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精油せいゆ

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』

精油せいゆ(せいゆ)またはエッセンシャルオイル英語えいご: essential oil)は、植物しょくぶつから産出さんしゅつされる揮発きはつせいあぶら[1]、それぞれ特有とくゆう芳香ほうこうち、水蒸気すいじょうき蒸留じょうりゅうほうねつすい蒸留じょうりゅうほう直接ちょくせつ蒸留じょうりゅうほう)などによって植物しょくぶつからとめすることができる[2]植物しょくぶつは、代謝たいしゃ産出さんしゅつぶつ排出はいしゅつぶつフェロモン昆虫こんちゅう忌避きひざいなどとして精油せいゆ産出さんしゅつするとかんがえられており、花弁はなびらなどの特別とくべつせん貯蔵ちょぞうされる[2]一般いっぱん多数たすう化合かごうぶつ複雑ふくざつ混合こんごうぶつで、その芳香ほうこうからおも食品しょくひん産業さんぎょう香料こうりょうとして利用りようされている[2]

概説がいせつ

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おおむね液状えきじょうみずよりかるく、みずけず(疎水そすいせい)、アルコール二硫化炭素にりゅうかたんそ石油せきゆエーテル脂肪しぼうなどにける(しん油性ゆせい[1]普通ふつう油脂ゆしのようにアシルグリセロール英語えいご: Acylglycerol)、いわゆるグリセリド(英語えいご:Glyceride、グリセリン脂肪酸しぼうさんエステル総称そうしょう)ではなく、植物しょくぶつの「しらげ精髄せいずい」(ラテン語らてんご: essentia)という意味いみ精油せいゆばれ[3]油脂ゆしとは区別くべつされている[4]

現在げんざいられている精油せいゆは1500種類しゅるいおよぶが、香料こうりょうまたは合成ごうせい香料こうりょう原料げんりょうとして利用りようされるのはやく100種類しゅるいほどである[4]

大量たいりょう植物しょくぶつからわずかしかれないため、バラ精油せいゆのようにかなり高額こうがくなものもある。材料ざいりょうによっておさむあぶらりつ大幅おおはばことなり、バラの場合ばあいやく5tのはなから精油せいゆ1kgが採取さいしゅされ、おさむあぶらりつは0.02%。柑橘類かんきつるいは、果実かじつたいしておさむあぶらりつは0.2 - 0.5%程度ていどである[5]精油せいゆ値段ねだん手間賃てまちんではなく、しゅとして市場いちば需要じゅよう左右さゆうされる[6]

アロマオイルなどと混同こんどうされることもままあるが、合成ごうせい香料こうりょう使用しようして大量たいりょう生産せいさんされるそれらとは区別くべつされる。商品しょうひんとしての精油せいゆは100%植物しょくぶつ由来ゆらいであり、合成ごうせい物質ぶっしつ添加てんか成分せいぶん調整ちょうせい、アルコール希釈きしゃくなどの加工かこうおこなわれていないとおもわれがちだが、かならずしもそうではなく、だつテルペン処理しょりやブレンディングなど、なんらかの処理しょりがされているものもすくなくない[2]。アロマテラピーという言葉ことばつくった調しらべこうガットフォセは、香水こうすいようだつテルペン処理しょりなどがされた精油せいゆ使用しようしていた[2]

揮発きはつせい溶剤ようざいもちいて抽出ちゅうしゅつされた香気こうき成分せいぶんふく物質ぶっしつを、コンクリートふつ: Concrète、コンクレット)[6]という。このコンクリートの溶解ようかいせい部分ぶぶん抽出ちゅうしゅつしたアブソリュートふつ: Absolue、アプソリュ)[6]や、ちょう臨界りんかい二酸化炭素にさんかたんそ英語えいごばん抽出ちゅうしゅつしたアブソリュート[6]柑橘類かんきつるいから圧搾あっさくほうられたエッセンス[6]は、揮発きはつしない成分せいぶん水溶すいようせいタンパク質たんぱくしつふくみ、精油せいゆとはことなる物質ぶっしつかんがえられているが、精油せいゆばれる場合ばあいもある[2]

ナノテクノロジー進化しんかで、精油せいゆマイクロカプセル技術ぎじゅつ確立かくりつし、様々さまざまなものに添加てんかされ活用かつようされている。その一方いっぽうこうがい香料こうりょうふく製品せいひん過剰かじょう使用しようすることで、周囲しゅうい不快ふかいかんがいあたえること)[7][8]問題もんだいとなっている。岐阜ぎふでは、精油せいゆなどの香料こうりょうアレルギー体質たいしつ化学かがく物質ぶっしつ過敏かびんしょうひとのアレルギー、喘息ぜんそくなどを誘発ゆうはつする[9]として、自粛じしゅくびかけるポスターを掲示けいじしている[10][11]多様たよう問題もんだいこっているが、とくかんさく作用さよう(ある抗原こうげんたい生体せいたいをアレルギー反応はんのうをおこしうる状態じょうたいにする作用さよう)が問題もんだいされている[2][12][13][14]

成分せいぶん

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テルペンるいのうち、カルボニルもとやヒドロキシもとなどの官能かんのうもと誘導体ゆうどうたいテルペノイドばれ、イソプレン左上ひだりうえ)を基本きほん単位たんいとして構成こうせいされる。

精油せいゆ構成こうせいする成分せいぶんだい部分ぶぶんは、アセチルCoAからしょうじる[2]精油せいゆ一般いっぱん多数たすう化合かごうぶつ複雑ふくざつ混合こんごうぶつで、主要しゅよう成分せいぶんだけで10種類しゅるいえるものもすくなくない。おも成分せいぶんテルペンるいまたはベンゼンるい炭化たんか水素すいそ、アルコール、アルデヒドケトンフェノールるい各種かくしゅエステルるいなどである[1]複雑ふくざつ構造こうぞうち、相互そうご分離ぶんりすることが困難こんなん場合ばあいおおい。そのため精油せいゆ化学かがくてき研究けんきゅうは、19世紀せいきまつまでだい部分ぶぶんのこされていた。精油せいゆ研究けんきゅうからテルペン化学かがく合成ごうせい香料こうりょう発展はってんした[4]

精油せいゆ成分せいぶん植物しょくぶつ種類しゅるいだけでなく、生育せいいく程度ていど場所ばしょ採取さいしゅされたぶし天候てんこうによっても大幅おおはばことなる。またゲノム不安定ふあんてい多様たようかおりがあるタイムのように、様々さまざま化学かがくしゅ英語えいごばん(ケモタイプ)がみとめられる場合ばあいおおく、ある植物しょくぶつ組成そせいつね一定いっていであることはありえない。おおむおなかおりの精油せいゆであっても、成分せいぶん組成そせいことなると、生物せいぶつ活性かっせい薬効やっこう)がことなる可能かのうせいがある[2]。(精油せいゆ同様どうよう生薬きぐすりについてもおな問題もんだいがあり、保険ほけん適用てきようされる漢方薬かんぽうやくは、一定いってい薬効やっこうられるように、ある程度ていど成分せいぶん調整ちょうせいされエキスざい加工かこうされている。ただし、エキスざい加工かこうする過程かてい揮発きはつ蒸発じょうはつしやすい精油せいゆなどの成分せいぶんうしなわれる場合ばあいがあるため、一長一短いっちょういったんであるとえる。[15][16]

