ビッグ4 (ヨーロッパ)

 フランス（EU）、  ドイツ（EU）、 イタリア（EU）、  イギリスとその他たヨーロッパ諸国しょこく

ビッグ4（英語えいご: Big Four）とは、ヨーロッパにおいて大おおきな影響えいきょう力りょくを保持ほじするイギリス、フランス、ドイツ、イタリアの4か国こくの総称そうしょうである。

イギリスとフランスは核かく拡散かくさん防止ぼうし条約じょうやく公認こうにんの核兵器かくへいき保有ほゆう国こくかつ国際こくさい連合れんごう安全あんぜん保障ほしょう理事りじ会かい常任じょうにん理事りじ国こくであり、自由じゆう、平等びょうどう、国民こくみん主権しゅけん、民主みんしゅ主義しゅぎ、人権じんけん保障ほしょう、法治ほうち主義しゅぎ、代議だいぎ制せいなど近代きんだい国家こっかの基本きほん的てきな諸しょ制度せいど及および政治せいじやビジネスにおいての「国際こくさい共通きょうつう語ご」である英語えいごとフランス語ふらんすごの発祥はっしょう地ちとして、政治せいじ面めん・軍事ぐんじ面めんで世界せかい的てき優位ゆういである。

ドイツは欧州おうしゅう連合れんごう最多さいたの人口じんこうかつ名目めいもくGDP世界せかい第だい3位いの巨大きょだい市場いちばを持もち、非常ひじょうに高たかい競争きょうそう力りょくと付加ふか価値かちを有ゆうする製品せいひんを生産せいさんする世界せかい第だい3位いの輸出ゆしゅつ国こくである工業こうぎょう国こくとして、経済けいざい面めんや技術ぎじゅつ面めんの世界せかい的てき主導しゅどう国こくである。

イタリアはヨーロッパにおける古代こだい文明ぶんめいの中心ちゅうしん地ちとして知しられ、世界せかい最多さいたの世界せかい遺産いさんを保有ほゆうしており、全ぜん世界せかいに13億おく人にん以上いじょうの信徒しんとを有ゆうするカトリック教会きょうかい総本山そうほんざんのバチカン市し国こくを首都しゅとローマ内うちに事実じじつ上じょう包括ほうかつし、文化ぶんか面めん・宗教しゅうきょう面めんに強つよい影響えいきょう力りょくを持もつ。

また、4か国こくすべてが、世界せかい的てきに影響えいきょう力りょくある多数たすうの芸術げいじゅつ家か、作家さっか、映画えいが人じん、歌手かしゅ、思想家しそうか、哲学てつがく者しゃ、科学かがく者しゃ、技術ぎじゅつ者しゃ、起業きぎょう家かなどの故国ここくであり、世界せかい的てきな大だい企業きぎょうの本社ほんしゃを有ゆうする名目めいもくGDP上位じょうい十じゅうか国こく以内いないに入はいる経済けいざい大国たいこくである。

4か国こくは、第だい一いち次じ世界せかい大戦たいせんから第だい二に次じ世界せかい大戦たいせんの間あいだにあたる戦せん間あいだ期きよりヨーロッパ四よん大国たいこくと呼よばれ始はじめ、現在げんざいではG7、G8、G20、国際こくさい連合れんごう、OECD、EU、NATOの主要しゅようなメンバーであり、列強れっきょうにも数かぞえられる。

統計とうけい

ビッグ4
国くに	人口じんこう	EU全体ぜんたいにおける人口じんこうの割合わりあい	EU予算よさんへの支出ししゅつ (2014-2020) (€ mil)		MEPs
フランス	66,616,416	14.97%	19,573.6	27.52%	79
ドイツ	80,716,000	18.54%	25,815.9	36.30%	96
イタリア	60,782,668	13.58%	14,368.2	20.20%	76
イギリス	67,791,400	N/A	11,341.6	15.95%	N/A
合計ごうけい	272,215,084	47.09%	71,099.3	64.24%	251

歴史れきし

19世紀せいき初頭しょとう、ナポレオン戦争せんそう後ごのウィーン体制たいせい下したにおける、五ご国こく同盟どうめい（イギリス・フランス王国おうこく・オーストリア帝国ていこく・プロイセン王国おうこく・ロシア帝国ていこく）によって、ヨーロッパにおける列強れっきょうの概念がいねんが強つよく意識いしきされるようになった。このうち、プロイセンはオーストリアを除のぞくドイツ連邦れんぽう諸国しょこくを事実じじつ上じょう吸収きゅうしゅうしてドイツ帝国ていこくとなり、オーストリアは支配しはい地ちハンガリーの自治じち権けんを認みとめてオーストリア゠ハンガリー帝国ていこくとなった。

20世紀せいき初頭しょとう、第だい一いち次じ世界せかい大戦たいせん開戦かいせん頃ごろまでにイタリア王国おうこくも列強れっきょうと見みなされるようになる。第だい一いち次じ世界せかい大戦たいせん中ちゅうの1917年ねんには、ロシア帝国ていこくが革命かくめいによって崩壊ほうかい。第だい一いち次じ世界せかい大戦たいせん後ごは、イギリス・フランス・イタリアの3か国こくは国際こくさい連盟れんめい常任じょうにん理事りじ国こくとなった一方いっぽう、オーストリア＝ハンガリー帝国ていこくは敗戦はいせん後ごの戦後せんご処理しょりによって1918年ねんに崩壊ほうかい、ドイツ帝国ていこくも同おなじく敗戦はいせんによって列強れっきょうから脱落だつらくしていたものの、1926年ねんには国際こくさい連盟れんめい加盟かめいと同時どうじに常任じょうにん理事りじ国こくに加くわわり、さらにナチス政権せいけんによる経済けいざい復興ふっこうを経へて、強つよい影響えいきょう力りょくを取とり戻もどした。一方いっぽうで、ロシア帝国ていこくの後継こうけいであるソビエト連邦れんぽうも1934年ねんに常任じょうにん理事りじ国こくに加くわわっており、スペイン・ポーランド・スウェーデン・ベルギーなども常任じょうにん理事りじ国こく入いりを目指めざしていたが、国際こくさい連盟れんめい解散かいさんまで実現じつげんしなかった。

第だい二に次じ世界せかい大戦たいせん直前ちょくぜんの1938年ねんに開催かいさいされたミュンヘン会談かいだん前後ぜんごから、イギリス・フランス・ドイツ・イタリアの4か国こくをもって「ヨーロッパ四よん大国たいこく」と呼よび始はじめた。第だい二に次じ世界せかい大戦たいせん後ご、ドイツとイタリアは敗戦はいせんと植民しょくみん地ち放棄ほうきによって列強れっきょうから脱落だつらくし、イギリスとフランスは国際こくさい連合れんごう安全あんぜん保障ほしょう理事りじ会かいの常任じょうにん理事りじ国こくとなる。しかし、1950年代ねんだいから1960年代ねんだいにかけてドイツ・イタリアは高度こうど経済けいざい成長せいちょうを果はたし列強れっきょうに復帰ふっき、フランス・イギリスと共ともに第だい1回かい先進せんしん国こく首脳しゅのう会議かいぎに参加さんかした。

2000年代ねんだい以降いこう、為替かわせによる順位じゅんい変動へんどうはあるものの、BRICsやNIEsなどの新興しんこう国こくの追おい上あげにより、4か国こくが世界せかい経済けいざいに占しめる地位ちいは相対そうたい的てきに低下ていかしているが、依然いぜんとして4か国こくが世界せかい有数ゆうすうの先進せんしん国こく・大国たいこくであることには変かわりない。