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ツォツィルぞく

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ツォツィルぞく
そう人口じんこう
やく28まんにん[1]
居住きょじゅう地域ちいき
メキシコの旗 メキシコ チアパスしゅう
言語げんご
ツォツィルスペイン
宗教しゅうきょう
伝統でんとう宗教しゅうきょう英語えいごばんカトリックシンクレティズム
関連かんれんする民族みんぞく
ツェルタルぞく英語えいごばん

ツォツィルぞく(ツォツィルぞく、えい: Tzotzil)は、チアパス高地こうちらすマヤじん一派いっぱである。サン・クリストバル・デ・ラス・カサスにおいてツェルタルぞくとも人口じんこう一定いってい割合わりあいめている。

歴史れきし

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古代こだい

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西にしマヤはな集団しゅうだんのうち、高地こうちからチョラン・ツェルタランえい: Cholan-Tzeltalan)の祖語そごはな人々ひとびとくだった。紀元きげん前後ぜんこうにチョランとツェルタランはな集団しゅうだん分化ぶんかし、後者こうしゃがツォツィルぞくやツェルタルぞく先祖せんぞとなった。この先祖せんぞツェルタランじん西暦せいれき400ねんころ中部ちゅうぶ地域ちいきからふたた高地こうちへと移動いどうし、サン・クリストバル・デ・ラス・カサス周辺しゅうへん山間さんかん開拓かいたくしたとかんがえられている[2]

現代げんだい

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1990年代ねんだい北米ほくべい自由じゆう貿易ぼうえき協定きょうてい発効はっこうによる先住民せんじゅうみん農業のうぎょうへの打撃だげき懸念けねんされるなか先住民せんじゅうみんたいしては制度せいどてき革命かくめいとう(PRI)政権せいけんによる抑圧よくあつてき体制たいせいかれていた。これにたいしツォツィルぞく一部いちぶはツェルタルぞくともサパティスタ民族みんぞく解放かいほうぐん結成けっせい1994ねん蜂起ほうき (enこしたように、当初とうしょ武力ぶりょく中心ちゅうしんとした手段しゅだんにより民族みんぞく権利けんり拡大かくだいはかろうとした。なおラス・アベハス英語えいごばんのようにもとよりこうした武力ぶりょく闘争とうそうおこなわず、穏健おんけん活動かつどう方針ほうしんつらぬきつつ権利けんり拡大かくだい目指めざそうとする団体だんたい存在そんざいした。しかしラス・アベハスはPRIじゅん軍事ぐんじ組織そしきから一方いっぽうてきにサパティスタ同様どうよう敵視てきしされ、この険悪けんあく関係かんけいせいはやがて1997ねんすえアクテアル虐殺ぎゃくさつ事件じけん発生はっせいにつながることとなる。

警察けいさつ監視かんし十分じゅうぶんとどかない地域ちいきにおいては先住民せんじゅうみん自治じちのために銃器じゅうき所持しょじし、実際じっさいいがしょうじることが多々たたあったとつたえられている[3]

生活せいかつ産業さんぎょう

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焼畑やきばた農法のうほう中心ちゅうしんとした農業のうぎょういとなむ。とくトルティーヤ材料ざいりょうとなるトウモロコシ主要しゅよう作物さくもつである。ほかにもカボチャ豆類まめるい温暖おんだん谷地やちにおけるコーヒーバナナ栽培さいばい寒冷かんれい山地さんちにおけるリンゴジャガイモ栽培さいばいおこなっている[1]

宗教しゅうきょう

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概要がいよう

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宗教しゅうきょうスペインじんによりもたらされたカトリック伝統でんとう宗教しゅうきょうシンクレティズムである。とく顕著けんちょれいとしてシナカンタンむら英語えいごばんれいげられる。聖人せいじん崇拝すうはいにまつわる祭礼さいれいおこなわれる一方いっぽうで、ツォツィルぞく世界せかいあるいは宇宙うちゅう四角形しかっけいとらえ、その四隅よすみをバシャク・メン(Vaxakmen)というかみささえているとしんじている[4]。ツォツィルで「われらのせいなるちち」をあらわすチュルトティク(jch'ul-totik)は太陽たいようのことをすとともにカトリックの聖人せいじんとの関連かんれんけがなされ[5]、「われらのせいなるはは」をあらわすチュルメティク(jch'ul-me'tik)はつきあらわすと同時どうじ聖母せいぼマリアとの関連かんれんけがなされている[5]。またシナカンタンでは十字架じゅうじかてられたやまへの巡礼じゅんれいおこなわれる。

