(Translated by https://www.hiragana.jp/)
カウンターカルチャー - Wikipedia コンテンツにスキップ

カウンターカルチャー

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』

カウンターカルチャーえい: counterculture)、対抗たいこう文化ぶんか(たいこうぶんか)とはサブカルチャー下位かい文化ぶんか)の一部いちぶであり、その価値かちかん行動こうどう規範きはん主流しゅりゅう社会しゃかい文化ぶんかメインカルチャー/ハイカルチャー)とはおおきくことなり、しばしば主流しゅりゅう文化ぶんかてき慣習かんしゅうはんする文化ぶんかのこと[1][2]。しかし、カウンターカルチャーの価値かちはメインカルチャーにってわりうるポテンシャルをつ(オルタナティブ・カルチャー)。カウンターカルチャー運動うんどうは、ある時代じだい市井しせい人々ひとびと精神せいしん願望がんぼう表現ひょうげんするが、カウンターカルチャーのちからおおきくなると、劇的げきてき文化ぶんか変化へんかこす可能かのうせいがある。

ボヘミアン主義しゅぎ(1850-1910)、ビート・ジェネレーション(1950年代ねんだい中心ちゅうしん)などフラグメント(断片だんぺんてき)、地域ちいきてきなカウンターカルチャーと、1960年代ねんだい世界せかいてきカウンターカルチャー(1964-1974)がある。1960年代ねんだいヒッピーのサブカルチャーたいして、1970年代ねんだい後半こうはんパンク・サブカルチャー反発はんぱつ表明ひょうめいしていた。

概要がいよう

[編集へんしゅう]

カウンターカルチャーとは、既存きそん社会しゃかい根幹こんかんかかわる制度せいど規範きはん文化ぶんかたいして、反発はんぱつする価値かちをその存在そんざい意義いぎとしてかかげる集団しゅうだんによって形成けいせいされる文化ぶんかである[3]既存きそん政治せいじ体制たいせいほかにメインストリーム・カルチャーや大衆たいしゅう主義しゅぎ商業しょうぎょう主義しゅぎ権威けんい主義しゅぎ、または伝統でんとうふる大人おとな価値かちかん対抗たいこうすることがおおい。そして、かれらの提示ていじするあたらしい社会しゃかいこそがより人生じんせいをもたらすという希望きぼういている[4]。メインストリーム・カルチャーとはなにかは曖昧あいまいなところがあるが、カウンターカルチャーをつうじて既存きそん体制たいせい文化ぶんか問題もんだいてん利点りてんりにされること効果こうかがある。

ヒッピー文化ぶんかや、1969ねんウッドストック・フェスティバル代表だいひょうされるような、1960年代ねんだいのアメリカで隆盛りゅうせいをきわめた若者わかもの文化ぶんかにその代表だいひょうれい意見いけんひろ一般いっぱんしている。しかし、50年代ねんだいや70年代ねんだい以降いこうにもカウンターカルチャーは存在そんざいしたとされる。また、当時とうじベトナム戦争せんそう文化ぶんかだい革命かくめい公民こうみんけん運動うんどうもカウンターカルチャーにおおきな影響えいきょうあたえた[5]

アンダーグラウンド・カルチャーとの関係かんけい

カウンターカルチャー・ムーブメントに後押あとおしされて、いくつものアンダーグラウンド文化ぶんか開拓かいたくされた。カウンターカルチャーとアンダーグラウンド・カルチャーのちがいは、どちらも主流しゅりゅうメインストリーム)の文化ぶんか体制たいせい対抗たいこうするが、カウンターカルチャーは実際じっさい対抗たいこう勢力せいりょくあらたな体制たいせいになりうる価値かち社会しゃかい全体ぜんたいむレベルとなるのにたいし、アンダーグラウンドはつねにメインストリームにはなり一部いちぶのコアなそう支持しじされるサブカルチャーのレベルにまることである[6]。メインストリームになった時点じてんあらたな体制たいせい一部いちぶとなり、もはやアンダーグラウンドではなくなるのである。アンダーグラウンドは、社会しゃかい大半たいはん価値かち見出みだせなかったり不快ふかいかんじたりさせる性質せいしつがある。

