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シングル・マン (RCサクセションのアルバム)

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
『シングル・マン』
RCサクセションスタジオ・アルバム
リリース
録音ろくおん 1974ねん12月 - 1975ねん3がつ
ジャンル R&Bロック
時間じかん
レーベル ポリドール・レコード
プロデュース 多賀たが英典ひでのり
チャート最高さいこう順位じゅんい
RCサクセション アルバム 年表ねんぴょう
たのしいゆう
(1972ねん)
シングル・マン
(1976ねん)
RHAPSODY
(1980ねん)
『シングル・マン』収録しゅうろくシングル
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シングル・マン』は、1976ねん4がつ21にち発売はつばいされたRCサクセション3まいのアルバム。

解説かいせつ

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RCサクセション(以下いか、RC)の3まいのアルバムで、はじめてかれらが電気でんき楽器がっき本格ほんかくてき導入どうにゅうしたアルバム。

ただしほんさくひろみとめられるようになったのはRCがエレキ編成へんせいとなりブレイクした1980年代ねんだい以降いこうで、制作せいさくおよび発売はつばいとその境遇きょうぐうかんしては、周囲しゅうい翻弄ほんろうされつづけた不運ふうんなアルバムであった。

エピソード

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ほんさくのレコーディングがはじめられたのは1974ねんで、ポリドール多賀たが英典ひでのりのもと、当時とうじRCが所属しょぞくしていたホリプロ秘密ひみつのうちに、作業さぎょう開始かいしされた。というのも、その直前ちょくぜん、RCのマネージャーをつとめていた奥田おくだ義行よしゆきげん株式会社かぶしきがいしゃりぼん社長しゃちょう)が、おなじくかれがマネージメントをおこなっていた井上いのうえ陽水ようすいとその側近そっきんスタッフをれホリプロから独立どくりつしたことが関係かんけいしていた。当時とうじアルバム『こおり世界せかい』がだいヒット、ドルばこスターであった井上いのうえかたちでの奥田おくだ独立どくりつは、ホリプロにとっては造反ぞうはん行為こういであり、そのいかりの対象たいしょう奥田おくだ秘蔵ひぞであったRCへけられた。井上いのうえ一緒いっしょ奥田おくだもと移籍いせきする予定よていであったが、契約けいやく問題もんだいのこされてしまったRCは、ホリプロで仕事しごともスタッフもあたえられず、ごろ状態じょうたいにされていた。これらの事情じじょうから、事務所じむしょかくれてすすめられたレコーディングは、ほしまさるをアレンジャーにむか電気でんき楽器がっきブラス楽器がっきによるおとづくりがなされた。忌野いまわのほしのアレンジを「おとがきちんと整理せいりされぎていて豪華ごうかやすすぎる」とあまりっていなかったという。「(ほし以前いぜん在籍ざいせきしていた)モップスきだった。だからあのかんじやヴァニラ・ファッジみたいなものを期待きたいしたのに、(井上いのうえ陽水ようすいのアルバムみたいにされそうになった」とかたっている。またレコーディングちゅうはディレクターの多賀たがとも度々どど衝突しょうとつ、「スローバラード」が名曲めいきょくであることを早期そうきから見抜みぬいた多賀たがによる「RCがれるための」ディレクションに、忌野いまわの当初とうしょから反発はんぱつかくさなかったという[1]。レコーディングは1975ねん3がつまでつづけられ、1975ねんはるはじめて自分じぶんたちで納得なっとくのいく出来できとなった『シングル・マン』は完成かんせいするものの、事務所じむしょ秘密ひみつ制作せいさくしていたためにホリプロから発売はつばい許可きょかりず、結局けっきょくそのままおぞうりとなった。

どうアルバムがようやくるのは、それからやく1ねんの1976ねん4がつ、RCがホリプロとの契約けいやくれ、念願ねんがんかなって奥田おくだ事務所じむしょ「りぼん」に移籍いせきしてからである。しかしこの発売はつばいも、RCが1ねん以上いじょうあいだ仕事しごとらしい仕事しごとができておらずモチベーションが低迷ていめいしていたこと、レコーディングから時間じかんぎ、自分じぶんたちにとって「過去かこ作品さくひん」となってしまっていたこと、事務所じむしょのプロモーションがあまりけられなかったことなど、めぐまれない状況じょうきょうなか販売はんばい不調ふちょうのまま発売はつばい1ねんとたたずに廃盤はいばんとなった。多賀たがはシングル「スローバラード」をラジオでもうプッシュするため多額たがく宣伝せんでん投入とうにゅうしたが(後年こうねん、このきょくをめぐる忌野いまわのとの方針ほうしん対立たいりつから「なにとしてでもらねば」というおもいがあったとかえっている)、こちらもまったくれずにおおきな挫折ざせつかんかんじたという[1]

