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スーパーオキシドディスムターゼ

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
スーパーオキシドディスムターゼ
ヒトのMnのスーパーオキシドディスムターゼのたんりょうたい構造こうぞう[1]
識別子しきべつし
EC番号ばんごう 1.15.1.1
CAS登録とうろく番号ばんごう 9054-89-1
データベース
IntEnz IntEnz view
BRENDA BRENDA entry
ExPASy NiceZyme view
KEGG KEGG entry
MetaCyc metabolic pathway
PRIAM profile
PDB構造こうぞう RCSB PDB PDBj PDBe PDBsum
遺伝子いでんしオントロジー AmiGO / QuickGO
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SOD活性かっせい寿命じゅみょうとの関係かんけい

スーパーオキシドディスムターゼ (Superoxide dismutase, SOD) は、細胞さいぼううち発生はっせいした活性かっせい酸素さんそ分解ぶんかいする酵素こうそである[2]酸素さんそ消費しょうひりょうたいするSODの活性かっせいつよさと、寿命じゅみょう相関そうかんがあるとわれるが、これは体重たいじゅうたいして消費しょうひする酸素さんそりょうおお動物どうぶつしゅほど寿命じゅみょうみじかくなるはずのところを、SODが活性かっせい酸素さんそ分解ぶんかいすることで寿命じゅみょうばしているとするものであり、動物どうぶつなかでも霊長れいちょうるい、とくにヒトはSODの活性かっせいたかさが際立きわだち、ヒトが長寿ちょうじゅである原因げんいんのひとつとされている[3]

SODは、スーパーオキシドアニオン(・O2-)を酸素さんそ過酸化水素かさんかすいそひとしする酸化さんか還元かんげん酵素こうそである。活性かっせい中心ちゅうしんどう(II)イオン亜鉛あえん(II)イオン(Cu, ZnSOD)、またはマンガン(III)イオン(MnSOD)やてつ(III) イオン(FeSOD)のようにまたはさん金属きんぞくイオンをった酵素こうそで、細胞さいぼうしつ(Cu, ZnSOD) やミトコンドリア(MnSOD)におお局在きょくざいしている。酸化さんかストレス減少げんしょうさせる役割やくわりつ。最近さいきんニッケル酵素こうそ(NiSOD)も発見はっけんされている。生成せいせいした過酸化水素かさんかすいそカタラーゼペルオキシダーゼなどによって分解ぶんかいされる。

がん細胞さいぼうでは活性かっせい酸素さんそこう頻度ひんどさんされており、SODの阻害そがい感受性かんじゅせいしめ場合ばあいがあるため、こうがんざい標的ひょうてきとして研究けんきゅうおこなわれている。

反応はんのう[編集へんしゅう]

SODの触媒しょくばい機能きのうによる活性かっせい酸素さんそ分解ぶんかい反応はんのうはん反応はんのうしき以下いかとおりである。

ここでうMはつぎのとおり。M = Cu (n=1) ; Mn (n=2) ; Fe (n=2) ; Ni (n=2)

この反応はんのうで、金属きんぞくカチオン酸化さんか状態じょうたいはnとn+1のあいだ変動へんどうしている。

これらのはん反応はんのうしきをまとめると、以下いか反応はんのうしきあらわされる。

類型るいけい[編集へんしゅう]

一般いっぱん[編集へんしゅう]

Irwin FridovichとJoe M. McCordによって発見はっけんされたSOD酵素こうそぐん以前いぜん未知みち機能きのうをもつ金属きんぞくタンパク質たんぱくしつかんがえられていた[4]。SODにはいくつかの類型るいけいがあり、それらタンパク質たんぱくしつにはどう亜鉛あえんマンガンてつまたはニッケル因子いんしとしてふくまれる。

ウシのCu-Zn SODサブユニット[5]

SODには金属きんぞく因子いんし種類しゅるいにより、Cu/Znタイプ(CuとZnの両方りょうほう結合けつごうする)、Fe・Mnタイプ(FeとMnのどちらかと結合けつごうする)、Niタイプ(Niと結合けつごうする)の3つのタイプに大別たいべつされる。