アロマテラピーでは、精油せいゆ成分せいぶん化学かがくもと化合かごうぶつちゅう原子げんしだん区分くぶんした呼称こしょう)によるグループけが重視じゅうしされているが、おな化学かがくもと物質ぶっしつでもことなるかおりをっており、かく物質ぶっしつ生物せいぶつ活性かっせい化学かがくもとではなく成分せいぶんによってことなるため、化学かがくもとによるグループけは適当てきとうではない[2]

植物しょくぶつにおける精油せいゆとそのはたら

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一般いっぱん精油せいゆ植物しょくぶつ特殊とくしゅ分泌ぶんぴつせん合成ごうせいされ、せん組織そしきたくわえられる[2]単純たんじゅん代謝たいしゃ産物さんぶつ排出はいしゅつぶつとしてもされるとかんがえられるが、植物しょくぶつにとって様々さまざま有用ゆうよう作用さようおよぼすものもある。つぎのような理由りゆう植物しょくぶつ精油せいゆ産出さんしゅつするとかんがえられている。

  • かおりの誘因ゆういん効果こうかフェロモン)によりとり昆虫こんちゅう受粉じゅふん種子しゅし運搬うんぱんたくす。
  • 精油せいゆ芳香ほうこうなどの忌避きひ効果こうかによって害虫がいちゅうカビきん)などの有害ゆうがいきんから植物しょくぶつまもる。
  • 粘液ねんえきせいのある精油せいゆ産出さんしゅつべられないようにまもる。
  • 周囲しゅうい植物しょくぶつ生育せいいくするのを抑制よくせいする。
  • 精油せいゆあせのように蒸散じょうさんすることにより、みずからを冷却れいきゃく太陽熱たいようねつからその植物しょくぶつまもる。

歴史れきし

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日本にっぽん伝来でんらいした直接ちょくせつ蒸留じょうりゅう水蒸気すいじょうき蒸留じょうりゅう)の器具きぐ・らんびきの断面だんめんしき

水蒸気すいじょうき蒸留じょうりゅうほうは、中世ちゅうせいイスラーム世界せかい錬金術れんきんじゅつ化学かがく英語えいごばん隆盛りゅうせいともなアラビア発達はったつし、精油せいゆ香料こうりょうくすりとして利用りようされた。それ以前いぜん古代こだいエジプトなどでは、精油せいゆアンフルラージュ圧搾あっさくほうなどの方法ほうほう抽出ちゅうしゅつされ[よう出典しゅってん]香油こうゆくすりとして利用りようされた。水蒸気すいじょうき蒸留じょうりゅうほう最古さいこ記録きろくは、アンダルスげんスペイン・アンダルシア地方ちほう)の偉大いだい科学かがくしゃで、医師いし薬剤師やくざいし植物しょくぶつ学者がくしゃ科学かがくしゃであったイブン・アルバイタール(1188ねん - 1248ねん)の『くすり栄養えいよう全書ぜんしょ』(Kitab al-Jami fi al-Adwiya al-Mufrada)であるといわれる[17]精油せいゆ製造せいぞうほう中世ちゅうせいヨーロッパにつたわり、医療いりょうひろ利用りようされ[18]、のちに香水こうすいもちいられた。

水蒸気すいじょうき蒸留じょうりゅう装置そうちアレンビック(らんびき)は、江戸えど時代じだいには日本にっぽん伝来でんらいしており、精油せいゆ蘭方らんぽう西洋せいよう医学いがく)で治療ちりょう使つかわれた[19]江戸えど幕府ばくふひがしインド会社かいしゃに、ガラスせい蒸留じょうりゅう装置そうち輸入ゆにゅう蒸留じょうりゅう技術ぎじゅつしゃ派遣はけん依頼いらいした記録きろくのこっており、蒸留じょうりゅう小屋こや設置せっちされ(場所ばしょはおそらく出島でじま推測すいそくされている)、日本人にっぽんじん高度こうど蒸留じょうりゅう技術ぎじゅつ伝承でんしょうされた[20]精油せいゆ芳香ほうこう蒸留じょうりゅうすい蘭方らんぽう西洋せいよう医学いがく)でさかんにもちいられ、ハーブや香辛料こうしんりょう情報じょうほう精油せいゆ効能こうのう利用りようほう翻訳ほんやくされてつたえられた[21]

また、日本にっぽんでは明治めいじから昭和しょうわにかけ、精油せいゆ産業さんぎょうさかんだった。薄荷はっか日本にっぽんでは19世紀せいきから生産せいさんされ、1902ねん明治めいじ35ねんごろから北海道ほっかいどう北見きたみ生産せいさんはじまった[22]。1939ねん昭和しょうわ14ねん)に全盛期ぜんせいきむかえ、世界せかい市場いちばやく70%をめるほどであったが、輸入ゆにゅう自由じゆう合成ごうせい薄荷はっか登場とうじょう人件じんけん高騰こうとうなどの影響えいきょう衰退すいたいし、1983ねん昭和しょうわ58ねん)に北見きたみ薄荷精はっかせいせい工場こうじょう閉鎖へいさした[23]樟脳しょうのうは、くすのき豊富ほうふ日本にっぽん統治とうち台湾たいわんで、樟脳しょうのう大量たいりょう生産せいさんされ、セルロイド製造せいぞう防虫ぼうちゅうざい利用りようされた。最盛さいせい世界せかい最大さいだい生産せいさんりょうであったともいわれるが、化学かがく防虫ぼうちゅうざい、セルロイド代替だいたいひん登場とうじょう衰退すいたいし、現在げんざい国内こくないではごく一部いちぶ生産せいさんされるのみである[24]精油せいゆ原料げんりょうとしてラベンダーは、1937ねん昭和しょうわ12ねん)に曽田香料そだこうりょう株式会社かぶしきがいしゃ創業そうぎょうしゃ曽田そた政治せいじが、フランスのアントワン・ヴィアルしゃから種子しゅし入手にゅうしゅしたことから北海道ほっかいどう栽培さいばいされ、1942ねん昭和しょうわ17ねん)にはラベンダー採取さいしゅされた。どう時期じき伊豆いずでもラベンダーやゼラニウムなどが栽培さいばいされ、精油せいゆ製造せいぞうされた記録きろくのこっている[20]。1972ねん昭和しょうわ47ねんごろから合成ごうせい香料こうりょう技術ぎじゅつ進歩しんぽ輸入ゆにゅう自由じゆう影響えいきょうけて衰退すいたいし、現在げんざいおも観光かんこう資源しげんとして観賞かんしょうよう栽培さいばいされている[25]

用途ようと

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精油せいゆ特有とくゆう芳香ほうこうつものがおおく、香料こうりょうとして、副次的ふくじてき抗菌こうきん作用さよう期待きたいして、おも食品しょくひん産業さんぎょうで、また家庭かてい用品ようひん殺虫さっちゅうざい食肉しょくにく産業さんぎょう香水こうすい化粧けしょうひんなどでもちいられる。ナノテクノロジーの進化しんかで、2006ねんにアメリカの企業きぎょうBlue Californiaが精油せいゆマイクロカプセル成功せいこうした。ミクロにパウダーされることで、水溶すいようせいとしてあつかえるようになり、洗濯せんたく洗剤せんざい柔軟じゅうなんざい衣類いるい(繊維せんいへの固着こちゃく)[26]など、様々さまざまなものに添加てんかされるようになった[27][28][29]精油せいゆにはつよ洗浄せんじょうりょくつものもあり、塗料とりょう業界ぎょうかいでも使つかわれている[2]

また、アラビア、ヨーロッパでは伝統でんとうてき精油せいゆもちいた治療ちりょうおこなわれ、現在げんざいではアロマテラピーまたはアロマセラピーとばれ、医療いりょう美容びようもちいられている[30]

