リマのローザ

リマの聖せいローザ
おとめ
生誕せいたん	1586年ねん4月がつ20日はつか スペイン帝国ていこく ペルー副ふく王おう領りょう リマ
死没しぼつ	1617年ねん8月がつ24日にち
崇敬すうけいする教派きょうは	カトリック教会きょうかい
列れつ福ぶく日び	1667年ねん4月がつ15日にち
列れつ福ぶく場所ばしょ	ローマ
列れつ福ぶく決定けってい者しゃ	クレメンス9世せい
列聖れっせい日び	1671年ねん4月がつ12日にち
列聖れっせい場所ばしょ	ローマ
列聖れっせい決定けってい者しゃ	クレメンス10世せい
主要しゅよう聖地せいち	セルカド・デ・リマ、サント・ドミンゴ教会きょうかい・修道院しゅうどういん
記念きねん日び	8月がつ23日にち
守護しゅご対象たいしょう	ペルー、インド、フィリピン、刺繍ししゅう、庭師にわし

リマのローザ （Santa Rosa de Lima, 1586年ねん4月がつ20日はつか - 1617年ねん8月がつ24日にち）は、カトリック教会きょうかいの聖人せいじん。ペルー生うまれの、アメリカ大陸あめりかたいりく初はつの聖人せいじんである。祝日しゅくじつは8月がつ23日にち。

ペルーとラテン・アメリカの第だい一いちの守護しゅご聖人せいじんであり、インド、フィリピンの守護しゅご聖人せいじんである。また縫ぬい物ものが得意とくいで花はなを育そだてて売うっていたことから、刺繍ししゅうと庭師にわしの守護しゅご聖人せいじんでもある。

「ローザ」の名なを持もつ聖人せいじんは他たにもいるため「リマのローザ」と呼よばれ区別くべつされる（サンタローザも参照さんしょう）。母国ぼこくペルーや南米なんべいでは非常ひじょうに崇敬すうけいを集あつめている聖人せいじんであり、1995年ねんよりペルーの200ヌエボ・ソル紙幣しへいに肖像しょうぞうが使用しようされている。

生涯しょうがい

ローザはペルーの首都しゅとリマで生うまれた。本名ほんみょうはイサベル・フローレス・デ・オリバ（Isabel Flores de Oliva）。裕福ゆうふくな家いえの出身しゅっしんで、父ちちガスパルはスペイン軍兵ぐんびょう士し、母ははマリアはインカとスペインの血ちを引ひいていた。ローザの洗礼せんれい名めいはイザベラ（小ちいさきエリザベト）であった。

当時とうじのペルーはスペイン帝国ていこくの植民しょくみん地ちであったため、リマにはカトリック信徒しんとが多数たすういた。ローザの両親りょうしんも信仰しんこう深ふかいカトリック信徒しんとであった。当時とうじのペルーは貧富ひんぷの差さが激はげしく、リマに多おおく住すんでいた先住民せんじゅうみんのインディオは貧まずしい暮くらしをしていた。ローザはそうした貧まずしい人々ひとびとを助たすけたいと真剣しんけんに考かんがえ、行いき倒だおれになったインディオの老女ろうじょを家いえに引ひき取とったり、父ちちの許可きょかを得えて家いえの一室いっしつを開放かいほうし、貧まずしい病人びょうにんらの世話せわをしていた。ローザの生涯しょうがいはリマの貧まずしい人々ひとびと、特とくに子供こどもたちを助たすけることに捧ささげられた。

彼女かのじょは1597年ねん（11歳さいの年とし）に堅けん信しんを受うけ、ローザという堅けん信しん名めいを授さずかった。12歳さいのときにドミニコ会かいに惹ひかれるようになった。

ローザは12歳さいになると、家いえから少すこし離はなれた所ところに小屋こや（洞穴どうけつ）を作つくり、その中なかでの中なかで縫ぬい物ものや祈いのりをしていた。また大おおきな重おもい十字架じゅうじかを担かついで「十字架じゅうじかの道行みちゆき」の信心しんじんをしていた。

