ヤンキー

ヤンキー（英えい: Yankee、英語えいご発音はつおん: [ˈjæŋki]（ヤンキ）） は、アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく北東ほくとう部ぶに住すむ白人はくじんに対たいする俗称ぞくしょうである。アメリカ国外こくがいにおいては南部なんぶを含ふくむアメリカ人じん全体ぜんたいに対たいする俗称ぞくしょう、または蔑称べっしょう。

中南米ちゅうなんべいのスペイン語ご圏けんでは "Yanqui" と綴つづる。

概要がいよう

元々もともとは、コネチカット州しゅうに住すむイギリス系けい移民いみんが、南西なんせい隣となりのニューアムステルダム（後ごのニューヨーク）に住すむオランダ系けい移民いみんを呼よんだあだ名な、Jan Kees（ヤン・キース）に由来ゆらいするという説せつと、その逆ぎゃくという説せつがある。Jan Kees（ヤン・キース）を英語えいごに直訳ちょくやくすると John Cheese（ジョン・チーズ）となるのだが、イギリス系けい移民いみんは "Kees" の "-s" を複数ふくすう形がたと誤解ごかいし、英語えいごにおいては "Yankee" を単数たんすう形がた、"Yankees" を複数ふくすう形がたとした。ただし、これ以外いがいにもヤンキーの由来ゆらいや語源ごげんは諸説しょせつ（インディアン語ごでの「卑怯ひきょう者しゃ」など）あるので、はっきりと断定だんていはできない。

なお、John や Jan や Jon は、英語えいごやフランス語ふらんすごなどの西欧せいおう語ご圏けん、もしくはキリスト教きりすときょう圏けんでは典型てんけい的てきな男性だんせい名めいである。それと「チーズ」と重かさねる理由りゆうは不明ふめいだが、ニューアムステルダムが港湾こうわん都市としとしてやや都市とし化かしていたのに対たいし、コネチカットの入植にゅうしょく地ちは農業のうぎょう（酪農らくのうなど）が主要しゅよう産業さんぎょうだったことや、当時とうじのオランダとイギリスの間あいだの国際こくさい関係かんけいも下地したじにあると考かんがえられる（日本人にっぽんじんをスキヤキ野郎やろうや寿司すし太郎たろうと呼よぶのに近ちかい）。

南北戦争なんぼくせんそう時代じだいには、南部なんぶ（ディキシー）に住すむ人間にんげんから見みた北部ほくぶ人じんに対たいする蔑称べっしょうともなった。 逆ぎゃくに南部なんぶ人じんに対たいする蔑称べっしょうはレッドネックもしくはレベル（rebel,アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくから独立どくりつを企くわだてた謀反むほん人じんや反逆はんぎゃく者しゃの意味いみでrebと略りゃくされる事こともあり）であり、北部ほくぶ諸もろ州しゅうをヤンキーランド）、南部なんぶ諸もろ州しゅうはディキシーランドと呼よばれる。

また、わかりやすい俗語ぞくごとして「失敗しっぱいする、たぶらかす」という意味いみで使つかわれていた時代じだいもあった。

現在げんざい

由来ゆらいはともかくとし、現在げんざいでは、狭義きょうぎにはニューヨーク州しゅうを含ふくめ、その北東ほくとう側がわに位置いちするニューイングランド地方ちほう（旧きゅう13植民しょくみん地ちを構成こうせいするメイン州しゅう、ニューハンプシャー州しゅう、バーモント州しゅう、マサチューセッツ州しゅう、ロードアイランド州しゅう、コネチカット州しゅう）の住民じゅうみんを指さす。また、米国べいこく北東ほくとう部ぶにおいてはヤンキーの語かたりが地域ちいきの誇ほこりやプライドとして認識にんしきがされており、少すくなくとも諸しょ外国がいこくにおいてしばしば見みられる蔑称べっしょうであるとの認識にんしきはない。

