オードナンス QF 6ポンド砲ほう

オードナンス QF 6ポンド砲ほう
オードナンス QF 6ポンド砲ほう
種類しゅるい	対戦たいせん車しゃ砲ほう
原はら開発かいはつ国こく	イギリス
運用うんよう史し
配備はいび期間きかん	1942年ねん–1960年ねん
配備はいび先さき	イギリス  アメリカ  アイルランド
関連かんれん戦争せんそう・紛争ふんそう	第だい二に次じ世界せかい大戦たいせん
開発かいはつ史し
開発かいはつ期間きかん	1940年ねん
製造せいぞう期間きかん	1941年ねん–1945年ねん
諸しょ元もと
重量じゅうりょう	2,520lb（1,140kg）
銃身じゅうしん長なが	Mk.II, III：8 ft 4 in (2.54 m) 43口径こうけい長ちょう Mk.IV, VおよびM1：50口径こうけい長ちょう
要員よういん数すう	6名めい
砲弾ほうだん	57×441mm.R
口径こうけい	2.24in（57mm）
砲ほう尾お	バーティカルスライディングブロック方式ほうしき
砲ほう架か	スプリットトレイル
仰角ぎょうかく	-5° to +15°
旋回せんかい角かく	90°
初速しょそく	#砲弾ほうだん参照さんしょう
有効ゆうこう射程しゃてい	1,650 yd (1,510 m)
最大さいだい射程しゃてい	5,000yd（4,600m）
照準しょうじゅん	No.22c

オードナンス QF 6ポンド砲ほう（オードナンス QF 6ポンドほう、英えい: Ordnance Quick-Firing 6-pounder 7 cwt）は、第だい二に次じ世界せかい大戦たいせん初期しょきにイギリスが開発かいはつした対戦たいせん車しゃ砲ほうであり、6ポンド対たい戦車せんしゃ砲ほうとも呼よばれる。

同どう砲ほうは戦車せんしゃ砲ほうとして第だい二に次じ世界せかい大戦たいせん中期ちゅうきの戦車せんしゃにも搭載とうさいされ、アメリカ軍ぐんもM1 57mm砲ほうとして制式せいしき採用さいようし、ライセンス生産せいさんを行おこなっている。

cwt（ハンドレッドウェイト）は砲身ほうしんの重量じゅうりょうを示しめし、1 cwtは112ポンド（約やく50.8 kg）であるため、7 cwt砲ほうの砲身ほうしん重量じゅうりょうは概おおむね784ポンド（355.6 kg）に相当そうとうすることになる（近似きんじ値ちであり、実際じっさいの正確せいかくな重量じゅうりょうとは異ことなる）。

第だい一いち次じ世界せかい大戦たいせん時ときに車載しゃさい用ように開発かいはつされた戦車せんしゃ砲ほうである、「オチキス QF 6ポンド戦車せんしゃ砲ほう」との混同こんどうに注意ちゅうい。

開発かいはつ

2ポンド砲ほうが遠とおくないうちに陳腐ちんぷ化かするであろうと考かんがえたイギリス陸軍りくぐんは、1938年ねんにより大だい口径こうけいの対戦たいせん車しゃ砲ほうの開発かいはつを開始かいしし、1940年ねんには砲ほう本体ほんたいが完成かんせいしたが砲ほう架かの完成かんせいは翌よく1941年ねんにまでずれ込こんだ。

当初とうしょはQF 2ポンド砲ほうを随時ずいじ更新こうしんしていく予定よていであったが、フランスにおける戦たたかいで敗北はいぼくしたイギリス海外かいがい派遣はけん軍ぐんは、ダンケルクから撤退てったいする際さいに重火器じゅうかきをほとんど全すべて放棄ほうきしており、ドイツ軍ぐんのイギリス本土ほんど上陸じょうりくに備そなえた軍ぐんの再さい編成へんせいが優先ゆうせんされた結果けっか、2ポンド砲ほうの生産せいさんが継続けいぞくされ、6ポンド砲ほうの生産せいさん開始かいしは1941年ねん11月、配備はいび開始かいしは1942年ねん5月がつまで凍結とうけつされた。

QF 6ポンド砲ほうの砲ほう架かは、ごく一般いっぱん的てきな二に脚きゃく式しき砲ほう脚あしを使用しようしている。初期しょき生産せいさん型がたの砲身ほうしん長ちょうは、生産せいさん性せいの高たかい43口径こうけいであったが、ドイツ戦車せんしゃの装甲そうこう強化きょうかに伴ともなって攻撃こうげき力りょくを強化きょうかするため、Mk.IVからはマズルブレーキ付つき50口径こうけいの砲身ほうしんを使用しようするようになった。しかし、ティーガーI重じゅう戦車せんしゃやパンター中ちゅう戦車せんしゃには正面しょうめんからでは近距離きんきょりからでないと太刀打たちうちできなかったため、更さらなる性能せいのう向上こうじょう改修かいしゅうが計画けいかくされたが、極端きょくたんな重量じゅうりょう増加ぞうかや性能せいのう向上こうじょう効率こうりつの低ひくさから、1943年ねん1月がつにはすべての計画けいかくが中止ちゅうしされた。