植物しょくぶつから採取さいしゅされた精油せいゆは、水分すいぶん不純物ふじゅんぶつのぞいてそのまま香料こうりょうとしてもちいられる。また、くすのきから抽出ちゅうしゅつされる樟脳しょうのうあぶらのように、さらに蒸留じょうりゅうして数種類すうしゅるい精油せいゆ成分せいぶんけることもある。樟脳しょうのうからはしろあか藍色あいいろが、薄荷はっかあぶらからは冷却れいきゃくほうによって薄荷脳はっかのうメントール)と薄荷油はっかゆられる[4][31]

抽出ちゅうしゅつ方法ほうほう

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水蒸気すいじょうき蒸留じょうりゅう装置そうち

精油せいゆおも水蒸気すいじょうきもちいた蒸留じょうりゅうほう抽出ちゅうしゅつされる。アブソリュート、エッセンスなどは厳密げんみつには精油せいゆではないが、精油せいゆばれることもある。ここでは蒸留じょうりゅうほう以外いがい香気こうき成分せいぶん抽出ちゅうしゅつほう英語えいごばんについても説明せつめいする。

蒸留じょうりゅうほう

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サンダルウッドの水蒸気すいじょうき蒸留じょうりゅうエジプト
ラベンダー農場のうじょう水蒸気すいじょうき蒸留じょうりゅう装置そうちイギリス
  • 水蒸気すいじょうき利用りようした蒸留じょうりゅうほう

水蒸気すいじょうき利用りようした蒸留じょうりゅうほうには、ねつすい蒸留じょうりゅうほうえい:hydrodistillation すい蒸留じょうりゅうほう[32]直接ちょくせつ蒸留じょうりゅうほう[32]、ハイドロしき蒸留じょうりゅうほう、らんびきしき蒸留じょうりゅうほうだししき蒸留じょうりゅうほう)、水蒸気すいじょうき蒸留じょうりゅうほうえい:steam distillation スチーム蒸留じょうりゅうほう[33]つねあつ水蒸気すいじょうき蒸留じょうりゅう)、みず拡散かくさんほう[32]低温ていおん真空しんくう蒸留じょうりゅうほうえい:hydrodiffusion 減圧げんあつ水蒸気すいじょうき蒸留じょうりゅうほう[34][33]などがある。水蒸気すいじょうき利用りようした蒸留じょうりゅう古代こだいからもちいられた方法ほうほうで、原理げんり作業さぎょう単純たんじゅんである。精油せいゆのほとんどが水蒸気すいじょうき分離ぶんりできることからひろ利用りようされた[35]ねつすい蒸留じょうりゅうほうでは材料ざいりょう植物しょくぶつみずぜて撹拌かくはんし、これを蒸留じょうりゅうアランビックらんびき)にれて沸騰ふっとうさせる[32]植物しょくぶつるため、エステルなどの化合かごうぶつ分解ぶんかいされる[36]ねつすい蒸留じょうりゅうほうは、ローズオットー抽出ちゅうしゅつなどにもちいられる[36]水蒸気すいじょうき蒸留じょうりゅうほうでは、植物しょくぶつしたから蒸気じょうききかける[32]精油せいゆ製造せいぞうおも利用りようされるのはこの方法ほうほうである[36]ねつすい蒸留じょうりゅうほう水蒸気すいじょうき蒸留じょうりゅうほうでは、精油せいゆ成分せいぶんふく蒸気じょうき蒸留じょうりゅう上部じょうぶからびる水冷すいれいかん冷却れいきゃくし、精油せいゆ水蒸気すいじょうきべつ容器ようきあつめられる[35]精油せいゆ疎水そすいせいであるため、みず分離ぶんりしている。(詳細しょうさいは「水蒸気すいじょうき蒸留じょうりゅう」を参照さんしょう。)みず拡散かくさんほう水蒸気すいじょうき蒸留じょうりゅうほうとほとんどおなじやりかただが、冷却れいきゃくすい節約せつやくするために、上記じょうきくち蒸留じょうりゅう上部じょうぶに、凝縮ぎょうしゅくへの排出はいしゅつこう下部かぶにある[32]。これら蒸気じょうきもちいた方法ほうほうは、100℃以上いじょうねつがかかるので、ねつによりかおりが変質へんしつする精油せいゆ採油さいゆ方法ほうほうとしては適切てきせつでない。

真空しんくう低温ていおん蒸留じょうりゅうほう近年きんねん開発かいはつされたあたらしい方法ほうほうで、植物しょくぶつない浸透しんとうあつ遊離ゆうりした油分ゆぶん低温ていおん(70- 80℃)・低圧ていあつ(0.1バール)で蒸留じょうりゅうする[33]ひく温度おんど蒸留じょうりゅうできるため、従来じゅうらい方法ほうほうより良質りょうしつ精油せいゆることができる[34]

抽出ちゅうしゅつ時間じかんみじかいほどかおりのよい精油せいゆられ、ながくなるほどグレードはがる[2]

これらの方法ほうほうでは、蒸留じょうりゅう蒸留じょうりゅうすい水溶すいようせい芳香ほうこう物質ぶっしつ微量びりょうふくまれており、芳香ほうこう蒸留じょうりゅうすいハイドロゾル、フローラルウォーター)とばれる。含有がんゆうする精油せいゆ成分せいぶん微量びりょうであり、芳香ほうこう蒸留じょうりゅうすいかおりは精油せいゆとかなりことなる場合ばあいもある。バラ精油せいゆのように生産せいさんにコストがかかるものの場合ばあい芳香ほうこう蒸留じょうりゅうすい蒸留じょうりゅう装置そうちもどされたり、溶剤ようざい抽出ちゅうしゅつほう使つかうなどして、水溶液すいようえきちゅう精油せいゆ回収かいしゅうされることがおお[2]

  • 高温こうおん乾留かんりゅうほうえい:Dry/destructive distillation)

分解ぶんかい蒸留じょうりゅうほう乾燥かんそう蒸留じょうりゅうほう[35]乾留かんりゅうとも。蒸溜じょうりゅう装置そうちなかあみって、そのうえ材料ざいりょう植物しょくぶつせ、乾燥かんそうした高温こうおん空気くうきしたからとお方法ほうほうかおりの成分せいぶん膨張ぼうちょうして分離ぶんり蒸発じょうはつし、容器ようき上部じょうぶ冷却れいきゃくかんとおって冷却れいきゃくされ、あつめられる。ねつすい蒸留じょうりゅうほうでは精油せいゆ成分せいぶん加水かすい分解ぶんかいこるため、乾燥かんそうした状態じょうたいのままで精油せいゆ抽出ちゅうしゅつする方法ほうほうとして考案こうあんされた[35]松根おうねあぶら抽出ちゅうしゅつなどに利用りようされる。(詳細しょうさいは「乾留かんりゅう」を参照さんしょう。)

  • 分別ふんべつ蒸留じょうりゅうほうえい:Fractionation distillation)

分離ぶんり蒸留じょうりゅうほう部分ぶぶん蒸留じょうりゅうほう分留ぶんりゅうとも。抽出ちゅうしゅつされた香気こうき成分せいぶんを、さらにこまかく分離ぶんりする方法ほうほう精油せいゆからテルペンを分離ぶんりすること(精油せいゆだつテルペン)などにもちいられる。(詳細しょうさいは「蒸留じょうりゅう」を参照さんしょう。)

