プリンスバッキアン

地質ちしつ時代じだい・中生代ちゅうせいだい^{[* 1]}^{[* 2]}
累代るいだい	代だい	紀きの	世よ	期き	基底きてい年代ねんだい Mya^{[* 3]}
顕あらわ生せい代だい	新生代しんせいだい				66
	中生代ちゅうせいだい	白はく亜紀あき	後期こうき白はく亜紀あき	マーストリヒチアン	72.1
				カンパニアン	83.6
				サントニアン	86.3
				コニアシアン	89.8
				チューロニアン	93.9
				セノマニアン	100.5
			前期ぜんき白はく亜紀あき	アルビアン	113
				アプチアン	125
				バレミアン	129.4
				オーテリビアン	132.9
				バランギニアン	139.8
				ベリアシアン	145
		ジュラ紀じゅらき	後期こうきジュラ紀じゅらき	チトニアン	152.1
				キンメリッジアン	157.3
				オックスフォーディアン	163.5
			中期ちゅうきジュラ紀じゅらき	カロビアン	166.1
				バトニアン	168.3
				バッジョシアン	170.3
				アーレニアン	174.1
			前期ぜんきジュラ紀じゅらき	トアルシアン	182.7
				プリンスバッキアン	190.8
				シネムーリアン	199.3
				ヘッタンギアン	201.3
		三さん畳じょう紀き	後期こうき三さん畳じょう紀き	レーティアン	208.5
				ノーリアン	227
				カーニアン	237
			中期ちゅうき三さん畳じょう紀き	ラディニアン	242
			中期ちゅうき三さん畳じょう紀き	アニシアン	247.2
			前期ぜんき三さん畳じょう紀き	オレネキアン	251.2
			前期ぜんき三さん畳じょう紀き	インドゥアン	251.902
	古生代こせいだい				541
原生代げんせいだい					2500
太古たいこ代だい^{[* 4]}					4000
冥めい王代おうだい					4600
^ 基底きてい年代ねんだいの数値すうちでは、この表ひょうと本文ほんぶん中ちゅうの記述きじゅつでは、異ことなる出典しゅってんによるため違ちがう場合ばあいもある。 ^ 基底きてい年代ねんだいの更新こうしん履歴りれき ^ 百ひゃく万まん年ねん前まえ ^ 「始生代しせいだい」の新しん名称めいしょう、日本にっぽん地質ちしつ学会がっかいが2018年ねん7月がつに改訂かいてい

プリンスバッキアン（英語えいご: Pliensbachian）は、1億おく9080万まん年ねん前まえ（誤差ごさ100万まん年ねん）から1億おく8270万まん年ねん前まえ（誤差ごさ70万まん年ねん）にあたる、前期ぜんきジュラ紀じゅらきの地質ちしつ時代じだいの一ひとつ^[1]。模かたぎ式しき地ちはドイツのバーデン＝ヴュルテンベルク州しゅうのプリンスバッハ（ドイツ語ご版ばん）^[2]。

なお、「プリンスバッハ階かい」「プリンスバッキアン階かい」という名称めいしょうがあるが、これらは時代じだいを示しめすものではない。「階かい」は地層ちそうに対たいして当あてられる単位たんい（層そう序じょ名めい）であり、層そう序じょ名めい「プリンスバッハ階かい」「プリンスバッキアン階かい」と時代じだい名めい「プリンスバッハ期き」「プリンスバッキアン期き」は対たいを成なす関係かんけいである。詳くわしくは「累代るいだい」を参照さんしょうのこと。

地質ちしつ学がく的てき定義ていぎ

プリンスバッキアンの基底きていはアンモナイトの種たね Bifericeras donovani と属ぞくアポデロセラスおよびグレヴィセラス（英語えいご版ばん）が初はじめて出現しゅつげんする場所ばしょである。イングランドのヨークシャーに位置いちするロビン・フッド湾わん（英語えいご版ばん）近ちかくの Wine Haven が国際こくさい標準ひょうじゅん模も式しき層そう断面だんめん及および地点ちてん(GSSP)に指定していされている^[3]。

生物せいぶつ

アンモナイトのアマルテウスやカナバリア (Canavaria) が日本にっぽんに生息せいそくした。両りょう属ぞくは後期こうきプリンスバッキアンに特徴とくちょう的てきな属ぞくであり、特とくにカナバリアはその後半こうはんに生息せいそく期間きかんが限かぎられていた^[4]。ヨーロッパでは魚さかな竜りゅうのレプトネクテスが生息せいそくした^[5]。

日本にっぽんにおいて

新潟にいがた県けん蒲原かんばら山地さんち足尾あしお帯たいに分布ぶんぷするジュラ紀じゅらきの付加ふか体たいのうち、砕屑岩がんが卓越たくえつする下部かぶユニットはプリンスバッキアンからトアルシアン/アーレニアン境界きょうかいまでに相当そうとうする可能かのう性せいがある^[6]。宮城みやぎ県けん本吉もとよし郡ぐん歌津うたつ町まちと志津川しづがわ町まちには下部かぶジュラ系けいの志津川しづがわ層そう群ぐんが分布ぶんぷする。主おもに砂すな質しつ泥どろ岩がんから構成こうせいされる同どう層そう群ぐん上部じょうぶ層そうである細浦ほそうら層そうからは、ヘッタンギアンからアーレニアンにかけてのアンモナイトが産出さんしゅつする^[7]。

