かんらん岩がん

かんらん岩がん
	火成岩かせいがん
	かんらん岩がん（左ひだり上部じょうぶの粗あら粒つぶな部分ぶぶん）
構成こうせい物ぶつ
主要しゅよう構成こうせい物ぶつ	かんらん石せき
他た構成こうせい物ぶつ	輝石きせき
	プロジェクト:地球ちきゅう科学かがく／Portal:地球ちきゅう科学かがく
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かんらん岩がん^[1]^[2]（かんらんがん、橄欖かんらん岩がん、英えい: peridotite）は火成岩かせいがん（深成岩しんせいがん）の一種いっしゅで、SiO₂ 成分せいぶんに乏とぼしい超ちょう塩基えんき性せい岩がんに分類ぶんるいされる。主おもにかんらん石せき^{[注ちゅう 1]}からなり、そのほかに斜はす方かた輝石きせき、単たん斜はす輝石きせきなどを含ふくむ。

成分せいぶん・種類しゅるい

超ちょう苦く鉄てつ質しつ岩がん（有色ゆうしょく鉱物こうぶつ90%以上いじょう）の分類ぶんるい

岩石がんせきに含ふくまれる鉱物こうぶつ量りょう比ひにより、さらに4つの岩石がんせきに分類ぶんるいされる。

ダンかんらん岩がん^[1]^[2]（dunite、ダナイト）: かんらん石せきが全体ぜんたいの90%以上いじょうを占しめるもの。
斜はす方かた輝石きせきかんらん岩がん^[1]（harzburgite、ハルツバージャイト^[2]）: かんらん石せきを50%以上いじょう含ふくむ岩石がんせきのうち、斜はす方かた輝石きせきに富とむもの。
単たん斜はす輝石きせきかんらん岩がん^[1]（wehrlite、ウェールライト）: かんらん石せきを50%以上いじょう含ふくむ岩石がんせきのうち、単たん斜はす輝石きせきに富とむもの。
複ふく輝石きせきかんらん岩がん^[1]（lherzolite、レールゾライト^[2]）: かんらん石せきを50%以上いじょう含ふくむ岩石がんせきのうち、斜はす方かた輝石きせきと単たん斜はす輝石きせきの両方りょうほうが伴ともなわれるもの。複ふく輝石きせきかんらん岩がんが部分ぶぶん溶融ようゆうして玄武岩げんぶがん質しつマグマを生成せいせいすると考かんがえられている。

ダンかんらん岩がん（ダナイト）
複ふく輝石きせきかんらん岩がん（レールゾライト）

産出さんしゅつ地ち・ジオパーク

かんらん岩がんはマントル上部じょうぶを構成こうせいする岩石がんせきの一ひとつであり^{[注ちゅう 2]}、そのほとんどが地下ちか深ふかくに存在そんざいする。

地表ちひょうで見みられるものには、地殻ちかくが捲まくれあがってマントル物質ぶっしつが地表ちひょうに現あらわれたものや、マグマ等ひとしが急激きゅうげきに上昇じょうしょうする際さいに、捕獲ほかく岩がんとして運はこばれてきたものがある。他たの超ちょう塩基えんき性せい岩いわ類るいや塩基えんき性せい岩がんなどと共ともにオフィオライトの一部いちぶを構成こうせいすることが多おおい。

低圧ていあつでは斜はす長石ちょうせきかんらん岩がん、中ちゅう圧あつではスピネルかんらん岩がん、高こう圧あつでは柘榴ざくろ石せきかんらん岩がんとなる。

ジオパーク: 地球ちきゅう科学かがく的てきに特徴とくちょう的てきな地形ちけいはジオパークと呼よばれ保全ほぜんや教育きょういくなどに活用かつようされる。北海道ほっかいどう・日高ひだか山脈さんみゃくのアポイ岳あぽいだけは、世界せかい的てきにもまれなかんらん岩がんを露出ろしゅつさせた山やまであることから2015年ねんにユネスコ世界せかいジオパークに認定にんていされた^[3]。

