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チャレンジャー巡航じゅんこう戦車せんしゃ

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
巡航じゅんこう戦車せんしゃ Mk.VIII チャレンジャー(A30)
性能せいのうしょもと
全長ぜんちょう 8.03 m
全幅ぜんぷく 2.90 m
ぜんこう 2.67 m
重量じゅうりょう 32 t
懸架けんか方式ほうしき クリスティー方式ほうしき
速度そくど 51 km/h
行動こうどう距離きょり 169 km
主砲しゅほう オードナンス QF 17ポンドほう 口径こうけい76.2 mm ほう身長しんちょう58.4
ふく武装ぶそう 7.62mm M1919A4ブローニングけい機関きかんじゅう×1
装甲そうこう
砲塔ほうとう
  • ぼうだて102mm
  • 前面ぜんめん88~102 mm
  • 側面そくめん40 mm
  • こうめん40 mm
  • 上面うわつら20 mm
車体しゃたい
  • 前面ぜんめん50-89mm
  • 側面そくめん28-51mm
  • こうめん14-38mm
  • 上面うわつら14~20 mm
エンジン ロールス・ロイスミーティア V12
600 hp
乗員じょういん 5めいくるまちょうけん通信つうしんしゅ砲手ほうしゅ装填そうてんしゅふく装填そうてんしゅ操縦そうじゅうしゅ
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巡航じゅんこう戦車せんしゃ Mk.VIII チャレンジャー(A30)Tank, Cruiser, Mk.VIII, Challenger(A30))とは、だい世界せかい大戦たいせんイギリス使用しようした巡航じゅんこう戦車せんしゃ(35トンきゅう)である。

概要がいよう

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クロムウェル巡航じゅんこう戦車せんしゃ車体しゃたい17ポンドほう搭載とうさいした砲塔ほうとうせたもので、文献ぶんけんによっては「きたアフリカ遭遇そうぐうしたティーガーI戦車せんしゃ対抗たいこうするために急遽きゅうきょ開発かいはつされた」と解説かいせつされていることもあるが、戦車せんしゃ委員いいんかいによる開発かいはつ構想こうそう自体じたいは1940ねん11がつであり、ティーガーI戦車せんしゃ出現しゅつげん以前いぜんで、きたアフリカの広大こうだい戦場せんじょうでのげきいでだい射程しゃてい要求ようきゅうされたことからである。

後々あとあとイギリスぐんはティーガーI、パンターひとしドイツ国防こくぼうぐん戦車せんしゃ対抗たいこうすべく、非常ひじょうたか装甲そうこう貫通かんつう能力のうりょくつ17ポンドほう搭載とうさいする戦車せんしゃ開発かいはついそぐこととなった。そして上述じょうじゅつ構想こうそう発展はってんけいとして開発かいはつされたのが、クロムウェルの車体しゃたいをベースとしたA30巡航じゅんこう戦車せんしゃ「チャレンジャー」であった。

開発かいはつ運用うんよう

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設計せっけい会社かいしゃには1942ねんはじめにバーミンガム鉄道てつどう車輛しゃりょう会社かいしゃ選定せんていされ、1942ねん5がつ試作しさくしゃ3りょう製造せいぞう着手ちゃくしゅした。

1942ねん8がつには最初さいしょ試作しさくしゃ「パイロットA」が完成かんせい同月どうげつ13にち評価ひょうか試験しけんおこなわれたが、完成かんせいひく各部かくぶ不具合ふぐあいおおく、原型げんけいのクロムウェルにくらべて車体しゃたい拡大かくだい重量じゅうりょう増加ぞうかしたにもかかわらずエンジンがそのままであったことは機動きどうせい低下ていか懸念けねんされた。さらに、大型おおがたの17ポンドほう砲身ほうしんおもく、傾斜地けいしゃちでは砲塔ほうとう旋回せんかいいちじるしく困難こんなんだった。砲塔ほうとう大型おおがたたかくシルエットがおおきいわり装甲そうこううすいことも試験しけんがわから不評ふひょうい、存在そんざい意義いぎにすら疑問ぎもんていされた。

これは時期じきがティーガーI出現しゅつげん以前いぜんでもあり、対戦たいせんしゃ戦闘せんとう能力のうりょく重要じゅうようせいがそれほどしんせまっていなかったこともあった。試作しさくでの評価ひょうかひくかったこともあって実戦じっせん投入とうにゅうおくれ、参謀さんぼう本部ほんぶ上記じょうき試験しけんほんしゃ制式せいしきみとめたものの、量産りょうさんさいして200りょう以上いじょう生産せいさんみとめず、また生産せいさん自体じたいもアメリカせいM4シャーマンに17ポンドほう搭載とうさいしたシャーマン ファイアフライ大量たいりょう配備はいびされたために着手ちゃくしゅされなかった。量産りょうさん開始かいし結局けっきょく1944ねん3がつにずれこんだ。