南みなみ中国ちゅうごく地ち塊かたまりと北きた中国ちゅうごく地ち塊かたまりの衝突しょうとつが進行しんこうするにつれ、西南せいなん日本にっぽんはその地殻ちかく変動へんどうの影響えいきょうを被こうむることとなった。火山岩かざんがん片へんのウラン・鉛なまり年代ねんだい測定そくてい法ほうから、プリンスバッキアンからトアルシアンにかけて岡山おかやま県けんに分布ぶんぷする山奥やまおく層そうが堆積たいせきしたことが判明はんめいし、これは富山とやま県けんの来馬らいば層そう群ぐんと時期じきが一致いっちした^[8]。来馬らいば層そう群ぐんでは寺谷てらがい層そうがプリンスバッキアン階かいに相当そうとうする。島根しまね県けん南西なんせい部ぶ鹿足かのあし郡ぐん吉賀よしか町まちに分布ぶんぷする樋口ひぐち層そう群ぐんもまた中部ちゅうぶ層そうがプリンスバッキアン階かいと判断はんだんされた。先述せんじゅつの来馬らいば層そう群ぐんから樋口ひぐち層そう群ぐんそして山口やまぐち県けん下関しものせき市しに分布ぶんぷする豊浦とようら層そう群ぐんにかけて、ボレアル区く（冷つめたい海域かいいき）に特徴とくちょう的てきなアマルテウスが減少げんしょうすること、テチス区く（より温暖おんだんな海域かいいき）に特徴とくちょう的てきなカナバリアが増加ぞうかすることから、後者こうしゃほどテチスの要素ようそが強つよくなることが示しめされている。ただし両りょう属ぞくが産出さんしゅつする層そう準じゅんは厳密げんみつに解明かいめいされてはいないため、微妙びみょうに異ことなる時代じだいに相当そうとうする可能かのう性せいがある^[4]。

出典しゅってん

[脚注きゃくちゅうの使つかい方かた]

^ “INTERNATIONAL CHRONOSTRATIGRAPHIC CHART（国際こくさい年代層ねんだいそう序じょ表ひょう）”. 日本にっぽん地質ちしつ学会がっかい. 2020年ねん3月がつ8日にち閲覧えつらん。
^ “地質ちしつ調査ちょうさ総合そうごうセンター研究けんきゅう資料集しりょうしゅう No.486 地質ちしつ図ず─地質ちしつ用語ようご（TS図案ずあん:2008）”. 地質ちしつ調査ちょうさ総合そうごうセンター. p. 13. 2020年ねん3月がつ8日にち閲覧えつらん。
^ Meister, C.; Aberhan, M.; Blau, J.; Dommergues, J.-L.; Feist-Burkhardt, S.; Hailwood, E.A.; Hart, M.; Hesselbo, S.P.; Hounslow, M.W.; Hylton, M.; Morton, N.; Page, K & Price, G.D.; 2006: The Global Boundary Stratotype Section and Point (GSSP) for the base of the Pliensbachian Stage (Lower Jurassic), Wine Haven, Yorkshire, UK, Episodes 29(2), pp. 93–106.
^ ^a ^b 永田ながた絋樹、小松こまつ俊文としふみ、シュリージン・ボリス、石田いしだ直人なおと、佐藤さとう正ただし「島根しまね県けん西部せいぶに分布ぶんぷする下部かぶジュラ系けい樋口ひぐち層そうの地質ちしつと北方ほっぽう二枚貝にまいがい化石かせき群ぐん」『地質ちしつ学がく雑誌ざっし』第だい121巻かん第だい2号ごう、日本にっぽん地質ちしつ学会がっかい、2015年ねん2月がつ15日にち、59-69頁ぺーじ、doi:10.5575/geosoc.2015.0002。
^ Marta S. Fernández; Laura Piñuela; José Carlos García-Ramos (2018). “First report of Leptonectes (Ichthyosauria: Leptonectidae) from the Lower Jurassic (Pliensbachian) of Asturias, northern Spain”. Palaeontologia Electronica 21 (2): Article number 21.2.29A. doi:10.26879/802.
^ 内野うちの隆之たかゆき「新潟にいがた県けん蒲原かまはら山地さんち西部せいぶに分布ぶんぷする前期ぜんきジュラ紀じゅらき付加ふか体たいの地質ちしつ構造こうぞうと足尾あしお帯たいテクトニクス」『日本にっぽん地質ちしつ学会がっかい第だい117年ねん学術がくじゅつ大会たいかい講演こうえん要旨ようし（2010富山とやま）』、日本にっぽん地質ちしつ学会がっかい、2010年ねん。
^ 竹内たけうち誠まこと、鹿野かの和彦かずひこ、御子柴みこしば真澄ますみ、中川なかがわ充たかし、駒澤こまざわ正夫まさお「20 万まん分ぶんの 1 地質ちしつ図ず幅はば「一関いちのせき」」、地質ちしつ調査ちょうさ総合そうごうセンター、2005年ねん。
^ 田子たつこ直樹なおき、竹内たけうち誠まこと、山本やまもと鋼こう志こころざし「下部かぶジュラ系けい山奥やまおく層そう中ちゅうの砕屑性せいジルコンのU-Pb年代ねんだいを用もちいた堆積たいせき年代ねんだいと後背こうはい地ちの変化へんか」『日本にっぽん地質ちしつ学会がっかい第だい128年ねん学術がくじゅつ大会たいかい講演こうえん要旨ようし（2018札幌さっぽろ - つくば）』、日本にっぽん地質ちしつ学会がっかい、2010年ねん、doi:10.14863/geosocabst.2018.0_434。