1960年代ねんだい世界せかいてきカウンターカルチャー

[編集へんしゅう]

1960年代ねんだいのアメリカやヨーロッパを起点きてんとして、西側にしがわ社会しゃかいおも資本しほん主義しゅぎシステム)、旧来きゅうらいキリスト教きりすときょう社会しゃかい同性愛どうせいあい自由じゆう性行為せいこうい離婚りこん中絶ちゅうぜつ禁止きんしきびしいものは自慰じい避妊ひにん禁止きんし多神教たしんきょうへの寛容かんよう軽蔑けいべつ人間にんげん中心ちゅうしん主義しゅぎ)にたいする文化ぶんかてき対抗たいこう権威けんい主義しゅぎ家父長制かふちょうせい男性だんせい中心ちゅうしん主義しゅぎ国家こっか主義しゅぎ警察けいさつ暴力ぼうりょく戦争せんそう徴兵ちょうへいパワハラ)や保守ほしゅ主義しゅぎ女性じょせい差別さべつ人種じんしゅ差別さべつ文化ぶんかへの寛容かんよう民族みんぞく主義しゅぎ)、エスタブリッシュメント、政治せいじ資本しほんだい企業きぎょう商業しょうぎょう主義しゅぎきむよく主義しゅぎ弱者じゃくしゃ搾取さくしゅ自然しぜん破壊はかい)への反発はんぱつなどの抵抗ていこうは、ヒッピーなどの若者わかもの中心ちゅうしんにしたカウンターカルチャーとして発展はってんした[7]かれらがとなえた価値かちかんは、価値かち文化ぶんか多元たげん主義しゅぎ東西とうざい宗教しゅうきょう融合ゆうごうしたニューエイジ宗教しゅうきょう社会しゃかい主義しゅぎてき平等びょうどう自由じゆう恋愛れんあい(と性行為せいこうい)、マイノリティの尊重そんちょうフェミニズムLGBT性的せいてきマイノリティ)の受容じゅよう、ドラッグの合法ごうほう自然しぜんとの調和ちょうわ・エコロジーなどである。

人種じんしゅ差別さべつ女性じょせい差別さべつ性的せいてきマイノリティ差別さべつは、60年代ねんだいのカウンターカルチャームーブメントによって社会しゃかいのメインストリームのゆずった。また、旧来きゅうらいキリスト教きりすときょうとくにカトリック)による婚前こんぜん交渉こうしょう離婚りこん禁止きんしなど厳格げんかくせい規範きはん跡形あとかたもなくり、自由じゆう恋愛れんあい社会しゃかいのメインストリームとなった。しかし、ドラッグの推奨すいしょうなどは中毒ちゅうどくなどの危険きけんせいもあり、メインストリームにはなりず、いまでもはん社会しゃかいてきなされている。言論げんろん自由じゆういまではメインストリームだが、ヘイトスピーチ猥褻わいせつなスピーチ(タブー)などはいまでも公言こうげんはばかられるアンダーグラウンドなところがある。

カウンターカルチャー運動うんどうは、ポピュラー音楽おんがく映画えいが現代げんだい美術びじゅつにも影響えいきょうおよぼした。当時とうじのアメリカ社会しゃかいにおけるカウンターカルチャーの旗手きしゅとしては、ティモシー・リアリーラルフ・ネーダージョン・レノンニール・ヤンググレイトフル・デッド[8]フランク・ザッパヴェルヴェット・アンダーグラウンドなどがあげられる。

1969ねんウッドストック・フェスティヴァルには、30くみ以上いじょうのロック・ミュージシャンなどが出演しゅつえんし、入場にゅうじょうしゃは40まんにん以上いじょうあつまり、フリーラブ&ピースそしてドラッグなど当時とうじのカウンターカルチャーを反映はんえいした。また、1997ねんにはカウンターカルチャーの殿堂でんどう設立せつりつされ、アレン・ギンズバーグらだけでなく、ボブ・マーリィピーター・トッシュチーチ&チョンまでが殿堂でんどうりしている[9]

