ドイツ鉄道てつどう423形かたち電車でんしゃ

ドイツ鉄道てつどう423形かたち電車でんしゃ
ベルリン＝ズュートクロイツ駅えきに停車ていしゃ中ちゅうの423形かたち
基本きほん情報じょうほう
運用うんよう者しゃ	ドイツ鉄道てつどう
製造せいぞう所しょ	アルストムLHB、アドトランツ、ボンバルディア
製造せいぞう年ねん	1998年ねん - 2007年ねん
製造せいぞう数すう	462編成へんせい
主要しゅよう諸しょ元もと
編成へんせい	4両りょう編成へんせい
軸じく配置はいち	Bo'(Bo') (2') (Bo')Bo'
軌間きかん	1,435 mm
電気でんき方式ほうしき	交流こうりゅう15kV 16.7Hzへるつ
最高さいこう速度そくど	140 km/h
起動きどう加速度かそくど	1.0 m/s2
減速げんそく度ど	0.9 m/s2
編成へんせい長ちょう	67,400 mm （連接れんせつ式しき・3扉とびら高床たかゆか式しき）
幅はば	3,020 mm
高たかさ	4,295 mm
駆動くどう方式ほうしき	三さん相そう誘導ゆうどう電動でんどう機き
編成へんせい出力しゅつりょく	2,350 kW

ドイツ鉄道てつどう423形かたち電車でんしゃ（DBAG Baureihe 423）は、ドイツ鉄道てつどうのSバーン向むけに設計せっけいされた交流こうりゅう電車でんしゃである。従来じゅうらいの420形かたち電車でんしゃの後継こうけいならびに大都市だいとし近郊きんこうの客車きゃくしゃ普通ふつう列車れっしゃの置換ちかん用ようとして、1998年ねんから2007年ねんにかけて4両りょう編成へんせい462本ほんが製造せいぞうされた。

423形かたちを基本きほんとした派生はせい系列けいれつとして、ハノーファーSバーン用ようの424形かたち、地域ちいき列車れっしゃ用ようの425形かたちおよびその2両りょう編成へんせい版ばんとなる426形かたちが製造せいぞうされている。2007年ねん以降いこうのSバーン用よう電車でんしゃの製造せいぞうは改良かいりょう型がたの422形かたちに移行いこうした。

車体しゃたいと設備せつび

ハノーファーSバーンの423形かたち電車でんしゃ

台車だいしゃ部分ぶぶん

車内しゃない

1編成へんせい4両りょうで構成こうせいされ、連接れんせつ式しきとなっている。編成へんせい長ちょうは67.5mで、これは420形かたち電車でんしゃ（非ひ連接れんせつ3両りょう編成へんせい）の編成へんせい長ちょうとほぼ同おなじである。

車体しゃたいはアルミニウム製せいで、軽量けいりょう化かや消費しょうひ電力でんりょく削減さくげんが図はかられている。前面ぜんめんは傾斜けいしゃした非ひ貫通かんつう形状けいじょうで、大型おおがた一いち枚まい窓まどを有ゆうしており、上部じょうぶに行先ゆくさき表示ひょうじ器き、下部かぶに密着みっちゃく連結れんけつ器きを備そなえる。側面そくめんは1両りょうにつき両開りょうびらきドア（半はん自動じどう式しき）を3個こ有ゆうしているが、プラグドア方式ほうしきで、ドアが閉しまっている時ときは側面そくめんがフラットになる。

車体しゃたい色しょくは、ドイツ鉄道てつどうのコーポレートカラーである「交通こうつう赤色あかいろ」(Verkehrsrot)で、車体しゃたい下部かぶに灰色はいいろの細ほそ帯たいを、側がわ窓まど上部じょうぶと車体しゃたい下部かぶに白しろに細ほそ帯たいを有ゆうする。また、側がわ扉とびらは白しろに塗装とそうされている。ただし、1等とう車しゃの部分ぶぶんのみ、側がわ窓まど上部じょうぶの細ほそ帯たいは黄色おうしょく（1等とう車しゃを示しめす色いろ）である。