性質せいしつ・特徴とくちょう

かんらん岩がんは変成へんせい作用さようを受うけやすく、地表ちひょうで見みられる場合ばあいには、二酸化炭素にさんかたんそと反応はんのうして蛇紋じゃもん岩がんに変化へんかしている場合ばあいがほとんどである。また高こう圧あつがかかりやすいプレート境界きょうかい部ぶとなる地中ちちゅうにおいても、熱ねつ水すいなどと反応はんのうし蛇紋じゃもん岩がんとなる。蛇紋じゃもん岩がんは脆もろい滑石かっせきを含ふくむため地震じしんの発生はっせい機構きこうとの関係かんけいが示唆しさされる^[3]^[4]^[5]^[6]。

脚注きゃくちゅう

[脚注きゃくちゅうの使つかい方かた]

注釈ちゅうしゃく

^ 「橄欖かんらん石せき」（かんらん石せき、olivine）は鉱物こうぶつの名称めいしょうであり、「橄欖かんらん岩がん」（かんらん岩がん、peridotite）は岩石がんせきの名称めいしょうである。
^ マントル物質ぶっしつと考かんがえられているものは、かんらん岩がん以外いがいにもエクロジャイト、キンバリー岩がんなどがある。

出典しゅってん

^ ^a ^b ^c ^d ^e 文部省もんぶしょう編へん『学術がくじゅつ用語ようご集しゅう地学ちがく編へん』日本にっぽん学術がくじゅつ振興しんこう会かい、1984年ねん、323頁ぺーじ。ISBN 4-8181-8401-2。 ^{[リンク切きれ]}
^ ^a ^b ^c ^d 日本にっぽん地質ちしつ学会がっかい編へん『地質ちしつ学がく用語ようご集しゅう - 和英かずひで・英和えいわ』共立きょうりつ出版しゅっぱん、2004年ねん、366頁ぺーじ。ISBN 4-320-04643-9。
^ ^a ^b 藤岡ふじおか換かわ太郎たろう (2023年ねん7月がつ8日にち). “北海道ほっかいどうにある高こう純度じゅんどな「かんらん岩がん」が「地震じしんの原因げんいん」を解明かいめいするカギだった…その「衝撃しょうげきのワケ」”. ブルーバックス. 講談社こうだんしゃ. 2023年ねん7月がつ9日にち閲覧えつらん。
^ “【研究けんきゅう成果せいか】水みずを含ふくんだマントル岩石がんせきが，地震じしん発生はっせいの原因げんいんとなる可能かのう性せいを発見はっけん”. 広島大学ひろしまだいがく理学部りがくぶ (2018年ねん11月26日にち). 2022年ねん5月がつ26日にち閲覧えつらん。
^ Kita, Saeko (2018年ねん11月19日にち). “Physical mechanisms of oceanic mantle earthquakes: Comparison of natural and experimental events” (英語えいご). Scientific Reports. ネイチャー. pp. 17049. doi:10.1038/s41598-018-35290-x. 2022年ねん5月がつ26日にち閲覧えつらん。
^ Smyth, J. R.; Frost, D. J.; Nestola, F.; Holl, C. M.; Bromiley, G. (2006). “Olivine hydration in the deep upper mantle: Effects of temperature and silica activity”. Geophysical Research Letters 33 (15): L15301. Bibcode: 2006GeoRL..3315301S. doi:10.1029/2006GL026194. オリジナルの2017-08-09時点じてんにおけるアーカイブ。 2017年ねん10月がつ26日にち閲覧えつらん。.

