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プラスマイナス記号きごう

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
±

プラスマイナス記号きごう(プラスマイナスきごう、±)は近似きんじ精度せいどしめすためや、符号ふごうのみがことなる2つの略記りゃっきする簡便かんべん記法きほうとして、ひろ使つかわれる数学すうがく記号きごうである。

数学すうがくではこの記号きごうは「プラスマイナス」(えい: plus or minus)とみ、片方かたがたせい片方かたがたまけのちょうど2つのこたえがかんがえられることをしめす。また後述こうじゅつ#マイナスプラス記号きごうわせてふくごうともばれる。

しかしほとんどの実験じっけん科学かがくでは、この記号きごうは「増減ぞうげんがある」(えい: give or take)とみ、測定そくていりうる上限じょうげんから下限かげんまでの範囲はんいしめす。

歴史れきし

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1626ねんアルバート・ジラールフランス語ふらんすごばん数学すうがくてき意味いみはじめて使用しようした[1]

精度せいどしめ用法ようほう

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± で近似きんじあらわ用法ようほうもっともよくられるのは、りょう数値すうちをその公差こうさやその統計とうけいてき誤差ごさ範囲はんいわせてあらわすときである。たとえば、「5.7 ± 0.2」は5.7から0.2単位たんいないにあると規定きていもしくは推定すいていされるりょうしめす。5.7 − 0.2 から 5.7 + 0.2 までの範囲はんいないのあらゆるがありうる。より厳密げんみつには、科学かがくてき使用しようではその間隔かんかくない存在そんざいするかくりつが、通常つうじょう2標準ひょうじゅん偏差へんさ (95.4%) のかくりつとなる。

百分率ひゃくぶんりつ使つかって許容きょよう誤差ごさしめ用法ようほうもある。たとえば、230 V ± 10% は電圧でんあつが 230 V の両側りょうがわ 10% の範囲はんいない (207 V - 253 V) にあることをす。

符号ふごう反対はんたいの2つの略記りゃっきほうとしての用法ようほう

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± には、数学すうがく方程式ほうていしきで、たとえば1つの公式こうしき2つの等式とうしきあらわすための略記りゃっきほうとしての用法ようほうられることがある。もっと有名ゆうめいれい方程式ほうていしきかい公式こうしきがある:

もし ax2 + bx + c = 0 (a ≠ 0) ならば、

省略しょうりゃくせずにくと、これは方程式ほうていしきに2つのかいがあるとべている。すなわち

および

れい三角さんかく恒等こうとうしきられる。

sin (x ± y) = sin x cos y ± cos x sin y

これは2つの等式とうしきりゃくしたものである。1つは等式とうしき両側りょうがわを + にしたものであり、1つは両側りょうがわを − にしたものである。

正弦せいげん関数かんすうテイラー展開てんかい公式こうしきでは、この表現ひょうげんのややことなった用法ようほうられる:

これはやや濫用らんようぎみの記法きほうだが、(0からかぞえて)偶数ぐうすう番目ばんめnこう加算かさんされるが、すう番目ばんめこう減算げんざんされるというようにこう符号ふごう交互こうごあらわれることをしめしている。この場合ばあいりょう (− 1)nn偶数ぐうすうのときは + 1 を、n奇数きすうのときは − 1 をあたえる)を使つかえば、より曖昧あいまいさのすくない表現ひょうげんになる。

マイナスプラス記号きごう

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さらにもう1つ、マイナスプラス記号きごう (∓) という文字もじもまれにられる。これは「x ± y ∓ z」のように、しきちゅうで「±」記号きごうわせて使つかうときにのみおおきな意味いみつ。このしきは「x + yz」または「xy + z」とは解釈かいしゃくできるが、「x + y + z」や「xyz」とは解釈かいしゃくできない。すなわち「±」で上側うわがわの「+」をるときは「∓」でも上側うわがわの「−」のほうってみ、同様どうようしたがわしたがわだけでむのである。このことをふくごうどうじゅんう。このしき場合ばあいx ± (yz)」のようにえれば、しき意味いみおなじままで混乱こんらんけられるが、

cos (x ± y) = cos x cos y ∓ sin x sin y

のような三角さんかく恒等こうとうしきでは「∓」記号きごう使つかっていたほうがみやすくなる。

ちなみに、「x ± y ± z」のようにいてすべてのわせ、すなわち「x + y + z」「x + yz」「xy + z」「xyz」をあらわすことを、ふくごう任意にんいう。この場合ばあい、マイナスプラス記号きごうもちいない。

文字もじコード

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記号きごう Unicode JIS X 0213 文字もじ参照さんしょう 名称めいしょう
± U+00B1 1-1-62 ±
±
±
ただしまた符号ふごう
U+2213 1-3-59 ∓
∓
まけまたせい符号ふごう
  • JIS X 0208JIS X 0213 には、プラスマイナス記号きごうが1めん162てん存在そんざいする。また、JIS X 0213 には、マイナスプラス記号きごうが1めん359てん存在そんざいする。
  • ISO/IEC 8859-1789131516 では、プラスマイナス記号きごうがコード B1hex存在そんざいする。
  • Unicode の先頭せんとう256のコードポイントは U+00B1 にも存在そんざいする。
  • この記号きごうには ± という HTML実体じったい表現ひょうげん存在そんざいする。
  • 使用しよう頻度ひんどひくいマイナスプラス記号きごう (∓) は、名前なまえきHTML実体じったいたないが、Unicode ではコードポイント U+2213 で利用りよう可能かのうであり、HTML でも ∓利用りよう可能かのうである。
  • TeX では、プラスマイナスとマイナスプラス記号きごうはそれぞれ \pm\mp のような実体じったいとして符号ふごうされている。

脚注きゃくちゅう

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  1. ^ Cajori, Florian (1928), A History of Mathematical Notations, Volume I: Notations in Elementary Mathematics, Open Court, p. 245 

関連かんれん項目こうもく

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