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ボヘミアニズム (英 えい : Bohemianism )は、自由 じゆう 奔放 ほんぽう な生活 せいかつ を追求 ついきゅう することを指 さ す。そうした生 い き方 かた を実践 じっせん する者 もの をボヘミアン (Bohemian )ないしはボエーム (仏 ふつ : Bohème )と呼 よ び、そうした人々 ひとびと が多 おお く住 す むコミュニティー をボヘミア (Bohemia )という。
15世紀 せいき にフランス に流入 りゅうにゅう していたジプシー (ロマ )が主 おも にボヘミア 地方 ちほう (現在 げんざい のチェコ )からの民 みん であったため、フランス語 ふらんすご でボエミアン(bohémien )という語 かたり はボヘミア人 じん からジプシーの意味 いみ に変化 へんか した。
19世紀 せいき の中 なか ごろ、フランスの小説 しょうせつ 家 か アンリ・ミュルジェール が『ボヘミアン生活 せいかつ の情景 じょうけい 』 (fr:Scènes de la vie de bohème ) の序文 じょぶん [ 1] で、「ボヘミアン」とは定職 ていしょく を持 も たない芸術 げいじゅつ 家 か や作家 さっか 、または世間 せけん に背 せ を向 む けた者 もの のことであると宣言 せんげん した。この小説 しょうせつ はプッチーニ のオペラ『ラ・ボエーム 』にもなり、以降 いこう ボヘミアンとは伝統 でんとう 的 てき な暮 く らしや習慣 しゅうかん にこだわらない自由 じゆう 奔放 ほんぽう な生活 せいかつ をしている芸術 げいじゅつ 家 か 気質 きしつ の若者 わかもの を指 さ す言葉 ことば となった。そのニュアンスとしては、良 よ い意味 いみ では「他人 たにん に使 つか われることなく質素 しっそ に暮 く らし、高尚 こうしょう な哲学 てつがく を生活 せいかつ の主体 しゅたい とし、奔放 ほんぽう で不可解 ふかかい 」という含意 がんい 、悪 わる い意味 いみ では「定職 ていしょく がなく貧 まず しい暮 く らしで、アルコール やドラッグ を生活 せいかつ の主体 しゅたい とし、セックスや身 み だしなみにだらしない」という含意 がんい がある。
ある都市 とし の一角 いっかく にボヘミアンたちが多 おお く居住 きょじゅう したことによってコミュニティーが成立 せいりつ し、芸術 げいじゅつ や文化 ぶんか の発信 はっしん 地 ち となった例 れい が世界 せかい 各地 かくち に多 おお く存在 そんざい する。このうち、特 とく に「ボヘミア」と呼 よ ばれ世界 せかい 的 てき に有名 ゆうめい なものは、主 おも に以下 いか の通 とお り。[要 よう 出典 しゅってん ]
なお、アムステルダム やプラハ など、一 ひと つの大都市 だいとし そのものを総体 そうたい 的 てき にボヘミアと呼 よ ぶこともあるが、これは「ボヘミア」という表現 ひょうげん の本来 ほんらい の語義 ごぎ にはあたらない。また日本 にっぽん では下北沢 しもきたざわ や原宿 はらじゅく など、いわゆる若者 わかもの カルチャーの発信 はっしん 地 ち を比喩 ひゆ 的 てき にボヘミアと呼 よ ぶこともあるが、これも「ボヘミア」本来 ほんらい の語義 ごぎ にはあたらない。
1960年代 ねんだい のヒッピー カウンターカルチャー は、その後 ご のアメリカ における「ネオ・ボヘミアニズム」の源泉 げんせん となった。今日 きょう アメリカの多 おお くの大都市 だいとし にはかつて工場 こうじょう ・倉庫 そうこ ・ロフト などが肩 かた を並 なら べた「ボヘミア」と呼 よ ばれる区域 くいき が存在 そんざい する(ニューヨークのイーストヴィレッジやウィリアムズバーグ、ワシントンのデュポンサークルなど)。また大都市 だいとし 郊外 こうがい の名門 めいもん 大学 だいがく を中心 ちゅうしん に成立 せいりつ した小 しょう 都市 とし の中 なか にはそれ自体 じたい がボヘミアと呼 よ ばれたりボヘミア的 てき 雰囲気 ふんいき に満 み ちているものが多 おお い(サンフランシスコ郊外 こうがい のバークレー 、デンバー 郊外 こうがい のボルダー 、デトロイト 郊外 こうがい のアナーバー など)。
こうしたネオ・ボヘミアン・コミュニティーは、当初 とうしょ はそのボヘミア的 てき 雰囲気 ふんいき が魅力 みりょく となって多 おお くの人々 ひとびと を引 ひ きつけたが、外部 がいぶ からの住民 じゅうみん の流入 りゅうにゅう が増加 ぞうか するにつれてジェントリフィケーション が起 お こり、その結果 けっか ボヘミアの雰囲気 ふんいき が失 うしな われてしまった、または失 うしな われつつあるところが少 すく なくない。今日 きょう 多 おお くの大都市 だいとし にみられる「ヒップ な住宅 じゅうたく 街 がい 」の多 おお くは、こうした「失 うしな われたボヘミア」がかつてあったところである。