  • 低温ていおん真空しんくう抽出ちゅうしゅつほう

21世紀せいき日本にっぽん開発かいはつされたあたらしい抽出ちゅうしゅつほうで、溶剤ようざいみず利用りようしない。真空しんくうポンプでタンクない減圧げんあつ状態じょうたいたもち、マイクロ植物しょくぶつ加熱かねつする。蒸発じょうはつした植物しょくぶつちゅう有用ゆうよう成分せいぶん冷却れいきゃく凝縮ぎょうしゅく液体えきたいもどし、回収かいしゅうあつめる[37]有効ゆうこう成分せいぶん低温ていおん短時間たんじかん抽出ちゅうしゅつでき、有用ゆうよう成分せいぶん回収かいしゅうりつ品質ひんしつたかく、オール電化でんか操作そうさ簡易かんいである[36]。ハイドロゾルの作成さくせい可能かのうである[37]

アンフルラージュ

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アンフルラージュは、油脂ゆしはな芳香ほうこう成分せいぶん溶解ようかいさせるふるくからある抽出ちゅうしゅつほう

脱臭だっしゅうした固形こけい動物どうぶつせい脂肪しぼう通常つうじょう精製せいせいしたぶた[38])にはなびらなど香料こうりょう植物しょくぶついて香気こうき成分せいぶん溶解ようかいさせたのち、エタノール精油せいゆのみを脂肪しぼうから抽出ちゅうしゅつする。香気こうき成分せいぶんふく脂肪しぼうポマードといい、これをデカンタにかけて分離ぶんりさせ、してエタノールぜる[35]。エタノールによって抽出ちゅうしゅつされた精油せいゆエキストラクト(エキス)[よう出典しゅってん]、さらにそこからエタノールを蒸発じょうはつさせて除去じょきょしたものはアブソリュートばれる。(アンフルラージュだけでなく、溶剤ようざい抽出ちゅうしゅつほうちょう臨界りんかい流体りゅうたい抽出ちゅうしゅつほうなどで最終さいしゅうてきられた香料こうりょうもアブソリュートとぶ。)ジャスミンチューベローズ月下げっか)など、みとったのちかおりをうしなわないはなもちいられた[35]ひえびたほうではねつによる変質へんしつ非常ひじょうこう品質ひんしつ精油せいゆられるが、コストがたかおさむあぶらりつひくいため、現在げんざいではほとんどおこなわれていない。溶媒ようばい抽出ちゅうしゅつほう理論りろんのベースになっている[2]

熟成じゅくせいほうとも。ひえびたほうとほとんどおなじやりかただが、成分せいぶん純度じゅんどたかめる作業さぎょう高温こうおんおこなわれる。バラオレンジはなのように、みとったのちかおりがうしなわれるはな利用りようされた[35]

溶媒ようばい抽出ちゅうしゅつ浸出しんしゅつほう

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ジャスミン・アブソリュート。ある程度ていど色素しきそふくむため、いろがついている。

浸出しんしゅつほうは、フランス語ふらんすごマセラシオン(Macération)、英語えいごマセレーション(Maceration)[39]

溶剤ようざい抽出ちゅうしゅつほうえきえき抽出ちゅうしゅつほう英語えいご:Liquid‐liquid extraction)とも。分離ぶんりする2種類しゅるい溶剤ようざいもちいた抽出ちゅうしゅつほうで、芳香ほうこう成分せいぶん揮発きはつせい溶媒ようばいかしだして抽出ちゅうしゅつする。19世紀せいきわりに誕生たんじょうした[6]地衣ちいるい粉砕ふんさいして、はな樹脂じゅしはそのままのかたち利用りようする。材料ざいりょう溶剤ようざい溶媒ようばい石油せきゆエーテルヘキサンエチルアルコールなど)にひた芳香ほうこう物質ぶっしつかししたのち、コンサントラーにれて溶剤ようざい気化きかさせると、芳香ほうこう物質ぶっしつふくワックスじょうかたまりコンクリートのこる。これをエチルアルコールとも撹拌かくはんしてこおらせ、濾過ろかすると、香気こうき成分せいぶんふくアルコール混和こんわせい植物しょくぶつろうのこる。そのアルコールを気化きかさせると、アブソリュートばれる精油せいゆちか物質ぶっしつられる[6]水蒸気すいじょうき蒸留じょうりゅうほうよりおおくの香気こうき成分せいぶん抽出ちゅうしゅつできる場合ばあいおおい。また、ひく温度おんど抽出ちゅうしゅつするため、水蒸気すいじょうきによる加水かすい分解ぶんかいがなく、材料ざいりょう植物しょくぶつそのものにちかかおりをることができ[6]バラジャスミンなどの繊細せんさいかおりのはな利用りようされる。ある程度ていど色素しきそふくまれ、ワックス、溶剤ようざい残留ざんりゅうしていることがおおい。柑橘かんきつけい精油せいゆ抽出ちゅうしゅつほう低温ていおん圧搾あっさくほうられるが、おも抽出ちゅうしゅつほうはそれではなく、柑橘かんきつ製品せいひん副産物ふくさんぶつとして溶媒ようばい抽出ちゅうしゅつほう生産せいさんされている[2]

  • ちょう臨界りんかい流体りゅうたい抽出ちゅうしゅつほうえい:Supercritical fluid extraction)

二酸化炭素にさんかたんそ抽出ちゅうしゅつほう[2]とも。液体えきたい二酸化炭素にさんかたんそにはつよ溶解ようかいりょくがあるため、ちょう臨界りんかい流体りゅうたい状態じょうたいにして芳香ほうこう成分せいぶんかしして抽出ちゅうしゅつする方法ほうほうで、1970年代ねんだい後期こうき開発かいはつされた。カフェインレスコーヒーをつく方法ほうほうおなじものである。二酸化炭素にさんかたんそに200気圧きあつというたか圧力あつりょくをかけちょう臨界りんかい状態じょうたいにし、このなか植物しょくぶつれておき芳香ほうこう成分せいぶんをそのなか拡散かくさん浸透しんとうさせる。その圧力あつりょく流体りゅうたい気化きかさせると芳香ほうこう成分せいぶんだけのこる。低温ていおん瞬間しゅんかんてき抽出ちゅうしゅつができ、ねつによる成分せいぶん変質へんしつがなく、材料ざいりょう植物しょくぶつそのものにちかかおりがられる。二酸化炭素にさんかたんそもちいるため、精油せいゆ成分せいぶん化学かがくてき影響えいきょうあたえたり、溶剤ようざい抽出ちゅうしゅつほうのように溶剤ようざいのこるおそれもなく、公害こうがい物質ぶっしつすこともない[6]たか気圧きあつをかけるため多額たがく設備せつび投資とうし必要ひつようだが、食品しょくひん業界ぎょうかいではもっともよく利用りようされる抽出ちゅうしゅつほうである[2]。この方法ほうほう抽出ちゅうしゅつした精油せいゆアブソリュート(Abs.)CO2エキストラクト[よう出典しゅってん]ばれる。

  • エタノール抽出ちゅうしゅつほうえい:Ethanol extraction)

アルコール抽出ちゅうしゅつほうとも。手軽てがる精油せいゆ利用りようほうとしては、植物しょくぶつをアルコールにひた精油せいゆかししたものもあり、これはティンクチャーまたはチンキばれる。(れいハーブチンキ、アヘンチンキ)精油せいゆ成分せいぶんけている液体えきたいであり、薬用やくようしゅなどがこの方法ほうほうつくられる。

