ズィール朝あさ

ズィール朝あさ

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983年ねん - 1148年ねん

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（国旗こっき）

公用こうよう語ご	アラビア語ご、ベルベル語ご
首都しゅと	カイラワーン マフディーヤ
アミール 983年ねん - 995年ねん マンスール (初代しょだい) 1016年ねん - 1062年ねん アルムイッズ (第だい3代だい) 1062年ねん - 1108年ねん タミーム (第だい4代だい) 1108年ねん - 1131年ねん ヤフヤー (第だい5代だい) 1121年ねん - 1152年ねん ハサン (最後さいご) 変遷へんせん 成立せいりつ 983年ねん 滅亡めつぼう 1148年ねん

ズィール朝あさまたはズィーリー朝あさ、ジール朝あさ、ジーリー朝あさ（アラビア語ご : الزيريون al-Zīrīyūn）は、イフリーキヤ（現在げんざいのチュニジア）を支配しはいしたベルベル人じんのイスラム王朝おうちょう（973年ねん - 1148年ねん）。その最大さいだい版図はんとは、トリポリタニア（リビア西部せいぶ）から現在げんざいのアルジェリア北部ほくぶにまで及および、シチリア島とうも影響えいきょう下かにあった。

ズィール朝あさの始祖しそブルッギーン・イブン＝ズィーリーはファーティマ朝あさに仕つかえるベルベル人じんの軍人ぐんじんで、972年ねんにカリフのムイッズが新あらたに征服せいふくされたエジプトのカイロに移うつり、王朝おうちょうを東遷とうせんするにあたり、イフリーキヤ以西いせいのマグリブの統治とうちを委ゆだねられたことによってイフリーキヤに政権せいけんを樹立じゅりつした。ズィール家かはカイラワーンに首都しゅとをおき、ファーティマ朝あさカリフの宗主そうしゅ権けんのもとでマグリブに安定あんていした支配しはい体制たいせいを築きずくことに成功せいこうし、978年ねんにはファーティマ朝あさよりトリポリタニアの統治とうちまで任まかされてリビアまで支配しはい下かにおいた。また979年ねんから984年ねんにかけては西にしマグリブに遠征えんせいしファスとシジルマーサを占領せんりょうした。

983年ねん、イフリーキヤの支配しはいを受うけ継ついだブルッギーンの子こマンスールはファーティマ朝あさからの自立じりつの意志いしを明あきらかにし、事実じじつ上じょう独立どくりつした。しかし、1014年ねんにはブルッギーンの別べつの子こで、当時とうじの君主くんしゅバーディースの叔父おじにあたるハンマードがアルジェリア北東ほくとう部ぶにおいてザナータ族ぞくの土地とちを奪うばってズィール朝あさからの独立どくりつを宣言せんげんし、ハンマード朝あさを立たててズィール朝あさから独立どくりつした。

ズィール朝あさは木材もくざいや鉄てつなどの材料ざいりょうに恵めぐまれたことから艦隊かんたいの建造けんぞうに着手ちゃくしゅする。しかし艦隊かんたいは一いち度ど、シチリア島とうへの航海こうかい中ちゅうに嵐あらしで破壊はかいされてしまう。だが、バーディースの子こで当時とうじの君主くんしゅアルムイッズはまた艦隊かんたいを再建さいけんし1026年ねんから1035年ねんにかけてビザンツ帝国ていこくのアドリア海岸かいがん、エーゲ海岸かいがんを攻撃こうげきした。

ズィール朝あさは1051年ねんにはシーア派はのファーティマ朝あさの宗主そうしゅ権けんを最終さいしゅう的てきに放棄ほうきし、スンナ派はのアッバース朝あさカリフを新あらたに承認しょうにんした。これによりズィール朝あさとファーティマ朝あさの対立たいりつは決定的けっていてきとなり、ファーティマ朝あさはエジプトから領内りょうないに居住きょじゅうするバヌーヒラル族ぞくらアラブ遊牧民ゆうぼくみん（ベドウィン）をマグリブに送おくり込こんでズィール朝あさを襲おそわせることにした。彼かれらは遊牧ゆうぼくに適てきしたチュニジアの地ちに居座いすわってズィール朝あさの諸しょ都市としを攻撃こうげき、略奪りゃくだつし、首都しゅとカイラワーンを脅おどかしたので、1057年ねんにズィール朝あさは内陸ないりくのカイラワーンを放棄ほうきして地中海ちちゅうかい沿岸えんがんで防衛ぼうえいに有利ゆうりなマフディーヤに移うつった。この結果けっか、ズィール朝あさはわずかにマフディーヤを中心ちゅうしんとするチュニジア東部とうぶの海岸かいがん部ぶを保持ほじする都市とし国家こっかに過すぎなくなり、イフリーキヤの各かく都市としは諸しょ部族ぶぞくの小国しょうこくに分裂ぶんれつした。

1087年ねんにはジェノヴァとピサの艦隊かんたいがマフディーヤを占領せんりょうしベドウィンを追おい出だした。そのため君主くんしゅタミームはその代償だいしょうとして10万まんディナールをこの艦隊かんたいに献上けんじょうした。その後ごズィール朝あさは艦隊かんたいを再建さいけんし君主くんしゅヤフヤーの時ときにジェノヴァやサルデーニャ島とうを攻撃こうげきした。

1140年ねん、マフディーヤのズィール朝あさはキリスト教徒きりすときょうとのシチリア王国おうこくの艦隊かんたいに攻撃こうげきされ、シチリアの属国ぞっこくとなった。1146年ねんにはシチリアに対たいして反抗はんこうし、シチリアに従属じゅうぞくしたガーベスの領主りょうしゅを滅ほろぼした。このために再ふたたびシチリア艦隊かんたいの遠征えんせいを招まねき、1148年ねんに最後さいごのアミール、ハサンがマフディーヤを追おわれてズィール朝あさは滅ほろんだ。その滅亡めつぼう後ご、1152年ねんから1160年ねんの間あいだにイフリーキヤはムワッヒド朝あさが奪取だっしゅし、その支配しはい下かに入はいる。

スペインのズィール朝あさ

「ズィーリー朝あさ (スペイン)」も参照さんしょう

後こうウマイヤ朝あさが衰おとろえたのち、ズィール朝あさの一族いちぞくがグラナダを征服せいふくし、1013年ねんにタイファ諸国しょこくの1つであるグラナダ王国おうこくを成立せいりつさせた。

歴代れきだい君主くんしゅ

1. ブルッギーン・イブン・ズィーリ（973年ねん - 983年ねん）
2. アル＝マンスール・イブン・ブルッギーン（983年ねん - 995年ねん）
3. バーディース・イブン・マンスール（995年ねん - 1016年ねん）
4. アル＝ムイッズ・イブン・バーディース（1016年ねん - 1062年ねん）
5. タミン・イブン・アル＝ムイッズ（1062年ねん - 1108年ねん）
6. ヤフヤー・イブン・タミン（1108年ねん - 1131年ねん）
7. アリー・イブン・ヤフヤー（1115年ねん - 1121年ねん）
8. アブル＝ハサン・アル＝ハサン・イブン・アリー（1121年ねん - 1152年ねん）

→シチリア王国おうこくによって滅亡めつぼう