アメリカ南部なんぶ、特とくにサウスカロライナ州しゅう、ジョージア州しゅう、アラバマ州しゅう、ミシシッピ州しゅう、ルイジアナ州しゅうなどのディープ・サウスと呼よばれる地域ちいき、それと合衆国がっしゅうこくからの独立どくりつ意識いしきが高たかいテキサス州しゅうなどの保守ほしゅ的てきな場所ばしょでは、今いまでも北部ほくぶ住民じゅうみんに対たいする蔑称べっしょうとして「ヤンキー」を使用しようすることもあり、特とくに過激かげきなテキサス人じんの一部いちぶは、冗談じょうだん交まじりで「レッド川かわ（テキサス州しゅうと北きた隣となりのオクラホマ州しゅうを分わかつ川かわ）より北きたに住すむ連中れんちゅうは全員ぜんいんヤンキーだ!」と豪語ごうごし、同おなじ南部なんぶ諸もろ州しゅうに属ぞくしていたオクラホマ州しゅうやアーカンソー州しゅうを切きり捨すてるほど、東部とうぶ（北部ほくぶ）に対たいする対抗たいこう意識いしきと優越ゆうえつ感かん、延ひいては劣後れつご感かんが激はげしい。

アメリカ以外いがいでは、アメリカと経済けいざい格差かくさがある国々くにぐに、特とくに非ひ白人はくじんがマジョリティの国々くにぐにでは、現在げんざいもアメリカ人じん、特とくにヨーロッパ系けいアメリカ人じん（WASPなど）に対たいする蔑称べっしょうとして使つかわれるケースも多おおい。日本にっぽんでも、第だい二に次じ世界せかい大戦たいせん中ちゅうは国内こくない向むけの政府せいふ系けい広報こうほうに「洋よう鬼おに」と書かいてフリガナを「ヤンキー」と振ふって読よませた記述きじゅつが残のこる。また後のちに「ヤンキー・ゴー・ホーム」というように、米べい軍ぐん基地きち反対はんたい運動うんどうなどで使用しようされている。一方いっぽう父島ちちじまでは、欧米おうべい系けい島民とうみんが多おおく住すんでいた小笠原おがさわら村むら奥村おくむら集落しゅうらくのことを、かつて通称つうしょう「ヤンキータウン」と呼よんでいた（蔑称べっしょうの意味いみはない）。

ラテンアメリカ諸国しょこくでは、｢yanqui｣という語かたりは蔑称べっしょうとして使用しようされる。メキシコや中米ちゅうべいではグリンゴ "gringo" も yanqui とほぼ同様どうようの意味いみである（ただし、グリンゴの場合ばあいは「よそもの」と言いう意味いみであり、カナダを含ふくむ北米ほくべいの白人はくじんを指さす場合ばあいが多おおい）。1980年代ねんだいにアメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくのレーガン政権せいけんに支援しえんされた、反はん政府せいふゲリラコントラの攻撃こうげきを受うけていたニカラグアのサンディニスタ民族みんぞく解放かいほう戦線せんせん (FSLN) の党とう歌か「サンディニスタ賛歌さんか」には、「人類じんるいの敵てき、ヤンキー」という部分ぶぶんがある。

ベトナム戦争せんそうの際さい、ベトナム民主みんしゅ共和きょうわ国こく（北きたベトナム）は、北きた爆ばくを行おこなっていたアメリカ空軍くうぐんを「ヤンキーの空中くうちゅう海賊かいぞく」と呼よんでいた。

北朝鮮きたちょうせんなどでは、「アメリカ人じん」全体ぜんたいへの蔑称べっしょうとして「ヤンキー」を用もちいている。

その他た

• 「Y」を正確せいかくに伝達でんたつするための、国際こくさい的てきな頭文字かしらもじの規則きそくの通称つうしょう（通話つうわ表ひょう・NATOフォネティックコード）

関連かんれん項目こうもく

• ディキシー
• アメ公こう
• 反米はんべい
• グリンゴ
• 白人はくじん至上しじょう主義しゅぎ
• ニューヨーク・ヤンキース (New York Yankees)
• ヤンキードゥードゥル（Yankee Doodle）
• アーサー王おう宮廷きゅうていのコネチカット・ヤンキー