霊魂れいこんについての観念かんねん

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ツォツィルぞくとらえる霊魂れいこんにはおおきくけて種類しゅるいのものが存在そんざいする。ひとつはきている人間にんげん肉体にくたいそなわっているもので、シナカンタン方言ほうげんではチュレルch'ulel[5][6]チャムーラ英語えいごばん方言ほうげんではアニマ(anima[7]ぶ。もう一方いっぽう個々人ここじん対応たいおうする様々さまざま動物どうぶつれい(シナカンタン方言ほうげんではワイヘル (wayhel) またはチャヌル (chanul)[6]、チャムーラ方言ほうげんではチュレル[7]またはvayijelという)で、やまむとしんじられている[8]。こうした動物どうぶつ守護しゅごれい概念がいねんには古典こてんマヤにおけるウァイ (enつうずるものがある[9]病気びょうき原因げんいん特定とくていわる動物どうぶつれい仕業しわざであるととらえられ、イロル(j'ilol)とばれるシャーマンがこれに対処たいしょする[10]

カルゴ・システム

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またシナカンタン[11]やチャムーラ[12]共通きょうつうするものとして、カルゴ・システム英語えいごばんげられる。これは宗教しゅうきょうてき階層かいそう秩序ちつじょであり大別たいべつするとよん種類しゅるい役職やくしょくけられる[ちゅう 1]役職やくしょくしゃには祭祀さいしセンターへの居住きょじゅう義務付ぎむづけられる[ちゅう 2]

脚注きゃくちゅう

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注釈ちゅうしゃく

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  1. ^ Laughlin (1975)ではひくくらいからじゅんmayolrejirorbik'it ˀalkaltemuk'ta ˀalkalte記録きろくされている。これらはそれぞれスペインのマヨール(mayor)、レヒドール(regidor)、アルカルデ(alcalde)に由来ゆらいするものであることが明記めいきされ、ポサス(1991:31)にもこれらのかたり植民しょくみん統治とうち時代じだい地方ちほう官僚かんりょう職名しょくめい名残なごりであることがしめされている。
  2. ^ シナカンタンの場合ばあいすべての役職やくしょくしゃが(コウ 2003:327–329)、チャムーラの場合ばあいすくなくともマヨールがこの義務ぎむせられる(ポサス 1991:34)。

出典しゅってん

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  1. ^ a b 落合おちあい(2014)。
  2. ^ コウ(2003:39)。
  3. ^ CNN.co.jp : 「道路どうろあな」が原因げんいん銃撃じゅうげきせん、4にん死亡しぼう メキシコ - ワールド”. 2006ねん10がつ12にち時点じてんオリジナルよりアーカイブ。2016ねん6がつ9にち閲覧えつらん
  4. ^ コウ(2003:327)。
  5. ^ a b c Laughlin (1975).
  6. ^ a b 実松さねまつ (2016:53–54)。
  7. ^ a b ポサス(1991:120)。
  8. ^ Groark (2010:106).
  9. ^ コウ(2003:329)。
  10. ^ ポサス(1991:121–123)。
  11. ^ コウ(2003:327–329)。
  12. ^ ポサス(1991:34)。

参考さんこう文献ぶんけん

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  • マイケル・D・コウ しる加藤かとうやすしけん長谷川はせがわ悦夫えつお わけ古代こだいマヤ文明ぶんめいそうもとしゃ、2003ねんISBN 4-422-20225-1
  • Groark, Kevin P. (2010). "Willful Souls." In Murphy, Keith M. & Throop, C. Jason (ed.) Toward an Anthropology of the Will. Stanford: Stanford University Press. ISBN 978-0-8047-6887-0
  • Laughlin, Robert M. (1975). The Great Tzotzil Dictionary of San Lorenzo Zinacantán. Washington: Smithsonian Institution Press 
  • 落合おちあいはじめやすし 共著きょうちょ世界せかいだい百科ひゃっか事典じてんだい18かん平凡社へいぼんしゃ、2014ねん、「ツォツィル」のこう
  • リカルド・ポサス英語えいごばん清水しみずとおる『コーラをせいなるみずえた人々ひとびと インディアスぐんしょだいかん現代げんだい企画きかくしつ、1991ねん
  • 実松さねまつ, 克義かつよし『マヤ文明ぶんめい文化ぶんか根源こんげんとしての時間じかん思想しそう民族みんぞく歴史れきし現代書館げんだいしょかん、2016ねんISBN 978-4-7684-5772-6