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モントリオール・ロコモティブ・ワークス

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モントリオール・ロコモティブ・ワークス(MLW)は、かつてカナダ存在そんざいした機関きかんしゃ製造せいぞうメーカーである。1883ねんから1985ねんまで蒸気じょうき機関きかんしゃディーゼル機関きかんしゃ製造せいぞうし、本社ほんしゃ工場こうじょうケベックしゅうモントリオール所在しょざいした。

年表ねんぴょう[編集へんしゅう]

  • 1883ねん - ロコモティブ・アンド・マシン・カンパニー・オブ・モントリオール設立せつりつ
  • 1901ねん - アメリカン・ロコモティブ(アルコ)設立せつりつ
  • 1904ねん - アルコがロコモティブ・アンド・マシン・カンパニー・オブ・モントリオールを買収ばいしゅう、MLWとなる
  • 1949ねん - アルコのディーゼル機関きかんしゃ販売はんばい
  • 1951ねん - 大型おおがたディーゼル機関きかんしゃ製造せいぞう開始かいし
  • 1964ねん - アルコがウォーシントンに買収ばいしゅうされ、MLWはMLWウォーシントンとなる
  • 1967ねん - ウォーシントンがスチュードベーカーと合併がっぺいし、アルコはその子会社こがいしゃ
  • 1970ねん - ディーゼルエンジン設計せっけい部門ぶもん売却ばいきゃく
  • 1975ねん - ボンバルディア・トランスポーテーションがMLWウォーシントンのかぶ大量たいりょう取得しゅとく
  • 1985ねん - 機関きかんしゃ製造せいぞうから撤退てったい
  • 1988ねん - MLWの工場こうじょう売却ばいきゃく

歴史れきし[編集へんしゅう]

設立せつりつ[編集へんしゅう]

1883ねん成長せいちょうしつつあったカナダ国内こくない市場いちばけて機関きかんしゃ製造せいぞうするために、ロコモティブ・アンド・マシン・カンパニー・オブ・モントリオール(Locomotive and Machine Company of Montreal Limited)として設立せつりつされた。当時とうじのカナダ国内こくないでは、カナダ太平洋たいへいよう鉄道てつどうグランド・トランク鉄道てつどうインターコロニアル鉄道てつどうがとくに有力ゆうりょく購買こうばいしゃとみられていた。

アルコによる買収ばいしゅう[編集へんしゅう]

1901ねんアメリカにおいて、いくつかの機関きかんしゃ製造せいぞう会社かいしゃ合併がっぺいしてアメリカン・ロコモティブ(アルコ)がニューヨークしゅうスケネクタディ設立せつりつされた。1904ねん、アルコはカナダ市場いちばへの進出しんしゅつ目論もくろんでロコモティブ・アンド・マシン・カンパニー・オブ・モントリオールを買収ばいしゅうざいモントリオールの子会社こがいしゃとし、すうねん会社かいしゃめいモントリオール・ロコモティブ・ワークス以下いかMLWと記述きじゅつ)と改称かいしょうした。

MLWはアルコが設計せっけいした機関きかんしゃ製造せいぞうする唯一ゆいいつ工場こうじょうとなり、カナダ市場いちばおおきな勢力せいりょくめた。鉄道てつどうだい発展はってんとなった1900ねんから1915ねんにかけて、前例ぜんれいのないほど大量たいりょう受注じゅちゅうした。というのも、アメリカで製造せいぞうした機関きかんしゃをカナダの鉄道てつどう輸入ゆにゅうして使用しようするには関税かんぜいがかかるため、カナダ国内こくない製造せいぞうする機関きかんしゃ注文ちゅうもん殺到さっとうしたのである。その、いくつかの鉄道てつどう会社かいしゃ破綻はたんし、それらを救済きゅうさい統合とうごうした国有こくゆう鉄道てつどうであるカナディアン・ナショナル鉄道てつどう(CNR)が1918ねん成立せいりつすると、カナダの連邦れんぽう政府せいふ機関きかんしゃを1しゃだけから購入こうにゅうするのではなく、国内こくないかくメーカーから購入こうにゅうするような方針ほうしんてた。

