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COVERS (RCサクセションのアルバム)

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
『COVERS』
RCサクセションカヴァーアルバム
録音ろくおん 1988ねん8がつ15にち
ジャンル ロック
レーベル キティレコード
28MS 0185(LP)
H32K 20125(CD初版しょはん
UPCY-6510(2008ねん / SHM-CD
プロデュース RCサクセション
チャート最高さいこう順位じゅんい
ゴールドディスク
  • ゴールド(日本にっぽん
  • RCサクセション アルバム 年表ねんぴょう
    MARVY
    (1988ねん
    COVERS
    (1988ねん
    コブラのなや
    (1988ねん
    『COVERS』収録しゅうろくシングル
    テンプレートを表示ひょうじ

    COVERS』(カバーズ)は、RCサクセション1988ねん8がつ15にち発表はっぴょうしたカバー・アルバムである。

    解説かいせつ

    [編集へんしゅう]

    タイトルめいとおり、洋楽ようがくのカバーアルバムとしてくぎたれ、全曲ぜんきょく洋楽ようがくのヒットきょく日本語にほんごをつけた内容ないよう。ゲストとして山口やまぐち冨士夫ふじお三浦みうら友和ともかず泉谷いずみやしげるさらくわ竹居たけいすけ偽名ぎめいにてサザンオールスターズ桑田くわた佳祐けいすけらが参加さんかしている。

    本来ほんらいは、所属しょぞくレコード会社かいしゃ東芝とうしばEMIげんユニバーサル ミュージック ジャパン)から1988ねん8がつ6にち広島ひろしま平和へいわ記念きねん)に発売はつばいされる予定よていだった。しかし、「ラヴ・ミー・テンダー」と「サマータイム・ブルース」でかく問題もんだい原子力げんしりょく発電はつでん問題もんだいうたわれており、とく後者こうしゃ日本にっぽん原子げんしサプライヤーでもある当時とうじ親会社おやがいしゃだった東芝とうしばからの圧力あつりょくがかかった[1][2]先行せんこうシングル「ラヴ・ミー・テンダー」(6がつ25にち発売はつばい予定よてい)ともども、「素晴すばらしすぎて発売はつばい出来できません」という新聞しんぶん広告こうこく(1988ねん6月22にちづけ全国ぜんこく)ととも発売はつばい中止ちゅうしとなる。

    この発売はつばい中止ちゅうし事件じけん真相しんそうは、のちかされたところによると以下いかのとおり。FM大阪おおさか当時とうじ忌野いまわの清志郎きよしろう担当たんとうしていた番組ばんぐみよるをぶっばせ」[ちゅう 1]のスタッフ慰労いろうかいもよおされた1988ねん6月9にちよる忌野いまわのどうかいには参加さんかせず当時とうじ東芝とうしばEMIの邦楽ほうがく最高さいこう責任せきにんしゃ石坂いしざか敬一けいいち統括とうかつ本部ほんぶちょうされていた。そので、『カバーズ』の発表はっぴょう見合みあわせたい、もしくは「ラヴ・ミー・テンダー」「サマータイム・ブルース」「マネー」「シークレット・エージェント・マン」の4きょくをカットすれば発売はつばいしてもいいというもうけていた。

    元々もともと1987ねんすえ時点じてんでは、3まいぐみという構想こうそうにまでたっしていた『カバーズ』は、それまでにすでに11きょくにダウン・サイジングされており、さらにそこから4きょくをカットし、わずか7きょくのミニアルバムにしろとのはなしであった。「ロックの東芝とうしばだからこそメッセージしょく作品さくひんすべきだ」と主張しゅちょうする忌野いまわの石坂いしざかはないは平行へいこうせん辿たどる。交渉こうしょう翌日よくじつつづき、東芝とうしばEMIでも再度さいど会議かいぎおこなわれたが、結局けっきょく東芝とうしばないでの決定けっていくつがえらず、アルバム発売はつばい中止ちゅうし正式せいしき決定けっていする。