このアルバムたいには「このレコードは世界せかいてきミュージシャンが豊富ほうふ使用しようされておりますので安心あんしんしてご利用りようください」とかれている。

はじめてこの不遇ふぐうのアルバム『シングル・マン』へ注目ちゅうもくあつめられたのは、RCがエレキ編成へんせいとなりロックバンドとしてライブハウスで話題わだいとなりはじめた1979ねんのことである。RCの新譜しんぷちかねていた音楽おんがく評論ひょうろん吉見よしみ佑子ゆうこ中心ちゅうしんとなり、「新譜しんぷせないのなら、廃盤はいばんとなってしまった『シングル・マン』をファンのもとへ」とさけび、「シングル・マンさい発売はつばい実行じっこう委員いいんかい」を設立せつりつ吉見よしみ事務じむ局長きょくちょうとなり、ポリドールへどうアルバムのさい発売はつばいはたらきかける。画期的かっきてきともえるこの運動うんどうは、新聞しんぶん雑誌ざっしでもげられて社会しゃかいてき注目ちゅうもくあつめ、最終さいしゅうてきには自主じしゅ制作せいさく限定げんてい300まいげというかたちながら、異例いれいさい発売はつばい実現じつげんさせる。自主じしゅ制作せいさくによるさい発売はつばいレコードの販売はんばいは、さい発売はつばい実行じっこう委員いいんかいのメンバーがかかわるレコードてんみなとパイドパイパー・ハウスおよ国立こくりつ「レコード・プラント」)のみであったが、きが好調こうちょう合計ごうけい1500まいげ、さいプレスしてもいつかない状況じょうきょうとなり、1980ねんには正式せいしきに『シングル・マン』がさい発売はつばいされるにいたる。

なお、さい発売はつばいされたさいのLPレコードのおびには、

シングル・マン再発さいはつにあたって…このアルバム「シングル・マン」は、4ねんまえ発売はつばいされあえなく廃盤はいばんになっていたものです。しかし、このアルバムをいまいちしたいと吉見よしみ佑子ゆうこさん、「パイドパイパー・ハウス」岩永いわなが正敏まさとしさん、「ART VIVANT」芦野あしの公昭きみあきさん、ほり田丸たまるめぐみさんそのすうおおくの方々かたがたのご協力きょうりょくにより「再発さいはつ実行じっこう委員いいんかい」がつくられ、昨年さくねんまつより自主じしゅ限定げんてい発売はつばいがされていました。プレスされるたびにれとなり、れられないほうや、東京とうきょう以外いがいほうから苦情くじょうあいついでいましたが、このたびどこでもれられるようさい発売はつばいできるようになりました。ひとえにRCサクセションを支持しじしてくださるファンの皆様みなさま、そして再発さいはつ実行じっこう委員いいんかい直接ちょくせつ間接かんせつにご支援しえんいただいた皆様みなさま熱意ねついのおかげとふか感謝かんしゃしています。レコード会社かいしゃとしまして、こんな素晴すばらしいレコードを廃盤はいばんにしていたことをり、反省はんせいしている次第しだいです。

とのポリドールからの謝罪しゃざいぶん掲載けいさいされた。

再発さいはつばん

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収録しゅうろくきょく

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作詞さくし忌野いまわの清志郎きよしろう 作曲さっきょくきもさわはばいち[2] 編曲へんきょくほしまさる & RCサクセション(特記とっき以外いがい

  1. ファンからのおくもの
    • ファンキーなリズムではじまる軽快けいかいなR&Bナンバー。全体ぜんたい黒人こくじん音楽おんがく意識いしきしたアレンジがなされており、実際じっさいにリズムセクションとホーンセクションにはタワー・オブ・パワー参加さんかした。アコースティック時代じだいからのナンバー。
  2. おおきな春子はるこちゃん
    • RCのかずあるナンバーのなか小林こばやし和生かずおがリードボーカルをとった数少かずすくないナンバー。(はやししょうがリードボーカルをとったうたはこのうたと「たのしいゆうに」に収録しゅうろくされた「エミちゃんおめでとう」のみ)
  3. やさしさ
    • シングル「スローバラード」のBめん収録しゅうろくされたカップリングきょくべつバージョン)でもある。
  4. ぼくはぼくのため
    • アコースティック中心ちゅうしんながらギターカッティングとボーカル、うらメロを辿たどるシャウトなど当時とうじのRCのステージを彷彿ほうふつさせている。
  5. レコーディング・マン(のんびりしたり結論けつろんいそいだり)
    • 1ふん12びょう小曲しょうきょくながら、自動じどう販売はんばいびんジュースをってせんけるおと廊下ろうかある足音あしおと次第しだいにリズムと一体化いったいかしていきフリージャズさながらの劇的げきてき展開てんかいとなる前衛ぜんえいてききょく。アルバムちゅう唯一ゆいいつRCのメンバーのみでアレンジまでをがけている。
  6. よる散歩さんぽをしないかね
  7. ヒッピーにささ
    • 不遇ふぐう時代じだいのRCに傾倒けいとう尽力じんりょくしてくれていたスタッフの突然とつぜんらされ、すぐには現実げんじつれられないようえがかれている。
  8. うわのそら
  9. つめたくしたわけ
  10. 甲州こうしゅう街道かいどうはもうあきなのさ
    • 著名ちょめいきょくのひとつ。レコーディングではほししょうアレンジによるストリングス・パートが録音ろくおんされたが、のちにメンバーのみで再度さいどトラックダウンされ、これがほぼのぞかれている[1]
  11. スローバラード
    作詞さくし作曲さっきょく忌野いまわの清志郎きよしろう & みかん)
    • 有名ゆうめいなイントロではじまるRCの代表だいひょうきょく。ブラスアレンジは現在げんざいのステージでもほぼそのまま再現さいげんされている。先行せんこうシングルきょくべつミックス)。1991ねん映画えいが![ai-ou]主題歌しゅだいかとしてさいシングル(リミックス・バージョン)。

