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タカアシガニ

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
タカアシガニ
タカアシガニ
分類ぶんるい
さかい : 動物界どうぶつかい Animalia
もん : 節足動物せっそくどうぶつもん Arthropoda
もん : 甲殻こうかくもん Crustacea
つな : 軟甲つな Malacostraca
つな : 軟甲つな Eumalacostraca
上目うわめ : ホンエビ上目うわめ Eucarida
: じゅうきゃく Decapoda
: だきたまご Pleocyemata
下目しため : たん尾下おくだり Brachyura
: クモガニ Majidae
ぞく : タカアシガニぞく Macrocheira
たね : タカアシガニ M. kaempferi
学名がくめい
Macrocheira kaempferi
Temminck 1836
和名わみょう
タカアシガニ
英名えいめい
Japanese spider crab

タカアシガニこうあしかに学名がくめいMacrocheira kaempferi)は、じゅうきゃくたん尾下おくだりクモガニ分類ぶんるいされるかに日本にっぽん近海きんかい深海しんかい生息せいそくする巨大きょだいかにで、現生げんなま節足動物せっそくどうぶつでは世界せかい最大さいだいである[1]

カニるいなかでは系統的けいとうてきふるしゅで、きた化石かせきとよばれる。現生げんなまのタカアシガニぞくMacrocheiraぞく)は1ぞく1しゅのみだが、化石かせきたねが4種類しゅるい日本にっぽん国内こくないに2しゅアメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくワシントンしゅうに2しゅ報告ほうこくされている。

概要がいよう

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あしには白色はくしょくまだら模様もようはいる。あし非常ひじょう細長ほそながいが、さらに成体せいたいのオスではやっとこあしあしよりもながくなり、おおきなオスがやっとこあしひろげると3.8メートルたっする。甲羅こうら最大さいだいかぶとはば40センチメートルになり、かぶとちょうほうなが楕円だえんがたで、りあがっていてまるっこい。体重たいじゅう最大さいだいで19キログラムたっする。複眼ふくがん甲羅こうら前方ぜんぽうならび、複眼ふくがんあいだにはななめのとげ左右さゆうす。わか個体こたい甲羅こうらもうとげがあり、複眼ふくがんあいだとげながいが、成熟せいじゅくするとみじかくなり、とげ目立めだたなくなる。

生息せいそくいき岩手いわてけんおきから九州きゅうしゅうまでの太平洋たいへいようきしで、東シナ海ひがししなかい駿河湾するがわん土佐湾とさわんである。まれに三河湾みかわわん伊勢湾いせわん漁獲ぎょかくされたこともある。 日本にっぽん近海きんかい固有こゆうしゅわれていたが、1989ねん台湾たいわん東方とうほうおきつかっている。水深すいしん150 - 800メートルほどの深海しんかいすなどろそこ生息せいそくし(とく水深すいしん200 - 300メートルにおおい)、はる産卵さんらんには、水深すいしん50メートル程度ていどあさいところまで移動いどうして産卵さんらんする。学名がくめいエンゲルベルト・ケンペル (Engelbert Kaempfer) にちなんでづけられたもので、かれ生誕せいたん350ねんおりには剥製はくせいドイツおくられた。

しょくせい動物どうぶつしょくつよ雑食ざっしょくせいで、かいなどをやっとこつぶってべることがおおい(やっとこ内側うちがわ球状きゅうじょう突起とっき多数たすうならんでおり、くるみのように、かたものつぶして構造こうぞうになっている)。

きんえんしゅ4しゅすべ絶滅ぜつめつしゅで、1926ねんメアリー・ラスバンによってアメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくワシントンしゅうオリンピック半島はんとうひがしツインがわ(ワシントンしゅう英語えいごばん確認かくにんされた Macrocheira teglandi1957ねん今泉いまいずみ力蔵りきぞうによって長野ながのけん下伊那しもいなぐん千代村ちよむら米川よねかわ現在げんざいどうけん飯田いいだ大字だいじ千代ちよ)の千代ちよ小学校しょうがっこう校庭こうてい地層ちそう確認かくにんされた「チヨガニ」(Macrocheira yabei)、おなじく今泉いまいずみによって1965ねん山形やまがたけん尾花沢おばなざわ薬師沢やくしざわ支流しりゅう砂岩さがんそうから確認かくにんされた Macrocheira ginzanensis1999ねんにキャリー・シュバイツァー (Carrie E. Schweitzer) とロドニー・フェルドマン (Rodney M. Feldmann) の研究けんきゅうチームによってワシントンしゅうオリンピック半島はんとう地層ちそうから確認かくにんされた Macrocheira longirostra である。

