トラフグ属ぞく

トラフグ属ぞく
分類ぶんるい
学名がくめい
	Takifugu; Abe, 1949
種たね
	本文ほんぶん参照さんしょう

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トラフグ属ぞく（Takifugu）は、フグ科かの属ぞくの一ひとつ。属ぞくのタイプはTetrodon oblongus Bloch, 1786（＝タキフグ Takifugu oblongus）(monotypy)で、属ぞく名めいもタキフグに因ちなむ。トラフグ、マフグなど約やく25種しゅが知しられており、生息せいそく区域くいきは北緯ほくい45度どから南緯なんい45度どの間あいだである。ほとんどのものが海水かいすいに住すむが、淡水たんすいや汽水域すいいきに住すむものもいる。主おもなエサは藻類そうるい、軟体動物なんたいどうぶつ、無む脊椎動物せきついどうぶつなどで、甲殻こうかく類るいを食たべることもある。他たのフグ科かの魚さかなと同様どうよう、捕食ほしょく者しゃから身みを守まもるため、体からだを元もとの何なん倍ばいにも膨ふくらますことが可能かのうであり、体からだ、特とくに肝臓かんぞうや卵巣らんそうに致死ちし量りょうを越こえる毒性どくせい物質ぶっしつテトロドトキシンが含ふくまれている。

特徴とくちょう

トラフグ属ぞくは25種しゅが知しられている。トラフグ属ぞくの学名がくめいはTakifuguであるが、昔むかしはFuguとされていた。日本にっぽんの阿部あべ宗明むねあきによる分類ぶんるいである。トラフグ属ぞくはごく短期間たんきかんに多数たすうの種たねに分化ぶんかしたため雑種ざっしゅが多おおい^[1]。

トラフグ属ぞくは北緯ほくい45度どから南緯なんい45度どの間あいだに分布ぶんぷし、塩水えんすいとりわけサンゴ礁さんごしょうや海岸かいがん付近ふきんに住すむことが多おおい。淡水たんすいや汽水域すいいきに住すむ種たねもいる。鋭するどい歯はを持もつものが多おおく、怒おこらせると噛かみ付つくこともある。

まだよく研究けんきゅうされていない種たねも多おおいが、トラフグTakifugu rubripesは食用しょくようとされるためよく研究けんきゅうされており、生物せいぶつ学がくでは研究けんきゅう用ようのモデル生物せいぶつとされることも多おおい^[2]。

形態けいたいと行動こうどう

トラフグ属ぞくの魚さかなは他たのフグ科かと同様どうように、主おもにむなびれだけで泳およぐものが多おおく、あまり速はやく泳およがない。その代かわり、体からだ向むきを変かえずに進すすむ方向ほうこうを変かえられる。そのため、広ひろい水域すいいきよりも複雑ふくざつな地形ちけい、とりわけ海底かいていを好このむ。