QF 2ポンド砲ほうと同様どうよう、対たい戦車せんしゃ砲ほうは戦車せんしゃのみを相手あいてにし、歩兵ほへい等とうの軟目標もくひょうは対象たいしょう外がいとの英軍えいぐんのドクトリンに従したがって、当初とうしょ、砲弾ほうだんは徹とおる甲きのえ弾だんのみしか用意よういされず、榴弾りゅうだんは1943年ねんにようやく開発かいはつ配備はいびされている。QF 2ポンド砲ほうのリトルジョン・アダプターと同様どうように口径こうけいを42.6mmに下さげるスクイーズ・ボア・アダプター（ゲルリッヒ砲ほうを参照さんしょう）も開発かいはつされたが、実際じっさいに使用しようされることはなかった（その構造こうぞう上じょう、徹とおる甲かぶと弾だん専用せんようである）。その代かわり、1944年ねんからは高たかい装甲そうこう貫通かんつう力りょくを持もつAPDS弾たまの供給きょうきゅうが開始かいしされた。

1943年ねん2月がつには、より強力きょうりょくな17ポンド砲ほうの部隊ぶたい配備はいびが開始かいしされたが、QF 6ポンド砲ほうも軽量けいりょうであることから朝鮮ちょうせん戦争せんそうや第だい二に次じ中東ちゅうとう戦争せんそうでも使用しようされ、1960年ねんに退役たいえきするまで運用うんようが続つづけられた。

運用うんよう

イギリス軍ぐんにおいては、機甲きこう師団しだんや歩兵ほへい師団しだんの対戦たいせん車しゃ砲ほう連隊れんたい（4個こ中隊ちゅうたいで編成へんせいされ、1個いっこ中隊ちゅうたいは12門もんを装備そうび）で運用うんようされたが、後のちには歩兵ほへい大隊だいたいの対戦たいせん車しゃ小隊しょうたいに6門もんを配備はいびする方式ほうしきに改あらためられた。

1943年ねんには、北きたアフリカ戦線せんせんでM3 37mm砲ほうが役やくにたないことを痛感つうかんしたアメリカ軍ぐんもQF 6ポンド砲ほうをM1 57mm砲ほうとして制式せいしき採用さいようし、おもにイタリア戦線せんせんや西部せいぶ戦線せんせんで使用しようしたが、終戦しゅうせんと同時どうじに退役たいえきした。

イスラエル国防こくぼう軍ぐんも同どう砲ほうを保有ほゆうしており、第だい一いち次じ中東ちゅうとう戦争せんそうや第だい二に次じ中東ちゅうとう戦争せんそうで使用しようしている。

戦車せんしゃ砲ほうとして

対戦たいせん車しゃ自じ走はし砲ほう型がたであるT48 GMC

QF 6ポンド砲ほうは、対戦たいせん車しゃ砲ほうとしてだけでなく戦車せんしゃ砲ほうとしても用もちいられた。QF 6ポンド砲ほうを搭載とうさいした戦車せんしゃとしてはクルセーダー Mk.III・キャバリエ巡航じゅんこう戦車せんしゃ・セントー Mk.I&Mk.II・クロムウェル Mk.I-III・ラム Mk.II・バレンタイン Mk.VIII-X・チャーチル Mk.III&Mk.IVが挙あげられる。

戦車せんしゃ以外いがいにも、ベッドフォードQLやCMPトラック、AECマタドールトラックの荷台にだい部分ぶぶんにQF 6ポンド砲ほうをそのまま搭載とうさいしたガン・ポーティが製作せいさくされている。マタドール使用しようの車両しゃりょうはディーコン対戦たいせん車しゃ自じ走はし砲ほうでこれは175両りょうが作つくられ、他たのガン・ポーティと共ともに北きたアフリカ戦線せんせんで普通ふつうのトラックに紛まぎれて配備はいびされ、敵てき装甲そうこう車両しゃりょうから輸送ゆそう部隊ぶたいを守まもったり、簡易かんい自じ走はし砲ほうとして機動きどう戦せんで活躍かつやくしている。

また、アメリカではM3ハーフトラックの荷台にだいにM1 57mm砲ほうを搭載とうさいしたT48 GMCも量産りょうさんされた。これは、イギリス軍ぐんに30両りょうのみ引ひき渡わたされたが性能せいのう不足ふそくとされ、砲ほうを撤去てっきょし、M3ハーフトラックに戻もどされてしまった。しかし、ソ連それん軍ぐんにレンドリース供与きょうよされた650両りょうはSU-57と呼よばれ、1個いっこ大隊だいたいあたり60両りょうずつ、3個こ大隊だいたいで独立どくりつ自じ走はし砲ほう旅団りょだんを編成へんせいし、ドニエプル渡河とか作戦さくせんから実戦じっせんに参加さんかしている。