参考さんこう文献ぶんけん

都城みやこのじょう秋穂あいお、久城くじょう育夫いくお「18・7 超ちょうマフィック岩がん類るい A. カンラン岩がん類るい」『岩石がんせき学がくII - 岩石がんせきの性質せいしつと分類ぶんるい』共立きょうりつ出版しゅっぱん〈共立きょうりつ全書ぜんしょ〉、1975年ねん、87-89頁ぺーじ。ISBN 4-320-00205-9。
黒田くろだ吉益よします、諏訪すわ兼けん位い「6.6 超ちょう塩基えんき性せい岩がんおよび関連かんれんする岩石がんせき A. ダンかんらん岩がん，かんらん岩がん」『偏へん光こう顕微鏡けんびきょうと岩石がんせき鉱物こうぶつ第だい2版はん』共立きょうりつ出版しゅっぱん、1983年ねん、257-261頁ぺーじ。ISBN 4-320-04578-5。
久城くじょう育夫いくお・荒牧あらまき重雄しげお・青木あおき謙一郎けんいちろう編へん『日本にっぽんの火成岩かせいがん』岩波書店いわなみしょてん、1989年ねん。ISBN 4-00-005766-9。
豊ゆたか遙はるか秋あき・青木あおき正博まさひろ『検索けんさく入門にゅうもん鉱物こうぶつ・岩石がんせき』保育ほいく社しゃ、1996年ねん、18頁ぺーじ。ISBN 4-586-31040-5。

外部がいぶリンク

“ダナイト（ダンかんらん岩がん）^{[リンク切きれ]}・スピネル・レールゾライト（スピネル複ふく輝石きせきかんらん岩がん）^{[リンク切きれ]}”. 地質ちしつ標本ひょうほん館かん. 産業さんぎょう技術ぎじゅつ総合そうごう研究所けんきゅうじょ地質ちしつ調査ちょうさ総合そうごうセンター. 2012年ねん4月がつ12日にち閲覧えつらん。

[3] 「橄欖かんらん石せき」（かんらん石せき、olivine）は鉱物こうぶつの名称めいしょうであり、「橄欖かんらん岩がん」（かんらん岩がん、peridotite）は岩石がんせきの名称めいしょうである。

[4] マントル物質ぶっしつと考かんがえられているものは、かんらん岩がん以外いがいにもエクロジャイト、キンバリー岩がんなどがある。

[terms-1] 文部省もんぶしょう編へん『学術がくじゅつ用語ようご集しゅう地学ちがく編へん』日本にっぽん学術がくじゅつ振興しんこう会かい、1984年ねん、323頁ぺーじ。ISBN 4-8181-8401-2。 ^{[リンク切きれ]}

[terms2-2] 日本にっぽん地質ちしつ学会がっかい編へん『地質ちしつ学がく用語ようご集しゅう - 和英かずひで・英和えいわ』共立きょうりつ出版しゅっぱん、2004年ねん、366頁ぺーじ。ISBN 4-320-04643-9。

[gendai-5] 藤岡ふじおか換かわ太郎たろう (2023年ねん7月がつ8日にち). “北海道ほっかいどうにある高こう純度じゅんどな「かんらん岩がん」が「地震じしんの原因げんいん」を解明かいめいするカギだった…その「衝撃しょうげきのワケ」”. ブルーバックス. 講談社こうだんしゃ. 2023年ねん7月がつ9日にち閲覧えつらん。

[6] “【研究けんきゅう成果せいか】水みずを含ふくんだマントル岩石がんせきが，地震じしん発生はっせいの原因げんいんとなる可能かのう性せいを発見はっけん”. 広島大学ひろしまだいがく理学部りがくぶ (2018年ねん11月26日にち). 2022年ねん5月がつ26日にち閲覧えつらん。

[7] Kita, Saeko (2018年ねん11月19日にち). “Physical mechanisms of oceanic mantle earthquakes: Comparison of natural and experimental events” (英語えいご). Scientific Reports. ネイチャー. pp. 17049. doi:10.1038/s41598-018-35290-x. 2022年ねん5月がつ26日にち閲覧えつらん。

[8] Smyth, J. R.; Frost, D. J.; Nestola, F.; Holl, C. M.; Bromiley, G. (2006). “Olivine hydration in the deep upper mantle: Effects of temperature and silica activity”. Geophysical Research Letters 33 (15): L15301. Bibcode: 2006GeoRL..3315301S. doi:10.1029/2006GL026194. オリジナルの2017-08-09時点じてんにおけるアーカイブ。 2017年ねん10月がつ26日にち閲覧えつらん。.

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[注ちゅう 1]

[注ちゅう 2]

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