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クルセーダー巡航じゅんこう戦車せんしゃ

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
巡航じゅんこう戦車せんしゃ Mk.VI クルセーダー(A15)
Mk.VI クルセーダー III
性能せいのうしょもと
全長ぜんちょう 5.98m
全幅ぜんぷく 2.64m
ぜんこう 2.24m
重量じゅうりょう 20t
懸架けんか方式ほうしき たてきコイルスプリング
速度そくど 43km/h
行動こうどう距離きょり 161km
主砲しゅほう

2ポンドほう ×1(Mk.Ⅰ)

6ポンドほう ×1(Mk.Ⅲ)
ふく武装ぶそう 7.92mm ベサ機関きかんじゅう同軸どうじく機関きかんじゅう
装甲そうこう 50mm
エンジン ナッフィールド・リバティ
340hp/1,500rpm
乗員じょういん 3めいくるまちょうけん装填そうてんしゅ砲手ほうしゅけん無線むせん操縦そうじゅう
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巡航じゅんこう戦車せんしゃ Mk.VI クルセーダー(A15)Tank, Cruiser Mk VI Crusader(A15))は、巡航じゅんこう戦車せんしゃMk.V カヴェナンター並行へいこうして、1940ねんから開発かいはつされたイギリス巡航じゅんこう戦車せんしゃ(20トンきゅう)である。「クルセーダー(Crusader)」とは「十字軍じゅうじぐん兵士へいし」を意味いみする。

5,000りょう以上いじょう製造せいぞうされ、きたアフリカ戦線せんせんにおけるイギリスぐん勝利しょうりおおきく貢献こうけんした。きたアフリカ以外いがいでは活躍かつやくしなかったが、そのシャーシは、対空たいくう火力かりょく支援しえん観測かんそく通信つうしん、ブルドーザー、回収かいしゅうしゃ、などのバリエーションへと改造かいぞうされた。

概要がいよう

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クルセーダー II、きたアフリカ戦線せんせん

クルセーダー巡航じゅんこう戦車せんしゃは、巡航じゅんこう戦車せんしゃMk.V カヴェナンター並列へいれつして開発かいはつされたイギリスの巡航じゅんこう戦車せんしゃである。 A13けい巡航じゅんこう戦車せんしゃ(巡航じゅんこう戦車せんしゃ Mk.Ⅲ巡航じゅんこう戦車せんしゃMk.Ⅳ) の後継こうけいとして並行へいこうして開発かいはつされた巡航じゅんこう戦車せんしゃMk.V カヴェナンター問題もんだい多発たはつ実戦じっせん運用うんようえなかったため、イギリスぐん主力しゅりょくとしてきたアフリカ戦線せんせん投入とうにゅうされた。

基本きほんてきエンジン以外いがいはカヴェナンターとおおくの部品ぶひん共用きょうようする設計せっけい思想しそう開発かいはつされた。カヴェナンターとクルセーダーは、どちらもナッフィールドしゃ(Nuffield Mechanizations and Aero Limited)設計せっけいおな主砲しゅほうとう使用しようしていた。カヴェナンターよりも車体しゃたい拡大かくだいされたため、うたてが1くみえて片側かたがわ5となっている。開始かいし自体じたいはカヴェナンターよりおそかったものの、試作しさくしゃ完成かんせいはカヴェナンターより6週間しゅうかんはや1940ねん4がつ9にちだった。姿すがたがたがよくていることから、問題もんだい多発たはつだったカヴェナンターの改良かいりょうばんわれることがあるが、実際じっさいはカヴェナンターと並行へいこうして開発かいはつおこなわれており、カヴェナンターの不具合ふぐあい改修かいしゅうしてほんしゃ誕生たんじょうしたわけではない。