    これをあきれ、おこった忌野いまわのうったえた「素晴すばらしすぎてせないっていうんだったら、それを新聞しんぶんしてくれ」との言葉ことばのみがれられ、先述せんじゅつ新聞しんぶん広告こうこく掲載けいさいとなった[3]当時とうじ東芝とうしばEMIの社長しゃちょう東芝とうしば本社ほんしゃからの天下あまくだだった。石坂いしざか忌野いまわのとの関係かんけい破綻はたんうれえて再考さいこうもとめたが、社長しゃちょうから「(絶縁ぜつえんされるならそれはそれで)むをませんね」とかえされたという[4][ちゅう 2]

    だが、ほんさくのぞむファンのこえたかまり、またマスメディアげられたことで、世論せろん後押あとおしや石坂いしざかのレコード会社かいしゃからの発売はつばいはたらきかけたこと[5]もあり、シングル・アルバムどもに、RCサクセション(以下いか、RCとりゃくす)の古巣ふるすキティレコードげん・ユニバーサル ミュージック ジャパン)から8がつ15にち終戦しゅうせん記念きねん)に発売はつばい実現じつげんした(皮肉ひにくにものち石坂いしざかはユニバーサル ミュージック ジャパンの代表だいひょう取締役とりしまりやく就任しゅうにんし、同社どうしゃ移籍いせきした忌野いまわののアルバムを発売はつばい中止ちゅうしにしている)[ちゅう 3]

    後年こうねんになって石坂いしざかはこの騒動そうどうについて「資本しほん主義しゅぎ社会しゃかいのルールでは、だい株主かぶぬしである東芝とうしば進言しんげん無視むしするようなことはできない。そういう意味いみでは、わたし間違まちがってないんです。『す』とった清志郎きよしろう間違まちがってない」という見解けんかいべている[2]

    発売はつばい中止ちゅうし騒動そうどう過激かげき内容ないよう話題わだいせいから、シングル・アルバムつうじてRCはつオリコンチャート1獲得かくとくし、RC唯一ゆいいつのオリコン1獲得かくとく作品さくひんとなった。

    ほんアルバムは20まんまい以上いじょうのヒットを記録きろくした[6]