利用りよう

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タカアシガニの剥製はくせい国立こくりつ科学かがく博物館はくぶつかん
でられたタカアシガニ

産地さんち以外いがいでは食材しょくざいとしての評価ひょうかひくい。水揚みずあげして放置ほうちするとけて液体えきたいしてしまうため、あつかいがむずかしいといったことがげられる。

あじみずっぽく大味おおあじで、それゆえ大正たいしょう初期しょきころから底引そこびあみりょうでタカアシガニが水揚みずあげされるも見向みむきもされていなかった。しかし、今日きょうでは漁獲ぎょかくされる地元じもと名物めいぶつ料理りょうりひとつになっている。一説いっせつでは、1960ねん昭和しょうわ35ねん)に戸田とだむら現在げんざい沼津ぬまづ戸田とだ地区ちく)の地元じもと旅館りょかん主人しゅじんが「タカアシガニ料理りょうり」をはじめたとされている[2]小型こがた底引そこびあみトロールもう)などで漁獲ぎょかくされ、塩茹しおゆでやしガニなどにして食用しょくようにされる。メスのほう旨味うまみつよいとされているが、巨体きょたいわりにはあまりにくおおくない。漁場ぎょじょう相模灘さがみなだ伊豆いず七島ななしま周辺しゅうへん駿河湾するがわん熊野灘くまのなだ土佐湾とさわんなどだが、産卵さんらんはる禁漁きんぎょとなっている。とくりょうさかんな駿河湾するがわんではタカアシガニを観光かんこう名物めいぶつにしているが、近年きんねん漁獲ぎょかく減少げんしょうしているため、種苗しゅびょう放流ほうりゅうなど資源しげん保護ほごうごきもある[3]和歌山わかやまけんでは産卵さんらんはる浅瀬あさせ移動いどうするものを漁獲ぎょかくしている。

食用しょくようほか研究けんきゅうよう装飾そうしょくよう剥製はくせいよけ[5]にもされる。性質せいしつはおとなしく、また飼育しいくのしやすさ、てん個体こたい補充ほじゅうしやすさから水族館すいぞくかんなどでも飼育しいくされる。

脚注きゃくちゅう

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  1. ^ おおきなタカアシガニが入館にゅうかんしました”. 鳥羽水族館とばすいぞくかん. 2018ねん3がつ16にち閲覧えつらん
  2. ^ 西伊豆にしいず戸田とだのタカアシガニ”. 2007ねん10がつ27にち時点じてんオリジナルよりアーカイブ。2007ねん12月5にち閲覧えつらん
  3. ^ タカアシガニの種苗しゅびょう生産せいさんややガニの長期ちょうき飼育しいく”. 独立どくりつ行政ぎょうせい法人ほうじん水産すいさん総合そうごう研究けんきゅうセンター. 2007ねん12月5にち閲覧えつらん
  4. ^ 出典しゅってん: 静岡しずおかけんうみ漁業ぎょぎょう調整ちょうせい委員いいんかい資料しりょう[よう文献ぶんけん特定とくてい詳細しょうさい情報じょうほう]
  5. ^ 沼津ぬまづこう深海ふかみ水族館すいぞくかんでっかいタカアシガニ まつ神社じんじゃ展示てんじ”. 毎日新聞まいにちしんぶん. 2017ねん12月31にち閲覧えつらん

関連かんれん項目こうもく

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  • ウィキメディア・コモンズには、タカアシガニかんするメディアがあります。
  • ウィキスピーシーズには、タカアシガニかんする情報じょうほうがあります。

外部がいぶリンク

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  • タカアシガニ静岡しずおかけん水産すいさん技術ぎじゅつ研究所けんきゅうじょみず技研ぎけんデジタルアーカイブス