当初とうしょは5にんりの計画けいかくだったが、じゅうとうには換気かんき装置そうちく、ねつ発射はっしゃガスがこもるため、Mk.IIのだい1量産りょうさんバッチを最後さいご撤去てっきょされて乗員じょういんが1めいり、さらにMk.IIIで6ポンドほう搭載とうさいしたさい装填そうてんしゅのスペースがくなり3にんりになってしまい、中途半端ちゅうとはんぱ戦力せんりょく戦車せんしゃになってしまった。またリバティ・エンジンは、より軽量けいりょう戦車せんしゃではとく問題もんだいこさなかったが、重量じゅうりょうしたクルセーダーが砂漠さばく荒地あれち走行そうこうした場合ばあいシリンダーブロックゆるオイルれをおこしたほかこまかいすな冷却れいきゃくけい水冷すいれいようのポンプや空冷くうれいファンをまわチェーン)の部品ぶひん磨耗まもうするなどの故障こしょう多発たはつした。乗員じょういん最大さいだい速度そくどを60km/hに向上こうじょうさせるため、勝手かって速度そくど制限せいげんよう調しらべそく解除かいじょしたことでますます故障こしょう発生はっせいりつたかまり、「連続れんぞく36あいだ重大じゅうだい故障こしょう発生はっせいせず稼働かどうすればそれは奇跡きせき」と乗員じょういんひょうされるほどであった。

エンジンの寿命じゅみょうみじかいなど走行そうこうけい問題もんだいおおかったが、砂地すなじでの走破そうは能力のうりょくはボギーしきサスペンションのアメリカせい戦車せんしゃよりすぐれていた。良好りょうこう速度そくど性能せいのうがあるが、後退こうたい速度そくどが5㎞とおそい。実戦じっせん投入とうにゅうされたきたアフリカ戦線せんせん戦車せんしゃせんでは、ライバルであるIIIごう戦車せんしゃ(5cm/L42搭載とうさいがた)と対戦たいせんした場合ばあい、クルセーダー Mk.I(2ポンドほう搭載とうさいがた)では500ヤード(457m)まで接近せっきんして射撃しゃげきする必要ひつようがあるのにたいし、IIIごう戦車せんしゃは1,000ヤード(914m)の距離きょりからクルセーダーを撃破げきはできると報告ほうこくされている。また被弾ひだんによって搭載とうさい弾薬だんやくそうやく誘爆ゆうばく炎上えんじょうしやすい欠点けってんもあった。にもかかわらず当時とうじ巡航じゅんこう戦車せんしゃではただ一物いちもつになる戦力せんりょくだったため、装甲そうこう主砲しゅほう改良かいりょうくわえながら、きたアフリカ最後さいごたたかいであるチュニジアせんまでたたかつづけた。そして、後継こうけいMk.VIII クロムウェルやアメリカせいM4ちゅう戦車せんしゃ更新こうしんされ、きたアフリカでのこった状態じょうたいのいいクルセーダーのおおくは、フランス植民しょくみんぐん供与きょうよされた。またドイツぐんきたアフリカで鹵獲ろかくしたクルセーダーに Kreuzer-Panzerkampfwagen Mk.VI 746(e)形式けいしきめいけて運用うんようした。

ヨーロッパ反攻はんこう作戦さくせんころには、対空たいくう戦車せんしゃかた17ポンドたい戦車せんしゃほう牽引けんいんするほう牽引けんいんしゃかた使用しようされている。15tにたないMk.II(A10)・Mk.III(A13)巡航じゅんこう戦車せんしゃよりはおおきいが、あくまで機動きどうりょく重視じゅうしされる巡航じゅんこう戦車せんしゃであり、どう時期じき歩兵ほへい戦車せんしゃよりはるかに高速こうそくであった。

主要しゅよう形式けいしき

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小銃しょうじゅうとう装備そうびしたクルセーダー I
クルセーダー I (巡航じゅんこう戦車せんしゃ Mk.VI)
2ポンドほう搭載とうさい車体しゃたい前部ぜんぶ左側ひだりがわに1めいようじゅうとうつが、問題もんだいおおく、のち撤去てっきょされたものがおおい。乗員じょういん4-5めい
クルセーダー I CS
近接きんせつ支援しえんがた2ポンドほうわりに3インチ榴弾りゅうだんほう装備そうびしている。
クルセーダー II (巡航じゅんこう戦車せんしゃ Mk.VI A)
クルセーダー Iの車体しゃたい前面ぜんめんおよび砲塔ほうとう前面ぜんめん装甲そうこう強化きょうかしたかたじゅうとうおなじく撤去てっきょされたものがおおい。乗員じょういん4から5めい
クルセーダー II CS
近接きんせつ支援しえんがた。クルセーダーⅠCSとおなじく2ポンドほうわりに3インチ榴弾りゅうだんほう装備そうびしている。
クルセーダー III
6ポンドほう搭載とうさいするために砲塔ほうとう若干じゃっかん拡大かくだいし、車体しゃたい前面ぜんめん装甲そうこうを51mmへ強化きょうかした、戦車せんしゃかたクルセーダーの最終さいしゅうがた。6ポンドほう砲塔ほうとう内部ないぶ圧迫あっぱくしたため、砲塔ほうとう乗員じょういん戦車せんしゃちょう砲手ほうしゅの2めいとなった。これにより戦車せんしゃちょう指揮しき支障ししょうをきたしたため、おな部隊ぶたいでクルセーダーIIが指揮しき戦車せんしゃとしてつづ運用うんようされた。乗員じょういん3めい。1942ねん5がつから生産せいさんされ[1]だいエル・アラメイン会戦かいせんから実戦じっせん投入とうにゅうされた。