彼女かのじょの毎日まいにちは慈善じぜん行為こういと生産せいさん活動かつどうに占しめられていた。ローザは家族かぞくを助たすけるため、自分じぶんで育そだてた美うつくしい花はなや自作じさくの精巧せいこうな縫ぬい物ものを市場いちばで売うり、彼女かのじょの繊細せんさいなレースと刺繍ししゅうは家計かけいを助たすけた。周囲しゅういにいる病人びょうにんや空腹くうふくの人々ひとびとを助たすけ、夜よるは祈いのりを捧ささげ、自分じぶんで建たてた小ちいさな洞穴どうけつで苦行くぎょうをした。彼女かのじょは神聖しんせいな七なな聖せい礼典れいてんで訪問ほうもんするためだけに、洞穴どうけつに隠遁いんとんするようになった。

聖きよしシエナのカタリナを見習みならい、彼女かのじょは秘密ひみつの苦行くぎょうの一ひとつとして週しゅうに3度どの断食だんじきをしていた。日々ひびの断食だんじきは食事しょくじからの精進しょうじんを絶たえ間まなくしていた。ローザは「バラ (Rosa) のように美うつくしい」と言いわれた美少女びしょうじょだったが、彼女かのじょは家族かぞくと友人ゆうじんの反対はんたいを押おし切きって髪かみを切きり落おとし、顔かおを醜みにくくするためコショウとアルカリ液えきで傷きずつけた。彼女かのじょは他者たしゃを助たすけるために自分じぶんを傷きずつけたことから、とても体からだの具合ぐあいが悪わるくなった。ローザは幻視げんし、天啓てんけい、天恵てんけい、そして声こえを、彼女かのじょの両親りょうしんが懺悔ざんげのしきたりを以前いぜん以上いじょうに嘆なげき悲かなしむよう、話はなし始はじめた。多おおくの時間じかんが、日々ひび彼女かのじょが受うけ取とる神聖しんせいな七なな聖せい礼典れいてんを瞑想めいそうすることに費ついやされた。彼女かのじょの聖せい人伝ひとづては、責せめさいなまれる苦くるしみの心しんと、精神せいしんの寂さびしさが、しばしば彼女かのじょをさらなる難行苦行なんぎょうくぎょうに駆かり立たてていたと強調きょうちょうしている。

ローザが年頃としごろになると両親りょうしんは結婚けっこんするよう願ねがったが、彼女かのじょは少女しょうじょの頃ころから心しんに決きめていたとおり、神かみに身みを捧ささげて貞節ていせつを守まもることを決意けついした。そして彼女かのじょはリマのサント・ドミンゴ教会きょうかいで「修道院しゅうどういんの中なかではなく、むしろ世間せけんに留とどまって人々ひとびとの間あいだで神かみに仕つかえなさい」という声こえを聞きいた。彼女かのじょは「私わたしは決けっして苦くるしみから逃にげるのではありません。修道院しゅうどういんに行いかなくても、神かみさまを喜よろこばすことはたくさんあります」と、ドミニコ会かいの在俗ざいぞく修道しゅうどう女おんな（第だい三さん会員かいいん、信徒しんと会員かいいん）となった。

ローザがドミニコ会員かいいんとなったのは1602年ねん（16歳さいの年とし）であった。彼女かのじょは持参じさん金きんなしでドミニコ会かいへ入はいることを許ゆるされ、永久えいきゅうの貞節ていせつを誓ちかい修道しゅうどう会かいへ入はいった。

病弱びょうじゃくであったローザの健康けんこうと生活せいかつを心配しんぱいした母ははは、親戚しんせきの家いえに移うつることを勧すすめた。ローザは「はい、まいりましょう。でも私わたしは別べつに病気びょうきではありません。神かみさまはあと2年ねんばかり生命せいめいを貸かしてくださるでしょう。」と言いい、家いえを移うつってからも司祭しさいの服ふくや教会きょうかいの祭壇さいだん布ぬのを縫ぬったりしながら、在俗ざいぞく修道しゅうどう女おんなとして人々ひとびとに尊敬そんけいされていた。その2年ねん後ごの1617年ねん8月がつ24日にち、聖きよしバルトロマイの祝日しゅくじつに、31歳さいで死去しきょ（帰かえり天てん）した。

