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ゾウリムシ

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
1:しょく胞、2:しょうかく、3:細胞さいぼうこう、4:細胞さいぼう咽頭いんとう、5:細胞さいぼう肛門こうもん、6:収縮しゅうしゅく胞、7:だいかく、8:繊毛せんもう
Paramecium sp. の動画どうが細胞さいぼうこうがよくかる

ゾウリムシは、顕微鏡けんびきょうしたでは草履ぞうり(ぞうり)のようなかたちえる繊毛せんもうちゅうの1しゅ Paramecium caudatum和名わみょう広義こうぎにはゾウリムシぞく (Paramecium) にぞくするたねす。かくゆうする単細胞たんさいぼう生物せいぶつとして、よくられている。微生物びせいぶつ自体じたい発見はっけんしゃであるオランダレーウェンフックによって17世紀せいきまつ発見はっけんされた。日本語にほんごめいは、動物どうぶつ学者がくしゃ川村かわむら1930ねんにつけたものであり、英語えいごめいの「slipper animalcule」の「slipper」を「草履ぞうり」と意訳いやくしたことに由来ゆらいしている。

特徴とくちょう

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分類ぶんるいひょうない写真しゃしんは、Paramecium aurelia位相いそう顕微鏡けんびきょうぞうである。いろ位相いそう光学こうがくけいるものであり、細胞さいぼう本来ほんらいいろではない。楕円だえんがた細胞さいぼう周囲しゅういかこ薄紫うすむらさきしょくうつっている部分ぶぶん移動いどうもちいる繊毛せんもうである。みぎみぎじょうしろくわずかにほしがた輪郭りんかくえる目立めだ構造こうぞう浸透しんとうあつ調整ちょうせいするための収縮しゅうしゅく胞。中央ちゅうおうややしたえるのっぺりした灰色はいいろ部分ぶぶん栄養えいようかくとしてられるだいかく多数たすうしょく胞もえる。細胞さいぼうこう細胞さいぼう肛門こうもん生殖せいしょくようしょうかくなどはこの写真しゃしんではえない。

細胞さいぼうながさは 90-150µm、はばは 40µm 程度ていどである。名前なまえひらたい印象いんしょうあたえるが実際じっさいには円筒えんとうがたちかく、中腹ちゅうふくには細胞さいぼうこうというくぼみがややねじれるようにはいっている。細胞さいぼう表面ひょうめんにはやく3,500ほん繊毛せんもうっており、その繊毛せんもう使つかっておよぐ。繊毛せんもうからだひょう繊毛せんもうれつにそってえている。繊毛せんもう細胞さいぼう全体ぜんたいにほぼ均一きんいつえているが、細胞さいぼうこうおく部分ぶぶんでは細胞さいぼう咽頭いんとうけて特殊とくしゅ配置はいちうごきがられる。繊毛せんもうは5%エタノール処理しょりなどのストレスによりだっはなさせることができる(だつ繊毛せんもう)。細胞さいぼうこうおくには細胞さいぼうないえさ細胞さいぼうのどこうがあり、えさはここをとおってしょくまれる。しょく胞内で消化しょうかおこなわれ、有用ゆうよう成分せいぶん細胞さいぼうない吸収きゅうしゅうされながら、しょく胞は細胞さいぼうないまわるように移動いどうする。排泄はいせつぶつ細胞さいぼう後方こうほう細胞さいぼう肛門こうもんから放出ほうしゅつされる。

細胞さいぼう前後ぜんごには、おおきなほしがたもしくははなえる放射状ほうしゃじょう細胞さいぼう器官きかんがある。これを収縮しゅうしゅくい、細胞さいぼうない浸透しんとうあつ調節ちょうせつになっている。収縮しゅうしゅく胞は中央ちゅうおう円形えんけい部分ぶぶんと、周囲しゅういはなびらのようにならなみだしずくがた部分ぶぶんから構成こうせいされる。みず排出はいしゅつにはまずなみだしずくがた部分ぶぶんみずあつまり、ここから中央ちゅうおう円形えんけい部分ぶぶんみずうつされ、細胞さいぼうがいみず放出ほうしゅつされる。

細胞さいぼうないには大小だいしょう2つの細胞さいぼうかくがあり、それぞれだいかくしょうかくばれる。だいかく普段ふだん活動かつどうかかわる。しょうかく生殖せいしょくかくともばれ、有性ゆうせい生殖せいしょくかんしてはたらくとされる。細胞さいぼうない機能きのうてき分化ぶんかしたかくつのは繊毛せんもうむしるい特徴とくちょうである。

生殖せいしょく

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無性むしょう生殖せいしょく分裂ぶんれつによる。繊毛せんもうちゅう同様どうようからだじく方向ほうこう前後ぜんご部分ぶぶんかれるようにして分裂ぶんれつする。有性ゆうせい生殖せいしょくとしては細胞さいぼう接合せつごうおこなわれるが、その方法ほうほうはやや特殊とくしゅである。接合せつごう先立さきだち、だいかく消失しょうしつするとともに生殖せいしょくかくであるしょうかく減数げんすう分裂ぶんれつおこない、4つのかくかれる。このうち3つは消失しょうしつし、のこった1つがさらに2つに分裂ぶんれつし、このうち1つのかくたがいに交換こうかんする。その、それぞれの細胞さいぼうないの2かく融合ゆうごうすることで接合せつごう完了かんりょうする。このあいだ、2個体こたいのゾウリムシはたがいにどう一方向いちほうこういてうが、細胞さいぼうあいだ連絡れんらくつだけで細胞さいぼうそのものの融合ゆうごうおこなわれない。なお、接合せつごうだいかくしょうかくもとあらためて形成けいせいされる。

生態せいたい

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水田すいでんぬまいけなど、淡水たんすいとめ水域すいいき分布ぶんぷする。細胞さいぼう表面ひょうめん繊毛せんもうにより遊泳ゆうえいするため、単細胞たんさいぼう生物せいぶつとしては移動いどうりょくおおきい。障害しょうがいぶつなどに接触せっしょくすると、繊毛せんもう逆転ぎゃくてんにより遊泳ゆうえい方向ほうこう反転はんてんする(後退こうたい遊泳ゆうえい)。

ゾウリムシはおも真正しんしょう細菌さいきんえさとする細菌さいきんしょくせい生物せいぶつである。ただし、ミドリゾウリムシParamecium bursaria)は体内たいない緑藻りょくそうであるクロレラ共生きょうせいさせており、光合成こうごうせい産物さんぶつ還流かんりゅうけて生活せいかつすることも可能かのうである。ぎゃくに、ゾウリムシの捕食ほしょくしゃ大型おおがたアメーバや、ディディニウムDidinium、シオカメウズムシ)といったほか繊毛せんもうちゅうである。ディディニウムは細胞さいぼうぜんはし口吻こうふんにエクストルソーム(extrusome)とばれる射出しゃしゅつ器官きかんち、これをゾウリムシにんでうごきをめ、んで消化しょうかする。

培養ばいよう

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ゾウリムシは浸透しんとう栄養えいようではなく捕食ほしょくせいであるため、培養ばいようさいしては細菌さいきん酵母こうぼなどをえさとして用意よういする必要ひつようがある。一般いっぱんてきにはわらレタスなどを煮出にだし、そのえき培地ばいちとして枯草かれくさきんやしてえさとする。枯草かれくさきん培養ばいよう困難こんなん場合ばあいには、市販しはん乾燥かんそう酵母こうぼなどを利用りようする方法ほうほうがある。粉末ふんまつじょう緑茶りょくちゃえさとして使用しよう可能かのうである。

外部がいぶリンク

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