リボン

リボン（ribbon）とは、ひも状じょうの織物おりもの。一般いっぱんに平ひらたく細長ほそながい形状けいじょうをしている。髪かみや衣服いふくの装飾そうしょく、または贈答ぞうとう品ひんや表彰ひょうしょうをするときに使つかわれる。

カタカナ語ごのリボンは装飾そうしょくやデコレーション用ようという意味いみで使つかわれるが、英語えいごのribbonはカタカナ語ごのリボンを含ふくむ、単たんに薄うすい幅はばが狭せまい長ながい状態じょうたいのもの全般ぜんぱんを含ふくむ。

概要がいよう

歴史れきし

装飾そうしょくに用もちいられるリボンの起源きげんは古代こだいギリシアといわれており、女性じょせいは髪かみを束たばねるために用もちい、男性だんせいは鉢巻はちまきのように用もちいていた^[1]。中世ちゅうせいヨーロッパでは男性だんせいはかつらの留とめ帯たいとして利用りようし、女性じょせいは衣服いふくの襟元えりもとなどの装飾そうしょくに用もちいるようになった^[1]。

オランダにはリントモーレン（Lintmolen）という小幅こはばの織物おりもの用ようの手織ており機きがあり、このリントはリボンの意味いみといわれている^[2]。リボン織機しょっきは16世紀せいき後半こうはんにダンツィヒ（グダニスク）のある織お布ぬの工こうの男おとこが「からくり機き」として発明はつめいしたが、ギルドの同どう業者ぎょうしゃの職しょくを脅おびやかすとして市し当局とうきょくによって捕とらえられこの機械きかいを禁止きんしした^[2]。オランダ製せいの多た条じょう機きは欧州おうしゅう各地かくちに伝つたわったが、小規模しょうきぼ生産せいさん者しゃやギルドの激はげしい抵抗ていこうがあり、リボン生産せいさんによって利益りえきを得えていた都市とし貴族きぞくや支配しはい者しゃ階級かいきゅうによって厳きびしい規制きせいや禁止きんしが繰くり返かえされた^[2]。しかし、イギリスのマンチェスターはギルドや支配しはい者しゃ層そうの影響えいきょうを受うけない自由じゆう都市としだったため、多た条じょう機きによるリボン織物おりものの生産せいさんで栄さかえ工業こうぎょう都市としとして発展はってんした^[2]。17世紀せいきにはオランダでリボンの多おおくあしらったデザインが登場とうじょうし、18世紀せいきには服ふくのほか帽子ぼうしや靴くつの装飾そうしょくにも用もちいるロココ・スタイルが流行りゅうこうした^[1]。

一方いっぽう、日本にっぽんでは古ふるくから贈おくり物ものの水引みずひきなど紐ひもや細ほそい布ぬのは特別とくべつな意味いみを持もっていた^[1]。このような背景はいけいもあり西洋せいようの文化ぶんかと融合ゆうごうしながらリボンの文化ぶんかが広ひろく浸透しんとうすることになった^[1]。

分類ぶんるい

基本きほん的てき分類ぶんるい

リボンには幅はばの広ひろい反物たんものを細長ほそながくヒートカット（融とおる断だん）または高周波こうしゅうはカットした広幅ひろはばカットリボンと、最初さいしょから細長ほそながくリボン状じょうに織機しょっきで織おり上あげた織おリボン（細ほそ幅はば織おリボン）がある^[3]。広幅ひろはばカットリボンは裁断さいだんにより製造せいぞうするので大量たいりょう生産せいさんが可能かのうで安価あんかである^[3]。織おリボンは個々ここに製造せいぞうされるものでリボンに織おりの耳みみがある^[3]。

織おリボンにも織おり方かたにより様々さまざまな種類しゅるいがあり、代表だいひょう的てきなものは経糸たていとと緯糸よこいとを交互こうごに上下じょうげして織おる平織ひらおり（正せい織お）と、経糸たていとと緯糸よこいとを5本ほん以上いじょう用もちいて織おり上あげる朱子しゅし織おである^[3]。平織ひらおりは単純たんじゅんな織おり方かただが丈夫じょうふで摩擦まさつに強つよい^[3]。朱子しゅし織おには表面ひょうめんと裏面りめんがあり経糸たていとと緯糸よこいとの一方いっぽうだけが表面ひょうめんに出でるようにした織おり方かたになっているため独特どくとくの光沢こうたくと柔軟じゅうなん性せいがある^[3]。

素材そざいによる分類ぶんるい

^[4]リボンの素材そざいには、絹きぬ、レーヨン、ポリエステル、アセテート、ナイロン、コットンなどが用もちいられる^[5]。生地きじにはサテン、ベルベット、グログラン（英語えいご版ばん）などがある。