[1] 基底きてい年代ねんだいの数値すうちでは、この表ひょうと本文ほんぶん中ちゅうの記述きじゅつでは、異ことなる出典しゅってんによるため違ちがう場合ばあいもある。

[2] 基底きてい年代ねんだいの更新こうしん履歴りれき

[3] 百ひゃく万まん年ねん前まえ

[4] 「始生代しせいだい」の新しん名称めいしょう、日本にっぽん地質ちしつ学会がっかいが2018年ねん7月がつに改訂かいてい

[ICS-5] “INTERNATIONAL CHRONOSTRATIGRAPHIC CHART（国際こくさい年代層ねんだいそう序じょ表ひょう）”. 日本にっぽん地質ちしつ学会がっかい. 2020年ねん3月がつ8日にち閲覧えつらん。

[6] “地質ちしつ調査ちょうさ総合そうごうセンター研究けんきゅう資料集しりょうしゅう No.486 地質ちしつ図ず─地質ちしつ用語ようご（TS図案ずあん:2008）”. 地質ちしつ調査ちょうさ総合そうごうセンター. p. 13. 2020年ねん3月がつ8日にち閲覧えつらん。

[7] Meister, C.; Aberhan, M.; Blau, J.; Dommergues, J.-L.; Feist-Burkhardt, S.; Hailwood, E.A.; Hart, M.; Hesselbo, S.P.; Hounslow, M.W.; Hylton, M.; Morton, N.; Page, K & Price, G.D.; 2006: The Global Boundary Stratotype Section and Point (GSSP) for the base of the Pliensbachian Stage (Lower Jurassic), Wine Haven, Yorkshire, UK, Episodes 29(2), pp. 93–106.

[nagata-8] 永田ながた絋樹、小松こまつ俊文としふみ、シュリージン・ボリス、石田いしだ直人なおと、佐藤さとう正ただし「島根しまね県けん西部せいぶに分布ぶんぷする下部かぶジュラ系けい樋口ひぐち層そうの地質ちしつと北方ほっぽう二枚貝にまいがい化石かせき群ぐん」『地質ちしつ学がく雑誌ざっし』第だい121巻かん第だい2号ごう、日本にっぽん地質ちしつ学会がっかい、2015年ねん2月がつ15日にち、59-69頁ぺーじ、doi:10.5575/geosoc.2015.0002。

[9] Marta S. Fernández; Laura Piñuela; José Carlos García-Ramos (2018). “First report of Leptonectes (Ichthyosauria: Leptonectidae) from the Lower Jurassic (Pliensbachian) of Asturias, northern Spain”. Palaeontologia Electronica 21 (2): Article number 21.2.29A. doi:10.26879/802.

[10] 内野うちの隆之たかゆき「新潟にいがた県けん蒲原かまはら山地さんち西部せいぶに分布ぶんぷする前期ぜんきジュラ紀じゅらき付加ふか体たいの地質ちしつ構造こうぞうと足尾あしお帯たいテクトニクス」『日本にっぽん地質ちしつ学会がっかい第だい117年ねん学術がくじゅつ大会たいかい講演こうえん要旨ようし（2010富山とやま）』、日本にっぽん地質ちしつ学会がっかい、2010年ねん。

[11] 竹内たけうち誠まこと、鹿野かの和彦かずひこ、御子柴みこしば真澄ますみ、中川なかがわ充たかし、駒澤こまざわ正夫まさお「20 万まん分ぶんの 1 地質ちしつ図ず幅はば「一関いちのせき」」、地質ちしつ調査ちょうさ総合そうごうセンター、2005年ねん。

[12] 田子たつこ直樹なおき、竹内たけうち誠まこと、山本やまもと鋼こう志こころざし「下部かぶジュラ系けい山奥やまおく層そう中ちゅうの砕屑性せいジルコンのU-Pb年代ねんだいを用もちいた堆積たいせき年代ねんだいと後背こうはい地ちの変化へんか」『日本にっぽん地質ちしつ学会がっかい第だい128年ねん学術がくじゅつ大会たいかい講演こうえん要旨ようし（2018札幌さっぽろ - つくば）』、日本にっぽん地質ちしつ学会がっかい、2010年ねん、doi:10.14863/geosocabst.2018.0_434。

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