圧搾あっさくほう

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リモネンの構造こうぞうしき

圧搾あっさくほうえい:Expression)は、物理ぶつりてき圧力あつりょくくわえてしぼ方法ほうほうで、精油せいゆかたちではこわれやすい柑橘かんきつるいにだけ利用りようされる[6]この方法ほうほうは、水蒸気すいじょうき蒸留じょうりゅうほう確立かくりつするまえから利用りようされた[よう出典しゅってん]圧搾あっさくほう抽出ちゅうしゅつされたものも、厳密げんみつ分類ぶんるいしなければ、一応いちおう精油せいゆ」にふくまれる。ただし、おな植物しょくぶつ原料げんりょうもちいても、水蒸気すいじょうき蒸留じょうりゅうほう圧搾あっさくほうでは、抽出ちゅうしゅつされた精油せいゆ成分せいぶん組成そせいまったことなる。

柑橘類かんきつるいは、果皮かひいろのついた部分ぶぶんにあるオレイフェール細胞さいぼう精油せいゆ含有がんゆうしているので、果皮かひ圧力あつりょくくわえて破裂はれつさせる[6]果皮かひしぼスクイーズほう果皮かひをおろしがねのようなものでこすエキュエルほうがある[よう出典しゅってん]むかし手作業てさぎょうおこなっていたが、現在げんざいでは機械きかいされている。L-リモネンなどのテルペンるいねつによるかおりの劣化れっかはげしいので、圧力あつりょくをかけるとき発生はっせいするわずかなねつによる変性へんせいふせぐため、冷却れいきゃくしながら圧搾あっさく処理しょり低温ていおん圧搾あっさくほう、コールド・プレス)をおこなう。この抽出ちゅうしゅつぶつにはみずふくまれるため、ジュースパルプとも遠心えんしん分離ぶんりにかけて(または上澄うわずみをって)みず分離ぶんりする。られた抽出ちゅうしゅつぶつエッセンスばれる[6]。(これはオリーブオイル抽出ちゅうしゅつ英語えいごばん方法ほうほうである。)抽出ちゅうしゅつほうくらべて不純物ふじゅんぶつふくむため、品質ひんしつ劣化れっかはやい。柑橘かんきつけい精油せいゆ化学かがくてき不安定ふあんていであり、通常つうじょうブチルヒドロキシトルエン(BHT)やブチルヒドロキシアニソール(BHA)などが酸化さんか防止ぼうしざいとして添加てんかされるため、100%天然てんねん精油せいゆというのはかんがえにくい[2]。ワックスや色素しきそなどの不揮発ふきはつせい成分せいぶんふくまれ、ひかり毒性どくせいのあるフロクマリンふく場合ばあいおおい。フクロクマリンが除去じょきょされたFCF精油せいゆ生産せいさんされている[2]

品質ひんしつ

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ガスクロマトグラフィー

分析ぶんせき

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ガスクロマトグラフィーで3種類しゅるい物質ぶっしつ分析ぶんせきした場合ばあい典型てんけいてき結果けっかれいよこじく保持ほじ時間じかん(retention time)、たてじく検出けんしゅつ電圧でんあつ三角形さんかっけい面積めんせき検出けんしゅつされた物質ぶっしつりょうとなる。

1950年代ねんだいガスクロマトグラフィー誕生たんじょうし、複雑ふくざつ揮発きはつせい混合こんごうせい分子ぶんし分離ぶんりできるようになり、1960年代ねんだいには質量しつりょう分析ぶんせきうつわたいにして利用りようされ、精油せいゆ成分せいぶん識別しきべつできるようになった[6]には、旋光せい比重ひじゅう屈折くっせつりつなどの物理ぶつりてき分析ぶんせきあかがい分光ぶんこうほう酸化さんか、エステル測定そくていなどの科学かがくてき分析ぶんせきがある。ただ、ガスクロマトグラフィーや質量しつりょう分析ぶんせきは、どんなに感度かんどくても、化学かがくてき天然てんねんのものとおなじであれば、合成ごうせい香料こうりょう検出けんしゅつすることはできない[2]ひと実際じっさいかおりを官能かんのう試験しけんおこなわれる[40]

規格きかく

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世界せかい

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精油せいゆ製品せいひんは、ヨーロッパにおける信頼しんらいせいたかいの規格きかくとして、フランス規格きかく協会きょうかいAssociation Française de Normalisation略称りゃくしょうAFNOR)による規格きかくがあり、いくつかの精油せいゆについては標準ひょうじゅんてき化学かがく組成そせいしめしたモノグラフ発行はっこうしている[30]電気でんき分野ぶんやのぞ工業こうぎょう分野ぶんや国際こくさいてき標準ひょうじゅん策定さくていする国際こくさい標準ひょうじゅん機構きこう(International Organization for Standardization、略称りゃくしょう: ISO)でも精油せいゆ国際こくさいてき規格きかくさだめられており、これはフランス規格きかく協会きょうかい基準きじゅんれている[40]。TC54という委員いいんかい包装ほうそう状態じょうたい保管ほかん、サンプリング、旋光測定そくてい組成そせいなどを評価ひょうかしている。精油せいゆ組成そせい成分せいぶんるいかくりょう基準きじゅんわない場合ばあい、または天然てんねん精油せいゆ存在そんざいしない成分せいぶんがあった場合ばあいに、基準きじゅんわない精油せいゆなされる[40]。ただし、基準きじゅん合致がっちしても100%天然てんねんであると保証ほしょうされるわけではなく、100%天然てんねんであっても、組成そせい成分せいぶん基準きじゅん合致がっちしなければ規格きかくがい判断はんだんされる。

精油せいゆ成分せいぶん植物しょくぶつ種類しゅるいだけでなく、生育せいいく程度ていど場所ばしょ採取さいしゅされたぶし天候てんこうによっても大幅おおはばことなるが、国際こくさい標準ひょうじゅん機構きこう(ISO)が成分せいぶん組成そせい基準きじゅんわせるために、収穫しゅうかく時期じき場所ばしょことなる精油せいゆ植物しょくぶつ精油せいゆ合成ごうせい成分せいぶんのブレンドがおこなわれることがあり、ISOの基準きじゅん精油せいゆ加工かこう一因いちいんになってしまっている[2]

に、芳香ほうこう材料ざいりょう研究所けんきゅうじょ(RIFM、こう粧品香料こうりょう原料げんりょう安全あんぜんせい研究所けんきゅうじょ[41]とも)、国際こくさい粧品香料こうりょう協会きょうかい(IFRA)、イギリス薬局方やっきょくほうBP)、ヨーロッパ薬局方やっきょくほう英語えいごばん(EP)、アメリカ薬局方やっきょくほう英語えいごばん(USP)、国際こくさい精油せいゆ&香料こうりょう貿易ぼうえき協会きょうかい(IFEAT)などの規格きかくもある[30]。また、ほとんどの精油せいゆは、アメリカ食品しょくひん香料こうりょう製造せいぞうしゃ協会きょうかい英語えいごばん(FEMA)から安全あんぜん食品しょくひん認定にんてい(GRAS)を、アメリカ食品しょくひん医薬品いやくひんきょく(FDA)から食用しょくよう承認しょうにんけている。食用しょくよう認証にんしょうている精油せいゆ、つまりほとんどすべての精油せいゆは、動物どうぶつ実験じっけん毒性どくせい確認かくにんされている[2]

イギリスでは、精油せいゆ供給きょうきゅう業者ぎょうしゃ製品せいひん安全あんぜんデータシート(MSDS)を提供ていきょうすることが法的ほうてき義務付ぎむづけられている。標準ひょうじゅんてきつぎ事項じこう表示ひょうじされる。

  • 官能かんのう試験しけん要約ようやく
  • 植物しょくぶつ名前なまえ生息せいそく
  • クロマトグラフィー/質量しつりょう分析ぶんせき(GC/MS)の結果けっか主要しゅようピーク)
  • 比重ひじゅう
  • 屈折くっせつりつ
  • 旋光
  • 引火いんかてん

