである）。しかし、歴史れきし的てき文献ぶんけん、ゾロアスター教きょうの聖典せいてんブンダヒシュンなどでは、Dilaman (Dimila/Zaza)の先住せんじゅう地ちを今日きょうでいうところのティグリス川がわの上流じょうりゅうとしている。これは、Dimila/Zazaが、カスピ海かすぴかいへと移住いじゅうしたことを示しめしていることになる。

宗教しゅうきょう

おおむね半数はんすうのザザ人じんがアレヴィー派はである。一方いっぽう、スンナ派はもいる。アレヴィー派はのザザ人じんはザザ地域ちいきの北部ほくぶで暮くらしている。一方いっぽう、スンニ派はのザザ人じんはザザ地域ちいきの南部なんぶで暮くらしている。古代こだいザザ人じんの主教しゅきょうは、ゾロアスター教きょうだったと信しんじられている。

言語げんご

フランクフルト大学だいがくのインド・ヨーロッパ語ごの言語げんご学者がくしゃ Jost Gippertによると、ザザキ語ごとパルティア語ごとは強つよい共通きょうつう性せいを示しめしている、という。ザザ語ごの起源きげんは恐おそらくパルティア語ごであり、音声おんせい上じょう、形態けいたい上じょう、語彙ごい上じょうの共通きょうつう性せいがあるという。

最初さいしょにザザ語ごで書かかれた文献ぶんけんは、言語げんご学者がくしゃPeter Lerchによって1850年ねんに出版しゅっぱんされた。他たの２ふたつの重要じゅうような文献ぶんけんは宗教しゅうきょう上じょうのもので、Ehmedê Xasi により1899年ねんに書かかれた。また、Usman Efendiyo Babıc (1933年ねんダマスクスで出版しゅっぱん)もあり、これらはアラビア文字もじで書かかれていた。

ザザキ語ごのラテン文字もじ表記ひょうきは、1980年代ねんだい初頭しょとうのドイツ、フランス、スウェーデンにおける多少たしょうの努力どりょくの後のち、国外こくがい居住きょじゅう者しゃの間あいだで有名ゆうめいになった。これにトルコ、特とくにイスタンブールでの書籍しょせきや雑誌ざっしの出版しゅっぱんが続つづき、ザザ人じん知識ちしき人じんの努力どりょくは、彼かれらの母語ぼごを、記述きじゅつ言語げんごへと進化しんかさせることとなり、多おおくのザザキ語ごの出版しゅっぱん物ぶつが増加ぞうかした。ザザ人じん知識ちしき人じんによる自じ文化ぶんかの再さい発見はっけんはザザキ語ごと文化ぶんかのルネッサンスとなっただけではなく、 ザザ人じんの若わかい世代せだい（彼かれらは既すでに母語ぼごを殆ほとんど話はなせない）の間あいだで、ザザキ語ご熱ねつを巻まき起おこすきっかけとなった。彼かれらは、自じ文化ぶんかの遺産いさんに興味きょうみを持もち、自国じこく外がい居住きょじゅう者しゃが、ザザキ語ごの制限せいげんを喧伝けんでんした。徐々じょじょに欧州おうしゅう連合れんごう参加さんかの準備じゅんびとして、トルコ国内こくないの地方ちほう語ごとしての制限せいげんが緩ゆるんでいった。トルコのテレビ放送ほうそう局きょく TRT テレビジョンは、ザザキ語ご放送ほうそうと番組ばんぐみを開始かいしし、ラジオ番組ばんぐみも開始かいしされた。

参考さんこう文献ぶんけん

• 小島こじま剛一ごういち『トルコのもう一ひとつの顔かお』中央公論社ちゅうおうこうろんしゃ、1991年ねん、ISBN 978-4121010094
• 小島こじま剛一ごういち『漂流ひょうりゅうするトルコ―続つづけ「トルコのもう一ひとつの顔かお」』旅行りょこう人じん、2010年ねん、ISBN 978-4947702685

外部がいぶリンク

• Zaza News Journal
• zazaki.de - Zazas and Zazaki
• zazaki-institut.de - Zazaki Language Institute (ドイツ語ご・ザザキ語ご・トルコ語ご)
• ZazaPress: journal of zaza language and culture (ザザキ語ご・トルコ語ご・英語えいご・スウェーデン語ご)