彼女かのじょの苦行くぎょうはその種類しゅるいと過酷かこくさを増まし、定期ていき的てきに鉄製てつせいの鋲びょうが打うたれた冠かんむりを被こうむり、バラで身みを隠かくし、ウエストに鉄製てつせいの鎖くさりを巻まいた。食事しょくじなしに日々ひびを過すごし、苦にがい薬草やくそうの混まじったひどく苦にがいものを飲のんだ。彼女かのじょがもはや立たっていられないとき、彼女かのじょは自分じぶんで砕くだいたガラス、石いし、陶器とうきの破片はへんや針はりの寝床ねどこをこしらえ、その上うえに座すわり直なおした。横よこたわることは恐怖きょうふでおののくことと考かんがえていたのである。休やすむことなしに14年間ねんかんの自己じこ犠牲ぎせいを続つづけ、31歳さいで亡なくなるまで恍惚こうこつのへだたりをもっていた。

ローザの葬儀そうぎにはリマ中ちゅうの全すべての公おおやけの人々ひとびとが出席しゅっせきし、大司教だいしきょうは聖堂せいどう内ないで彼女かのじょへの賛辞さんじを述のべた。

列聖れっせい

1667年ねん、ローマ教皇きょうこうクレメンス9世せいにより列れつ福ぶくされ、1671年ねんに教皇きょうこうクレメンス10世せいにより最初さいしょのアメリカ大陸あめりかたいりくの聖人せいじんとして列聖れっせいされた。友人ゆうじんマルティン・デ・ポーレス、アロンソ・アバドらが、リマのサント・ドミンゴ修道院しゅうどういん内うちに彼女かのじょの礼拝れいはい堂どうを建たてた。カトリック教会きょうかいは、彼女かのじょの死しによって多おおくの奇跡きせきが起おきたと認定にんていしている。新しん世界せかいにおけるサンタ・ローザという地名ちめいは、この聖人せいじんを追憶ついおくするものである。

教皇きょうこうベネディクト16世せいはこの聖人せいじんに特別とくべつな献身けんしんを捧ささげた。

わたしたちは土曜日どようび（8月がつ23日にち）にリマの聖せいローザ（1586-1617年ねん）に祈いのります。リマの聖せいローザはラテンアメリカ大陸あめりかたいりくで最初さいしょに列聖れっせいされた聖人せいじんであり、ラテンアメリカ大陸あめりかたいりくの第だい一いちの守護しゅご聖人せいじんです。聖せいローザはしばしば繰くり返かえしてこういいました。「人々ひとびとが恵めぐみのうちに生いきるとはどういうことかを知しったなら、どんな苦くるしみを恐おそれることもないでしょう。そして、どんな苦難くなんにも進すすんで耐たえるでしょう。恵めぐみは忍耐にんたいが生うみ出だす実みだからです」。聖せいローザは挫折ざせつと苦くるしみに満みちた短みじかい生涯しょうがいの後のち、1617年ねんに31歳さいで亡なくなりました。それは聖せいバルトロマイ使徒しとの祭日さいじつ（8月がつ24日にち）でした。聖せいローザは聖せいバルトロマイを深ふかく崇敬すうけいしていました。聖せいバルトロマイは特別とくべつに苦くるしみに満みちた殉教じゅんきょうを遂とげたからです。 — 教皇きょうこうベネディクト16世せいの146回かい目めの一般いっぱん謁見えっけん演説えんぜつ「八はち月がつの聖人せいじんたち」、カトリック中央ちゅうおう協議きょうぎ会かい

ローザの帰かえり天日てんじつである8月がつ24日にちは十じゅう二に使徒しとの一人ひとりである聖せいバルトロマイの祝日しゅくじつでもあるため、典礼てんれい暦れきにおけるリマのローザの祝日しゅくじつは、ペルーを除のぞく他ほかのラテン・アメリカ諸国しょこくでは8月がつ23日にちとしているが、ペルーの国民こくみんの祝日しゅくじつでは伝統でんとう的てきな8月がつ30日にちのままである。

リマのローザの聖地せいちであるサント・ドミンゴ教会きょうかい・修道院しゅうどういんのある地区ちくは、1988年ねんに「リマ歴史れきし地区ちく」の名称めいしょうで世界せかい遺産いさん（文化ぶんか遺産いさん）に登録とうろくされている。

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外部がいぶリンク

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