(Translated by https://www.hiragana.jp/)
リチウムの同位体 - Wikipedia コンテンツにスキップ

リチウムの同位どういたい

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』

リチウム(Li)(標準ひょうじゅん原子げんしりょう: 6.941(2) u)には天然てんねん6Liと7Liの2つの同位どういたいがある。7Liの存在そんざいは92.5%である。また、7つの放射ほうしゃせい同位どういたい同定どうていされていて、もっと安定あんてい8Liの半減はんげんは838ミリびょうであり、9Liの半減はんげんは178.3ミリびょうである。その放射ほうしゃせい同位どういたいは8.6ミリびょう以下いか半減はんげんつ。もっと不安定ふあんていなものは4Liで、陽子ようし放出ほうしゅつによって、7.58043×10−23 びょう半減はんげん崩壊ほうかいする。

7Liは、ビッグバン原子核げんしかく合成ごうせいによりしょうじた最初さいしょのうちの元素げんその1つである(6Liも恒星こうせいなかにわずかにできた)。リチウムの同位どういたい分別ふんべつ天然てんねんにおいても、鉱物こうぶつ生成せいせい代謝たいしゃイオン交換こうかんひとし様々さまざまなプロセスにおいておこなわれる。たとえば、リチウムイオンは、粘土ねんどなか鉱物こうぶつなかで、マグネシウムてつ置換ちかんするが、ここでは6Liがよりおお選択せんたくされる。

同位どういたい分別ふんべつ

[編集へんしゅう]

カラム交換こうかん

[編集へんしゅう]

リチウム6はリチウム7よりも水銀すいぎんたいする親和しんわせいたかい。そのため、水酸化すいさんかリチウム溶液ようえきと、リチウムと水銀すいぎんアマルガム接触せっしょくさせると、リチウム6が優先ゆうせんてきにアマルガムちゅう濃縮のうしゅくされ、リチウム7は溶液ようえきちゅう放出ほうしゅつされる。

これがカラム交換こうかん分離ぶんりほう原理げんりである。リチウム6かくぶん水銀すいぎんによってさきながれ、リチウム7かくぶん水酸化物すいさんかぶつとともにながれる。

カラムのそこでは、リチウム6の割合わりあいおおいリチウムがアマルガムから分離ぶんりされ、水銀すいぎん回収かいしゅうされてさい利用りようされる。 カラムの上部じょうぶでは、水酸化すいさんかリチウム溶液ようえき電解でんかいによってリチウム7の割合わりあいおおいリチウムが解放かいほうされる。この方法ほうほうでは分離ぶんりはカラムのながさと流速りゅうそく依存いぞんする。

真空しんくう蒸留じょうりゅう

[編集へんしゅう]

リチウムは真空しんくうちゅうではやく550℃までねっせられる。リチウム原子げんしえきめんから蒸発じょうはつし、かずcmじょうつめたいめんあつめられるが、リチウム6原子げんし優先ゆうせんてきあつめられる。

理論りろんてき分離ぶんり効率こうりつやく8%である。このプロセスをなんかえすことで、たか分離ぶんりることができる。

同位どういたい

[編集へんしゅう]

リチウム4

[編集へんしゅう]

リチウム4は3つの陽子ようしと1つの中性子ちゅうせいしから構成こうせいされる。リチウムの同位どういたいなかもっと寿命じゅみょうみじかい。陽子ようし放出ほうしゅつにより崩壊ほうかいする。いくつかのかく融合ゆうごう反応はんのうなかあいだたいとして生成せいせいする。

リチウム6

[編集へんしゅう]

リチウム6はトリチウム原料げんりょう物質ぶっしつとなり、かく融合ゆうごう反応はんのう中性子ちゅうせいし吸収きゅうしゅうざいにもなる。天然てんねんのリチウムの7.5%をめる。リチウム6のだい部分ぶぶん核兵器かくへいきへの使用しようのために分離ぶんりされる。

リチウム6は中性子ちゅうせいし吸収きゅうしゅうしてトリチウムとヘリウム4を生成せいせいする。この反応はんのう発熱はつねつ反応はんのうである。[1]

6Li+n=T+4He+4.8MeV

リチウム7

[編集へんしゅう]

リチウム6の製造せいぞう使用しようしたざん渣のほとんどはリチウム7であり、環境かんきょうちゅう放出ほうしゅつされることもある。リチウム7の割合わりあい天然てんねんより35.4%たか場所ばしょが、ペンシルベニアしゅうWest Valley Creekの海底かいてい炭酸たんさんしおたいみずそうにある。このようにリチウムの同位どういたい構成こうせいみなもとによっておおきくちがう。

リチウム7は、液体えきたいフッ素ふっそ原子げんしフッリチウム溶媒ようばいとしてもちいられている。

また、リチウム7の水酸化物すいさんかぶつ加圧水かあつすいがた原子げんし冷却れいきゃくえきのアルカリもちいられている。

リチウム7は中性子ちゅうせいし吸収きゅうしゅうしてトリチウムとヘリウム4と中性子ちゅうせいし生成せいせいする。この反応はんのうは吸熱反応はんのうである。[1]

7Li+n+2.5MeV=T+4He+n

一覧いちらん

[編集へんしゅう]
同位どういたい
核種かくしゅ
Z(p) N(n) 同位どうい体質たいしつりょう (u) 半減はんげん かくスピン 天然てんねん存在そんざい
(モルぶんりつ)
天然てんねん存在そんざい範囲はんい
(モルぶんりつ)
3Li 3 0 3.030775
4Li 3 1 4.02719(23) 9.1(9)×10−23 s [6.3 MeV] 2-
5Li 3 2 5.01254(5) 3.7(30)×10−22 s [~1.5 MeV] 3/2-
6Li 3 3 6.015122795(16) 安定あんてい 1+ [0.075899(4)] 0.07714-0.07225
7Li 3 4 7.01600455(8) 安定あんてい 3/2- [0.9241(4)] 0.92275-0.92786
8Li 3 5 8.022487359(10) 840.3(9) ms 2+
9Li 3 6 9.026789499(21) 178.3(4) ms 3/2-
10Li 3 7 10.035481(16) 2(5)×10−21 s [1.2(3) MeV] (1-,2-)
11Li 3 8 11.04798(21) 8.75(14) ms 3/2-
12Li 3 9 12.053779(107)# <10 ns

同位どういたい存在そんざい地球ちきゅうじょうにおいても環境かんきょうによって変動へんどうする。そのため、リチウムの原子げんしりょう日本にっぽん学会がっかい発行はっこうする元素げんそ周期しゅうきひょうにおいても範囲はんいしめされている。同様どうよう元素げんそどう周期しゅうきひょうにおいてリチウムふくめ13しゅ存在そんざいする。

脚注きゃくちゅう

[編集へんしゅう]
  1. ^ a b Laser Fusion Rocket”. art.aees.kyushu-u.ac.jp. 2022ねん7がつ16にち閲覧えつらん

参考さんこう文献ぶんけん

[編集へんしゅう]