車内しゃないは、両りょう端はしの運転うんてん室しつの後うしろと運転うんてん室しつに最もっとも近ちかいドアとの間あいだが1等席とうせきで、その他たは2等席とうせきとなっている。座席ざせきはクロスシートであるが、両りょう端はしの車両しゃりょうには自転車じてんしゃを積つみ込こむスペースがある。また、1両りょう目めにはトイレが設置せっちされている。また、冷房れいぼう付づけである。

制御せいぎょ装置そうちはインバータ制御せいぎょ方式ほうしきで、編成へんせい中ちゅうに5台だいある台車だいしゃのうち中央ちゅうおうの1台だいのみが付随ふずい台車だいしゃで、他たの4台だいは電動でんどう台車だいしゃとなっている。集しゅう電でん装置そうちは2両りょう目めにシングルアームパンタグラフを1台だい有ゆうする。電動でんどう機き出力しゅつりょくは1台だいあたり293.75kWで、編成へんせい全体ぜんたいで2,350kWとなる。最高さいこう速度そくどは140km/hである。

両りょう端はしの先頭せんとう車しゃは423形かたち、中間ちゅうかんの2両りょうは433形かたちを名乗なのる。車両しゃりょう番号ばんごうは第だい1編成へんせいの場合ばあいで見みると、1両りょう目めから、423 001 - 433 001 - 433 501 - 423 501となる。3両りょう目めと4両りょう目めには500が加算かさんされる。

運用うんよう現況げんきょう

現在げんざい423形かたちは、フランクフルト都市とし圏けん・ミュンヘン都市とし圏けん・デュッセルドルフ・ケルン都市とし圏けん・シュトゥットガルト都市とし圏けんで主おもに運用うんようされている。

ミュンヘンSバーン

ミュンヘンのSバーンは、420形かたち車両しゃりょうが30年ねん以上いじょう運用うんようされていたため、ドイツで423形かたちが投入とうにゅうされた最初さいしょのSバーン路線ろせん網もうとなった。しかし初期しょきの編成へんせいは2000年ねんにミュンヘンへは直接ちょくせつ投入とうにゅうされず、ハノーファー万国博覧会ばんこくはくらんかいで輸送ゆそう車両しゃりょうとして使用しようされた。これは本来ほんらいハノーファーで使用しようされるはずだった424形かたちの車両しゃりょうの承認しょうにんが遅おくれ、運用うんよう開始かいしが間まに合あわなかったためである。その後ご2000年ねん秋あきから2年ねん以内いないに211本ほんがミュンヘンSバーンに投入とうにゅうされた。420形かたちと423形かたちは互たがいに連結れんけつ出来できないので、423形かたちは路線ろせんごとにまとまって投入とうにゅうされた。2004年ねん23本ほん、2005年ねん4本ほんの編成へんせいが増ぞう備され、2014年ねん12月がつまでミュンヘンSバーンでは423形かたちだけが運用うんようされる事ことになった。車内しゃないには一いち等席とうせきがない。