サテンリボンは光沢こうたくのある朱子しゅし織おのリボンの代表だいひょう的てきなもので^[3]、レーヨン、ポリエステル、ナイロンなどの素材そざいが用もちいられる^[5]（ただしカットリボンの製品せいひんもある^[5]）。

タフタリボンは強度きょうどのある平織ひらおり（タフタ）のリボンの代表だいひょう的てきなものである^[5]。

形態けいたいによる分類ぶんるい

結むすび目めを作つくってさらに装飾そうしょく性せいを上あげたものを使つかうことが多おおく、その際さい最もっともポピュラーな蝶結ちょうむすびのことを「リボン結むすび」と呼よぶこともある。より思おもい通どおりの結むすび目めの形状けいじょうを得えるため、崩くずれにくくするために実際じっさいには結むすばずに縫製ほうせいで結むすび目めの形かたちを作つくったり、プラスチックなどで成型せいけいしたりすることもある。形かたちを整ととのえやすいようワイヤーが入はいったものもある。以下いかのような多様たような結むすび方かたがある。

リボン（リボン結むすび）^[6]
バタフライボウ^[6]
ウェーブリボン^[6]
ポンポンボウ^[6]
バラ - 掲示けいじや胸むね章あきら等とう
桔梗ききょう - 胸むね章あきら等とう
ダリア - 胸むね章あきら等とう
旭あさひ光ひかり - 胸むね章あきら等とう
六方ろっぽう - 胸むね章あきら等とう
五ご方ぽう - 胸むね章あきら等とう
フレンチボウ^[6]
ビラ - 結むすばないもの

なお、胸むね章しょうなどでは花はなの下したにタレというリボンが付つくことがある。

用途ようと

祝事いわいごとには明あかるい色いろのものが用もちいられ、弔事とむらいことの喪章もしょうや遺影いえいなどには白黒しろくろのリボンが用もちいられる。

用途ようと例れい

頭髪とうはつを結ゆう

キャラクターやピクトグラムなどの作成さくせいで男女だんじょを区別くべつさせる必要ひつようがある場合ばあいに、女性じょせい側がわにリボンをつけることがある（男性だんせい側がわにはネクタイや帽子ぼうし（キャップなど）を用もちいることが多おおい）。

胸むね章あきら

来賓らいひんなどであることを示しめす。

ラッピング

贈答ぞうとう品ひんの包装ほうそうの際さいにリボンをかけることがあり、十字じゅうじ掛かけや斜ななめ掛かけといった種類しゅるいがある^[6]。

テープカット

色いろ付つきのリボンテープを用もちいる。

メダル、勲章くんしょう等とう

メダルや勲章くんしょう、栄さかえ章あきら、褒章ほうしょうに用もちいる。勲章くんしょう、褒章ほうしょう等とうでは「綬」と呼よばれる。

トロフィーリボン、ペナントリボン

トロフィーや優勝旗ゆうしょうきなどに各回かくかいの受賞じゅしょう者しゃを記念きねんするために取とり付つける。

象徴しょうちょう

アウェアネス・リボン。

ギャラリー

コスプレに利用りよう
マイクと胸むねに利用りよう
ラッピング
テープカット
レッドリボン

脚注きゃくちゅう

[脚注きゃくちゅうの使つかい方かた]

出典しゅってん

^ ^a ^b ^c ^d ^e 林はやし芳久よしひさ著ちょ『実践じっせんフラワーラッピング』p.110、誠まこと文ぶん堂どう新光しんこう社しゃ、2012年ねん
^ ^a ^b ^c ^d 権けん上じょうかおる、山やま﨑範子こ、菊池きくち京子きょうこ、真鍋まなべ雅信まさのぶ、吉田よしだ喜一きいち「欧化おうか主義しゅぎの中心ちゅうしん地ち、東京とうきょうの明治めいじのリボン産業さんぎょう」『産業さんぎょう考古こうこ学会がっかい』第だい153号ごう、48-61頁ぺーじ。
^ ^a ^b ^c ^d ^e ^f ^g 林はやし芳久よしひさ著ちょ『実践じっせんフラワーラッピング』p.111、誠まこと文ぶん堂どう新光しんこう社しゃ、2012年ねん
^ “S.I.C. - SHINDO ITEM CATALOG ONLINE - Ribbons”. sic.shindo.com. 2019年ねん2月がつ14日にち閲覧えつらん。
^ ^a ^b ^c ^d 林はやし芳久よしひさ著ちょ『実践じっせんフラワーラッピング』p.112、誠まこと文ぶん堂どう新光しんこう社しゃ、2012年ねん
^ ^a ^b ^c ^d ^e ^f “Let's Wrapping リボン結むすび方かた”. 2014年ねん1月がつ18日にち閲覧えつらん。