(Translated by https://www.hiragana.jp/)
メナキノン - Wikipedia コンテンツにスキップ

メナキノン

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
メナキノン
{{{画像alt1}}}
メナキノン-nの一般いっぱんした構造こうぞうしき
識別しきべつ情報じょうほう
PubChem
KEGG C00828 (MK-n)
特記とっきなき場合ばあい、データは常温じょうおん (25 °C)・つねあつ (100 kPa) におけるものである。

メナキノン(menaquinone; MK)は、2-メチル-1,4-ナフトキノンの3プレニルした化合かごうぶつ総称そうしょうしゅとして原核げんかく生物せいぶつ合成ごうせいし、嫌気いやけてき呼吸こきゅうくさりにおいてユビキノン相当そうとうする電子でんし伝達でんたつたいとして機能きのうしている。また動物どうぶつ体内たいないではガンマグルタミルカルボキシラーゼ因子いんしとしてはたらくことから、ビタミンK2ともばれる。

種類しゅるい[編集へんしゅう]

メナキノンはプレニルがわくさりながさによってメナキノン-4、メナキノン-7のよう区別くべつされる。この数字すうじがわくさり構成こうせいするイソプレン単位たんいかずあらわしており、それぞれMK-4、MK-7のように略記りゃっきする。原核げんかく生物せいぶつ呼吸こきゅうもちいるメナキノンは通常つうじょうMK-6からMK-10の範囲はんいであるが、MK-14までがられている。一方いっぽう細胞さいぼう動物どうぶつ食餌しょくじから摂取せっしゅしたビタミンKを体内たいないでMK-4に変換へんかんしてもちいている。

通常つうじょうプレニルがわくさりすべ飽和ほうわであるが、生物せいぶつによって部分ぶぶんてきもしくは完全かんぜん[1]飽和ほうわしたがわくさりつものがある。とくに1ヶ所かしょ飽和ほうわしたものをジヒドロメナキノンぶ。またプレニルがわくさりじゅう結合けつごう通常つうじょうすべてがトランスがたであるが、シスがた異性いせいたい生物せいぶつられている。めずらしいれいとしてはがわくさりにカルボニルもとふくクロロビウムキノンげられる。[2]

またナフトキノン骨格こっかく修飾しゅうしょくけた化合かごうぶつ利用りようする生物せいぶつられている。

  • メチルメナキノン(methylmenaquinone; MMK)
  • デメチルメナキノン(demethylmenaquinone; DMK)
  • ジメチルメナキノン(dimethylmenaquinone; DMMK)
  • メチオナキノン(methionaquinone; MTQ)

なま合成ごうせい[編集へんしゅう]

ナフトキノン骨格こっかくとプレニルがわくさり別々べつべつ合成ごうせいし、プレニルもと転移てんい酵素こうそ両者りょうしゃ結合けつごうする。

ナフトキノン骨格こっかくシキミさん経路けいろとおってコリスミさん基質きしつとして合成ごうせいされるが、それ以降いこうは2種類しゅるい合成ごうせい経路けいろられている。1つmen遺伝子いでんしぐんによる経路けいろで、7段階だんかいて1,4-ジヒドロキシ-2-ナフタレンカルボンさん(DHNA)にいたる。もう1つはフタロシン経路けいろで、コリスミさんイノシンなどからフタロシン経由けいゆして4段階だんかいでDHNAにいたる。

プレニルがわくさり合成ごうせいにはピルビンさんグリセルアルデヒド-3-リンさんからメバロンさん経路けいろ経由けいゆする(真正しんしょう細菌さいきん)か、アセチルCoAからメバロンさん経路けいろ経由けいゆする(細菌さいきん一部いちぶ真正しんせい細菌さいきん)。

DHNAと様々さまざまながさのプレニルリンさんをプレニルもと転移てんい酵素こうそ結合けつごうし、最後さいごに2をメチルすることで還元かんげんがたメナキノンが合成ごうせいされる。

機能きのう[編集へんしゅう]

原核げんかく生物せいぶつにおいて、メナキノンのしゅたる機能きのう呼吸こきゅうくさり光化学こうかがくけいにおける電子でんし伝達でんたつたいである。原核げんかく生物せいぶつ呼吸こきゅうくさり非常ひじょう多様たようであるが、おおくの生物せいぶつがNADH:メナキノン酸化さんか還元かんげん酵素こうそっている。これはミトコンドリア呼吸こきゅうくさりふく合体がったいIとあいどうタンパク質たんぱくしつふく合体がったいで、NADHを酸化さんかしメナキノンを還元かんげんするさい細胞さいぼうまくはさんでプロトンを輸送ゆそうする。こうしてしょうじるプロトン勾配こうばい利用りようしてATPが合成ごうせいされる。ほかに酵素こうそF420リンゴさんピルビンさんなどがメナキノンにたいして電子でんし供給きょうきゅうする。

しょうじた還元かんげんがたメナキノン(メナキノール)は、化合かごうぶつ電子でんしわたしてメナキノンにもどる。たとえばメナキノール:フマルさん酸化さんか還元かんげん酵素こうそはミトコンドリアの呼吸こきゅうくさりふく合体がったいIIとあいどうタンパク質たんぱくしつふく合体がったいで、メナキノールをメナキノンに酸化さんかするとともフマルさんコハクさんへと還元かんげんする。

進化しんか[編集へんしゅう]

メナキノンは酸化さんか還元かんげん電位でんい(Eo')が-74 mVとユビキノンよりもひくい。このため酸素さんそ分子ぶんし存在そんざいでは自発じはつてき酸化さんか状態じょうたいになるため電子でんし伝達でんたつたいとしては機能きのうできず、より還元かんげんてき嫌気いやけてき環境かんきょうにおける電子でんし伝達でんたつたいとして機能きのうする。地球ちきゅう歴史れきしじょう原生代げんせいだい以前いぜん大気たいきちゅう酸素さんそ濃度のうどひくかったことからほぼすべての生物せいぶつがメナキノンを利用りようしており、およそ6おくねんまえ以降いこう酸素さんそ濃度のうど上昇じょうしょうするにしたがってユビキノンを利用りようできる生物せいぶつひろがったとかんがえられる。メナキノンのようなてい電位でんいキノンから、ユビキノンのようなこう電位でんいキノンへの移行いこうは、原核げんかく生物せいぶつのいくつかの系統けいとう独立どくりつこったとかんがえられている。[2]

参考さんこう文献ぶんけん[編集へんしゅう]

  1. ^ Tindall BJ et al. (1989). “A Novel, Fully Saturated Menaquinone from the Thermophilic, Sulphate-reducing Archaebacterium Archaeoglobus fulgidus”. Microbiology 135 (3): 693-696. doi:10.1099/00221287-135-3-693. 
  2. ^ a b Nowicka B & Kruk J (2010). “Occurrence, biosynthesis and function of isoprenoid quinones”. Biochim Biophys Acta 1797 (9): 1587-1605. doi:10.1016/j.bbabio.2010.06.007.