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長石ちょうせき

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せい長石ちょうせき

長石ちょうせき(ちょうせき、feldspar)は、複数ふくすう鉱物こうぶつたね総称そうしょうする鉱物こうぶつグループであり、アルカリ金属きんぞくおよびアルカリるい金属きんぞくなどのアルミノケイ酸けいさんしお主成分しゅせいぶんとするさん次元じげん構造こうぞうのテクトケイさんしお一種いっしゅである。

地殻ちかくなか普遍ふへんてき存在そんざいする鉱物こうぶつで、もっとも存在そんざいりょうおおく、ほとんどの岩石がんせき火成岩かせいがん変成岩へんせいがん堆積岩たいせきがん)にふくまれるみやつこがん鉱物こうぶつであり、とく花崗岩かこうがんには60%前後ぜんごふくまれ、玄武岩げんぶがんにも50%前後ぜんごふくまれる。ぎゃくに、長石ちょうせきふくまない岩石がんせきはほとんどなく、そのような岩石がんせき非常ひじょう特異とくい生成せいせい過程かていている場合ばあいおおい。

いろのついているものもあるが、通常つうじょう白色はくしょくである。モース硬度こうどは 6 - 6.5、比重ひじゅう 2.5 - 2.7 である。化学かがく組成そせいによりいくつかに分類ぶんるいされるが、おおくの種類しゅるい長石ちょうせきたがいに固溶体こようたい形成けいせいするため、それぞれのはし成分せいぶんあいだには化学かがく組成そせい連続れんぞくてき変化へんかした一連いちれん長石ちょうせき存在そんざいする。

せい長石ちょうせきモース硬度こうど 6 の指標しひょう鉱物こうぶつである。固溶体こようたいでは硬度こうど若干じゃっかんことなるため、厳密げんみつにははし成分せいぶんせい長石ちょうせき基準きじゅんとなっている。ただし、実用じつようじょうのモース硬度こうど 6 はカリ長石ちょうせきであるとして問題もんだいない。

成分せいぶん種類しゅるい

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長石ちょうせき一般いっぱんしきは (Na,K,Ca,Ba)(Si,Al)4O8、あるいは (Na,K,Ca,Ba)Al(Al,Si)Si2O8あらわされる。普通ふつうさんする長石ちょうせきは、KAlSi3O8カリ長石ちょうせき、Or) - NaAlSi3O8曹長そうちょうせき、Ab) - CaAl2Si2O8はい長石ちょうせき、An)の3成分せいぶんけいのものであり、Or-Ab 系列けいれつアルカリ長石ちょうせきとよびおも花崗岩かこうがんふくまれ、Ab-An 系列けいれつはす長石ちょうせきといいおも玄武岩げんぶがんふくまれる。

アルカリ長石ちょうせき

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アルカリ長石ちょうせき(alkali feldspar)グループ。カリウム長石ちょうせきカリ長石ちょうせき(K-feldspar)といわれ、せい長石ちょうせきほろはす長石ちょうせきふくまれる。火山岩かざんがんなか長石ちょうせきのように高温こうおん形成けいせいされた場合ばあいはサニディン、アノーソクレースになり、深成岩しんせいがん変成岩へんせいがんなか長石ちょうせきのように中温ちゅうおん低温ていおん形成けいせいされた場合ばあいせい長石ちょうせきほろはす長石ちょうせきになる。

せい長石ちょうせき(orthoclase)
KAlSi3O8たんはすあきらけい中温ちゅうおん低温ていおん形成けいせいされたカリ長石ちょうせき白色はくしょくだが、灰色はいいろ黄色おうしょくあかのものもある。みどりのものはめったにない。モース硬度こうど6の基準きじゅん磁器じき材料ざいりょうみがき原料げんりょうになる。
透明とうめい菱形ひしがたのものはこおり長石ちょうせき(adularia、アデュラリア)ともいう。
サニディン(sanidine、玻璃はり長石ちょうせき
(K,Na)AlSi3O8たんはすあきらけい高温こうおん形成けいせいされたアルカリ長石ちょうせきで、ナトリウムすこふくむ。火山岩かざんがんなか産出さんしゅつする。
青白あおじろいろつきひかりのようにらめいているようにえるうつくしいものはムーンストーン(つき長石ちょうせき、moonstone)とばれ、宝石ほうせきになる(アノーソクレースの場合ばあいもある)。
ほろはす長石ちょうせき(microcline、マイクロクリン)
KAlSi3O8さんはすあきらけい中温ちゅうおん低温ていおん形成けいせいされたカリ長石ちょうせきせい長石ちょうせきとは内部ないぶ構造こうぞうことなるためぞくするあきらけいことなる。しかし、にはせい長石ちょうせきとほとんど区別くべつがつかない。
あお緑色みどりいろアマゾナイトてんかわせき、amazonite)は微量びりょうなまりふくむ。
アノーソクレース(anorthoclase、曹微はす長石ちょうせき
(Na,K)AlSi3O8さんはすあきらけい高温こうおん形成けいせいされたアルカリ長石ちょうせきで、サニディンよりもナトリウムをおおふくむ。

はす長石ちょうせき

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はす長石ちょうせきplagioclases)グループ。ナトリウムおおはし成分せいぶん曹長そうちょうせきカルシウムおおはし成分せいぶんはい長石ちょうせきであり、固溶体こようたい形成けいせいする(厳密げんみつには曹長そうちょうせきはい長石ちょうせき微細びさい結晶けっしょう集合しゅうごうたい)。かつては曹長そうちょうせき(Ab)とはい長石ちょうせき(An)のあいだはい曹長そうちょうせき(oligoclase、Ab90-70An10-30) - 中性ちゅうせい長石ちょうせき(andesine、Ab70-50An30-50) - 曹灰長石ちょうせき(labradorite、Ab50-30An50-70) - はい長石ちょうせき(bytownite、Ab30-10An70-90)にけていたが、現在げんざい独立どくりつしゅでない[1]固溶体こようたいのいわゆる「50%ルール」による[2])。

曹長そうちょうせき(albite、アルバイト)
NaAlSi3O8さんはすあきらけい。ソーダ長石ちょうせきともいう。
はい長石ちょうせき(anorthite、アノーサイト)
CaAl2Si2O8さんはすあきらけい
ある一定いってい方向ほうこうからるとにじのようなひかりはなラブラドライト(labradorite)はじゅん貴石たかいしあつかいをうける。あかいろサンストーン日長ひながせき、sunstone)はこのたねぞくし、じゅん貴石たかいしあつかいをける。サンストーンの発色はっしょく微量びりょうふくまれるどうによるものとかんがえられている。

その長石ちょうせき

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長石ちょうせき(kasoite、カリウムに重土じゅうど長石ちょうせき)はかつて独立どくりつしゅとされていたが、現在げんざい否定ひていされている。

じゅん長石ちょうせき

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二酸化にさんかケイ素けいそとぼしいマグマちゅうでは、長石ちょうせきわりにかすみせき(NaAlSiO4)などが生成せいせいする。このようなものはじゅん長石ちょうせきばれる。

脚注きゃくちゅう

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  1. ^ 松原まつばらさとし 『フィールドベスト図鑑ずかん15 日本にっぽん鉱物こうぶつ』 学習研究社がくしゅうけんきゅうしゃ、2003ねん、234ぺーじISBN 4-05-402013-5
  2. ^ E.H. Nickel, "Solid solutions in mineral nomenclature", Canadian Mineralogist, Vol. 30, pp. 231-234, 1992. PDF

関連かんれん項目こうもく

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参考さんこう文献ぶんけん

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外部がいぶリンク

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