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原生代げんせいだい

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
地質ちしつ時代じだい原生代げんせいだい[* 1][* 2]
累代るいだい だい きの 基底きてい年代ねんだい
Mya[* 3]
あらわせいだい 新生代しんせいだい 66
中生代ちゅうせいだい 251.902
古生代こせいだい 541
原生代げんせいだい しん原生代げんせいだい エディアカラン 635
クライオジェニアン 720
トニアン 1000
ちゅう原生代げんせいだい ステニアン 1200
エクタシアン 1400
カリミアン 1600
原生代げんせいだい スタテリアン 1800
オロシリアン 2050
リィアキアン 2300
シデリアン 2500
太古たいこだい[* 4] 4000
めい王代おうだい 4600
  1. ^ 基底きてい年代ねんだい数値すうちでは、このひょう本文ほんぶんちゅう記述きじゅつでは、ことなる出典しゅってんによるためちが場合ばあいもある。
  2. ^ 基底きてい年代ねんだい更新こうしん履歴りれき
  3. ^ ひゃくまんねんまえ
  4. ^ 始生代しせいだい」のしん名称めいしょう日本にっぽん地質ちしつ学会がっかいが2018ねん7がつ改訂かいてい

原生代げんせいだい(げんせいだい、えい:Proterozoic)とは、25おくねんまえからやく5おく4,100まんねんまえにあたる地質ちしつ時代じだい区分くぶん累代るいだい)のひとつ。しん原生代げんせいだいちゅう原生代げんせいだい原生代げんせいだいの3つのだい区分くぶんされる。

かつては、先カンブリア時代せんかんぶりあじだい以前いぜんすべての時代じだいしていた。古生代こせいだいカンブリア以前いぜん地質ちしつ時代じだいめい王代おうだい太古たいこだい原生代げんせいだい)をまとめて「先カンブリア時代せんかんぶりあじだい」とぶため、「先カンブリア時代せんかんぶりあじだい地質ちしつ区分くぶん」として研究けんきゅうする学者がくしゃもいる。

シアノバクテリア活動かつどうによって大気たいきちゅう酸素さんそ放出ほうしゅつはじまり、オゾンそうができて紫外線しがいせん地表ちひょうとどかなくなった。また、細菌さいきんるいから原始げんしかく生物せいぶつ分岐ぶんきし、さらにαあるふぁプロテオバクテリアミトコンドリア)が共生きょうせいすることで現在げんざいかく単細胞たんさいぼう生物せいぶつ成立せいりつした。後期こうきにはかた骨格こっかくった細胞さいぼう生物せいぶつ出現しゅつげんした。

はじまりとわり[編集へんしゅう]

原生代げんせいだいはじまりは、1981ねん提唱ていしょうされたりの数字すうじである「25おくねん」がひろもちいられている[1][2]。なぜなら、あらわせいだいでの時代じだい判定はんていは「地球ちきゅうじょうひろ範囲はんい同時どうじみとめられる生物せいぶつ化石かせき変遷へんせん」をもちいているものの、原生代げんせいだい年代ねんだいめる明瞭めいりょう地質ちしつがくてき事項じこうがないためである。25おくねんまえ前後ぜんごすうおく年間ねんかんは、地球ちきゅう内部ないぶ表面ひょうめんおおきな変化へんかがあり、「大変たいへん流動的りゅうどうてき太古たいこだい」から現代げんだいてき原生代げんせいだい移行いこうした[3]

原生代げんせいだいわり、すなわちあらわせいだいはじまりは、カンブリアしめせじゅん化石かせきであるフィコデスぞくペダムしゅ(PhycodesぞくPedumしゅ)のなまあと化石かせきつかるやく5おく4,100まんねんまえとされている[4]

地球ちきゅう表層ひょうそう状況じょうきょう[編集へんしゅう]

太古たいこだいマントル温度おんど現在げんざいよりもかなりたかく、その影響えいきょうでマントルが部分ぶぶん溶融ようゆうしてできたマグマ由来ゆらいする火成岩かせいがん成分せいぶん現在げんざいとはおおきくことなっていたが[5]、25おくねんまえ前後ぜんこう現在げんざい組成そせいちかいものに移行いこうした[3]。ほぼどう時期じき海中かいちゅう巨大きょだいしまじょう鉄鉱てっこうゆか堆積たいせきし、大気たいきちゅう大量たいりょう二酸化炭素にさんかたんそ酸素さんそ濃度のうどがった。原生代げんせいだいつうじて陸地りくちえ、いくつかの大陸たいりくちょう大陸たいりくまれた。気候きこう寒冷かんれいし、氷河ひょうが時代じだい痕跡こんせきのこるようになったが、もっと寒冷かんれいしたさいには地球ちきゅう全体ぜんたい氷結ひょうけつしたスノーボールアースふくすうかいこった。