しかし、やがてカウンターカルチャー世代せだい大人おとなになり、社会しゃかい中枢ちゅうすうになった。仮想かそうてきであったハイカルチャー失墜しっついした。21世紀せいき若者わかものにとってかれらの「カウンターカルチャー」は権威けんいならず、その意味いみ喪失そうしつしていった[10][11]アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく大学だいがく英文えいぶんはマイノリティ文学ぶんがく偏重へんちょうするようになり、人気にんき凋落ちょうらくしている[12]

関連かんれんする社会しゃかい運動うんどう

日本にっぽんのカウンターカルチャー

[編集へんしゅう]

おもなカウンターカルチャーの人物じんぶつ、グループ

[編集へんしゅう]

出典しゅってん脚注きゃくちゅう

[編集へんしゅう]
  1. ^ "counterculture", Merriam-Webster's Online Dictionary, 2008, MWCCul.
  2. ^ Eric Donald Hirsch. The Dictionary of Cultural Literacy. Houghton Mifflin. ISBN 0-395-65597-8. (1993) p. 419. "Members of a cultural protest that began in the U.S. In the 1960s and Europe before fading in the 1970s... fundamentally a cultural rather than a political protest."
  3. ^ "Contraculture and Subculture" by J. Milton Yinger, American Sociological Review, Vol. 25, No. 5 (Oct., 1960) https://www.jstor.org/stable/2090136
  4. ^ Hall & Jefferson, Resistance Through Rituals (1991), p. 61. "They make articulate their opposition to dominant values and institutions—even when, as frequently occurred, this does not take the form of an overtly political response."
  5. ^ ウォルター・クロンカイトしる浅野あさの輔訳「クロンカイトの世界せかい」(TBSブリタニカ 1999ねん
  6. ^ Contre-cultures : théorie & scènes Introduction
  7. ^ Theodore Roszak, The Making of a Counter Culture: Reflections on the Technocratic Society and Its Youthful Opposition, 1968/1969, Doubleday, New York,ISBN 978-0-385-07329-5.
  8. ^ The Grateful Dead - Live/Dead”. 2020ねん4がつ3にち閲覧えつらん[リンク]
  9. ^ http://sensiseeds.com > Home > Blog > Cannabis News
  10. ^ 佐々木ささきしゅんなお テクノロジー時代じだいのエンタテインメント(だい45かい)ジーンズに象徴しょうちょうされるかつての“カウンターカルチャー”の消滅しょうめつ(2/2) | ぴあエンタメ情報じょうほう
  11. ^ カウンター・カルチャー | 現代げんだい美術びじゅつ用語ようご辞典じてんver.2.0
  12. ^ アメリカにおける大学だいがく英文えいぶん凋落ちょうらくおもうこと:オピニオン:Chuo Online : YOMIURI ONLINE(読売新聞よみうりしんぶん
  13. ^ http://www.subculture.at/tenjō-sajiki/

参考さんこう文献ぶんけん

[編集へんしゅう]
  • くれさわつよし「カウンターカルチャー」(『日本にっぽんだい百科全書ひゃっかぜんしょ:ニッポニカ』)
  • 対抗たいこう文化ぶんか思想しそう : 若者わかものなにつくりだすか 』<ダイヤモンド現代げんだい選書せんしょ> シオドア・ローザック ちょ ; 稲見いなみ芳勝よしかつ, 風間かざまただし三郎さぶろう やく ダイヤモンド社だいやもんどしゃ 1972ねん;
  • Curl, John (2007), Memories of Drop City, The First Hippie Commune of the 1960s and the Summer of Love, a memoir, iUniverse. ISBN 0-595-42343-4. http://www.red-coral.net/DropCityIndex.html
  • Freud, S. (1905). Three essays on the theory of sexuality. In J. Strachey (Ed. and Trans.), The standard edition of the complete psychological works of Sigmund Freud. (Vol. 7, pp. 123–245). London: Hogarth Press. (Original work published 1905)
  • Gelder, Ken (2007), Subcultures: Cultural Histories and Social Practice, London: Routledge.

関連かんれん項目こうもく

[編集へんしゅう]