出典 しゅってん : フリー百科 ひゃっか 事典 じてん 『ウィキペディア(Wikipedia)』
V号 ごう 戦車 せんしゃ パンター の砲 ほう 架 か に装備 そうび された状態 じょうたい の7.5cm KwK 42
7.5cm KwK 42 (独 どく :7.5 cm Kampfwagenkanone 42)は第 だい 二 に 次 じ 世界 せかい 大戦 たいせん 中 なか にドイツ のラインメタル・ボルジヒ 社 しゃ (Rheinmetall-Borsig AG)によって開発 かいはつ された戦車 せんしゃ 砲 ほう である。
派生 はせい 型 がた としてパンターF型 がた の備砲 びほう として採用 さいよう される予定 よてい であった7.5cm KwK 44 と、自動 じどう 装填 そうてん 装置 そうち を組 く み合 あ わせた自動 じどう 式 しき 速射 そくしゃ 砲 ほう とした7.5cm KwK 44/2 が存在 そんざい する。
VK30.02(後 ご のパンター)用 よう として1941年 ねん に発注 はっちゅう されていた60口径 こうけい 砲 ほう が前身 ぜんしん で、1942年 ねん に実施 じっし された射撃 しゃげき 試験 しけん では射距離 しゃきょり 1,400mで30度 ど の傾斜 けいしゃ を備 そな えた100mm厚 あつ の装甲 そうこう 板 ばん を貫徹 かんてつ できることが実証 じっしょう されていた。これを元 もと に、貫通 かんつう 力 りょく の強化 きょうか のために70口径 こうけい に延長 えんちょう して誕生 たんじょう したのが本 ほん 砲 ほう である[ 1] 。
本 ほん 砲 ほう はV号 ごう 戦車 せんしゃ パンター (Sd.Kfz.171)やその指揮 しき 戦車 せんしゃ 型 がた (Sd.Kfz.267 & Sd.Kfz.268)に搭載 とうさい された。また、ティーガー H2型 がた としてティーガーI (Sd.Kfz.181)の101号車 ごうしゃ 以降 いこう に搭載 とうさい する計画 けいかく も存在 そんざい した。
IV号 ごう 戦車 せんしゃ /70 (V)および(A)(Sd.Kfz.162/1)に搭載 とうさい されたものは対戦 たいせん 車 しゃ 砲 ほう としての制式 せいしき 名 めい が与 あた えられており、7.5cm PaK 42 (独 どく :7.5cm Panzerabwehrkanone 42)の名称 めいしょう で制式 せいしき 化 か されている。IV号 ごう 駆逐 くちく 戦車 せんしゃ の他 ほか 、E-25駆逐 くちく 戦車 せんしゃ 型 がた や駆逐 くちく 戦車 せんしゃ 38D ヘッツァー (Sd.Kfz.138/2)への搭載 とうさい も計画 けいかく されていた。1942年 ねん にヘラー社 しゃ が試作 しさく した7.5cm PaK 40/42 からはマズルブレーキ を省略 しょうりゃく した物 もの が採用 さいよう された。
これらの砲 ほう の最大 さいだい の特徴 とくちょう は、高 たか い砲 ほう 口 こう 初速 しょそく による大 おお きな貫徹 かんてつ 力 りょく であり、装甲 そうこう 貫徹 かんてつ 力 りょく はティーガーI の8.8cm KwK 36に勝 か っていた。1943年 ねん 7月 がつ のクルスクの戦 たたか い で本 ほん 砲 ほう を搭載 とうさい したパンターが実戦 じっせん 投入 とうにゅう された際 さい には、敵 てき の野戦 やせん 砲 ほう や戦車 せんしゃ 砲 ほう のどれよりも高 たか い装甲 そうこう 貫徹 かんてつ 力 りょく を発揮 はっき 、使用 しよう する戦車 せんしゃ 兵 へい にも高 たか く評価 ひょうか された。
7.5 cm KwK 42は撃 げき 針 はり ではなく、電気 でんき 式 しき 雷管 らいかん で発砲 はっぽう された。同 どう 時期 じき のドイツの戦車 せんしゃ 砲 ほう や対戦 たいせん 車 しゃ 砲 ほう と同様 どうよう 、楔 くさび 型 がた 尾 お 栓 せん は射撃 しゃげき 後 ご に空 そら 薬莢 やっきょう を排出 はいしゅつ した後 のち は開 ひら いたままとなり、新 あら たな砲弾 ほうだん を装填 そうてん すると自動的 じどうてき に閉鎖 へいさ する。この際 さい 、装填 そうてん 手 しゅ は指 ゆび を挟 はさ まれないように握 にぎ り拳 こぶし で砲弾 ほうだん を押 お し込 こ むように教育 きょういく されていた。
装甲 そうこう 貫徹 かんてつ 力 りょく [ 2]
比較 ひかく 対象 たいしょう
砲弾 ほうだん
角度 かくど
射程 しゃてい
略称 りゃくしょう ・口径 こうけい
弾薬 だんやく
弾 たま 種 しゅ
弾 たま 重 おも
初速 しょそく
弾 たま 着 ぎ 角 かく
100m
500m
1,000m
1,500m
2,000m
7.5cm KwK 42 (L/70)
Pzgr.39/42
APCBC-HE
6.80kg
925m/s
60°
138mm
124mm
111mm
99mm
89mm
Pzgr.40/42
APCR
4.75kg
1,120m/s
194mm
174mm
149mm
127mm
106mm
8.8cm KwK 36 (L/56)
Pzgr.39
APCBC-HE
10.16kg
773m/s
120mm
110mm
100mm
91mm
84mm
PzGr.40
APCR
7.30kg
930m/s
171mm
156mm
138mm
123mm
110mm
本 ほん 砲 ほう を元 もと にした発展 はってん 型 がた がドイツ併合 へいごう 下 か のチェコスロバキア のシュコダ 社 しゃ によって7.5cm KwK 44 として開発 かいはつ されている。
KwK 44シリーズはいずれも駐 ちゅう 退 すさ 複 ふく 座 ざ 装置 そうち を砲 ほう の側面 そくめん から上方 かみがた もしくは下方 かほう へと変更 へんこう しており、これはパンターF型 がた に搭載 とうさい が予定 よてい されていたものに代表 だいひょう される、前半 ぜんはん 部 ぶ を絞 しぼ ってより小型 こがた 化 か しされた、“シュマールトルム(ドイツ語 ご : Schmal Turm :「狭 せま い砲塔 ほうとう 」の意 い )”形状 けいじょう の砲塔 ほうとう (前半 ぜんはん 部分 ぶぶん の内部 ないぶ 容積 ようせき が小 ちい さく、側面 そくめん に駐 ちゅう 退 すさ 復 ふく 座 ざ 装置 そうち を設置 せっち し難 がた い)に適合 てきごう させるためのものである。
^ 後藤 ごとう 仁 ひとし , GROUND POWER No.195 ドイツ計画 けいかく 戦車 せんしゃ , ガリレオ出版 しゅっぱん , 2010
^ Peter Chamberlain, Hilary L. Doyle, Encyclopedia of German Tanks of World War Two , Arms & Armour Press, 1978