日本にっぽん

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薬効やっこう効果こうかみとめられたウイキョウあぶらオレンジあぶら桂皮けいひあぶら丁子ちょうじあぶらテレピン薄荷はっかあぶらユーカリあぶら日本にっぽん薬局方やっきょくほう収載しゅうさいされており、医薬品いやくひんとしてあつかわれる[42]。これらの精油せいゆふくむものは医薬品いやくひんとみなされるが、含有がんゆうする濃度のうどひく場合ばあい化粧けしょうひんへの配合はいごうゆるされるときがある[43]日本にっぽん薬局方やっきょくほう収載しゅうさいされたもの以外いがいで、化粧けしょうひん範疇はんちゅうにもはいらず医薬品いやくひんてき効能こうのううたわない精油せいゆは、こう濃度のうど芳香ほうこう成分せいぶん薬効やっこう成分せいぶんふくむにもかかわらず雑品ざっぴんあつかいであり、販売はんばい輸入ゆにゅう規制きせい存在そんざいしない[44][45]

公益社こうえきしゃだん法人ほうじん日本にっぽんアロマ環境かんきょう協会きょうかい(AEAJ)が、表示ひょうじ基準きじゅん適合てきごう精油せいゆ認定にんてい制度せいどもうけている[46]。これはどう協会きょうかい法人ほうじん正会員せいかいいんのみを対象たいしょうにした認定にんてい制度せいどで、つぎの3項目こうもく認定にんてい条件じょうけんとし、「精油せいゆのブランド」を認定にんていする制度せいどである[47]精油せいゆ表示ひょうじたいする認定にんてい制度せいどであり、品質ひんしつかんしては認定にんてい基準きじゅんふくまれず、表示ひょうじ十全じゅうぜんであるかが基準きじゅんとなっている。

  • 精油せいゆ商品しょうひんに、さだめられた「精油せいゆ製品せいひん情報じょうほう」がととのっていること:ブランドめい品名ひんめい学名がくめい抽出ちゅうしゅつ部分ぶぶん)、抽出ちゅうしゅつ方法ほうほう生産せいさんこく生産せいさん)または原産げんさんこく原産地げんさんち)、内容ないようりょう発売はつばいもとまたは輸入ゆにゅうもと
  • 精油せいゆ商品しょうひんに、さだめられた「使用しようじょう注意ちゅうい事項じこう」が明記めいきされていること
  • 協会きょうかいもとめる「企業きぎょうモラル」を遵守じゅんしゅするむねの「確認かくにんしょ」を提出ていしゅつすること

成分せいぶん組成そせいかんする規格きかくはなく、クロマトグラフィー/質量しつりょう分析ぶんせき(GC/MS)の結果けっか提出ていしゅつなどはおこなわれず、100%天然てんねんであることを保証ほしょうするものではない。

グレード

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精油せいゆ製品せいひんにはつぎの3つのグレードがある[30]

  • インダストリアルグレード産業さんぎょうよう使用しようされ、合成ごうせい香料こうりょうふくまれる。
  • 100%ピュア&ナチュラルグレード合成ごうせい香料こうりょうふくまれないが、残留ざんりゅう農薬のうやくについての保証ほしょうはない。
  • オーガニックグレード有機ゆうき栽培さいばいされた香料こうりょう植物しょくぶつから採取さいしゅされ、残留ざんりゅう農薬のうやくふくまれない。アロマテラピーで利用りようされる。ヨーロッパでは、フランスの国際こくさい有機ゆうき認定にんてい機関きかんECOCERTによる認証にんしょうがある。有機ゆうき栽培さいばいでは農薬のうやく使つかわないため、生産せいさんせい減少げんしょうしコストががる。付加ふか価値かちはつくが、通常つうじょうの3ばい値段ねだん販売はんばいできたとしても、オーガニックグレード精油せいゆ実際じっさいより過剰かじょう出回でまわっているとかんがえられている[2]。オーガニックグレードは食品しょくひん化粧けしょうひん業界ぎょうかい需要じゅようはあまりなく、需要じゅようはアロマセラピストのちいさな市場いちばかぎられている。100%ピュア&ナチュラルグレードとオーガニックグレード精油せいゆ組成そせいちがいはなく、オーガニックグレードには残留ざんりゅう農薬のうやくふくまれてないはずだが、相当そうとうりょうのサンプルを提供ていきょうしないかぎり、残留ざんりゅう農薬のうやく有無うむ判断はんだんすることはむずかしい[2]

医療いりょうグレード、メディカルグレード、セラピーグレードなどという通称つうしょうもある。これらの呼称こしょうは、医療いりょうもちいるほどこう品質ひんしつ精油せいゆであると主張しゅちょうするさい使用しようされるようだが、このような基準きじゅんがあるわけではなく、たんなる造語ぞうごにすぎない[48]

加工かこう規格きかくにせ

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ほとんどの精油せいゆは、食品しょくひん添加てんかぶつ香水こうすいとして利用りようするさいにはアルコールで希釈きしゃくする必要ひつようがあり、アルコールにけやすくし、劣化れっか不溶ふよう沈殿ちんでんぶつふせぐために、だつテルペン処理しょりほどこされる[2]不快ふかいにおいのもと毒性どくせい成分せいぶんのぞ処理しょりおこなわれる。水増みずましや品質ひんしつせるため、規格きかくわせるために、合成ごうせい物質ぶっしつ添加てんか、ブレンディングなどのにせひろおこなわれている。

精油せいゆ流通りゅうつうりょう生産せいさんりょうおおきく上回うわまわっており、天然てんねん精油せいゆに、べつ安価あんか精油せいゆ合成ごうせい物質ぶっしつくわえ、様々さまざま溶剤ようざいにせする偽装ぎそう行為こういひろおこなわれている。にせとは、1種類しゅるい以上いじょう粗悪そあく成分せいぶん添加てんかなどをおこない、製品せいひん基準きじゅんげる行為こうい解釈かいしゃくされている。規格きかく成分せいぶん補強ほきょう液体えきたい成分せいぶんさい構成こうせい天然てんねん精油せいゆかおりを化学かがくてき再現さいげんすること)、営利えいり水増みずまし)がおこなわれ、ラベルとちが学名がくめい精油せいゆ販売はんばいされることもある。真正しんしょうラベンダーでラバンジンが、サンダルウッド合成ごうせい香料こうりょうサンタルが販売はんばいされたれいもある。ヨーロッパ薬局方やっきょくほう記載きさいされた精油せいゆで、薬局やっきょくとう販売はんばいされているものを成分せいぶん分析ぶんせきしたところ、その品質ひんしつ許容きょよう範囲はんいえたものであったという報告ほうこくもある[2]

フランスにおける真正しんしょうラベンダー生産せいさんりょうは、1967ねんの87トンから1998ねんには12トンと減少げんしょうしているが、この期間きかんでラベンダー世界せかい需要じゅようは100ばい増加ぞうかしている[40]生産せいさんりょう流通りゅうつうりょう差分さぶんは、にせによって水増みずましされた精油せいゆによってまかなわれている。長年ながねん精油せいゆにせおこなわれてきたことで、皮膚ひふえん皮膚ひふかんさく発生はっせいりつ上昇じょうしょうしている。無害むがいかんがえられる精油せいゆも、ひとによって毒性どくせい発現はつげんしているが、にせもちいられた成分せいぶんによる免疫めんえきかんさく可能かのうせいたかい。職業病しょくぎょうびょうとしてアロマセラピストの皮膚ひふえん増加ぞうかしている[2]