    収録しゅうろくきょくおよびゲスト参加さんかしゃ

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    1. 明日あしたなき世界せかい (Eve Of Destruction)
      オリジナルはバリー・マクガイア日本にっぽんでも高石たかいしともや日本語にほんごけてカバーしており、ほんさく歌詞かし高石たかいし訳詞やくしばんがベースとなっている。金子かねこマリジョニー・サンダースがゲスト参加さんか
    2. ふうかれて (Blowin' In The Wind)
      オリジナルはボブ・ディラン山口やまぐち冨士夫ふじお高井たかい麻巳子まみこがゲスト参加さんか
    3. バラバラ (Balla Balla)
      オリジナルはレインボウズ山口やまぐち冨士夫ふじお三浦みうら友和ともかず、Isuke Kuwatakeがゲスト参加さんか
    4. シークレット・エージェント・マン (Secret Agent Man)
      オリジナルはジョニー・リヴァース坂本さかもと冬美ふゆみ、ジョニー・サンダースがゲスト参加さんかきょく冒頭ぼうとうに、大韓航空だいかんこうくう爆破ばくは事件じけん実行じっこうはん1人ひとりである『金賢姫きむひょんひ』の音声おんせい収録しゅうろくされている。
    5. ラヴ・ミー・テンダー (Love Me Tender)
      オリジナルはエルヴィス・プレスリーさらにその原曲げんきょくはアメリカ民謡みんようの「オーラ・リー」であり、ほんさくはカバーのカバーとなる。
    6. くろくぬれ! (Paint It Black)
      オリジナルはローリング・ストーンズ山口やまぐち冨士夫ふじおちわきまゆみ三浦みうら友和ともかずがゲスト参加さんか
    7. サマータイム・ブルース (Summertime Blues)
      オリジナルはエディ・コクラン高井たかい麻巳子まみこ三浦みうら友和ともかず泉谷いずみやしげるがゲスト参加さんか歌詞かしなか言及げんきゅうされているとおり、発表はっぴょうされた1988ねん昭和しょうわ63ねん当時とうじの『日本にっぽん原子力げんしりょく発電はつでんしょにおける原子げんし』は37であった。ソビエト社会しゃかい主義しゅぎ共和きょうわこく連邦れんぽうきた「チェルノブイリ原子力げんしりょく発電はつでんしょ事故じこ1986ねん)」ののちで、原子力げんしりょく発電はつでんしょ安全あんぜん神話しんわ日本にっぽん原発げんぱつ安全あんぜんです」の広告こうこくやPR活動かつどう痛烈つうれつ皮肉ひにくっている。泉谷いずみやはこの楽曲がっきょく参加さんかはしたものの、この作品さくひん表現ひょうげん当時とうじはある程度ていど違和感いわかんがあったといい「気分きぶんかるから参加さんかはしたが、『おまえ、そういう方向ほうこうにいくのはくないよ』とケンカしたね」とかえっている[7]
    8. マネー (Money)
      オリジナルはバレット・ストロングビートルズ・ローリングストーンズによるカバーで有名ゆうめい山口やまぐち冨士夫ふじお三浦みうら友和ともかずがゲスト参加さんか
    9. サン・トワ・マミー (Sans Toi M'amie)
      オリジナルはアダモ日本にっぽんでも岩谷いわたに時子ときこによる訳詞やくしばん越路こしじ吹雪ふぶき歌唱かしょうしたものが有名ゆうめいで、忌野いまわの岩谷いわたにによる訳詞やくしばんの2コーラス改作かいさく山下やました洋輔ようすけ、Isuke Kuwatakeがゲスト参加さんか
      フジテレビやっぱりねこ』エンディングテーマ。日産自動車にっさんじどうしゃ企業きぎょうCM(ルマン参戦さんせんキャンペーン)。映画えいが「バカヤロー! わたしおこってます」主題歌しゅだいか
    10. わるほしした (Born Under A Bad Sign)
      オリジナルはアルバート・キング山口やまぐち冨士夫ふじおがゲスト参加さんか
    11. イマジン (Imagine)
      オリジナルはジョン・レノン。ちわきまゆみ、三浦みうら友和ともかずがゲスト参加さんか

    参加さんかできなかった・別名べつめい参加さんかしたミュージシャン

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    日本語にほんごについて

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    内容ないようについては1986ねん忌野いまわのの1まいのソロ・アルバム『RAZOR SHARP』のレコーディングでイアン・デューリー&ザ・ブロックヘッズと出会であ[ちゅう 4]かれらをはじめ英国えいこくのミュージシャンが政治せいじ社会しゃかい情勢じょうせいたいしてダイレクトなメッセージをうた姿勢しせい刺激しげきけ、忌野いまわの自身じしんそだてのははからみのはは戦争せんそう体験たいけんらされたことがかさなってまったものだった[8]

    忌野いまわのは1987ねんにコンサートなどでボブ・ディランの「ふうかれて」を日本語にほんごうたっている。また、それをったレコード会社かいしゃ宣伝せんでん主任しゅにん洋楽ようがく日本語にほんごでカバーしたテープを自宅じたく録音ろくおんしておくっていた。はいっていたきょくはこのアルバムでカバーされたきょくであり、このテープがきっかけで『COVERS』の構想こうそうへと発展はってんした[8]