バイエルン鉄道てつどう会社かいしゃ (Bayerische Eisenbahngesellschaft mbH、BEG) はバイエルン州しゅうとSバーン車両しゃりょうの改造かいぞう契約けいやくを結むすび、2018年ねん3分ふん期きに最初さいしょの車両しゃりょう改造かいぞうが行おこなわれた。乗客じょうきゃくの荷物にもつを置おくスペースが確保かくほされ、座席ざせきが192席せきから166席せきに減少げんしょうした分ぶん、乗車じょうしゃ人員じんいんは544人にんから612人にんに増加ぞうかした。また、運行うんこう情報じょうほうを表示ひょうじするモニターが設置せっちされ、列車れっしゃの現在げんざい位置いち・乗のり換かえ情報じょうほう・機械きかい故障こしょうや遅延ちえん時間じかん情報じょうほうが提供ていきょうされる。両りょう先頭せんとう車しゃには、自転車じてんしゃを持もち込こんでいる人ひと・車椅子くるまいすに座すわる人ひと・乳母車うばぐるまを持もつ人ひとなどのための多目的たもくてき空間くうかんが設置せっちされた。。車内しゃないの安全あんぜん性せいをより高たかめるため、きのこ形がたの握にぎり棒ぼう (Haltepilzen) 及および袖そで仕切じきり部ぶへの握にぎり棒ぼうの設置せっちが行おこなわれた。また、窓まどの上うえおよび天井てんじょうに、照度しょうど調節ちょうせつの可能かのうなLED照明しょうめいが新あらたに設置せっちされた。車内しゃないの改造かいぞう以外いがいにも車両しゃりょうのメンテナンスが行おこなわれ、新あらたに塗装とそうされ落書らくがき防止ぼうし膜まくも備そなえられた。

• 現在げんざいの運行うんこう系統けいとう：S1、S2、S3、S4、S6、S7、S8、S20 (一部いちぶ)
• かつての運行うんこう系統けいとう：S5、S27

ライン＝マインSバーン

ライン＝マインSバーン路線ろせんの中なかでS2 - S6系統けいとうは現在げんざい423形かたちのみで運用うんようされている。S8・S9系統けいとうへの運用うんようはこれまで稀まれであったが、2014年ねん8月がつからは平日へいじつのみS9系統けいとうでも運用うんようされるようになった。2010年ねん初はじめ第だい444 - 456編成へんせいにおいて、扉とびらの安全あんぜん装置そうちの問題もんだいが解決かいけつされた後のち、運用うんようが開始かいしされた。

2013年ねんから430形かたち電車でんしゃと仕様しようを近ちかづけるための改造かいぞうが行おこなわれた。総そう費用ひようは約やく1億おくユーロで、改造かいぞうはハーゲンの工場こうじょうで行おこなわれた。車両しゃりょうは新あらたに塗装とそうされ、より快適かいてきな座席ざせきとLED照明しょうめいが車内しゃないに設置せっちされた。扉とびらの周まわりは視覚しかく障害しょうがい者しゃのために視覚しかく・触覚しょっかく面めんにおける手直てなおしが行おこなわれ、また、車内しゃないに運行うんこう案内あんないモニターが設置せっちされた。車椅子くるまいす使用しよう者しゃのためのボタンも追加ついかされ、天井てんじょうと内壁ないへきが新あらたに塗装とそうされ、そして監視かんしカメラも設置せっちされた。多目的たもくてき空間くうかんには折おり畳たたみ座席ざせきが片側かたがわのみに設置せっちされ、反対はんたい側がわに車椅子くるまいす・自転車じてんしゃ・乳母車うばぐるまを置おく場所ばしょが確保かくほされている。

• 現在げんざいの運行うんこう系統けいとう：S2、S3、S4、S5、S6、S9 (一部いちぶ)
• かつての運行うんこう系統けいとう：S1、S8

シュトゥットガルトSバーン

列車れっしゃの編成へんせい表ひょう

号車ごうしゃ	1	2	3	4
形式けいしき・車両しゃりょう番号ばんごう	94 80 0423 xxx-y D-DB	94 80 0433 xxx-y D-DB	94 80 0433 wxx-y D-DB	94 80 0423 wxx-y D-DB
車両しゃりょう種類しゅるい	制御せいぎょ電動でんどう車しゃ	電動でんどう車しゃ	電動でんどう車しゃ	制御せいぎょ電動でんどう車しゃ
備考びこう	数量すうりょう: 60本ほん 現在げんざいの運行うんこう系統けいとう：S3、S6、S60、S62 かつての運行うんこう系統けいとう：S1、S2、S4、S5