薬理やくり効果こうか臨床りんしょう研究けんきゅう

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精油せいゆ医療いりょう使つかわれるようになったのは、精油せいゆには、材料ざいりょう植物しょくぶつつのとおな生物せいぶつ活性かっせい薬効やっこう)が凝縮ぎょうしゅくされているのではないか、という推論すいろんによる。そのためアロマセラピーでは、現在げんざいでもむかし植物しょくぶつ療法りょうほう薬効やっこう引用いんようされることがおおいが、この推論すいろん間違まちがっていることがわかっている[2]たとえばオレンジ外皮がいひから抽出ちゅうしゅつされるあぶら溶性ようせい成分せいぶんからなり、果皮かひ果肉かにくふくまれる水溶すいようせいビタミンBるいビタミンCカルシウムタンパク質たんぱくしつなどはふくまれない。つまり、材料ざいりょう植物しょくぶつられる薬効やっこうのすべてが精油せいゆにあるわけではない。近年きんねん研究けんきゅうで、植物しょくぶつかく成分せいぶんにはことなる薬理やくり作用さようがあることがわかってきた[2]

近年きんねん研究けんきゅうくらべると、過去かこ臨床りんしょう研究けんきゅうには、デザインや結果けっか欠陥けっかん見受みうけられる。科学かがくしゃによる信頼しんらい臨床りんしょう研究けんきゅう徐々じょじょえ、精油せいゆ効果こうか肯定こうていてき研究けんきゅう結果けっか報告ほうこくされている。

イギリス薬局方やっきょくほうには、シナモン下痢げりめ、ふうやく胃腸いちょうないのガスめ))、クローブバッド、クローブリーフ(歯痛しつうよう局部きょくぶ麻酔ますいやく関節かんせつえんふく鼻腔びこうえん)、カモミール・ジャーマン(こう炎症えんしょうざい)、ペパーミント消化しょうか不良ふりょう気管支炎きかんしえん過敏かびんせいちょう症候群しょうこうぐん)などが掲載けいさいされている。また慣習かんしゅうてき伝統でんとうてきに、こう炎症えんしょうざい消毒しょうどくやく去痰きょたんやくふうやくとして利用りようされるものもある。

安全あんぜんせい

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精油せいゆ食品しょくひん化粧けしょうひん香水こうすいなどで希釈きしゃく物質ぶっしつともひろ利用りようされ、すうおおくの問題もんだいこっているが、とくかんさく作用さよう(ある抗原こうげんたい生体せいたいアレルギー反応はんのうをおこしうる状態じょうたいにする作用さよう)が問題もんだいされている。精油せいゆマイクロカプセル、パウダーなど科学かがく技術ぎじゅつ発達はったつで、顧客こきゃく要望ようぼうわせてデザインされた精油せいゆ数多かずおおつくられ、様々さまざまなものに添加てんかされるようになった。吸収きゅうしゅうしやすい状態じょうたい加工かこうされた多様たよう精油せいゆ頻繁ひんぱん接触せっしょくすることで、毒性どくせいのリスクが上昇じょうしょうしたのである。精油せいゆ安全あんぜんせいは、現在げんざい全体ぜんたいてき見直みなおし・さい調査ちょうさがされており、精油せいゆ使つかった製品せいひん売買ばいばい使用しよう規制きせい強化きょうかされつつある。現在げんざいヨーロッパでは、2002ねん欧州おうしゅう指令しれいにより、精油せいゆ使用しよう条件じょうけん警告けいこくをラベルに記載きさいするよう義務付ぎむづけられている。欧州おうしゅう連合れんごう(EU)では、欧州おうしゅうにおけるあたらしい化学かがくひん規制きせいREACH(REACH規則きそく:Registration, Evaluation, Authorisation and Restriction of Chemicals)が、2008ねんから運用うんようされており、精油せいゆふく香料こうりょう対象たいしょうとなっている[49][50][51]。ラベンダーなどの一部いちぶ精油せいゆが、アレルギーをこす可能かのうせいがあるなどの理由りゆう規制きせい対象たいしょうとなっており、将来しょうらいてきに「内服ないふくまたは吸入きゅうにゅうした場合ばあい死亡しぼうする可能かのうせいがある。」という警告けいこくラベルが義務付ぎむづけられる可能かのうせいがある[52]

すべての精油せいゆこう濃度のうど使用しようすると毒性どくせいがあり、とく内服ないふく危険きけんである。(現在げんざい内服ないふくは、フランスのごく一部いちぶ病院びょういん、または科学かがくてき研究けんきゅう興味きょうみのない一部いちぶのセラピストがおこなっている。)つよ毒性どくせいのある精油せいゆてい濃度のうどでも危険きけんであるが、アロマテラピーでは使用しようされない。無毒むどくとされる精油せいゆもちいても、ひとによっては毒性どくせい発現はつげんするが、これは免疫めんえきかんさく影響えいきょうであるとおもわれる。きわめて微量びりょう精油せいゆでも、継続けいぞくてき使用しようすることで毒性どくせい発現はつげんする可能かのうせいがある。ある調査ちょうさでは、アロマセラピストの23%が皮膚ひふえんこしていた。また、通常つうじょう療法りょうほう代替だいたい療法りょうほう併用へいようするとぎゃく効果こうかあらわれるという報告ほうこく増加ぞうかしており、医師いしとアロマセラピストが連携れんけいしていない場合ばあい深刻しんこく問題もんだいこりかねない[2]

アロマテラピーの書籍しょせきには、科学かがくてき有効ゆうこうせい証明しょうめいされていない、矛盾むじゅんだらけの薬効やっこう数多かずおお記載きさいされている。植物しょくぶつ学名がくめいべられていないものもおおく、どのように作用さようするかの説明せつめいもない場合ばあいがほとんどである。素人目しろうとめ科学かがくてきえても、実際じっさいには不十分ふじゅうぶんきわまりない情報じょうほうおおく、それがエビデンスとして利用りようされるれいもある。アメリカでは1997ねん精油せいゆ根拠こんきょ効能こうのううたったLafabre and Aromaがうったえられており[2]、2014ねんにはヤングリヴィングドテラが、医薬品いやくひんとして認可にんかされていない自社じしゃ精油せいゆ根拠こんきょ薬効やっこう喧伝けんでんしたとして、アメリカ食品しょくひん医薬品いやくひんきょく(FDA)から警告けいこくけている[53][54][55]。アロマテラピーの書籍しょせきには、乳幼児にゅうようじにカモミールを1にち3かい、5~10てき内服ないふくさせるような危険きけん療法りょうほうすすめるものすら存在そんざいするが、実際じっさいにこれがおこなわれた場合ばあい死亡しぼう事故じここる可能かのうせいがある。おおくの書籍しょせきがあるにもかかわらず、有害ゆうがい作用さよう記載きさいされているものはすくない。