    忌野いまわのは「ラヴ・ミー・テンダー」の訳詞やくしについて「チャボ(仲井戸麗市なかいどれいち)にはブラックなかんじでけていた」と述懐じゅっかいしている。実際じっさい仲井戸なかいど後述こうじゅつのラストデイズ「忌野いまわの清志郎きよしろう×太田おおたひかり」で「RCサクセションとしても戸惑とまどった」と当時とうじかえ発言はつげんをしている[7]。もっとも、忌野いまわの以前いぜんから原発げんぱつたいする問題もんだい意識いしきっており、RCの前作ぜんさく『MARVY』に、かく問題もんだい隠喩いんゆした「SHELTER OF LOVE(ツル・ツル)」というきょく収録しゅうろくしている。

    また、全部ぜんぶきょく時事じじネタ・プロテストソングではなく、原曲げんきょくのイメージを大事だいじにしたものから、言葉ことばあそびそのものの「バラバラ」まで、バラエティにんだ内容ないようとなっており、当初とうしょ本人ほんにんたちは「素直すなおたのしめる面白おもしろ作品さくひんになった」とかんじていたという。

    「シークレット・エージェント・マン」は、金賢姫きむひょんひ大韓航空だいかんこうくう爆破ばくは事件じけんをテーマにした、ある意味いみ「ラヴ・ミー・テンダー」や「サマータイム・ブルース」以上いじょうあぶない日本語にほんごである。(どうきょくちゅうには、金賢姫きむひょんひ記者きしゃ会見かいけんでの本物ほんもの音声おんせい使用しようされているが、このけんかんしては事前じぜん外務省がいむしょう了承りょうしょうている。)

    ちなみに、三浦みうら友和ともかずは「ドック・オブ・ザ・ベイ」の訳詞やくし勝手かってかんがえてきたが採用さいようされなかった。

    その

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    RCは、『カバーズ』発売はつばい中止ちゅうしたいするいかりをめたライヴばん『コブラのなやみ』を、1988ねん昭和しょうわ63ねん12月16にち発表はっぴょう。また、忌野いまわのによく人物じんぶつひきいる覆面ふくめんバンド、ザ・タイマーズの『THE TIMERS』(1989ねん平成へいせい元年がんねん10月11にち発表はっぴょう)には、反核はんかくをテーマにした「LONG TIME AGO」が収録しゅうろくされている。何故なぜか、これら2まいのアルバムは問題もんだいなく東芝とうしばEMIから発売はつばいされた。また、ザ・タイマーズは本件ほんけんたいする皮肉ひにくめられた「原発げんぱつ賛成さんせい音頭おんど」も発表はっぴょうしているが、スタジオ音源おんげんとしてはアルバムに収録しゅうろくされていない(2016ねん発売はつばいの『THE TIMERS スペシャル・エディション』のDVDにライブ映像えいぞうとして収録しゅうろくされた)。

    なお、ライブでは「きみLOVE ME TENDERいたか?」という一連いちれん騒動そうどうたいするアンサーソング披露ひろうしている。内容ないよう詳細しょうさいRCサクセションこう参照さんしょう

    忌野いまわの死去しきょから2ねん2011ねん平成へいせい23ねん3月11にち発生はっせいした、東北とうほく地方ちほう太平洋たいへいようおき地震じしん東日本ひがしにっぽん大震災だいしんさい)にともな福島ふくしまだいいち原子力げんしりょく発電はつでんしょ事故じこさいには、原子力げんしりょく発電はつでんしょ批判ひはん題材だいざいとしているほんアルバムの収録しゅうろくきょく「サマータイム・ブルース」がインターネットうえ注目ちゅうもくあつ[1][9]ラジオ番組ばんぐみへのリクエスト数多かずおおせられたほか[9]Amazon.co.jp音楽おんがく部門ぶもん上位じょういにランクインするなど、20ねん以上いじょうまえ発売はつばいされたCDアルバムとしては、異例いれいげがあったという[1]ピーター・バラカン同年どうねん4がつ1にち自身じしん担当たんとうするInterFMBARAKAN MORNING」で「キヨシローこえがあまりきじゃないが、多数たすうのリクエストがあったのと、いまこそそのときではないかとかんがえて『ラヴ・ミー・テンダー』をけようとしたらきょくめられた」と明言めいげん当日とうじつ番組ばんぐみを「ではまた来週らいしゅうぼくクビがつながっていればのはなしだけど」とめた。しゅうけて5にちわらず出演しゅつえんしたが、今度こんどはやはりリクエストのおおかった『サマータイム・ブルース』につづいて『Tell it Like it is』『You Lie too Much』(直訳ちょくやくでは“本当ほんとうのことをって” “あなたはウソばかり”)を放送ほうそうした[10]