派生はせいがた

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クルセーダー OP (Crusader Observation Post)
砲兵ほうへい部隊ぶたい随伴ずいはんする砲兵ほうへい観測かんそくしゃ改修かいしゅうされたもの。砲塔ほうとう固定こていされ、主砲しゅほうはダミーに変更へんこうされている。いた砲弾ほうだん搭載とうさいスペースに追加ついか無線むせん増設ぞうせつし、マップテーブルをそなえる。
クルセーダー III AA Mk.I
ボフォース 40mm機関きかんほう1もん搭載とうさいする対空たいくう戦車せんしゃがたとして開発かいはつされた。
最初さいしょ設計せっけいされたタイプはほう前後ぜんご左右さゆう保護ほごするオープントップの砲塔ほうとうつものであったが、砲塔ほうとう旋回せんかいさせる速度そくど問題もんだいがあるとされ、簡略かんりゃくされた設計せっけい量産りょうさんモデルが214りょう生産せいさんされた。
量産りょうさんモデルの初期しょきがたは、砲塔ほうとう撤去てっきょしたクルセーダーの車体しゃたい通常つうじょう牽引けんいんがたボフォース40mm機関きかんほうをほぼそのまませたもの(ほう前面ぜんめんのみ防弾ぼうだんいたあり)で、量産りょうさんモデルの後期こうきがたでは防弾ぼうだんばんが3めん前面ぜんめんおよび左右さゆう)に拡張かくちょうされた。
クルセーダー III AA Mk.II / Mk.III
密閉みっぺいがた砲塔ほうとうエリコン20mm機関きかんほう、あるいはこれを国産こくさんしたポールステン 20mm機関きかんほう2もん搭載とうさいする対空たいくう戦車せんしゃがた
MK.IIとMK.IIIはほぼ同型どうけいであるが、Mk.IIIでは無線むせん砲塔ほうとう内部ないぶから車体しゃたい移動いどうし、砲塔ほうとう形状けいじょう一部いちぶ変更へんこうし、同軸どうじく機銃きじゅうとして2もん機関きかんほうあいだヴィッカースじゅう機関きかんじゅう追加ついかされている.[2][1][3]
ほぼ同型どうけい砲塔ほうとうセントー巡航じゅんこう戦車せんしゃ搭載とうさいしたセントーAA、AEC装甲車そうこうしゃ搭載とうさいしたAEC AAも並行へいこうして試作しさくされたが、これらは量産りょうさんされていない[3]
またエリコン20mm機関きかんほうたてに3連装れんそう配置はいちしたバージョンのクルセーダーAAも少数しょうすう生産せいさんされた[3]
クルセーダー II ガントラクター Mk.I
車体しゃたい上部じょうぶはこじょう大型おおがた兵員へいいんしつそなえるほう牽引けんいんしゃかたおも17ポンドほう運用うんよう部隊ぶたいでの牽引けんいんおよび弾薬だんやく人員じんいん輸送ゆそうもちいられた。車内しゃない容積ようせきひろさを利用りようし、指揮しき車両しゃりょうとして使用しようされるケースもあった.[4]
クルセーダー ARV
砲塔ほうとう撤去てっきょし、車体しゃたい前方ぜんぽうにブームクレーンを装備そうびする装甲そうこう回収かいしゅうしゃがた自衛じえいよう連装れんそう対空たいくう機関きかんじゅう装備そうびする。
クルセーダー ドーザー
クルセーダーの車体しゃたいにドーザーブレードを装着そうちゃくしたもの。ドーザーブレードの形状けいじょうセントー巡航じゅんこう戦車せんしゃ派生はせいがたとして量産りょうさんされたセントー ドーザーとほぼ同型どうけいのものである。砲塔ほうとう撤去てっきょしたクルセーダーにドーザーブレードを装着そうちゃくしたもの、ガントラクターがたにドーザーブレードを装着そうちゃくしたものの写真しゃしんのこされている。
クルセーダー AMRA Mk 1d (Anti-Mine Roller Attachment)
地雷じらい処理しょりローラー装備そうびがた
クルセーダー 5.5インチはしほう
大戦たいせんおそらくテストよう製造せいぞうされたもので、車体しゃたい前方ぜんぽうBL 5.5インチほう車体しゃたいたいしてうしきに搭載とうさいしたもの。
クルセーダーはしほう (アルゼンチンぐんによる改造かいぞう)
大戦たいせん、アルゼンチンに売却ばいきゃくされたクルセーダーガントラクターを、アルゼンチンぐんがフランスせい75mmほうや105mmほう搭載とうさいするはしほう改造かいぞうしたもの[1][5][6]