おおくのアロマセラピストは科学かがくてき研究けんきゅう興味きょうみがなく、学術がくじゅつてき研究けんきゅう完全かんぜん否定ひていするセラピストも存在そんざいする[2]。アロマテラピーはニューエイジ関係かんけいふかいためか、むしろ独自どくじ宇宙うちゅうろん占星術せんせいじゅつ宝石ほうせき色彩しきさい音楽おんがく療法りょうほうなどを重視じゅうしし、リフレクソロジー指圧しあつレイキかざし)、ヨガなどの民間みんかん資格しかく治療ちりょう併用へいようする場合ばあいおお[2]なんらかの疾患しっかん治療ちりょうちゅうのクライアントを施術しじゅつするさい担当たんとう連携れんけいをとらなかったり、科学かがく知識ちしき不足ふそくからアレルギー反応はんのうによる炎症えんしょうを「好転こうてん反応はんのう」と間違まちがって説明せつめいするなどの問題もんだいもある。アメリカ食品しょくひん医薬品いやくひんきょく(FDA)などから承認しょうにんけていることを根拠こんきょに、精油せいゆ内服ないふく原液げんえき塗布とふ推奨すいしょうするセラピストも存在そんざいするが、無論むろんこれらの承認しょうにんは、どんな濃度のうどであっても内服ないふく塗布とふがいがないということを意味いみするわけではない。また、新種しんしゅ野生やせいしゅからとられた精油せいゆ未知みちのケモタイプの精油せいゆなど、安全あんぜんせい確認かくにんされていないものも治療ちりょう使つかわれるれいがあるが、これはクライアントを実験じっけん動物どうぶつとしてあつかうにひとしく、問題もんだいとなっている。

また、ペットの治療ちりょう精油せいゆ使つかわれることがあるが、ねこなどの肉食にくしょく動物どうぶつ精油せいゆ代謝たいしゃすることができないため、中毒ちゅうどく危険きけん非常ひじょうたかい。雑食ざっしょくいぬでも中毒ちゅうどく事故じこ報告ほうこくられる[56]

精油せいゆれる植物しょくぶつ

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精油せいゆ原料げんりょうとなる植物しょくぶつ多岐たきにわたる。オレンジのようにはな果実かじつからことなる精油せいゆられるような植物しょくぶつもある。以下いかおも採油さいゆ植物しょくぶつとその部位ぶいしめす。

精油せいゆ原料げんりょう乱獲らんかく

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香料こうりょう需要じゅよう拡大かくだい精油せいゆ使つかうアロマセラピーの普及ふきゅうで、精油せいゆ生産せいさんりょう急速きゅうそく拡大かくだいし、原料げんりょう植物しょくぶつ乱獲らんかくプランテーションによる自然しぜん破壊はかい問題もんだいになっている。ローズウッド (クスノキ)乱獲らんかくにより絶滅ぜつめつひんしており、ワシントン条約じょうやくレッドリスト登録とうろくされている[57][58][59]白檀びゃくだんサンダルウッド)、乳香にゅうこうフランキンセンス)などの香木こうぼく)も乱獲らんかく対象たいしょうとなっており[60]樹木じゅもく植林しょくりんなどの対策たいさくられているが、これらの樹木じゅもく成長せいちょうおそいため、植生しょくせい回復かいふくにも時間じかんがかかる[61]。またティーツリーのような人気にんき精油せいゆでは、急速きゅうそく需要じゅよう拡大かくだい野生やせいしゅ伐採ばっさいとプランテーションによる自然しぜん破壊はかいだい規模きぼおこなわれた[62]

こう調ちょう(ノート)による分類ぶんるい

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香水こうすい世界せかいでは、こう調ちょう(ノート)によりかおりを分類ぶんるいするかんがかたがある。かおりをたのしむアロマテラピーでも、このような分類ぶんるい援用えんようされることもあるようである。かんがかたにより4種類しゅるい、7種類しゅるい、8種類しゅるい、12種類しゅるい分類ぶんるいすう多様たようで、分類ぶんるいほうによりふくまれるかおりはことなる。以下いか精油せいゆ関係かんけいのあるこう調ちょう代表だいひょうてきなものを列記れっきした。(シプレー調ちょうなど複数ふくすう精油せいゆもちいるこう調ちょうはぶいた。)

しょう期限きげん

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製品せいひんされた精油せいゆは、開封かいふうやく1ねん目安めやすとなるものがおおい。柑橘かんきつけい(ベルガモット、レモンなど)はやく半年はんとしとされる。例外れいがいてきに、サンダルウッド、乳香にゅうこう、パチュリー、ローズオットーの精油せいゆのように、としるごとにしつくなるものもある[38]

脚注きゃくちゅう

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  3. ^ 現在げんざいでは「精油せいゆ」という名称めいしょう化学かがくてき意味いみはない。
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参考さんこう文献ぶんけん

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精油せいゆ精油せいゆもちいた治療ちりょうであるアロマテラピーの研究けんきゅう日々ひびすすんでいるが、日本語にほんご最新さいしん情報じょうほうきわめてすくない。正確せいかく情報じょうほうるには、外国がいこくのものをふく最新さいしん論文ろんぶん専門せんもん雑誌ざっし専門せんもんしょたることがのぞましい。過去かこ評価ひょうかたかかった専門せんもんしょも、ふるいものには間違まちがった情報じょうほう更新こうしんされた情報じょうほう)があるため注意ちゅうい必要ひつようである。

  • 長谷川香料はせがわこうりょう株式会社かぶしきがいしゃ ちょ香料こうりょう科学かがく講談社こうだんしゃ、2013ねん
  • マリア・リス・バルチン ちょ 『アロマセラピーサイエンス』 田邉たなべ和子かずこ 松村まつむら康生やすお 監訳かんやく、フレグランスジャーナルしゃ、2011ねん原著げんちょはPharmaceutical Pr、2005ねん
  • K. Husnu Can Baser、Gerhard Buchbauer 編集へんしゅう Handbook of Essential Oils: Science, Technology, and Applications、CRC Press、2010ねん
  • ジャン=クロード・エレナ ちょ香水こうすい-かおりの秘密ひみつ調しらべこうわざ芳野よしのまい やく白水しろみずしゃ、2010ねん
  • ルカ・トゥリン ちょかおりのたのしみ、においの秘密ひみつ山下やました篤子あつこ やく河出書房新社かわでしょぼうしんしゃ、2008ねん
  • 今西いまにし二郎じろう ちょ補完ほかん代替だいたい医療いりょう メディカル・アロマセラピー』 きむかおるどう、2006ねん
  • 高山たかやま林太郎りんたろう ちょ 『ルーツ of アロマテラピー』 現代書林げんだいしょりん、2002ねん
  • ヒロ・ヒライ ちょ 『エリクシルからだい精髄せいずい、そしてアルカナへ: 蒸留じょうりゅうじゅつとルネサンス錬金術れんきんじゅつ』 Kindle、2014ねん初出しょしゅつ:「アロマトピア だい53ごう」 2002ねん
  • ヒロ・ヒライ ちょ蒸留じょうりゅうじゅつとイスラム錬金術れんきんじゅつ』 Kindle、2014ねん初出しょしゅつ「アロマトピア だい48ごう」 2001ねん
  • 荘司しょうじ菊雄きくお ちょ 『においのはなし―アロマテラピー・精油せいゆ健康けんこう科学かがくする』 技報堂ぎほうどう出版しゅっぱん、2001ねん
  • クリシー・ワイルドウッド ちょ 『アロマテラピーの精油せいゆでつくる自然しぜん香水こうすい高山たかやま林太郎りんたろう やく、フレグランスジャーナルしゃ、1996ねん
  • フランス香水こうすい委員いいんかい 監修かんしゅう香水こうすい賛歌さんか 魅惑みわくかおり』 朝日新聞社あさひしんぶんしゃ、1994ねん
  • 久保くぼあきら 編集へんしゅう岩波いわなみ理化学りかがく辞典じてんだい4はん岩波書店いわなみしょてん、1987ねん
  • 化学かがくだい辞典じてん編集へんしゅう委員いいんかい 編集へんしゅう化学かがくだい辞典じてん共立きょうりつ出版しゅっぱん、1977ねん

関連かんれん項目こうもく

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