    とうアルバムにゲストとして参加さんかした桑田くわた佳祐けいすけ福島ふくしまだいいち原発げんぱつ事故じこ発生はっせい自身じしんのラジオ番組ばんぐみやさしい夜遊よあそ」で「ラヴ・ミー・テンダー」「サマータイム・ブルース」について発売はつばい当時とうじ原子力げんしりょく発電はつでんへの関心かんしんがなく「イタいというか面倒めんどうくさいはなしをしているな」とおもっていたことをかし、そのことへの反省はんせい後悔こうかいべん同時どうじべた[11]。2011ねん6がつ25にち放送ほうそうどう番組ばんぐみ「33かいのデビュー記念きねんに、勝手かってにひとりでなまうたスペシャル」では「グッバイ・ワルツ」の歌詞かしを、原子力げんしりょく発電はつでんについての問題もんだいてん原発げんぱつたいする世論せろん変化へんか内容ないよう改作かいさくしている。桑田くわたは『ROCKIN'ON JAPAN』2015ねん4がつごうで「『原発げんぱつ反対はんたい原発げんぱつ反対はんたい』ばっかりリピートするのがたしてポップミュージックなのかどうかね。だからそのへんのバランスはやっぱりるべきじゃないかな」といった持論じろんべ、インタビュアーをつとめた渋谷しぶや陽一よういちが「自分じぶん言葉ことばのメッセージで社会しゃかいえよう、政治せいじ物申ものもうすっていうのではなくて、桑田くわた佳祐けいすけ清志郎きよしろうも、うたにした動機どうきはひとつ、うたいたいからだったとおもうんですよね」「『おんなとヤリたい』ってうたいたいひともいるだろうし、『そらはきれいだ』とうたいたいひともいるだろうし、でも桑田くわた佳祐けいすけは『ピースとハイライト[ちゅう 5]とどうしてもうたいたかった。清志郎きよしろうは『原発げんぱつ発電はつでんしょなかねむりたい』[ちゅう 6]ってどうしてもうたいたかった。で、問題もんだいはただひとつ、そのうたがかっこいいかかっこわるいか、それだけで」とべると、桑田くわたも「だからその、しつけがましいことをしてるわけじゃないんでしょうね。清志郎きよしろうさんも」「だから清志郎きよしろうさんも意味合いみあいだけじゃなくて衝動しょうどうだったんだろうね。思想しそうだけじゃなくてね。だからかなしみをさけびたかったのかもしれないし」と渋谷しぶや意見いけん賛同さんどうした[14]

    2014ねん5がつ2にちにはNHK総合そうごうテレビジョンでラストデイズ「忌野いまわの清志郎きよしろう×太田おおたひかり」が放送ほうそうされた。内容ないようはこのアルバムの作風さくふう違和感いわかんおぼえRCからはなれていったという爆笑ばくしょう問題もんだい太田おおたひかり[ちゅう 7][ちゅう 8]が、当時とうじ東芝とうしばEMIで宣伝せんでん主任しゅにんをしていた人物じんぶつ泉谷いずみやしげる、仲井戸麗市なかいどれいちといった当時とうじ関係かんけいしゃにインタビューをおこな心境しんきょううものとなっている[19][17]。この番組ばんぐみでは忌野いまわの心情しんじょう制作せいさく経緯けいいおよびリスナー(太田おおた)と関係かんけいしゃ当時とうじ宣伝せんでん主任しゅにん泉谷いずみや仲井戸なかいど)の様々さまざま見解けんかいげたうえで「ラヴ・ミー・テンダー」「サマータイム・ブルース」の音源おんげん部分ぶぶんてきながしている[20]のち放送ほうそう批評ひひょう懇談こんだんかいによるギャラクシーしょう 2014ねん5がつ月間げっかんしょう(2014年度ねんどテレビ部門ぶもん奨励しょうれいしょう)を受賞じゅしょうしている[21][22]放送ほうそう翌年よくねんの2015ねん5がつ15にちにはパルコ出版しゅっぱんからこの番組ばんぐみ内容ないよう書籍しょせきされ、本編ほんぺんでは放送ほうそうされなかった泉谷いずみや仲井戸なかいど発言はつげん掲載けいさいされた[23]