1920年代ねんだいから1940年代ねんだいにかけて、CNRは前身ぜんしんとなったかく鉄道てつどうから継承けいしょうした機関きかんしゃ更新こうしん時期じきにかかった。この時期じき、MLWはおおくの機関きかんしゃ納入のうにゅうし、いでだい世界せかい大戦たいせんがはじまると、MLWの工場こうじょう連合れんごうこくけの軍需ぐんじゅ物資ぶっし製造せいぞう転換てんかんされ、生産せいさん拡大かくだいしていった。

だい世界せかい大戦たいせんちゅう[編集へんしゅう]

だい世界せかい大戦たいせんちゅう、MLWはカナダぐんイギリスぐんけに戦車せんしゃなどの生産せいさんおこなった。アメリカせいM3ちゅう戦車せんしゃえい連邦れんぽうこくけに改修かいしゅうしたラム巡航じゅんこう戦車せんしゃおなじくアメリカせいM4ちゅう戦車せんしゃえい連邦れんぽうこくけに改修かいしゅうしたグリズリー巡航じゅんこう戦車せんしゃ、およびこれらの車台しゃだいもちいて開発かいはつされたセクストンはしほうなどが、MLWの製造せいぞうした装甲そうこう戦闘せんとう車両しゃりょうとしてられている。

戦後せんごのディーゼル機関きかんしゃ製造せいぞう業界ぎょうかい[編集へんしゅう]

だい世界せかい大戦たいせん終結しゅうけつ、MLWをはじめとするメーカーは機関きかんしゃ製造せいぞう復帰ふっきした。MLWはアメリカからの輸入ゆにゅう制限せいげんくわえる保護ほご貿易ぼうえき政策せいさくにより、利益りえき計上けいじょうつづけた。製造せいぞうする機関きかんしゃ蒸気じょうき機関きかんしゃからディーゼル機関きかんしゃへとわり、あらたな競合きょうごうメーカーもあらわれた。

1949ねんゼネラルモーターズ機関きかんしゃ製造せいぞう部門ぶもんのカナダでの子会社こがいしゃとしてゼネラルモーターズ・ディーゼル(GMD、GM-EMDのカナダにおける子会社こがいしゃ)がオンタリオしゅうロンドン設立せつりつされた。

長年ながねん、MLWにとって蒸気じょうき機関きかんしゃ製造せいぞう競合きょうごうしゃであったカナディアン・ロコモティブ・カンパニー(CLC)はボールドウィン協力きょうりょくてボールドウィンやその子会社こがいしゃホイットコム機関きかんしゃ輸入ゆにゅう製造せいぞうした。ボールドウィンが倒産とうさんしたのち、CLCはフェアバンクス・モース(FM)の機関きかんしゃをライセンス生産せいさんした。なかでも有名ゆうめいなものはトレインマスターである。またGEがアメリカでのロード・スイッチャー市場いちば参入さんにゅうするまえは、GEの機関きかんしゃ製造せいぞうした。

旅客りょかくしゃ製造せいぞう[編集へんしゅう]

MLWはトロント地下鉄ちかてつM1けいという車両しゃりょう製造せいぞうした。製造せいぞう期間きかんみじかく、1960年代ねんだいなかばからはホーカー・シドレー・カナダが受注じゅちゅうするようになった。

ディーゼル機関きかんしゃへの転向てんこう[編集へんしゅう]

1949ねん、MLWはGMDに対抗たいこうしてアルコのディーゼル機関きかんしゃ販売はんばいはじめた。おもスイッチャーで、アルコのものとは多少たしょう意匠いしょう変更へんこうおこなった。1951ねん、貨客兼用けんよう大型おおがた機関きかんしゃ製造せいぞう開始かいしした。

すでにディーゼル相当そうとうすすんでいたアメリカとは対照たいしょうてきに、1950年代ねんだいのカナダの鉄道てつどうではまだ蒸気じょうき機関きかんしゃおお使つかわれていたが、一部いちぶのぞいて1960ねん早々そうそうにはディーゼル完了かんりょう。1960年代ねんだいには全盛期ぜんせいきとなった。機関きかんしゃメーカーの合従連衡がっしょうれんこうがあったアメリカにおくれること15ねんであった。