1944ねん6がつノルマンディー上陸じょうりく作戦さくせんにおいても車体しゃたい防水ぼうすい対策たいさく不完全ふかんぜんで、また31りょうしか完成かんせいしていなかったこともあり参加さんかできず、実戦じっせん配備はいびは8がつからとなった。ミーティア・エンジンは十分じゅうぶん出力しゅつりょくち、懸念けねんされていた重量じゅうりょう問題もんだい西部せいぶ戦線せんせんでの運用うんよう結果けっか杞憂きゆうであった。生産せいさん101りょうからは砲塔ほうとう車体しゃたい前面ぜんめんに25mmあつ増加ぞうか装甲そうこう溶接ようせつされた。

チャレンジャーはだい11機甲きこう師団しだん近衛このえ機甲きこう師団しだん、ポーランドだい1機甲きこう師団しだん、チェコスロバキア独立どくりつ機甲きこう旅団りょだんなどに配備はいびされたが、すでにファイアフライが戦車せんしゃ連隊れんたい先行せんこう配備はいびされていたため、ほんしゃ機動きどうせいもとめられる機甲きこう偵察ていさつ連隊れんたい(クロムウェル3りょうにつきほんしゃ1りょう混成こんせい)に配備はいびされたが、部隊ぶたいでの評判ひょうばん意外いがいわるくなかったという。発注はっちゅうされた200りょうのうち、試作しさくしゃふくめ175りょう(197りょうというせつもある)が生産せいさんされるにまったチャレンジャーは終戦しゅうせん退役たいえきし、チェコスロバキアぐんでは1950年代ねんだいはじめまで訓練くんれんよう標的ひょうてきなどとして使用しようされた。

構造こうぞう

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17ポンドほう搭載とうさいするためにクロムウェル巡航じゅんこう戦車せんしゃ車体しゃたいが6フィート(1829mm)延長えんちょうされ、うたていちくみえて片側かたがわ6くみとなった。ターレットリングみちは1778mmと大型おおがたされ、これにともなって車体しゃたい中央ちゅうおう拡幅かくふくされた。

砲塔ほうとう

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砲塔ほうとうはストサート&ピットしゃによるもので、以前いぜんTOG 2じゅう戦車せんしゃ搭載とうさいされ実験じっけんされたものが使つかわれた。これは大型おおがたの17ポンドほうのために2人ふたり装填そうてんしゅふくむ4にんようのトップヘビーなものとなり、重量じゅうりょうぞうおさえるためにクロムウェル(75mm)より装甲そうこうけずられた(63mm)。装填そうてんしゅが2めいとされたのは砲弾ほうだん長大ちょうだいであるうえに、せま車内しゃない砲弾ほうだん分散ぶんさん配置はいちされたからである。砲弾ほうだん搭載とうさいりょうが28はつすくなく、のち砲弾ほうだん搭載とうさいスペースを確保かくほするために車体しゃたい前部ぜんぶ機銃きじゅう撤去てっきょされて弾薬だんやくとされ、総計そうけい42はつ搭載とうさいした。

ほぼ垂直すいちょく鋼板こうはんはち面体めんてい構成こうせいしており、避弾けいはじめにはすぐれていない。ては均質きんしつ圧延あつえん鋼板こうはん溶接ようせつしたものである。あつさは前面ぜんめん63mm、がわめん40mm、上面うわつら20mmである。ぼうたて外部がいぶが102mm、内部ないぶうちぼうたてほう連動れんどうしてうごく。

主砲しゅほうはオードナンス QF 17ポンドほうであり、装弾そうだんとうづけてっかぶとだんもちいた場合ばあい射程しゃてい1000mで225mmの装甲そうこうばん貫通かんつうした。ただし命中めいちゅうすればおおきい威力いりょくほこったものの、弾道だんどう不安定ふあんてい傾向けいこうちょう射程しゃていなほどに顕著けんちょとなった。さらにはAPDS自体じたい生産せいさんりょうすくなく、大半たいはんは(生産せいさんの94%)がぼうてっかぶとだんであった。ぼうてっかぶとだん場合ばあいどう条件じょうけんで136mmを貫通かんつうする。俯仰ふぎょうはプラス20からマイナス10搭載とうさい弾薬だんやくすう42はつ主砲しゅほう右側みぎがわには同軸どうじく機銃きじゅうとしてBESA 7.92mm機関きかんじゅう搭載とうさいされ、機銃きじゅうだんは2,500はつ搭載とうさいした。