原生代げんせいだい初期しょき地表ちひょう[編集へんしゅう]

西にしオーストラリアのシャークわんられる現生げんなまのストロマトライト

27おくねんまえ非常ひじょう活発かっぱつ火山かざん活動かつどうがあり、陸地りくち大幅おおはばえた[6]えた大陸たいりく周辺しゅうへんあさうみに、光合成こうごうせいをおこなうシアノバクテリア集合しゅうごうたいであるストロマトライトだい規模きぼ形成けいせいされた[7]。ストロマトライトから放出ほうしゅつされた酸素さんそ海中かいちゅう拡散かくさんし、当時とうじ海中かいちゅう大量たいりょう溶解ようかいしていた2てつイオンを酸化さんかして沈殿ちんでんさせしまじょう鉄鉱てっこうゆか生成せいせいした。しまじょう鉄鉱てっこうゆか生成せいせいのピークは27おくねんまえから19おくねんまえまでであった[8]

太古たいこだい大気たいきには酸素さんそはほとんどなく、大量たいりょう二酸化炭素にさんかたんそ窒素ちっそ大気たいき成分せいぶんであった。原生代げんせいだいはいってストロマトライトの活動かつどう酸素さんそ生成せいせいされはじめたが、浅海せんかいに2てつ十分じゅうぶんあるあいだ酸素さんそただちに消費しょうひされるため、大気たいきちゅう酸素さんそ濃度のうど非常ひじょうひくいレベルのままであった。しかし22おくねんまえごろから大気たいき酸素さんそふくまれていたことをしめす「赤色あかいろ土壌どじょう」や「赤色あかいろ砂岩さがん」が出現しゅつげんするようになった[9][10]。その大気たいきちゅう酸素さんそ比率ひりつ徐々じょじょえてゆく。22-23おくねんまえ地球ちきゅう寒冷かんれいなんかいかの氷河ひょうが時代じだいむかえたが、もっと寒冷かんれいしたヒューロニアンごおり[11]には赤道せきどうちかくまで氷結ひょうけつし、スノーボールアースとなった可能かのうせいがあるとされる[12]寒冷かんれい原因げんいん大気たいきちゅう二酸化炭素にさんかたんそ濃度のうどがって温室おんしつ効果こうかったためと推定すいていされる[13]二酸化炭素にさんかたんそ濃度のうど減少げんしょう原因げんいんは、大陸たいりく拡大かくだいによって岩石がんせき風化ふうかりょう風化ふうか岩石がんせきちゅう金属きんぞく元素げんそ空中くうちゅう二酸化炭素にさんかたんそ消費しょうひしたとかんがえられるが、さらに風化ふうかした塩類えんるいうみはいって大量たいりょう栄養えいよう塩類えんるいとなり生物せいぶつ活動かつどう光合成こうごうせい)を活発かっぱつさせ、二酸化炭素にさんかたんそ消費しょうひしたこともかんがえられる[14]

ちょう大陸たいりく形成けいせい[編集へんしゅう]

プレートテクトニクスでは、プレートがうごくことでそのうえ陸地りくち地表ちひょう移動いどうする。地球ちきゅう歴史れきしではほとんどの大陸たいりくが1かしょ集結しゅうけつして巨大きょだいちょう大陸たいりく形成けいせいしたことがあった。あらわせいだい存在そんざいしたパンゲア有名ゆうめいであるが、原生代げんせいだい後期こうきの10おくねんまえごろにも「地上ちじょうのほとんどの陸地りくちあつまったちょう大陸たいりく」が存在そんざいしたとする検討けんとう結果けっかが1990ねんごろから報告ほうこくされている。このちょう大陸たいりくロディニア大陸たいりくばれるが、やく7おくねんまえに3つに分裂ぶんれつした[15]。ロディニアはそれ以前いぜんにあった比較的ひかくてきおおきなヌーナ大陸たいりくコロンビア大陸たいりくアトランティカ大陸たいりくの3つが合体がったいしたものである[16]。これら3大陸たいりくやく19おくねんまえにあった活発かっぱつ大陸たいりく成長せいちょうのピーク[17]、もっとちいさな陸地りくち集合しゅうごう成長せいちょうして生成せいせいした[18]

原生代げんせいだい後期こうき氷河ひょうが時代じだい[編集へんしゅう]

