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ラム巡航じゅんこう戦車せんしゃ

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
ラム巡航じゅんこう戦車せんしゃ
Ram Mk.II(写真しゃしん前期ぜんきがた
性能せいのうしょもと
全長ぜんちょう 5.79 m
車体しゃたいちょう 5.79 m
全幅ぜんぷく 2.67 m
ぜんこう 2.90 m
重量じゅうりょう 29.5 t
懸架けんか方式ほうしき VVSS
速度そくど 40 km/h
行動こうどう距離きょり 232 km
主砲しゅほう オードナンス QF 6ポンドほう Mk.III
ふく武装ぶそう 7.62mm機関きかんじゅうM1919A4×2
装甲そうこう 87 mm
エンジン コンチネンタル R975 C1
4ストロークほしがた9気筒きとう空冷くうれいガソリン
400 HP / 2,400 rpm
乗員じょういん 5 めい
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ラム巡航じゅんこう戦車せんしゃ(ラムじゅんこうせんしゃ、Cruiser Tank Ram)はだい世界せかい大戦たいせんなかカナダ製造せいぞうされた戦車せんしゃアメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくM3ちゅう戦車せんしゃもと1941ねん開発かいはつされた。

概要がいよう

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1940ねんダンケルクのたたか大量たいりょう装備そうびうしなったイギリスぐん自国じこくでの戦車せんしゃ生産せいさんきゅうピッチですすめる必要ひつようがあり、カナダぐんけに戦車せんしゃ生産せいさんする余裕よゆうかった[1]。カナダでもイギリスせいバレンタイン歩兵ほへい戦車せんしゃ委託いたく生産せいさんおこなわれたが、カナダ陸軍りくぐん機甲きこう部隊ぶたい歩兵ほへい戦車せんしゃよりも巡航じゅんこう戦車せんしゃもとめており[1]、カナダで生産せいさんされたバレンタインのほとんどはソ連それん供与きょうよされることとなった。あらたにM3ちゅう戦車せんしゃのカナダでの生産せいさん計画けいかくされたが、M3ちゅう戦車せんしゃ車体しゃたい固定こてい装備そうびされた主砲しゅほう旋回せんかい角度かくど限定げんていされ、ふるリベット結合けつごうてであることや、くるまちょう無線むせん操作そうさするイギリスぐん規格きかくことなり砲塔ほうとううち無線むせんたないことなどが問題もんだいされ、イギリス・カナダぐん使用しようするための条件じょうけんたしていないとされた。このため戦車せんしゃ製造せいぞうおこなっていたアメリカン・ロコモティブしゃ子会社こがいしゃでもあるカナダのモントリオール・ロコモティブしゃではあらたに、M3ちゅう戦車せんしゃのシャーシ・コンポーネントを流用りゅうようしつつ、ぜん周旋しゅうせんかい砲塔ほうとうにイギリスぐん標準ひょうじゅん主砲しゅほう装備そうび車体しゃたい鋳造ちゅうぞうせい変更へんこうした新型しんがた開発かいはつすることとなった。

1941ねん6がつには最初さいしょ車輌しゃりょう完成かんせいし、同年どうねん11がつには本格ほんかくてき生産せいさん開始かいしされた。

M3ちゅう戦車せんしゃをベースに開発かいはつされているため、アメリカぐんうちではM3カナディアンM3A6などと呼称こしょうされていたが、最終さいしゅうてきにはM4ちゅう戦車せんしゃ系列けいれつふくまれるM4A5という形式けいしき番号ばんごうけられた。このことからもわかるように、M4ちゅう戦車せんしゃ生産せいさんすうすとともに存在そんざい理由りゆううすれることとなってしまった。

カナダで生産せいさんおこなわれていたものの、主要しゅよう部品ぶひん調達ちょうたつはアメリカからおこなわれており、鋳造ちゅうぞう車体しゃたい砲塔ほうとうもアメリカのジェネラル・スティール・キャスティングしゃ生産せいさんされた。このため、カナダがバレンタインの生産せいさん注力ちゅうりょくする必要ひつようがあったことと、アメリカ国内こくないのM4の生産せいさん体制たいせい充実じゅうじつにより連合れんごうこくうちでアメリカの工業こうぎょうりょく背景はいけいとした機材きざい共通きょうつうすすめられたこともあり、1943ねん7がつにはけい1,949りょう生産せいさん終了しゅうりょうし、後継こうけいグリズリー巡航じゅんこう戦車せんしゃ(カナダせいM4A1)にそのゆずった。