CD:POCH-1452

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  1. ファンからのおくもの
  2. おおきな春子はるこちゃん
  3. やさしさ
  4. ぼくはぼくのため
  5. レコーディング・マン(のんびりしたり結論けつろんいそいだり)
  6. よる散歩さんぽをしないかね
  7. ヒッピーにささ
  8. うわのそら
  9. つめたくしたわけ
  10. 甲州こうしゅう街道かいどうはもうあきなのさ
  11. スローバラード
  12. い・け・な・いルージュマジック (忌野いまわの清志郎きよしろう+坂本さかもと龍一りゅういち ※ボーナス・トラック
  13. あきら・る・い・よ (忌野いまわの清志郎きよしろう+坂本さかもと龍一りゅういち ※ボーナス・トラック
    作詞さくし作曲さっきょく編曲へんきょく忌野いまわの清志郎きよしろう+坂本さかもと龍一りゅういち(M-12.13)

CD:UPCY-6989(シングル・マン+4)

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  1. ファンからのおくもの
  2. おおきな春子はるこちゃん
  3. やさしさ
  4. ぼくはぼくのため
  5. レコーディング・マン(のんびりしたり結論けつろんいそいだり)
  6. よる散歩さんぽをしないかね
  7. ヒッピーにささ
  8. うわのそら
  9. つめたくしたわけ
  10. 甲州こうしゅう街道かいどうはもうあきなのさ
  11. スローバラード
  12. わかってもらえるさ ※ボーナス・トラック
  13. よごれたかおでこんにちは ※ボーナス・トラック
  14. スローバラード(シングルバージョン) ※ボーナス・トラック
  15. やさしさ(シングルバージョン) ※ボーナス・トラック

メンバーおよびスタッフ

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  • RCサクセション
  • 西にし哲也てつや - ドラムス。実際じっさいはほぼ全曲ぜんきょくでドラムをたたいているとおもわれる[3]が、契約けいやく都合つごうじょうクレジットされていない。
  • チト河内かわち - ドラムス。M-9のみ。契約けいやく都合つごうじょう、クレジットされていない。
  • ミッキー吉野よしの - キーボード。M-7にハモンドで参加さんか契約けいやく都合つごうじょう、クレジットされていない。
  • 柴田しばた義也よしや - ピアノ。M-6にピアノで参加さんか契約けいやく都合つごうじょう、クレジットされていない。
  • 深町ふかまちじゅん - ピアノ。M-4にピアノで参加さんか契約けいやく都合つごうじょう、クレジットされていない。
  • タワー・オブ・パワー - ホーンおよびリズムセクション。契約けいやく都合つごうじょう、クレジットされていない。
  • ニューヨーク・フィルハーモニー - ストリングス。契約けいやく都合つごうじょう、クレジットされていない。[4]
  • 茂木もき正三しょうさん - ミキサー
  • 多賀たが英典ひでのり - ディレクター、プロデューサー

脚注きゃくちゅう

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  1. ^ a b c NHK BSプレミアム『ばんドキュメント RCサクセション「シングル・マン」』
  2. ^ 忌野いまわの作曲さっきょくするさい初期しょきころのペンネーム。
  3. ^ あそびじゃないんだっ』(マガジンハウス、1990ねん
  4. ^ あいしあってるかい』(宝島社たからじましゃ、1981ねん

おも文献ぶんけん

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  • いとしあってるかい(JICC出版しゅっぱんきょく 1981ねん
  • GOTTA!忌野いまわの清志郎きよしろう忌野いまわの清志郎きよしろうでん角川かどかわ文庫ぶんこ、1988ねん
  • あそびじゃないんだっ!(RCサクセション20周年しゅうねん記念きねん、マガジンハウス、1990ねん
  • 日々ひび泡立あわだしんせつRCサクセション(インタビューしゅうロッキング・オン、1991ねん
  • 月刊げっかんカドカワ・1992ねん3がつごう総力そうりょく特集とくしゅう 清志郎きよしろう遺言ゆいごん」(角川書店かどかわしょてん、1992ねん
  • なまたまご忌野いまわの清志郎きよしろうデビュー25周年しゅうねん記念きねん 河出書房新社かわでしょぼうしんしゃ、1995ねん
  • ロックほう・2002ねん10ごう特集とくしゅう RCサクセションにささぐ」(ブルース・インターアクションズ、2002ねん
  • 別冊べっさつ宝島たからじま 音楽おんがくかないJポップ批評ひひょう 忌野いまわの清志郎きよしろうのブルースをさがして(宝島社たからじましゃ、2006ねん

ほか