シュトゥットガルトSバーン路線ろせんの中なかでS3、S6、S60、S62系統けいとうに現在げんざい423形かたちが運用うんようされている。

2013年ねんから423形かたちは、ライン＝マインSバーン車両しゃりょうと同おなじく、430形かたち電車でんしゃと仕様しようを近ちかづけるための改造かいぞうが行おこなわれた。同年どうねん7月がつ1日にち、最初さいしょの改造かいぞう車両しゃりょうが公開こうかいされた。車両しゃりょうの塗装とそう、座席ざせきの交換こうかん、LED照明しょうめい及および運行うんこう案内あんないモニターの設置せっちはフランクフルトの車両しゃりょうと同おなじく行おこなわれた。2016年ねん10月がつ12日にちに最後さいごの改造かいぞうがプローヒンゲンの工場こうじょうで行おこなわれた。1編成へんせい当あたりの投資とうし金額きんがくは50万まんユーロであった。

新しん塗ぬり色しょくの423形かたち電車でんしゃ（シュトゥットガルト）

2022年ねん以降いこう、新あたらしいデザインにより電車でんしゃは灰白色かいはくしょくで段階だんかい的てきに塗ぬられている。2020年ねん7月がつにドイツ鉄道てつどうは423形かたち電車でんしゃおよび430形かたち電車でんしゃにETCS車くるま上じょう装置そうちおよび自動じどう列車れっしゃ運転うんてん装置そうちを設置せっちする事業じぎょうを発注はっちゅうして、アルストムが2021年ねん6月がつ23日にちにそのプロジェクトをおよそ1億おく3000万まんユーロの費用ひようで引ひき受うけた。未来みらい形がた鉄道てつどう移動いどう通信つうしんシステム（Future Railway Mobile Communication System, FRMCS）が通信つうしん網もうとして採択さいたくされて、車両しゃりょうにはETCSレベル2の特定とくてい仕様しように対応たいおうする車くるま上じょう装置そうちと運行うんこう記録きろくデータを処理しょりする自動じどう列車れっしゃ運転うんてん装置そうちが装着そうちゃくされる予定よていである。2022年ねん3月がつ22日にちに最初さいしょの車両しゃりょうがヘニヒスドルフ工場こうじょうに入庫にゅうこして、車くるま上じょう装置そうち検査けんさおよびソフトウェア検証けんしょうのあとに、使用しよう承認しょうにんを受うける。1990年代ねんだい末まつに生産せいさんされた車両しゃりょうの場合ばあい、改造かいぞう費用ひようが相対そうたい的てきに高たかかった。ETCSの制動せいどう減速げんそくパターンのモデルは走行そうこう速度そくど・編成へんせい車両しゃりょうの両りょう数かず・勾配こうばいの変数へんすうにより決定けっていされた。

ケルンSバーン

ケルンSバーンは現在げんざい63本ほんの423形かたち電車でんしゃを保有ほゆうしている。その内うち27本ほんはS11系統けいとうに投入とうにゅうされ、車内しゃないには一いち等席とうせきがある。残のこりの編成へんせいは一いち等席とうせきなしでS12、S19系統けいとうで運行うんこうされている。

• 現在げんざいの運行うんこう系統けいとう：S11、S12、S19

参考さんこう文献ぶんけん

• Martin Pabst: U- und S-Bahn-Fahrzeuge in Deutschland. 1. Auflage. GeraMond Verlag, München 2000, ISBN 3-932785-18-5. (ドイツ語ご)
• Daniel Riechers: S-Bahn-Triebzüge – Neue Fahrzeuge für Deutschlands Stadtschnellverkehr. 1. Auflage. transpress, Stuttgart 2000, ISBN 3-613-71128-1, S. 36–61. (ドイツ語ご)

外部がいぶリンク

• Sバーンミュンヘン車両しゃりょうの改造かいぞう企画きかく