戦車せんしゃとしては実戦じっせん投入とうにゅうされることはなく、カナダ、イギリス国内こくないなどで訓練くんれんようとして使用しようされた。しかしシャーシは25ポンドほう搭載とうさいセクストンはしほう流用りゅうようされ、また戦車せんしゃがた改造かいぞうした砲兵ほうへい観測かんそくしゃラム・OP/コマンドや、砲塔ほうとう撤去てっきょしたラム・カンガルー兵員へいいん輸送ゆそうしゃ装甲そうこう回収かいしゅうしゃかたラムARV火炎かえん放射ほうしゃがたラム・バジャー実戦じっせん使用しようされた。

武装ぶそう

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油圧ゆあつ駆動くどう旋回せんかいする主砲しゅほうとうには、当初とうしょから6ポンドほう(43口径こうけい 57mmほう)の搭載とうさい予定よていされていたが、ダンケルクでの損害そんがい回復かいふくしたいイギリスがわ旧型きゅうがた2ポンドほう(40口径こうけい 40mmほう)の搭載とうさい主張しゅちょうし、輸出ゆしゅつめてしまったためMk.I には 2ポンドほう装備そうびされた。(これには、イギリスから6ポンドほうようほう設計せっけい図面ずめんとどかなかったため、カナダが自力じりきほうまわりを設計せっけいして装備そうびおくれた、というせつもある。)そのMk.IIからはジャイロしきほう安定あんてい装置そうち装備そうびした6ポンドほうとなった。この武装ぶそう変更へんこう設計せっけい前提ぜんていとなっていたため、主砲しゅほうかわそう容易よういにするために砲塔ほうとう前面ぜんめん装甲そうこうはボルトめになっている。

また、ひだり前方ぜんぽうに7.62mm M1919機関きかんじゅう装備そうびしたじゅうとうもうけられていたが、Mk.IIの中途ちゅうとより撤去てっきょされポールマウントしきじゅうとなった。

主要しゅよう形式けいしき

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Ram Mk.I
巡航じゅんこう戦車せんしゃ ラム Mk.I
6ポンドほう搭載とうさいがた完成かんせいするまでの暫定ざんていとして、バレンタイン歩兵ほへい戦車せんしゃ2ポンドほう流用りゅうようして50りょう生産せいさんされた。
巡航じゅんこう戦車せんしゃ ラム Mk.II
Ram Mk.II(後期こうきがた機銃きじゅうとう廃止はいしされ、CDPくつたい装着そうちゃくしている)
ジャイロしき安定あんてい装置そうちけた6ポンドほう搭載とうさいした。車体しゃたい側面そくめんのドアや砲塔ほうとうのピストルポートを廃止はいししたり、車体しゃたい下部かぶ脱出だっしゅつハッチを増設ぞうせつするなどの改良かいりょうおこなわれている。
生産せいさん後期こうきからは機銃きじゅうとう廃止はいしされ、車体しゃたい上部じょうぶ鋳造ちゅうぞう部分ぶぶん形状けいじょう変更へんこうされた。また、Canadian Dry Pin, CDPばれるぜんはがねせいのシングルピンしきくつたい採用さいようされた。CDPくつたい従来じゅうらいのM3リー/M4シャーマンようのダブルピンがたくつたいくらべると重量じゅうりょう半分はんぶん程度ていどおさえられており、かわそうするだけで戦車せんしゃ全体ぜんたい重量じゅうりょうり、機動きどうりょく航続こうぞく距離きょりすという利点りてんがあった[2]