1960年代ねんだいつうじて、CN(きゅうCNR、MLWの最大さいだい顧客こきゃく)はいまだに機関きかんしゃ調達ちょうたつかくメーカー満遍まんべんなく、という方針ほうしんのもとにいた。当時とうじケベックじんのナショナリズムが高揚こうようし、政治せいじてき重要じゅうよう地域ちいきであるケベックに本拠地ほんきょちがあるMLWは、ケベックじんから好意こういてき印象いんしょうたれていた。

MLWのスイッチャーは、とくに低速ていそくでの粘着ねんちゃく(レールと車輪しゃりんのグリップの具合ぐあい)のよさに主眼しゅがんいて設計せっけいされていた。MLWとアルコの車両しゃりょう設計せっけいは、電気でんき機器ききにおいてGEの協力きょうりょくていた。MLWはカナダの貿易ぼうえき政策せいさくによる恩恵おんけいこうむり、輸出ゆしゅつ拡大かくだいした。カナダの貿易ぼうえき政策せいさくは、だいさん世界せかいつうじての共産きょうさん主義しゅぎ政府せいふ地域ちいきとの貿易ぼうえき制限せいげんするアメリカのものよりゆるやかであった。

MLWウォーシントン時代じだい[編集へんしゅう]

MLWの親会社おやがいしゃであるアルコは、1960年代ねんだい業績ぎょうせき悪化あっかしていった。理由りゆうは、以前いぜん協業きょうぎょうしていたGEがアメリカでのスイッチャー製造せいぞう事業じぎょう進出しんしゅつしたためである。アルコは1964ねん経営けいえいてきまり、ウォーシントン買収ばいしゅうされた。アルコの子会社こがいしゃであるMLWの社名しゃめいMLWウォーシントン変更へんこうされた。

1967ねん、ウォーシントンはスチュードベーカー合併がっぺいし、社名しゃめいスチュードベーカー・ウォーシントン変更へんこう。アルコはその子会社こがいしゃとなった。1968ねん、アルコのかく部門ぶもん独立どくりつ採算さいさん子会社こがいしゃとなり、翌年よくねん改組かいそされてスケネクタディ工場こうじょう閉鎖へいさされた。機関きかんしゃ設計せっけいはMLWウォーシントンにがれ、ディーゼルエンジンの設計せっけいよく1970ねんにホワイト・モーターに売却ばいきゃく。その、ディーゼルエンジンの設計せっけいはホワイト・インダストリー・パワーを1977ねんにイギリスのゼネラル・エレクトリック・カンパニー(GEC、アメリカのGEとは無関係むかんけいであり、のちに吸収きゅうしゅうにより消滅しょうめつ)のわたり、アルコパワー改名かいめいされ、さらに設計せっけい部門ぶもん1994ねんフェアバンクス・モース譲渡ゆずりわたされた。

1970年代ねんだい早期そうきつうじて、MLWウォーシントンはカナダの鉄道てつどうけにだい世代せだいというべき機関きかんしゃ製造せいぞうしていた。CLCは1969ねん撤退てったいし、競合きょうごう相手あいて急速きゅうそく業務ぎょうむ規模きぼ拡大かくだいしていたGMDとなった。この時期じきのMLWウォーシントンはトレンドの先端せんたんはしっており、現代げんだい北米ほくべい機関きかんしゃられるカナディアン・セーフティ・キャブにその影響えいきょうることができる。その最初さいしょのものはM-420で、ワイド・ノーズすなわちショート・フードが左右さゆうひろいデザインが特徴とくちょうで、その頭文字かしらもじW形式けいしきめいくわえられた。すぐに、安全あんぜんせいたか運転うんてんしつという設計せっけいはカナダの鉄道てつどうにおいて重要じゅうようなものとなった。この運転うんてんしつのスタイルはアメリカの会社かいしゃであるEMDやGEは1980年代ねんだいまで採用さいようしなかったが、現代げんだいでは標準ひょうじゅんてきなものとなっている。

ボンバルディアによる買収ばいしゅう[編集へんしゅう]