種たね

トラフグ属ぞく *Takifugu* の魚さかな
学名がくめい	命名めいめい者しゃ	名称めいしょう	主おもな分布ぶんぷ	最大さいだい体長たいちょう	備考びこう^*2
Takifugu alboplumbeus	Richardson, 1845	コモンダマシ	太平洋たいへいよう東部とうぶ	23cm	有毒ゆうどく
Takifugu basilevskianus	Basilewsky	コウライフグ, Darkgreen Puffer	?	?	有毒ゆうどく
Takifugu bimaculatus	Richardson, 1845	フタツボシフグ	太平洋たいへいよう北東ほくとう部ぶ	30cm	有毒ゆうどく
Takifugu chinensis^*	Abe, 1949	カラス, Eyespot Puffer	太平洋たいへいよう北東ほくとう部ぶ	55cm	有毒ゆうどく
Takifugu coronoidus	Ni & Li, 1992	暈かさ環たまき多紀たき魨 (中国ちゅうごく)	太平洋たいへいよう北東ほくとう部ぶ	?
Takifugu chrysops^*	Hilgendorf, 1879	アカメフグ, Red-eyed Puffer	太平洋たいへいよう北東ほくとう部ぶ	20cm	有毒ゆうどく
Takifugu exascurus	Jordan & Snyder, 1901	ムシフグ	太平洋たいへいよう北東ほくとう部ぶ	15cm	有毒ゆうどく
Takifugu flavidus^*	Li, Wang & Wang, 1975	サンサイフグ, Towny Puffer, Hwang-jom-pok (Korea), Jú húng dong fang tún (China)	太平洋たいへいよう北東ほくとう部ぶ	35cm	有毒ゆうどく
Takifugu niphobles^*	Jordan & Snyder, 1901	クサフグ, Grass Puffer, Starry puffer, Cá Nóc sao (Viet Nam)	太平洋たいへいよう北東ほくとう部ぶ	15cm	有毒ゆうどく
Takifugu oblongus	Bloch, 1786	タキフグ, Oblong blow fish, Lattice blaasop (India), Bebo (India) Buntal (Malaysia), Pita-pita (Indonesia), Ruitjies-blaasop (South Africa)	太平洋たいへいよう東部とうぶ	40cm	有毒ゆうどく
Takifugu obscurus^*	Abe, 1949	メフグ, Obscure Puffer	太平洋たいへいよう西部せいぶ	40cm	有毒ゆうどく
Takifugu ocellatus	Linnaeus, 1758	メガネフグ, Ocellated Puffer	アジア	15cm	有毒ゆうどく
Fugu orbimaculatus	Kuang, Li & Liang, 1984	圓えん斑まだら多紀たき魨 (China)	アジア	?
Takifugu pardalis^*	Temminck＆Schlegel, 1850	ヒガンフグ, Panther puffer, Chol-pok (Korea), Bào wén dong fang tún (China)	太平洋たいへいよう北東ほくとう部ぶ	30cm	有毒ゆうどく
Takifugu poecilonotus^*	Temminck & Schlegel, 1850	コモンフグ, Fine Patterned Puffer, Huin-jom-pok (Korea), Ban dian dong fang tún (China)	太平洋たいへいよう北東ほくとう部ぶ	20cm	有毒ゆうどく
Takifugu porphyreus^*	Temminck & Schlegel, 1850	マフグ, ナメラフグ, Purple Puffer, Kom-pok (Korea), Zi sè dong fang tún) (China)	太平洋たいへいよう北東ほくとう部ぶ	52cm	有毒ゆうどく
Takifugu pseudommus	Chu, 1935	ナメラダマシ	太平洋たいへいよう北東ほくとう部ぶ	35cm	有毒ゆうどく
Takifugu radiatus^*	Abe, 1947	ナシフグ	太平洋たいへいよう北東ほくとう部ぶ	20cm	有毒ゆうどく
Takifugu reticularis	Tien, Chen & Wang, 1975	アミメフグ, Reticulate Puffer	太平洋たいへいよう北東ほくとう部ぶ	29cm	有毒ゆうどく
Takifugu rubripes^*	Temminck & Schlegel, 1850	トラフグ, Tiger Puffer, Hóng qí dong fang tún (China), Cha-ju-pok (Korea)	太平洋たいへいよう北東ほくとう部ぶ	70cm	有毒ゆうどく
Takifugu snyderi^*	Abe, 1988	ショウサイフグ	太平洋たいへいよう西部せいぶ	30cm	有毒ゆうどく
Takifugu stictonotus^*	Temminck & Schlegel, 1850	ゴマフグ, Spotback, Spottyback Puffer	太平洋たいへいよう北東ほくとう部ぶ	35cm	有毒ゆうどく
Takifugu vermicularis	Temminck＆Schlegel, 1850	ナシフグ, Pear Puffer, Kuk-mae-ri-bok (Korea), Chóng wén dong fang tún (China)	太平洋たいへいよう北東ほくとう部ぶ	30cm	Takifugu radiatusの旧きゅう学名がくめい、有毒ゆうどく
Takifugu xanthopterus^*	Temminck & Schlegel, 1850	シマフグ, Yellowfin puffer, Kka-ch'i-pok (Korea), Tiáo wén dong fang tún (China)	太平洋たいへいよう北東ほくとう部ぶ	50cm	有毒ゆうどく

^* 日本にっぽんの厚生こうせい労働省ろうどうしょうから「食用しょくようの部位ぶいがある」とされている魚さかな。ただし調理ちょうり前まえに適切てきせつな処理しょり等とうが必要ひつようである^[3]。

^*2 フグ毒どくの強つよさは季き節ぶしで変かわり、交雑こうざつ魚ぎょもいるため、安易あんいな素人しろうと判断はんだんは危険きけんである^[4]。たとえば東北とうほく地方ちほうや茨城いばらき県けんの太平洋たいへいよう側がわでは近年きんねん、元もとからいるショウサイフグと、日本海にほんかいから流入りゅうにゅうしたとみられるゴマフグの交雑こうざつ種しゅが増ふえており、こうした雑種ざっしゅは有毒ゆうどく部位ぶいについての漁師りょうしや水産すいさん業者ぎょうしゃの経験けいけん則そくが通用つうようしない可能かのう性せいがあるとして、調査ちょうさした水産大学校すいさんだいがっこうが注意ちゅういを呼よび掛かけている^[5]。

注釈ちゅうしゃく

外部がいぶリンク

Froese, Rainer, and Daniel Pauly, eds. (2007). Species of Takifugu in FishBase. February 2007 version.
Extensive List of all Genus and Species for the family Tetraodontidae
Ensembl Fugu Genome Server

[1] フグの雑種ざっしゅについて - 水産大学校すいさんだいがっこう生物せいぶつ生産せいさん学科がっか髙橋洋よう - ウェイバックマシン

[2] Yves Van de Peer (2004). “Tetraodon genome confirms Takifugu findings: most fish are ancient polyploids”. Genome Biology 5 (250): 250. doi:10.1186/gb-2004-5-12-250.

[3] 松浦まつうら啓一けいいち国立こくりつ科学かがく博物館はくぶつかん魚類ぎょるい研究けんきゅう室しつフグ毒どく

[4] ウェブ魚ぎょ図鑑ずかん

[5] “フグ注意ちゅうい！雑種ざっしゅ増加ぞうか中ちゅう毒どくの部位ぶい不明ふめい、外見がいけんの判別はんべつ難むずかしく”. 毎日新聞まいにちしんぶん朝刊ちょうかん. (2017年ねん5月がつ26日にち)

[1]

[2]

[3]

[4]

[5]

特徴とくちょう

形態けいたいと行動こうどう

種たね

注釈ちゅうしゃく

関連かんれん項目こうもく

外部がいぶリンク