砲弾ほうだん

Available ammunition

種類しゅるい	形式けいしき	重量じゅうりょう kg（ポンド）	炸薬さくやく	砲ほう口こう初速しょそく, m/s （L/43口径こうけい長ちょう）	砲ほう口こう初速しょそく, m/s （L/50口径こうけい長ちょう）
イギリス軍ぐんの砲弾ほうだん
AP	Shot, AP, Mks 1 to 7	2.86（6.3）		853	892
APC（1942年ねん9月がつ）	Shot, APC, Mk.8T	2.86（6.3）	-	846	884
APCBC（1943年ねん1月がつ）	Shot, APCBC, Mk.9T	3.23（7.1）	-	792	831
APCR（1943年ねん10月がつ）	Shot, APCR, Mk.1T	1.90（4.2）	-		1,082
APDS（1944年ねん3月がつ）	Shot, APDS, Mk.1T	1.42 (3.1)	-		1,219
HE	Shell, HE, Mk.10T	approx. 3（6.6）			820
アメリカ軍ぐんの砲弾ほうだん
AP	AP Shot M70	2.85（6.3）			853
APCBC/HE	APC Shot M86	3.30（7.3）	ピクリン酸さんアンモニウム, 34g		823
HE（1944年ねん3月がつ）	HE Shell T18 / M303
キャニスター弾だん （製造せいぞう開始かいし：1945年ねん1月がつ）	Canister Shot T17 / M305

装甲そうこう貫徹かんてつ力りょく

距離きょりごとの装甲そうこう貫徹かんてつ力りょく

弾たま種しゅ	100m	500m	1000m	1500m	2000m
英国えいこく製せい砲弾ほうだん
徹とおる甲かぶと弾だん(AP)	135mm	112mm	89mm	70mm	55mm
仮かり帽ぼう付づけ被ひ帽ぼう付づけ徹てっ甲かぶと弾だん(APCBC)	115mm	103mm	90mm	78mm	68mm
装弾そうだん筒とう付づけ徹てっ甲かぶと弾だん(APDS)	177mm	160mm	140mm	123mm	108mm
米国べいこく製せい砲弾ほうだん
AP (52 cal gun)	135mm	112mm	89mm	70mm	55mm
APCBC	110mm	98mm	85mm	73mm	64mm

登場とうじょう作品さくひん

テレビドラマ

『コンバット!』

ドイツ軍ぐんの対戦たいせん車しゃ砲ほう役やくとして、ダークイエローに塗ぬられたものが登場とうじょう。アメリカ戦車せんしゃを撃破げきはし、サンダース分隊ぶんたいの機関きかん銃じゅう手てを吹ふき飛とばす。

漫画まんが

『戦場せんじょうまんがシリーズ』

シリーズの一いち編へん「鉄てつの墓標ぼひょう」にて登場とうじょう。イギリス軍ぐんが九きゅう七なな式しき中ちゅう戦車せんしゃ 新しん砲塔ほうとうチハに対たいして発砲はっぽうし、あっけなく撃破げきはする。その際さい、チハの防御ぼうぎょ力りょくに呆あきれてイギリス兵へいが「ドイツ戦車せんしゃとはえらい違ちがいだな」との感想かんそうをもらす。

『戦場せんじょうロマン・シリーズ』

シリーズの一いち編へん「王者おうじゃ（ファラオ）の砂丘さきゅう」に、ベッドフォードQLガン・ポーティに搭載とうさいされた本ほん砲ほうが登場とうじょう。主人公しゅじんこうのIII号ごう戦車せんしゃを擱座かくざさせ、続つづけて輸送ゆそう中なかの事故じこで砲塔ほうとうを失うしない、車体しゃたいだけのティーガーIIに数すう発はつ直撃ちょくげきを浴あびせるも、全すべて弾ひかれて効果こうかがないことに驚愕きょうがくする。

ゲーム

『R.U.S.E.』

アメリカの対戦たいせん車しゃ砲ほうとして登場とうじょう

『War Thunder』

イギリス戦車せんしゃに多数たすう搭載とうさいされている他ほか、ソ連それんの課金かきん戦車せんしゃSU-57に搭載とうさいされている。

『バトルフィールドV』

各かくマップに固定こてい武器ぶきとして置おいてある。

『パンツァーフロント』

無印むじるしではプレイヤーは操作そうさできないが、『bis』ではコンストラクションモードにおいてプレイヤー側がわとして操作そうさ可能かのうに設定せっていできる。

関連かんれん項目こうもく

• 対戦たいせん車しゃ砲ほう
  • オードナンス QF 2ポンド砲ほう
  • オードナンス QF 17ポンド砲ほう
  • 5 cm PaK 38
  • ZiS-2 57mm対たい戦車せんしゃ砲ほう
  • 一式いっしき機動きどう四よん十じゅう七なな粍みりめーとる速射そくしゃ砲ほう
• 戦車せんしゃ砲ほう