    評価ひょうか

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    岡本おかもとおさみは「ほんさく発売はつばい東芝とうしばEMIが中止ちゅうししたのは『音楽おんがく』という自由じゆう表現ひょうげん文化ぶんか企業きぎょうとして、正常せいじょう時代じだい感覚かんかく一時いちじてき放棄ほうきしたことになる。一方いっぽう、キティ・レコードが発売はつばいめ、『キティ善人ぜんにん東芝とうしば悪人あくにん』という図式ずしき世間せけんにはびこりつつあるけれど、それは近視眼きんしがんてき見方みかたで、東芝とうしばEMIでロックミュージックに情熱じょうねつやす人達ひとたち失礼しつれいだ。もっと個人こじん尊重そんちょうしたい。おなじことは放送ほうそう自主じしゅ規制きせいしたFM東京とうきょうにもえる。組織そしき単位たんいかんがえてしまいがちなあたまやして、個人こじん問題もんだいとしてかんがえていくべきだ。RCサクセションがきで、個人こじんとしては放送ほうそうしたいディレクターの立場たちば共通きょうつうなやみとしながら、つぎ展開てんかいへとすきっかけを一緒いっしょかんがえたい」「ほんさくと『ラヴ・ミー・テンダー』がレコりんとおったのは、レコりん内部ないぶ時代じだい沿った人事じんじ異動いどうがあったと想像そうぞうできる。もしそうならこの事件じけんをきっかけにしてあらたなレコりんへのけが予想よそうできる。かんしなければいけないのはそのことだろう」[24]危惧きぐしている。

    田家たや秀樹ひできは「ここにおさめられているきょくは、スタンダード・ナンバーとんでもいいだいヒットきょくばかり。きょくならべて、それの原曲げんきょくいてみれば、このアルバムがどのくらい名曲めいきょくアルバム』なのかがわかるとおもうのです。でも日本にっぽんでは、これがっかかった。洋楽ようがくやロックが『原発げんぱつ』をうたおうが、『反核はんかく』をうたおうが、『オッシャレ~』でとおるのに、日本語にほんごうたうと『ダメ』になる。いま日本にっぽんでのロックのかれかたがどういうものなのかのすべてを象徴しょうちょうしているとっていいのではないかとおもうのですよね。かんがえただけでバカげてるとおもうでしょ。面白おもしろいLPですよ。そうおもってくのがいいとおもう。『ワ~面白おもしろいジャン。』ぼくがそうおもえばおもほど、ズーンと背中せなかさむくなってくる」[24]ひょうしている。

    このアルバムの作風さくふう違和感いわかんいていた爆笑ばくしょう問題もんだい太田おおたひかり前述ぜんじゅつのラストデイズ「忌野いまわの清志郎きよしろう×太田おおたひかり」での関係かんけいしゃへの取材しゅざいて「平和へいわうったえるやりかた悠長ゆうちょうなことをってられないっていうところがあったのかな」「もしかしたら自分じぶんだけはやづいて、おれらにうたおしえてくれていたのかもしれない。ストレートなメッセージで…」と当時とうじ忌野いまわの心境しんきょう想像そうぞうするむね感想かんそうべている[19]

