フアン・ドノソ・コルテス

スペインの政治せいじ家か フアン・ドノソ・コルテス Juan Donoso Cortés
勲章くんしょうを佩用はいようしたドノソ・コルテス
生年月日せいねんがっぴ	1809年ねん5月6日にち
没ぼつ年月日ねんがっぴ	1853年ねん5月3日にち

フアン・ドノソ・コルテス（Juan Francisco María de la Salud Donoso Cortés y Fernández Canedo, I marqués de Valdegamas, 1809年ねん5月6日にち - 1853年ねん5月3日にち）は、スペインの貴族きぞく（バルデガマス侯爵こうしゃく）、著述ちょじゅつ家か、政治せいじ理論りろん家か、外交がいこう官かんである。保守ほしゅ主義しゅぎ者ものとして知しられる。

生涯しょうがい

自由じゆう主義しゅぎ者しゃとしての前ぜん半生はんせい

エストレマドゥーラ州しゅうバダホス県けんのバジェ・デ・ラ・セレーナで生うまれる。生家せいかはコンキスタドールのエルナン・コルテスの子孫しそんであり、父ちちのドン・ペドロは弁護士べんごしでフランス啓蒙けいもう主義しゅぎや自由じゆう主義しゅぎの影響えいきょうを受うけていた。11歳さいの時ときには人文じんぶん学がくを修おさめ、12歳さいでサラマンカ大学だいがくに進すすみ法律ほうりつを学まなんだ。16歳さいの時ときにセビリア大学だいがくから学位がくいを取得しゅとくし18歳さいでカセレスの大学だいがくで講義こうぎした。1830年ねん以降いこう彼かれはマヌエル・ホセ・キンターナの影響えいきょうを受うけた保守ほしゅ的てきな自由じゆう主義しゅぎ者しゃとして政治せいじに参画さんかくした。1836年ねんには下院かいん議員ぎいんになり、マリア・クリスティーナ・デ・ボルボンが摂政せっしょうを務つとめた頃ころにはその個人こじん的てきな秘書ひしょとして活躍かつやくした。しかし1840年ねん以降いこう、バルドメロ・エスパルテロ将軍しょうぐん率ひきいる進歩しんぽ主義しゅぎ者しゃとラモン・ナルバエス将軍しょうぐんを中心ちゅうしんとする保守ほしゅ主義しゅぎ者しゃが争あらそうようになり、エスパルテロ一派いっぱが政権せいけんを握にぎったためドノソ・コルテスはマリア・クリスティーナ摂政せっしょうと共ともにパリへ亡命ぼうめいを余儀よぎなくされる。このパリ時代じだいにドノソ・コルテスはジョゼフ・ド・メーストルやルイ・ガブリエル・ド・ボナールの著作ちょさくに接せっし、カトリシズムへと傾斜けいしゃするようになった。1843年ねんにはナルバエス将軍しょうぐんが政権せいけんを奪還だっかんし、マリア・クリスティーナ摂政せっしょうと共ともに帰国きこくする。

保守ほしゅ反動はんどうとしての後のち半生はんせい

ドノソ・コルテスは2月がつ革命かくめいに危機きき感かんを抱だいた。翌年よくねんのローマ共和きょうわ国こく樹立じゅりつに際さいしては自由じゆう主義しゅぎが革命かくめいを助長じょちょうするだけだったと考かんがえ、保守ほしゅ反動はんどうの立場たちばへと完全かんぜんに転向てんこうする。彼かれは1849年ねん1月がつ、マドリード議会ぎかいで「独裁どくさいに関かんする講演こうえん」という題だいで演説えんぜつし、2月がつ革命かくめいはヨーロッパ文明ぶんめいの崩壊ほうかいをもたらすものであり革命かくめいに対たいする救済きゅうさい策さくはカトリシズムへの帰依きえであると主張しゅちょうした。彼かれは独裁どくさい政権せいけんを樹立じゅりつしていたナルバエス将軍しょうぐんを支持しじするようになり、また1851年ねんのルイ・ナポレオンのクーデターに対たいし財政ざいせい的てき援助えんじょを与あたえた（しかし後のちにナルバエスやナポレオンの政権せいけん腐敗ふはいを厳きびしく批判ひはんする）。 1849年ねんの2月がつから11月がつまでベルリンにスペイン大使たいしとして赴任ふにんし、1851年ねんの2月がつから死しの1853年ねん5月がつ3日にちまでパリでスペイン大使たいしとして勤務きんむした。1851年ねんに教皇きょうこう権けん至上しじょう主義しゅぎ者しゃであるルイ・ヴィヨー(Louis Veuillot)の求もとめによって書かかれた『カトリシズム、自由じゆう主義しゅぎ、社会しゃかい主義しゅぎに関かんする評論ひょうろん(Ensayo sobre el catolicismo, el liberalismo, y el socialismo considerados en sus principios fundamentales)』は、カトリシズム擁護ようごと神学しんがく的てきな立場たちばからの自由じゆう主義しゅぎ、社会しゃかい主義しゅぎ批判ひはんの書物しょもつである。

影響えいきょう

ドイツの国法こくほう学者がくしゃカール・シュミットはドノソ・コルテスから多大ただいな影響えいきょうを受うけている。1922年ねんのシュミットの著書ちょしょ『政治せいじ神学しんがく』の終章しゅうしょうでは、「反はん革命かくめいの国家こっか哲学てつがくについて」という題だいで、ドノソ・コルテスらについて論ろんじている。また、1950年ねんには、ドノソ・コルテスについて論ろんじた著作ちょさくを公表こうひょうしている。

出典しゅってん

• 『カール・シュミットとカトリシズム　―政治せいじ的てき終末しゅうまつ論ろんの悲劇ひげき―』（古賀こが敬たかし太ふとし、創そう文ぶん社しゃ、1999年ねん）

関連かんれん項目こうもく

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