原生代げんせいだい後期こうき相当そうとうする地層ちそうから「氷河ひょうが起因きいんする堆積たいせきぶつ」が世界せかい各地かくち発見はっけんされており、この時代じだいなん寒冷かんれい時期じきがあったこと判明はんめいしている。とくスターティアンごおり(7おく3,000まんねん-7おくねんまえ)とマリノアンごおり(6おく6,500まん-6おく3,500まんねんまえ)には当時とうじ赤道せきどうちかくの地層ちそうからも氷河ひょうが起因きいんする堆積たいせきぶつつかっており、地球ちきゅう非常ひじょう寒冷かんれいしたことがかっている[12]当時とうじ地層ちそうから採取さいしゅされた岩石がんせき分析ぶんせき結果けっか炭素たんそ同位どういからだ)から、当時とうじ生物せいぶつけん壊滅かいめつてき打撃だげきけ、地球ちきゅうじょうすべての生物せいぶつ活動かつどうがほとんど停止ていししていたことが判明はんめいした[19]。この現象げんしょう研究けんきゅうしたカリフォルニア工科こうか大学だいがくのカーシェビンクは、この時代じだい地球ちきゅう全体ぜんたい凍結とうけつしたスノーボールアース現象げんしょうこったとしている。

原生代げんせいだい生物せいぶつ[編集へんしゅう]

太古たいこだい生物せいぶつは、細菌さいきん真正しんしょう細菌さいきん主体しゅたいであった。原生代げんせいだいはいるとより進化しんか複雑ふくざつ組織そしきかく生物せいぶつ繁栄はんえいし、原生代げんせいだい後期こうきには細胞さいぼう生物せいぶつまれた。原生代げんせいだい最後さいごエディアカラ地層ちそうからは多数たすう動物どうぶつ化石かせきつかっている。

かく生物せいぶつ誕生たんじょう[編集へんしゅう]

コイルじょうのグリパニアの化石かせき

酸素さんそしたシアノバクテリアは細胞さいぼうないかくたない細菌さいきんであるが、21おくねんまえしまじょう鉄鉱てっこうゆかから細胞さいぼうないかくゆうするかく生物せいぶつ化石かせきが1992ねん発見はっけんされた[20]。これはグリパニア(grypania)とばれて、コイルじょうかんからできている。およそ17おくねんまえごろから球形きゅうけいをした化石かせき無数むすうつかっている。精巧せいこう細胞さいぼうかべっているものがあり、原始げんしてき藻類そうるい胞子ほうしだとかんがえられている。これらはアクリターク命名めいめいされている。おおきさは時代じだいあたらしくなるにつれておおきくなるが直径ちょっけいすうぶんいちミリメートル程度ていどである。その2010ねんガボンおこなわれた採掘さいくつ結果けっかガボン細胞さいぼう生物せいぶつ発見はっけんされ、15おくねんまえすで細胞さいぼう生物せいぶつ存在そんざいしたということ発見はっけんされた[21]

細胞さいぼう生物せいぶつ誕生たんじょう[編集へんしゅう]

植物しょくぶつ細胞さいぼう生物せいぶつ化石かせきもっとふるいものは、カナダサマーセットとうの7おく5,000ねんまえ〜12おく5,000まんねんまえハンティング地層ちそうからつかったべに藻類そうるい化石かせきである[22]。またひがしシベリアの10-9おくねんまえ地層ちそうから藻類そうるい化石かせきつかっている[23]動物どうぶつでは1947ねんみなみオーストラリアのフリンダース山脈さんみゃくエディアカラおかにある原生代げんせいだいさい末期まっき地層ちそうから、肉眼にくがんえる動物どうぶつ化石かせきスプリッギナ)が発見はっけんされた[24]。そのエディアカラのおかやその周辺しゅうへんから多種たしゅ多数たすう動物どうぶつ化石かせき発見はっけんされ、エディアカラ動物どうぶつぐんばれている。エディアカラ動物どうぶつぐん化石かせきつかるのは5おく7せんまんねんまえから5おく4せんまんねんまえというみじか期間きかん集中しゅうちゅうしており、すべてかた骨格こっかくたない生物せいぶつであった。エディアカラ動物どうぶつぐん化石かせき世界せかいの20かしょ以上いじょう地域ちいきつかっている[25]。これらの化石かせき産出さんしゅつする時代じだいはかつてベンドばれていたが、現在げんざいエディアカラばれている[26]。これらの細胞さいぼう動物どうぶつ誕生たんじょうする直前ちょくぜんいちじるしい寒冷かんれいだったマリノニアン氷河ひょうが時代じだいがあり、環境かんきょう激変げきへん動物どうぶつ急激きゅうげき進化しんかうながしたという議論ぎろんがある[27]

