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戦車せんしゃほう

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
44口径こうけい120mmすべり腔砲の略図りゃくず

戦車せんしゃほう(せんしゃほう, 英語えいご: Tank gun)は、戦車せんしゃ搭載とうさいされた大砲たいほう[1]通常つうじょう砲身ほうしんながほうこう初速しょそくはやカノンほうもちいられる[2]

戦車せんしゃほう

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戦車せんしゃ誕生たんじょう以来いらい現在げんざいいたるまで、その主要しゅよう武器ぶき火器かきである[3]登場とうじょうした当初とうしょ戦車せんしゃは、塹壕ざんごう突破とっぱしゅ任務にんむであり、機関きかんじゅう榴弾りゅうだんほう主流しゅりゅうであった[4]だい世界せかい大戦たいせん初期しょきまでどう傾向けいこうであったが、だい世界せかい大戦たいせんちゅう対戦たいせんしゃ戦闘せんとう重視じゅうしされてくるようになり、こう初速しょそく対戦たいせんしゃほうもちいられるようになった[4][5]

対戦たいせんしゃせんにおける装甲そうこう貫徹かんてつりょく増大ぞうだいのため、当初とうしょこう初速しょそくよりは口径こうけい砲弾ほうだん重量じゅうりょう寸法すんぽう)の増大ぞうだい重視じゅうしされていたが、だい世界せかい大戦たいせんころからちょう砲身ほうしんこう初速しょそく重視じゅうしされるようになった[6]。また歩兵ほへい支援しえん考慮こうりょすると、砲身ほうしんながさとともに、口径こうけいおおきさも依然いぜんとして重要じゅうようであった[3]。しかしちょう砲身ほうしんだい口径こうけい両立りょうりつするほう重量じゅうりょうおもく、またちゅう退すさふくなど機構きこう複雑ふくざつとなり、戦車せんしゃ搭載とうさいすることはむずかしかったため、初期しょきには任務にんむごとの戦車せんしゃつくられた[3]。その大戦たいせん中期ちゅうきより戦車せんしゃようちょう砲身ほうしんだい口径こうけいほう登場とうじょうしたことで、いち種類しゅるい戦車せんしゃ様々さまざま任務にんむをこなせるようになり、主力しゅりょく戦車せんしゃへと発展はってんしていった[3]

大戦たいせんも、ほう製造せいぞうさい処理しょり (Autofrettageなど技術ぎじゅつてき改良かいりょうすすめられるとともに、ちょう砲身ほうしんほうおお製作せいさくされた[7]。このようなこう初速しょそくちょう砲身ほうしんほうでは、射撃しゃげき発生はっせいするねつつめたいふうあめなどによってしょうじる砲身ほうしんがり(ベンディング)が問題もんだいになりやすく、イギリスセンチュリオンでは砲身ほうしんつつ (Thermal sleeve装着そうちゃくすることで直射ちょくしゃ日光にっこう風雨ふううからの保護ほごはかった[8]。またセンチュリオンのオードナンス QF 20ポンドほうでは、車内しゃないへの発射はっしゃけむり侵入しんにゅうおさえるための排煙はいえん採用さいようされており、これらはいずれも他国たこくでも導入どうにゅうされた[8]

一方いっぽうちょう砲身ほうしんだい口径こうけいともなって反動はんどう増大ぞうだいしたことから、大戦たいせん末期まっきよりほうくちせい退すさうつわ装備そうび一般いっぱんてきになっていたが、ちゅう退すさふく性能せいのう向上こうじょうともなって、1970年代ねんだいころからはあまりもちいられなくなった[9]。また、従来じゅうらい戦車せんしゃほうはほぼすべてがライフルほうであったが、下記かきのようにたまたいを旋動させる必要ひつようがない砲弾ほうだん登場とうじょうすると、とく主力しゅりょく戦車せんしゃではすべり腔砲主流しゅりゅうになっていった[9]。また、上記じょうき砲身ほうしんがりは射撃しゃげき精度せいどにおいて重大じゅうだい問題もんだいであることから、のちにはほうこう設置せっちしたミラーけて砲身ほうしん基部きぶからレーザー照射しょうしゃし、その反射はんしゃによって砲身ほうしんがりの程度ていど検知けんちするほうこう照合しょうごう装置そうち開発かいはつされており、たとえば日本にっぽんでは44口径こうけい120mmすべり腔砲とともに90しき戦車せんしゃより導入どうにゅうされた[10]

戦車せんしゃ砲弾ほうだん

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戦車せんしゃほう砲弾ほうだんとしては、それ自身じしん運動うんどうエネルギーによる破壊はかい目的もくてきとした実体じったいだんとおるきのえだん/運動うんどうエネルギーだん)と、内部ないぶ炸薬さくやくなどをめて爆発ばくはつによる破壊はかい効果こうかねら中空なかぞらだんがある[3]

運動うんどうエネルギーだんについては、上記じょうきのようにこう初速しょそく重視じゅうしされるようになったのにともなって、1940年代ねんだい初頭しょとうより、初速しょそく向上こうじょうさせるための軽量けいりょうげん口径こうけいだん開発かいはつさかんになっており、1944ねんには装弾そうだんとうづけてっかぶとだん(APDS)登場とうじょうした[6]。またこれと並行へいこうして、成形せいけい炸薬さくやくだん(HEAT)を端緒たんしょとする対戦たいせんしゃ榴弾りゅうだん化学かがくエネルギーだん)も登場とうじょうした[6]

HEATだん粘着ねんちゃく榴弾りゅうだん(HESH)といった化学かがくエネルギーだんは、貫徹かんてつりょく射距離しゃきょり左右さゆうされないというメリットがある一方いっぽう、ライフリングによってこう回転かいてんすうの旋動をあたえられると貫徹かんてつりょくおおきく低下ていかするという特性とくせいがあり、ライフルほうから発射はっしゃする場合ばあい、スリッピングバンドやベアリングなどによってたまたいの旋動をおさえる必要ひつようがある[7]。また運動うんどうエネルギーだんについても、L/Dが4以上いじょうになると旋動による弾道だんどう安定あんていむずかしくなるためにつばさ安定あんていしき砲弾ほうだんAPFSDS)への移行いこうすすむこととなったが[11][ちゅう 2]、これもたまたいの旋動をおさえる必要ひつようがある[7]

代表だいひょうてき戦車せんしゃほう

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アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく

イギリスの旗 イギリス

ソビエト連邦の旗 ソビエト連邦れんぽう

ナチス・ドイツの旗 ドイツこく

ドイツの旗 ドイツ

脚注きゃくちゅう

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注釈ちゅうしゃく

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  1. ^ Jがた最後さいご仕様しようだが、復元ふくげん車両しゃりょうのため、車台しゃだい前期ぜんき仕様しようソミュール戦車せんしゃ博物館はくぶつかん展示てんじひん
  2. ^ 運動うんどうエネルギーだん貫徹かんてつりょく単位たんい面積めんせきあたりの質量しつりょう比例ひれいすることから、ながさ(L)とみち(D)のであるL/Dをおおきくすることがのぞましい[11]
  3. ^ 手前てまえがAPFSDSだんおくがHEATだん

出典しゅってん

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参考さんこう文献ぶんけん

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関連かんれん項目こうもく

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