ユニバーサル・キャリア

ユニバーサル・キャリア
	ベルギーで展示てんじされた3インチ迫撃はくげき砲ほうキャリア
基礎きそデータ
全長ぜんちょう	3.6m
全幅ぜんぷく	2.1m
全ぜん高こう	1.6m
重量じゅうりょう	3.8t
乗員じょういん数すう	2-5名めい
装甲そうこう・武装ぶそう
装甲そうこう	7～10mm
主しゅ武装ぶそう	主おもにブレン軽けい機関きかん銃じゅう; ボーイズ対戦たいせん車しゃライフル
副ふく武装ぶそう	ビッカース機関きかん銃じゅう/ M2ブローニング機関きかん銃じゅう、2 インチ迫撃はくげき砲ほう/ 3 インチ迫撃はくげき砲ほう
機動きどう力りょく
速度そくど	48km/h
エンジン	フォード V8 エンジン; 85 hp (63 kW) at 3,500 rpm
懸架けんか・駆動くどう	ホルストマン製せいサスペンション
行動こうどう距離きょり	180km
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ユニバーサル・キャリア（Universal Carrier）は、イギリス陸軍りくぐん向むけに開発かいはつされた装そう軌式汎用はんよう輸送ゆそう車しゃである。もっぱらブレンガン・キャリア（Bren Gun Carrier）として知しられているが、必かならずしもブレンガン（イギリス製せいの軽けい機関きかん銃じゅう）を搭載とうさいしていた訳わけではない。第だい二に次じ世界せかい大戦たいせん中なか、人員じんいんや物資ぶっしの輸送ゆそう・機関きかん銃じゅうの搭載とうさい車両しゃりょうとして、連合れんごう国軍こくぐんにより多用たようされた。連合れんごう国軍こくぐんの勝利しょうりを裏うらで支ささえた本ほん車しゃを、「史上しじょう、最もっとも活躍かつやくした豆まめ戦車せんしゃ」とする説せつもある。

設計せっけい[編集へんしゅう]

ユニバーサル・キャリアの設計せっけいは、1920年代ねんだいに開発かいはつされたカーデンロイド・キャリアに影響えいきょうされている。最初さいしょに、ブレンガン・キャリアとして、ヴィッカース・アームストロング社しゃから1936年ねんに発表はっぴょうされた。これは、多少たしょうなりとも異ことなった様々さまざまな派生はせい型がたを生うみ出だすこととなった。しかし、単一たんいつのモデルとして統一とういつして量産りょうさんされた方ほうが良よいということが明白めいはくになり、1940年ねんにユニバーサル・キャリアが製造せいぞうされた。特とくに、汎用はんよう輸送ゆそう車しゃとして量産りょうさんされた。

初期しょきのモデルでは、操縦そうじゅう手しゅと車くるま長ちょうが真横まよこに並ならんで座すわる配置はいちであった。操縦そうじゅう席せきが右みぎで、垂直すいちょくレバー式しきのステアリング・ハンドルが備そなわっている。車くるま長ちょう席せきの前まえには覆おおいがあり、ブレンガンや、その他たの固定こてい武器ぶきを配置はいちし、射撃しゃげきできるような細ほそいスリットが設もうけられていた。エンジンは車両しゃりょうの中央ちゅうおうに配置はいちされ、動輪どうりんは後部こうぶに配置はいちされた。エンジンの両側りょうがわには空間くうかんが設もうけられており、人員じんいんまたは物資ぶっしを搭載とうさい・運搬うんぱんできるようになっている。

ユニバーサル・キャリアは、歩兵ほへい支援しえん用ようの共通きょうつう車台しゃだいとして、ヴィッカース重じゅう機関きかん銃じゅう・ブレン軽けい機関きかん銃じゅう・ボーイズ対戦たいせん車しゃライフル各かく搭載とうさいバージョンや、3インチ（76.2mm）迫撃はくげき砲ほうとその射撃しゃげき要員よういんを搭載とうさいする自じ走はし迫撃はくげき砲ほうとしても使つかわれた。また、2ポンド対たい戦車せんしゃ砲ほうを搭載とうさいしたバージョンもあった。6ポンド対たい戦車せんしゃ砲ほうの搭載とうさいには無理むりがあり、牽引けんいん車しゃとして使用しようされた。しかし、後のちに登場とうじょうした17ポンド砲ほうは、重おもすぎてユニバーサル・キャリアでは牽引けんいんできなかった。

ユニバーサル・キャリアは、前面ぜんめんと側面そくめんに武器ぶきを搭載とうさいできる。小しょう火器かき弾たまや榴弾りゅうだん・手榴弾しゅりゅうだんの破片はへん程度ていどであれば防御ぼうぎょできる程度ていどの装甲そうこうを備そなえていたが、上面うわつらは完全かんぜんに開ひらいており、また、側面そくめんの装甲そうこう板ばんも地上ちじょうに立たった人間にんげんの肩かたの高たかさぐらいまでしかなかった。そのため、日本にっぽん軍ぐんとの戦闘せんとうの際さい、日本にっぽん兵へいがユニバーサル・キャリアに飛とび乗のって乗員じょういんを殺傷さっしょうした事例じれいも起おきている。