  • どう/亜鉛あえん - おもかく生物せいぶつ使つかわれるタイプ。事実じじつじょうすべてのかく細胞さいぼう細胞さいぼうしつ基質きしつはCu-Zn-SODをふくむ。市販しはんされているCu-Zn-SODは通常つうじょうウシ細胞さいぼうから精製せいせいされているものである。Cu-Zn-SODは分子ぶんしりょう32,500のホモりょうたいである。ウシのCu-Zn-SODは1975ねんはじめて構造こうぞう解明かいめいされたSODである[6]。8ほんのストランドがグリークキーβべーたバレル形成けいせいした構造こうぞうをしており、活性かっせい部位ぶいはバレルと表面ひょうめんループとのあいだにある。2つのサブユニットはおも疎水そすいてき静電気せいでんきてき相互そうご作用さようにより背中合せなかあわせにつよ結合けつごうしている。どうおよび亜鉛あえんは6ヒスチジン1個いっこアスパラギンさんがわくさりはいしており、1つのヒスチジンは2つの金属きんぞく原子げんしあいだ共有きょうゆうされている[7]
  • てつ/マンガン - 原核げんかく生物せいぶつ原生げんせい生物せいぶつおよびミトコンドリアうち使つかわれるタイプ。
    • てつ - E. coliおおくのバクテリアがFe-SODをふくむ。いくつかのバクテリアはFe-SODであるが、そのはMn-SODで、さらに両方りょうほうふくむものもある。Fe-SODは植物しょくぶつ色素しきそたいられる。立体りったい構造こうぞうではFeおよびMn-SODはおなαあるふぁヘリックス配置はいちち、その活性かっせい部位ぶいアミノ酸あみのさんがわくさり配置はいちおなじである。
    • マンガン - にわとり肝臓かんぞうミトコンドリアおおくのバクテリアがMn-SODをふくむ。Mn-SODはヒトのミトコンドリアでもられる。マンガンイオンのはいは3のヒスチジンがわくさり1個いっこのアスパラギンさんがわくさりみずまたはヒドロキシはいで、マンガンの酸化さんかすう(IIとIII)に依存いぞんする[8]
  • ニッケル - 原核げんかく生物せいぶつふくまれる。みぎきの4-ヘリックスバンドルからなるろくりょうからだ構造こうぞうで、それぞれニッケルイオンをキレートするN末端まったんフックをふくむ。

ヒト[編集へんしゅう]

ヒト(すべての哺乳ほにゅう動物どうぶつだい部分ぶぶん脊椎動物せきついどうぶつも)では3しゅのSODが存在そんざいする。SOD1細胞さいぼうしつSOD2ミトコンドリアSOD3細胞さいぼうがい空間くうかん存在そんざいする。SOD1は2つのユニットからなるりょうたいであるが、の2しゅは4つのユニットからなるよんりょうからだである。SOD1とSOD3はどう亜鉛あえんふくむのにたいし、SOD2はマンガンを活性かっせい中心ちゅうしんつ。

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

  1. ^ PDB: 1VAR​; Borgstahl GE, Parge HE, Hickey MJ, Johnson MJ, Boissinot M, Hallewell RA, Lepock JR, Cabelli DE, Tainer JA (April 1996). “Human mitochondrial manganese superoxide dismutase polymorphic variant Ile58Thr reduces activity by destabilizing the tetrameric interface”. Biochemistry 35 (14): 4287–97. doi:10.1021/bi951892w. PMID 8605177. 
  2. ^ 伊藤いとう 2007, p.79
  3. ^ 伊藤いとう 2007, p.80
  4. ^ McCord JM, Fridovich I (1988). “Superoxide dismutase: the first twenty years (1968-1988)”. Free Radic. Biol. Med. 5 (5-6): 363–9. doi:10.1016/0891-5849(88)90109-8. PMID 2855736. 
  5. ^ PDB: 2SOD​;Tainer JA, Getzoff ED, Beem KM, Richardson JS, Richardson DC (September 1982). “Determination and analysis of the 2 A-structure of copper, zinc superoxide dismutase”. J. Mol. Biol. 160 (2): 181–217. PMID 7175933. 
  6. ^ Richardson JS, Thomas KA, Rubin BH, Richardson DC (1975). “Crystal Structure of Bovine Cu,Zn Superoxide Dismutase at 3Å Resolution: Chain Tracing and Metal Ligands.”. Proc Nat Acad Sci USA 72 (4): 1349–53. doi:10.1073/pnas.72.4.1349. PMC 432531. PMID 1055410. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC432531/. .
  7. ^ Tainer JA, Getzoff ED, Richardson JS, Richardson DC (1983). “Structure and mechanism of copper, zinc superoxide dismutase.”. Nature 306 (5940): 284–7. doi:10.1038/306284a0. PMID 6316150. .
  8. ^ PDB: 1N0J​; Borgstahl GE, Parge HE, Hickey MJ, Beyer WF Jr, Hallewell RA, Tainer JA (1992). “The structure of human mitochondrial manganese superoxide dismutase reveals a novel tetrameric interface of two 4-helix bundles.”. Cell 71 (1): 107–18. doi:10.1016/0092-8674(92)90270-M. PMID 1394426. 

参考さんこう文献ぶんけん[編集へんしゅう]

  • 伊藤いとう明夫あきお細胞さいぼうのはたらきがかわるほん株式会社かぶしきがいしゃ 岩波書店いわなみしょてん岩波ジュニア新書いわなみじゅにあしんしょ〉、2007ねんISBN 978-4-00-500575-8 

関連かんれん項目こうもく[編集へんしゅう]

外部がいぶリンク[編集へんしゅう]