    脚注きゃくちゅう

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    注釈ちゅうしゃく

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    1. ^ 忌野いまわの清志郎きよしろうよるをぶっばせ』 1987ねん11月6にち - 1988ねん12月30にち放送ほうそう
    2. ^ 東芝とうしばEMIは「東芝とうしば音楽おんがく工業こうぎょう時代じだいにも、ジョン・レノンの「パワー・トゥ・ザ・ピープル」の邦題ほうだいを、親会社おやがいしゃ配慮はいりょし「人々ひとびと勇気ゆうきを」にあらためさせている(まさしくは「人民じんみんちから」)
    3. ^ 現在げんざいは、キティレコードが吸収きゅうしゅうされたユニバーサルJから再発さいはつCDが発売はつばいされており、キティレコードから発売はつばいされたオリジナルばんはすべて廃盤はいばんである。
    4. ^ ちなみに、ラストデイズ「忌野いまわの清志郎きよしろう×太田おおたひかり」では太田おおたひかりがザ・ブロックヘッズのメンバーと対話たいわし「あんたたちにったことが清志郎きよしろうさんに悪影響あくえいきょうおよぼしたんだよ」とかみつく場面ばめんがあった[7]
    5. ^ このインタビューがおこなわれた2015ねん当時とうじ桑田そうでんは「ピースとハイライト」(2013ねんサザンオールスターズ)の歌詞かし曲解きょっかいされたり、前年ぜんねん年越としこしライブでの冗談じょうだんおよ紅白こうはく歌合戦うたがっせんでの仮装かそう批判ひはんされたり、実際じっさい出自しゅつじ思想しそうことなるデマがながれるなど、ネットじょうでバッシングをけていた時期じきだった[12][13]
    6. ^ ライヴばん『コブラのなやみ』に収録しゅうろくされている「軽薄けいはくなジャーナリスト」のフレーズ。
    7. ^ 太田おおた災害さいがい不安ふあん恐怖きょうふしんあおっていく表現ひょうげんしゃ風潮ふうちょうたいして批判ひはんてきむねべており、東日本ひがしにっぽん大震災だいしんさい福島ふくしまだいいち原子力げんしりょく発電はつでんしょ事故じこをきっかけに発生はっせいした風評ふうひょう被害ひがいたいしても批判ひはんてき立場たちばをとっている[15]。また、それと同時どうじ桑田くわた佳祐けいすけのことを「そういうやつせい反対はんたいのところに桑田くわたさんはいる」ととなえている[16]
    8. ^ ちなみに忌野いまわの爆笑ばくしょう問題もんだいのファンであったが、太田おおた雑誌ざっしべた「国政こくせい選挙せんきょ投票とうひょうしてもなにわらないのならば、投票とうひょうしないという選択せんたくただしいのでは」という発言はつげんたいしてショックをけ、それをきっかけに対談たいだんもうみ「きみみたいな影響えいきょうりょくのあるひとが、選挙せんきょくななんてったらいけないよ」「政治せいじ関心かんしんなんてってると、きみ息子むすこなんかが戦争せんそうっちゃうわけよ」とさとかんがえをあらためさせたことがあり、番組ばんぐみではこのエピソードにもれられている[17][18]