派生はせいがた

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ラム・カンガルー
ラムだん観測かんそく/指揮しき戦車せんしゃ
QF 3.7インチ ラムはしほう
セクストンはしほう
QF 25ポンドほうはしする目的もくてき開発かいはつされ、ビショップはしほうM7プリーストはしほう後継こうけいとして運用うんようされた。初期しょきモデルのセクストンIがラム巡航じゅんこう戦車せんしゃ車体しゃたいもちいて生産せいさんされ、後期こうきモデルのセクストンIIはグリズリー巡航じゅんこう戦車せんしゃ車体しゃたいもちいて生産せいさんされた。
ラム装甲そうこう回収かいしゅうしゃ(Ram ARV)
装甲そうこう回収かいしゅうしゃタイプ。主砲しゅほうをダミーにかわそうし、後部こうぶ大型おおがたドラムリールと牽引けんいんフックが追加ついかされたMk.Iと、砲塔ほうとう撤去てっきょしたわりのはこがた構造こうぞうぶつからダミー砲身ほうしんやし、後部こうぶにクレーンを装備そうびしたMk.IIがあった。
ラム・カンガルー(Ram Kangaroo)
砲塔ほうとうとバスケット、弾薬だんやく撤去てっきょした兵員へいいん輸送ゆそうしゃがたりは砲塔ほうとう撤去てっきょあと開口かいこうからおこなわれた。車体しゃたい戦車せんしゃそのものであるため、防御ぼうぎょりょく装甲そうこうハーフトラックとは比較ひかくにならず、当時とうじとしては贅沢ぜいたく仕様しようであった。
歩兵ほへい8めいようのシートが増設ぞうせつされ、これにくるまちょう操縦そうじゅうしゅ機銃きじゅうしゅくわわった11めい搭乗とうじょうした。
ラム弾薬だんやく運搬うんぱんしゃ・ワラビー(Ram Ammunition Carrier "Wallaby")
ラム・カンガルーの弾薬だんやく運搬うんぱんしゃがたで、車内しゃないQF 25ポンドほうたま収納しゅうのうするラックが追加ついかされ、砲塔ほうとう撤去てっきょしたあとはハッチきのプレートでふさがれている。セクストンはしほう部隊ぶたい配属はいぞくされた。
ラム ほう牽引けんいんしゃ(Ram Gun Tower)
ラム・カンガルーのQF 17ポンドほう牽引けんいんしゃかた後部こうぶ牽引けんいんようフック、前部ぜんぶにピントル・フックが追加ついかされている。
ラム・バジャー火炎かえん放射ほうしゃ装甲車そうこうしゃ(Ram Badger)
ラム・カンガルーの火炎かえん放射ほうしゃがた。ワラビー同様どうよう砲塔ほうとう撤去てっきょしたあなふさがれており、初期しょきがたラムにいていたもの小型こがたじゅうとう操縦そうじゅうしゅせき後方こうほうく。
ラムだん観測かんそく/指揮しき戦車せんしゃ(Ram Observation Post/Command)
ラムMk.IIから改造かいぞうされた、たま観測かんそく/指揮しき戦車せんしゃカナダ陸軍りくぐん海外かいがい派遣はけん部隊ぶたいのために開発かいはつされた。
主砲しゅほうはダミーとなり、また旋回せんかい範囲はんい左右さゆう45限定げんてい動力どうりょくやバスケットは撤去てっきょされた。観測かんそく装置そうちくわ車体しゃたい砲塔ほうとう両方りょうほう無線むせん搭載とうさいし、砲手ほうしゅ装填そうてんしゅわりに無線むせんしゅが2めい観測かんそくしゅが1名乗なのるため、くるまちょうみさおじゅうしゅ前方ぜんぽう機銃きじゅうしゅわせ乗員じょういん6めいとなった。
1943ねんに84りょう製作せいさくされた[1]
QF 3.7インチ ラムはしほう(QF 3.7 Ram)
ラム巡行じゅんこう戦車せんしゃ車体しゃたいQF 3.7インチ高射こうしゃほう搭載とうさいした対戦たいせんしゃはしほうあるいははしたい空砲くうほう試作しさくのみ[3]

登場とうじょう作品さくひん

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World of Tanks
カナダちゅう戦車せんしゃRam IIとして販売はんばいされた。
『War Thunder』
アメリカのプレミアム車両しゃりょうちゅう戦車せんしゃM4A5としてRAM II前期ぜんきがた(車体しゃたい側面そくめんのドアがのこっている)が登場とうじょう。またイベント車両しゃりょうとしてQF 3.7インチ ラム対戦たいせんしゃはしほう登場とうじょう

脚注きゃくちゅう

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参考さんこう文献ぶんけん

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  • Chris Ellis, Peter Chamberlain – AFV No. 13 – Ram and Sexton, Profile Publications, England
  • Chamberlain, Peter; Ellis, Chris (1969), British and American Tanks of World War II (2nd US (1981) ed.), Arco Publishing 
  • Roberts, Paul – The Ram – Developments and Variants, Vol. 1, Service Publications, Ottawa, Canada 2002
  • Roberts, Paul – The Ram – Developments and Variants, Vol. 2, Service Publications, Ottawa, Canada 2004
  • Law, Clive – Making Tracks – Tank Production in Canada, Service Publications, Ottawa, Canada 2001
  • Broad, Graham – "Not competent to produce tanks" The Ram and Tank Production in Canada, 1939-1945, Canadian Military History Volume 11 Number 1, Beacon Herald Fine Printing Division, Stratford, Canada 2002
  • Wallace, John F. – Dragons of Steel: Canadian Armour in Two World Wars, The General Store Publishing House, Burnstown, Canada 1995

関連かんれん項目こうもく

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外部がいぶリンク

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