火成岩かせいがん

火成岩かせいがん（かせいがん、igneous rock）は、マグマが冷ひえて固かたまった岩石がんせき（若干じゃっかんの異物いぶつを取とり込こんだものを含ふくむ）。

火成岩かせいがんは大おおきく分わけて、火山岩かざんがん（マグマが急激きゅうげきに冷ひえて固かたまったもの）と深成岩しんせいがん（マグマがゆっくり冷ひえて固かたまったもの）の2つに分類ぶんるいされる。以前いぜんはその中間ちゅうかんとして半はん深成岩しんせいがんという分類ぶんるいもあったが、現在げんざいでは使つかわれない。火山岩かざんがんと深成岩しんせいがんの分類ぶんるいにおいて重要じゅうようなのは、冷ひえ固かたまったスピードであり、どの場所ばしょで固かたまったかは分類ぶんるいに関係かんけいしない。

また、SiO₂の含有がんゆう量りょう（重量じゅうりょう%）によって、超ちょう塩基えんき性せい岩がん・塩基えんき性せい岩がん・中性ちゅうせい岩がん・酸性さんせい岩がんと分わけられる。苦く鉄てつ質しつ鉱物こうぶつ（マフィック鉱物こうぶつ）と珪長質しつ鉱物こうぶつ（フェルシック鉱物こうぶつ）の量りょう比ひにより、超ちょう苦く鉄てつ質しつ岩がん・苦く鉄てつ質しつ岩がん・中間ちゅうかん質しつ岩がん・珪長質しつ岩がんと分わけられ、色いろ指数しすうにより、超ちょう優ゆう黒くろ質しつ岩がん・優ゆう黒くろ質しつ岩がん・中ちゅう色しょく質しつ岩がん・優ゆう白しろ質しつ岩がんと分わけることもある。いずれの境界きょうかいも、定義ていぎにより値ねは異ことなる。

国際こくさい地質ちしつ科学かがく連合れんごう（IUGS）による分類ぶんるい

「QAPF図ず」も参照さんしょう

火成岩かせいがんを構成こうせいしている鉱物こうぶつグループの量りょう比ひ（容量ようりょう%）によって分類ぶんるいする。

有色ゆうしょく鉱物こうぶつ（M）が90%以下いかの火成岩かせいがんは、石英せきえい（Q）、長石ちょうせき（A）、斜はす長石ちょうせき（P）、準じゅん長石ちょうせき（F）の4種類しゅるいの量りょう比ひによって分類ぶんるいする。石英せきえい（Q）と準じゅん長石ちょうせき（F）は共存きょうぞんしないため、石英せきえい（Q）と準じゅん長石ちょうせき（F）を対たい角かくとする菱形ひしがたダイアグラムの領域りょういきによって定義ていぎされる。

有色ゆうしょく鉱物こうぶつ（M）が90%を超こえる火成岩かせいがんは、カンラン石せき、輝石きせき＋角すみ閃石、斜はす長石ちょうせきの3成分せいぶん、あるいは、カンラン石せき、角すみ閃石、輝石きせきの3成分せいぶんの量りょう比ひによって分類ぶんるいする。それぞれを頂点ちょうてんとする三角さんかくダイアグラムの領域りょういきによって定義ていぎされる。

成分せいぶんによる分類ぶんるい

深成岩しんせいがん

超ちょう塩基えんき性せい岩がん: かんらん岩がん
塩基えんき性せい岩がん: 斑むられい岩がん
中性ちゅうせい岩がん: 閃緑岩がん
酸性さんせい岩がん: 花崗みかげ閃緑岩がん、花崗岩かこうがん

火山岩かざんがん

超ちょう塩基えんき性せい岩がん: キンバリーライト
塩基えんき性せい岩がん: 玄武岩げんぶがん
中性ちゅうせい岩がん: 安山岩あんざんがん
酸性さんせい岩がん: デイサイト、流ながれ紋もん岩がん