細胞さいぼう動物どうぶつについては つぎあらわせいだいカンブリアかた骨格こっかくゆうする多種たしゅ多様たよう動物どうぶつぐん一気いっき出現しゅつげんする。

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

  1. ^ ようせつ 地質ちしつ年代ねんだい」P31
  2. ^ 地殻ちかく進化しんかがく」p32
  3. ^ a b ようせつ 地質ちしつ年代ねんだい」P30
  4. ^ 最新さいしん地球ちきゅうがよくわかるほん」 P255
  5. ^ コマチアイト参照さんしょう
  6. ^ 地球ちきゅう進化しんかろん」P114-P115
  7. ^ 最新さいしん 地球ちきゅうくわかるほん」p170
  8. ^ 最新さいしん 地球ちきゅうくわかるほん」p176-177
  9. ^ 地球ちきゅう環境かんきょう46おくねんだい変動へんどう」P98-99
  10. ^ 最新さいしん 地球ちきゅうくわかるほん」p177
  11. ^ マクガニン氷河ひょうが時代じだいともばれる
  12. ^ a b 地球ちきゅう環境かんきょう46おくねんだい変動へんどう」p146-147
  13. ^ 太陽たいよう誕生たんじょうあかるさは現在げんざいやく70%でそれ以来いらい徐々じょじょあかるさをしてきている。それゆえ過去かこ地球ちきゅうにおいては現在げんざいよりも強力きょうりょく温室おんしつ効果こうかがないと地球ちきゅう氷結ひょうけつしてしまう。「地球ちきゅう環境かんきょう46おくねんだい変動へんどう」p63-67
  14. ^ 地球ちきゅう進化しんかろん」P122
  15. ^ 最新さいしん 地球ちきゅうくわかるほん」p223-225
  16. ^ 地球ちきゅう進化しんかろん」P458
  17. ^ 地球ちきゅう進化しんかろん」P114
  18. ^ 地球ちきゅう進化しんかろん」P456
  19. ^ 地球ちきゅう環境かんきょう46おくねんだい変動へんどう」p155-156
  20. ^ 地球ちきゅう進化しんかろん」P123
  21. ^ 細胞さいぼう生物せいぶつ定説ていせつの15おくねんまえにすでに出現しゅつげんか ガボンであらたな化石かせき”. 2022ねん7がつ2にち閲覧えつらん
  22. ^ サウスウッド (2007) pp.50-51
  23. ^ 生命せいめい地球ちきゅうきょう進化しんか」p105
  24. ^ 生命せいめい地球ちきゅうきょう進化しんか」p179
  25. ^ 最新さいしん 地球ちきゅうくわかるほん」p240
  26. ^ 最新さいしん 地球ちきゅうくわかるほん」p244
  27. ^ 生命せいめい地球ちきゅうきょう進化しんか」p188-191

参考さんこう文献ぶんけん[編集へんしゅう]

  • リチャード・サウスウッドしる垂水たるみ雄二ゆうじやく生命せいめい進化しんか物語ものがたり八坂やさか書房しょぼう 2007ねん ISBN 978-4-89694-887-5
  • 最新さいしん地球ちきゅうがよくわかるほん」 川上かわかみしんいち東條とうじょう文治ぶんじ 秀和しゅうわシステム 2006ねん
  • 地殻ちかく進化しんかがく」 堀越ほりこしあきら 東京とうきょう大学だいがく出版しゅっぱんかい 2010ねん
  • ようせつ 地質ちしつ年代ねんだい」 J.G.オッグらちょ 鈴木すずき寿志ひさしやく 京都きょうと大学だいがく学術がくじゅつ出版しゅっぱんかい 2012ねん
  • 新装しんそうばん地球ちきゅう惑星わくせい科学かがく13 地球ちきゅう進化しんかろんたいら朝彦あさひこ阿部あべすすむ川上かわかみしんいち清川きよかわ昌一しょういち有馬ありましん田近たぢか英一ひでかず箕浦みのうら幸治こうじ 岩波書店いわなみしょてん 2011ねん
  • 生命せいめい地球ちきゅう歴史れきし」 丸山まるやま重徳しげのり磯崎いそざき行雄ゆきお 岩波いわなみ新書しんしょ543 1998ねん
  • 地球ちきゅう環境かんきょう46おくねんだい変動へんどう」 田近たぢか英一ひでかず 化学かがく同人どうじん 2009ねん

関連かんれん項目こうもく[編集へんしゅう]

外部がいぶリンク[編集へんしゅう]