関連かんれんする車両しゃりょうとして、カナダ軍ぐんが設計せっけい・製造せいぞうしたウインザー・キャリア（Windsor Carrier）がある。車体しゃたいは似にているが、全長ぜんちょうが76.2cm（30インチ）長ながく、転うたて輪わ（ロードホイール）を増ふやしたものとなっている。派生はせい型がたも合あわせ、60年ねんまでに約やく11300輌りょうが完成かんせいしたとみられる。

製造せいぞう状じょう況きょう[編集へんしゅう]

生産せいさんは1934年ねんに開始かいしされ1960年ねんに終了しゅうりょうした。^[1] イギリスで初期しょき型がたが、ソーニクロフト、モーリス・モーター、エーブリング・アンド・ポーター、ベットフォード・ビークルズ、センチネル・ワゴン、フォード・イギリスによって製造せいぞうされた。また、ユニバーサル設計せっけいになってからは、ソーニクロフト、エーブリング・バーフォード、センチネル・ワゴン、フォード・イギリス、ウーズレー・モーターといったメーカーが製造せいぞうした。イギリス国内こくないだけで約やく57,000両りょうが生産せいさんされた。

カナダのフォード・カナダでは28,000両りょうが生産せいさんされた。

他ほかにもオーストラリア、ニュージーランド、アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくなど生産せいさん国こくは多数たすうに渡わたり、詳細しょうさいな生産せいさん数すうは不明ふめいである。ヨーロッパに送おくられて、連合れんごう軍ぐんで幅広はばひろく使用しようされた。ソビエト陸軍りくぐんにも1941年ねん-1945年ねんまでの間あいだに2,008両りょうがレンドリースされ、主おもに偵察ていさつ部隊ぶたいで用もちいられた。

派生はせい型がた[編集へんしゅう]

ラトルン戦車せんしゃ博物館はくぶつかんに展示てんじされている火炎かえん放射ほうしゃ器きを搭載とうさいしたイスラエル軍ぐんによる改造かいぞう車両しゃりょう

イギリス[編集へんしゅう]

Mk.I: オリジナルモデル。
Mk.II: 牽引けんいん装置そうちを備そなえたもの。
ワスプ（Wasp）: 火炎かえん放射ほうしゃ器きを搭載とうさいしたもの。当初とうしょは燃料ねんりょうタンクを車台しゃだいに搭載とうさいしていたが、カナダ軍ぐんが燃料ねんりょうタンクを外そと付づけにして通常つうじょうのキャリアを兼任けんにんできるようにした「Mk.IIC」型がたを独自どくじ開発かいはつし、使つかい勝手がっての良よさからイギリス軍ぐんでも採用さいようされた。

オーストラリア[編集へんしゅう]

LP1 キャリア: オーストラリア軍ぐんが製造せいぞうしたユニバーサル・キャリア。
LP2 キャリア: オーストラリア軍ぐんが製造せいぞうしたユニバーサル・キャリア。ニュージーランド軍ぐんにも供与きょうよされた。
2ポンド対たい戦車せんしゃ砲ほうキャリア: LP2 キャリアにかなりの改修かいしゅうを加くわえ、全長ぜんちょうを長ながくし、車内しゃないを完全かんぜんに横切よこぎることができるようにした。車台しゃだいの後うしろに2ポンド対たい戦車せんしゃ砲ほうを搭載とうさいし、エンジンは前方ぜんぽう左ひだりに移うつされた。
3インチ迫撃はくげき砲ほうキャリア: 2ポンド対たい戦車せんしゃ砲ほうキャリアの設計せっけいを元もとに、3インチ迫撃はくげき砲ほうを搭載とうさいしたもの。迫撃はくげき砲ほうを車体しゃたいから降おろすこともできるが、搭載とうさいしたまま全ぜん周しゅうに向むけて射撃しゃげきすることもできる。

アメリカ[編集へんしゅう]

T-16: フォードからのレンドリースで、1943年ねん-1945年ねんまでアメリカ軍ぐんに供与きょうよされたもので、制式せいしき名めいは「Carrier, Universal, T16, Mark I」。主しゅとしてカナダ軍ぐんにより使用しようされ、戦後せんごはスイス軍ぐんとオランダ軍ぐんによって使用しようされた。

ドイツ[編集へんしゅう]

Fargestell Bren (e): 1940年ねん、ドイツ軍ぐんに鹵獲ろかくされたユニバーサル・キャリア。3.7 cm PaK 36を搭載とうさいして再さい利用りようされた。

その他た[編集へんしゅう]

Praying Mantis: 実験じっけん用よう車両しゃりょう。車体しゃたいはユニバーサル・キャリアのオープントップのそれに替かえて、操縦そうじゅう手しゅと銃じゅう手しゅ各かく1名めいが腹這はらばいで搭乗とうじょうできる、ハードトップの筐体きょうたいに換かえられた。また、高たかい射撃しゃげき姿勢しせいを取とることができるように、筐体きょうたいは後端こうたん側がわを軸じくとして持もち上あげられるようになっていた。