登場とうじょう作品さくひん

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漫画まんが・アニメ

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ガールズ&パンツァー 劇場げきじょうばん
Mk.IIIが登場とうじょうせいグロリアーナ女学院じょがくいん使用しようし、くるまちょうはローズヒップがつとめる、クルセイダーのさい高速こうそく最大限さいだいげんかしたたたかいをする。
War Thunder
イギリス陸軍りくぐんけい戦車せんしゃとしてMk.II・Mk.IIIが登場とうじょう。また、対空たいくう車両しゃりょうとしてAA Mk.I(ボフォース 40mm機関きかんほう1もん搭載とうさい)・AA Mk.II(エリコンSS 20mm機関きかんほう2もん搭載とうさい)が登場とうじょう
World of Tanks
イギリスちゅう戦車せんしゃCrusaderとして開発かいはつ可能かのう。また、ほんしゃ車台しゃだい5.5インチカノンほう搭載とうさいした派生はせい試作しさくしゃのイギリスはしほうCrusader 5.5-in. SPも開発かいはつ可能かのう
コール オブ デューティ2
イギリスぐんきたアフリカ戦線せんせん登場とうじょう戦車せんしゃせんでは、プレイヤーキャラの1人ひとりであるデイビッド・ウェルシュの戦車せんしゃ操作そうさ可能かのう
トータル・タンク・シミュレーター
英国えいこくあらためけい戦車せんしゃCRUSADERとしてクルセーダーIII AA Mk.IIが登場とうじょう
パンツァーフロント Ausf.B
Mk.Iが登場とうじょう
ブルーアーカイブ -Blue Archive-
デフォルメされたMk.Iが「クルセイダー」として登場とうじょうどうさくのプロモーションビデオなどにも登場とうじょうする。
むしけら戦車せんしゃ
ちいさくなりむしたたかうことになったプレイヤーのドイツぐん戦車せんしゃへいがフィールドじょうつけると使用しようできる。

脚注きゃくちゅう

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参考さんこう文献ぶんけん

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  • Bingham, James. Crusader: Cruiser Mark VI. AFV Profile, No. 8. Windsor: Profile. OCLC 54349416 
  • Boyd, David (2008ねん). “Crusader tank”. WWII Equipment. David Boyd. 2022ねん2がつ20日はつか閲覧えつらん
  • Chamberlain, Peter; Ellis, Chris (1981) [1969], British and American Tanks of World War Two, The Complete Illustrated History of British, American, and Commonwealth Tanks 1933-1945, Arco 
  • Fletcher, David (1995). Crusader and Covenanter Cruiser Tank 1939–1945. New Vanguard 14. illustrated by Peter Sarson. Botley: Osprey. ISBN 1-85532-512-8 
  • Fogliani, Sigal; Jorge, Ricardo (1997) (スペイン). Blindados Argentinos, de Uruguay y Paraguay. Buenos Aires: Ayer y Hoy Ediciones. ISBN 978-987-95832-7-2 
  • Milsom, John; Sanders, John; Scarborough, Gerald (1976). Crusader. Classic AFVs. 1. Yeovil: Patrick Stephens. ISBN 978-0-85059-194-1 
  • Neillands, Robin (1991). The Desert Rats: 7th Armoured Division, 1940–1945. London: Weidenfeld and Nicolson. ISBN 978-0-297-81191-6 

関連かんれん項目こうもく

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