車体しゃたい

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車体しゃたい装甲そうこう溶接ようせつし、一部いちぶびょうせっしててている。こう駆動くどうであり、機関きかんしつにエンジンと操行そうこう変速へんそく燃料ねんりょうタンク、冷却れいきゃくシステムがおさめられていた。車体しゃたい前部ぜんぶ左側ひだりがわ操縦そうじゅうしゅ搭乗とうじょうし、右側みぎがわ弾薬だんやくとなっている。

装甲そうこうあつ車体しゃたい前面ぜんめんは64mm、車体しゃたい前面ぜんめん下部かぶは57mm、側面そくめん上部じょうぶ51mm、側面そくめん下部かぶはクリスティーしきのコイルスプリングサスペンションを収容しゅうようしたじゅう構造こうぞうであり、14mmの装甲そうこうはさんでいる(合計ごうけい28mm)。こうめんは38mmである。天井てんじょうゆかはそれぞれ20mm、10mmであり、さらに被弾ひだんのしにくい個所かしょおうじてうすくなっている。101りょうからは25mmの増加ぞうか装甲そうこうほどこされた。

あしまわりは大型おおがたてんいちくみ追加ついかされ、大型おおがたした上部じょうぶ構造こうぞう重量じゅうりょうと、発砲はっぽう強力きょうりょく反動はんどうささえた。くつたいはばは380mmである。

懸念けねんされた走行そうこうせい悪化あっかはさして深刻しんこくになるほどのものではなく、むしろ機械きかいてき信頼しんらいせいたかさから乗員じょういん好評こうひょうであった。

派生はせいがた

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A30 アヴェンジャー

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チャレンジャーをもとにして、オープントップがた砲塔ほうとうどうじ17ポンドほうそなえたA30 アヴェンジャー 17ポンドはしほう(SP 17pdr, A30 (Avenger) 開発かいはつされた。これはチャレンジャーの開発かいはつされたいくつかのあん発展はってんさせたもので、おも重量じゅうりょう軽減けいげんねらったものであった。

アヴェンジャーは1944ねんよりチャレンジャーの生産せいさんぶんえて生産せいさんされる計画けいかくであったが、製造せいぞう担当たんとうヴォクスホールしゃコメット巡航じゅんこう戦車せんしゃ生産せいさん手一杯ていっぱいであったため、生産せいさん開始かいしは1945ねんにずれみ、結局けっきょくだい2世界せかい大戦たいせんにはっていない。

アヴェンジャーはやく250りょう生産せいさんされ、BAOR(イギリス陸軍りくぐんライン軍団ぐんだん一部いちぶ部隊ぶたい配備はいびされた。

チャレンジャー・「ステージII」

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1943ねん陸軍りくぐん参謀さんぼう制式せいしきもとづき36.6m/t(36えいトン)のじゅう装甲そうこうゆうしたチャレンジャー・「ステージII」の設計せっけいあん提出ていしゅつされたがこのプロジェクトは中止ちゅうしされた。

登場とうじょう作品さくひん

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War Thunder
イギリス陸軍りくぐんちゅう戦車せんしゃとして登場とうじょう。また、駆逐くちく戦車せんしゃ(2021.4月のアップデートにて巡航じゅんこう戦車せんしゃちゅう戦車せんしゃ)に変更へんこう)としてA30 アヴェンジャーも登場とうじょう
World of Tanks
イギリス駆逐くちく戦車せんしゃChallengerとして開発かいはつ可能かのう
トータル・タンク・シミュレーター
英国えいこくあらため駆逐くちく戦車せんしゃCHALLENGERとして登場とうじょう

参考さんこう文献ぶんけん

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  • 『クロムウェル巡航じゅんこう戦車せんしゃ1942‐1950(オスプレイ・ミリタリー・シリーズ世界せかい戦車せんしゃイラストレイテッド)』(ISBN 978-4499228824)デイヴィッド・フレッチャー /リチャード・C. ハーレイ/ピーター・サースン:ちょ篠原しのはら比佐ひさじん翻訳ほんやく だい日本にっぽん絵画かいが 2007ねん
  • 『グランドパワー 2008ねん10がつごう砂漠さばくせん教訓きょうくんからまれた火力かりょく強化きょうかがた巡航じゅんこう戦車せんしゃ A30チャレンジャー」』(ASIN B001E4ID5A)三春みはるちょ ガリレオ出版しゅっぱん 2008ねん

関連かんれん項目こうもく

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