主おもな火成岩かせいがんの化学かがく組成そせい

化学かがく組成そせい^[1]
成分せいぶん	コマチアイト	アルカリ玄武岩げんぶがん	洪水こうずい玄武岩げんぶがん	海洋かいよう島とう玄武岩げんぶがん	深海ふかうみ底そこ玄武岩げんぶがん	島しま弧こ玄武岩げんぶがん	カルクアルカリ安山岩あんざんがん	カルクアルカリデイサイト	カルクアルカリ流ながれ紋もん岩がん	花崗岩かこうがん
SiO₂	45.80	45.40	50.01	50.51	50.68	51.90	59.20	67.20	75.20	72.20
TiO₂	00.30	03.00	01.00	02.63	01.49	00.80	00.70	00.50	00.20	00.30
Al₂O₃	07.30	14.70	17.08	13.45	15.60	16.00	17.10	16.20	13.50	14.60
Cr₂O₃	00.20	-00	-00	-00	-00	-00	-00	-00	-00	-00
Fe₂O₃	-00	04.10	-00	01.78	-00	-00	02.90	02.00	01.00	-00
FeO	11.20	09.20	10.01	09.59	09.85	09.56	04.20	01.80	01.10	02.40
MnO	-00	-00	00.14	00.17	-00	00.17	-00	-00	-00	-00
MgO	26.10	07.80	07.84	07.41	07.69	06.77	03.70	01.50	00.50	01.00
CaO	07.60	10.50	11.01	11.18	11.44	11.80	07.10	03.80	01.60	01.70
Na₂O	00.70	03.00	02.44	02.28	02.66	02.42	03.20	04.30	04.20	02.90
K₂O	00.10	01.00	00.27	00.49	00.17	00.44	01.30	02.10	02.70	04.50
P₂O₅	-00	-00	00.19	00.28	00.12	00.11	00.20	00.20	00.10	-00
合計ごうけい	99.30	98.70	99.99	99.77	99.70	100.0	99.60	99.60	100.1	99.60

形状けいじょうによる分類ぶんるい

火山岩かざんがん
- 溶岩ようがん、火山かざん砕屑岩がん
それ以外いがい
- 岩いわ脈みゃく、岩床がんしょう（シルあるいはシート）、バソリス（底そこ盤ばん）

脚注きゃくちゅう

[脚注きゃくちゅうの使つかい方かた]

^ 国立こくりつ天文台てんもんだい編へん「おもな火成岩かせいがんの化学かがく組成そせい」『理科りか年表ねんぴょう 2021』丸善まるぜん、2020年ねん、651頁ぺーじ。ISBN 978-4-621-30560-7。

参考さんこう文献ぶんけん

黒田くろだ吉益よします、諏訪すわ兼けん位い「第だい6章しょう火成岩かせいがん」『偏へん光こう顕微鏡けんびきょうと岩石がんせき鉱物こうぶつ第だい2版はん』共立きょうりつ出版しゅっぱん、1983年ねん、229-271頁ぺーじ。ISBN 4-320-04578-5。
久城くじょう育夫いくおほか編へん『日本にっぽんの火成岩かせいがん』岩波書店いわなみしょてん、1989年ねん。ISBN 4-00-005766-9。
山崎やまざき貞治さだはる「第だい3章しょう火成岩かせいがんの分類ぶんるいの考かんがえかた」『はじめて出会であう岩石がんせき学がく：火成岩かせいがん岩石がんせき学がくへの招待しょうたい』共立きょうりつ出版しゅっぱん、1990年ねん、71-85頁ぺーじ。ISBN 4-320-04623-4。
豊ゆたか遙はるか秋あき、青木あおき正博まさひろ『検索けんさく入門にゅうもん鉱物こうぶつ・岩石がんせき』保育ほいく社しゃ、1996年ねん。ISBN 4-586-31040-5。

外部がいぶリンク

[1] 国立こくりつ天文台てんもんだい編へん「おもな火成岩かせいがんの化学かがく組成そせい」『理科りか年表ねんぴょう 2021』丸善まるぜん、2020年ねん、651頁ぺーじ。ISBN 978-4-621-30560-7。

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典拠てんきょ管理かんりデータベース
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