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メントン

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
l-メントン
構造式
IUPACめい(2S,5R)-trans-2-イソプロピル-5-メチルシクロヘキサン-1-オン
別名べつめい(−)-メントン
分子ぶんししきC10H18O
分子ぶんしりょう154.25
CAS登録とうろく番号ばんごう14073-97-3
密度みつどそう0.893 g/cm3, 液体えきたい (20 °C)
融点ゆうてん-6 °C
沸点ふってん207-210 °C
旋光 [αあるふぁ]D−29±1°, 20 °C, neat
SMILESC1(=O)[C@H](C(C)C)CC
[C@@H](C)C1
出典しゅってんMerck Index 13: 5862.

メントン (menthone) は天然てんねん存在そんざいする有機ゆうき化合かごうぶつ一種いっしゅで、その分子ぶんししきは C10H18O である。いくつかの立体りったい異性いせいたいがあり、l-メントン(IUPACめい (2S,5R)-trans-2-イソプロピル-5-メチルシクロヘキサン-1-オン)がもっと存在そんざいりょうおお異性いせいたいである。モノテルペン分類ぶんるいされるケトン構造こうぞうメントール類似るいじし、そのヒドロキシもとカルボニルもと変換へんかんされたものである。p-メンタンにカルボニルもと付加ふかしたものともとらえられる。消防しょうぼうほうさだめるだい4るい危険きけんぶつ だい3石油せきゆるい該当がいとうする[1]

ミントに特徴とくちょうてきかおりをゆうすることから、香料こうりょう化粧けしょうひん利用りようされる。

存在そんざい

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ペニーロイヤルペパーミントフウロソウぞく植物しょくぶつ(ゼラニウム)などの精油せいゆ成分せいぶんであるが、含有がんゆうりょうすくない。そのため、精油せいゆちゅうから発見はっけんされたのは1891ねんと、はじめてメントールの酸化さんかによる合成ごうせいられた1881ねんよりもおそい。

調製ちょうせい

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異性いせいたい混合こんごうぶつとしては安価あんかられるが、光学こうがく活性かっせいなものは高価こうかである。実験じっけんしつではメントールのクロムさん酸化さんかなどによってられる[2]

歴史れきし

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はじめて文献ぶんけん記述きじゅつされたのは1881ねんのことで、モリヤらによるものである[3][4]。そのメントールをクロムさんとともに加熱かねつすることによって合成ごうせいされた。

メントンは有機ゆうき化学かがくにおけるひとつのおおきな発見はっけん重要じゅうよう役割やくわりたしている。1889ねんエルンスト・オットー・ベックマンはメントンを硫酸りゅうさんかすとあらたなケトン化合かごうぶつ生成せいせいすること、そしてその生成せいせいぶつ原料げんりょうとなった化合かごうぶつおおきさはひとしいがぎゃくきの旋光つことを見出みいだした[5]炭素たんそよん面体めんてい構造こうぞうつことがられるようになったのはこの発見はっけんから15ねんまえのことであったが、ベックマンはカルボニルもと隣接りんせつするひとし炭素たんそ原子げんしうえ立体りったい配置はいち反転はんてんしたためにこの現象げんしょうこったことを理解りかいし、さらに、もとのひとし炭素たんそ原子げんしよん面体めんていから平面へいめん3はい構造こうぞうのエノールがた互変異性いせいたい変化へんかし、これを中間ちゅうかんからだとして経由けいゆすることによってぎゃくきの旋光度こうど化合かごうぶつられる、という機構きこう提唱ていしょうした。これは、検出けんしゅつが(ほとんど)できないなかあいだたい反応はんのう機構きこうちゅうくことによって生成せいせいぶつがどのようにしてできるかということを説明せつめいする理論りろん初期しょきれいである。

参考さんこう文献ぶんけん

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  1. ^ 法規ほうき情報じょうほう (東京とうきょう化成かせい工業こうぎょう株式会社かぶしきがいしゃ)
  2. ^ Sandborn, L. T. (1929). "l-Menthone". Organic Syntheses (英語えいご). 9: 59.; Collective Volume, vol. 1, p. 340
  3. ^ Moriya, M. (1881). “Contributions from the Laboratory of the University of Tôkiô, Japan. No. IV. On menthol or peppermint camphor.” J. Chem. Soc., Trans. 39: 77–83. doi:10.1039/CT8813900077.
  4. ^ Read, J. (1930). “Recent Progress in the Menthone Chemistry.” Chem. Rev. 7: 1–50. doi:10.1021/cr60025a001.
  5. ^ Beckmann, E. O. (1889). “Untersuchungen in der Campherreihe.” Ann. 250: 322. doi:10.1002/jlac.18892500306.