1975ねん、ケベックに本拠地ほんきょちコングロマリットボンバルディア交通こうつう輸送ゆそう部門ぶもんボンバルディア・トランスポーテーションがMLWウォーシントンのかぶだい部分ぶぶん取得しゅとくした。ボンバルディアの傘下さんかで、「MLW」は1980年代ねんだいはじめまで革新かくしんてき機関きかんしゃ設計せっけいつづけ、その地理ちりてき要因よういんと、モントリオールでの重要じゅうよう雇用こよう企業きぎょうとしての政策せいさくてき現実げんじつから業績ぎょうせきげてきた。1970年代ねんだい、ボンバルディアは鉄道てつどう車両しゃりょう製造せいぞう進出しんしゅつしてきた。おもにカナダ国内こくない通勤つうきん列車れっしゃ地下鉄ちかてつのものである。1980ねん、「MLW」はVIA鉄道てつどうのためにディーゼルエンジンによる高速こうそく鉄道てつどうLRC製造せいぞう機関きかんしゃ2005ねんまで、客車きゃくしゃ2019ねん現在げんざい使用しようされつづけている。

MLWはまた機関きかんしゃ駆動くどう方式ほうしき研究けんきゅうすすめ、駆動くどうようモータに交流こうりゅうモータを使用しようした試作しさく車両しゃりょうM-6401984ねんにカナダ太平洋たいへいよう鉄道てつどうおさめた。現在げんざい完全かんぜんにボンバルディア傘下さんかにあるが、MLWの工場こうじょう設計せっけいセクションはCNの要請ようせいによる信頼しんらいせいたかい(High reliable=HR)貨物かもつよう機関きかんしゃ設計せっけい製造せいぞう最終さいしゅう段階だんかいにあった。その機関きかんしゃ前述ぜんじゅつのセーフティ・キャブをそなえたもので、4どうじくのM-420にHR-412ぐるまはば限界げんかいまでひろげた6どうじくHR-616である。HR-616は、CNの要請ようせい後方こうほう視界しかい向上こうじょうさせたドラッパー・テーパーばれる特異とくい形態けいたいをしていた。これらの機関きかんしゃ設計せっけいは、CNが1960年代ねんだいから1970年代ねんだい初期しょきにかけて導入どうにゅうした30くみのMLWとGMDの機関きかんしゃ老朽ろうきゅうようであった。その老朽ろうきゅうした機関きかんしゃとは、1990年代ねんだいなかばまで使用しようする想定そうていであったにもかかわらず機械きかいてきにも電気でんきてきにも信頼しんらいせいとぼしく、失敗しっぱいさくととらえられており、それがアルコ/MLWの評判ひょうばんでもあった。

1985ねん会社かいしゃ組織そしきとしてさい編成へんせいされ、ボンバルディアは機関きかんしゃ製造せいぞう事業じぎょうから撤退てったいし、旅客りょかくしゃ製造せいぞう専念せんねんすることとした。休眠きゅうみんちゅうのMLWの工場こうじょう1988ねんにGEに売却ばいきゃくされ、皮肉ひにくにも1960年代ねんだいせいのスイッチャーのよう機関きかんしゃ製造せいぞう使用しようされたが、1993ねんにはその工場こうじょう閉鎖へいさされ、2001ねんには火事かじ半分はんぶんちた。のこ半分はんぶんはカナダ自然しぜん調査ちょうさきょく使用しようしていた。

2004ねんのこりの部分ぶぶんこわされた。すぐちかくにあったカナダ唯一ゆいいつ家電かでんメーカー、GEカムコ・ウエスチングハウスの工場こうじょうがその半分はんぶん土地とち購入こうにゅうし、倉庫そうこけん店舗てんぽとした。のこりの半分はんぶんは、いまだガレキのやまのあるとして、高速こうそく道路どうろからながめることができる。

なお、ボンバルディアは2001ねんアドトランツ買収ばいしゅうし、その技術ぎじゅつ機関きかんしゃ製造せいぞう再開さいかいしたが、アルコやMLWのながれとは無関係むかんけいヨーロッパ旅客りょかく機関きかんしゃ設計せっけい手法しゅほう採用さいようされた。工場こうじょうは、カナダのケベックしゅうラポカティエレ、オンタリオしゅうのサンダー・ベイ、アメリカのバーモントしゅうにある。

納入のうにゅうした鉄道てつどう会社かいしゃ[編集へんしゅう]

関連かんれん項目こうもく[編集へんしゅう]