    出典しゅってん

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    1. ^ a b c 忌野いまわの清志郎きよしろうはん原発げんぱつソング 人気にんき急上昇きゅうじょうしょう、CD店舗てんぽも”. J-CASTニュース (ジェイ・キャスト). (2011ねん4がつ13にち). https://www.j-cast.com/2011/04/13093008.html?p=all 2011ねん4がつ15にち閲覧えつらん 
    2. ^ a b “RCサクセションの『カバーズ』はなぜ発売はつばい禁止きんしになったのか”. Rolling Stone(ローリングストーン) 日本にっぽんばん. (2016ねん2がつ26にち). http://rollingstonejapan.com/articles/detail/25504 2017ねん3がつ4にち閲覧えつらん 
    3. ^ 別冊べっさつ宝島たからじま 音楽おんがくかないJポップ批評ひひょう 忌野いまわの清志郎きよしろうのブルースをさがして
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    5. ^ 偉大いだいなるミュージックマン、石坂いしざか敬一けいいちさんをいたむ 〜忌野いまわの清志郎きよしろう対峙たいじした『COVERS』をめぐって〜 - es エンタメステーション
    6. ^ 『ブリタニカ国際こくさい年鑑ねんかん 1989年版ねんばんTBSブリタニカ、1989ねん、250ぺーじ
    7. ^ a b c NHK『ラストデイズ 忌野いまわの清志郎きよしろう×太田おおたひかり』に反響はんきょう。「もう1かいたい、大好だいすきな2人ふたり!」エキサイトニュース 2014ねん5がつ3にち配信はいしん 2021ねん2がつ27にち閲覧えつらん
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    17. ^ a b NHK『ラストデイズ 忌野いまわの清志郎きよしろう×太田おおたひかり』に反響はんきょう。「もう1かいたい、大好だいすきな2人ふたり!」エキサイトニュース 2014ねん5がつ3にち配信はいしん 2021ねん2がつ27にち閲覧えつらん
    18. ^ 爆笑ばくしょう問題もんだい太田おおた忌野いまわの清志郎きよしろうされて発言はつげんさとされた過去かこSmart-FLASH 2020ねん5がつ15にち配信はいしん 2021ねん2がつ27にち閲覧えつらん
    19. ^ a b ロックレジェンド、忌野いまわの清志郎きよしろうの『COVERS』制作せいさく秘話ひわなぞ爆笑ばくしょう太田おおたダ・ヴィンチニュース 2015ねん7がつ4にち配信はいしん 2021ねん2がつ27にち閲覧えつらん
    20. ^ NHK『ラストデイズ 忌野いまわの清志郎きよしろう×太田おおたひかり』に反響はんきょう。「もう1かいたい、大好だいすきな2人ふたり!」エキサイトニュース 2014ねん5がつ3にち配信はいしん 2021ねん2がつ27にち閲覧えつらん
    21. ^ ギャラクシーしょうがつ月間げっかんしょうに「LIFE!」など産経さんけいニュース 2014ねん7がつ1にち配信はいしん 2021ねん2がつ27にち閲覧えつらん
    22. ^ だい52かい(2014年度ねんどNPO法人ほうじん 放送ほうそう批評ひひょう懇談こんだんかい 2021ねん2がつ27にち閲覧えつらん
    23. ^ ラストデイズ 忌野いまわの清志郎きよしろう 太田おおたひかりめぐるCOVERSの日々ひび NHK「ラストデイズ」取材しゅざいはんタワーレコードオンライン 2015ねん5がつ15にち配信はいしん 2021ねん2がつ27にち閲覧えつらん
    24. ^ a b 自由じゆう国民こくみんしゃかんシンプジャーナル』1988ねん9がつごう「RCサクセション 新作しんさく問題もんだいかんがえる 『COVERS』がやみつつまれかけた」pp.108-112より。

    おも文献ぶんけん

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    • なまたまご忌野いまわの清志郎きよしろうデビュー25周年しゅうねん記念きねん
    • GOTTA!忌野いまわの清志郎きよしろう忌野いまわの清志郎きよしろうでん
    • あそびじゃないんだっ!(RCサクセション20周年しゅうねん記念きねん
    • 瀕死ひんしそうろく問屋とんや忌野いまわのによるエッセイしゅう
    • 月刊げっかんカドカワ・92ねん3がつごう総力そうりょく特集とくしゅう 清志郎きよしろう遺言ゆいごん
    • 別冊べっさつ宝島たからじま 音楽おんがくかないJポップ批評ひひょう 忌野いまわの清志郎きよしろうのブルースをさがして

    ほか

    外部がいぶリンク

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