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リブロース1,5-ビスリン酸カルボキシラーゼ/オキシゲナーゼ - Wikipedia コンテンツにスキップ

リブロース1,5-ビスリンさんカルボキシラーゼ/オキシゲナーゼ

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
ルビスコから転送てんそう
ホウレンソウRubisCOの立体りったい構造こうぞう(リボンモデル)

リブロース-1,5-ビスリンさんカルボキシラーゼ/オキシゲナーゼ (ribulose-1,5-bisphosphate carboxylase/oxygenase) はカルビン - ベンソン回路かいろにおいて炭酸たんさん固定こてい反応はんのう関与かんよする唯一ゆいいつ酵素こうそである(EC番号ばんごうは 4.1.1.39)。リブロース1,5-ビスリンさん二酸化炭素にさんかたんそ固定こていし2分子ぶんしの3-ホスホグリセリンさん生成せいせいする反応はんのう触媒しょくばいする。植物しょくぶつ大量たいりょうふくまれ、地球ちきゅうじょうもっとおおタンパク質たんぱくしつともいわれる。具体ぐたいてきにはホウレンソウ可溶性かようせいタンパク質たんぱくしつの5-10%はほん酵素こうそめられる。

リブロース-1,5-ビスリンさんカルボキシラーゼ/オキシゲナーゼ本来ほんらい生理学せいりがくてき役割やくわりはリブロース 1,5-ビスリンさん (RuBP) へのカルボキシル(カルボキシラーゼ反応はんのう)であるために、リブロース-1,5-ビスリンさんカルボキシラーゼがただしい呼称こしょうである。しかしほん酵素こうそ植物しょくぶつ炭素たんそ固定こてい反応はんのうりつはやしているしゅ原因げんいんとなるリブロース 1,5-ビスリンさんへのオキシゲナーゼ作用さよう(オキシゲナーゼ反応はんのう)が特徴とくちょうてきであり、このりょう反応はんのう競合きょうごう関係かんけいにあるためリブロース-1,5-ビスリンさんカルボキシラーゼ/オキシゲナーゼと呼称こしょうされることがおおい。

呼称こしょうながさから Ribulose 1,5-bisphosphate carboxylase/oxygenase のかく文字もじをとって RubisCO表記ひょうきされることがおおい。別名べつめいとして、リブロース1,5-ビスリンさんカルボキシラーゼ、RuBPカルボキシラーゼ、Rubisco、RuBisCO、ルビスコなど。

カルボキシラーゼ反応はんのう

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RubisCOは生理学せいりがくてき以下いか反応はんのう触媒しょくばいする。括弧かっこない炭素たんそすう意味いみする。

D-リブロース1,5-ビスリンさん (C:5) + CO2 (C:1) + H2O → 2 × ホスホグリセリンさん (C:3 × 2)

この反応はんのう因子いんしとしてマグネシウムイオン (Mg2+) を要求ようきゅうする。この反応はんのう平衡へいこういちじるしくみぎ方向ほうこうっており、ぎゃく反応はんのうはほとんどきない。この反応はんのうカルビン - ベンソン回路かいろにおけるカルボキシル過程かていであり、ほん代謝たいしゃけい唯一ゆいいつ固有こゆう反応はんのうである。カルビン-ベンソン回路かいろにおける反応はんのうは、すべてかいとうけいあるいはペントースリンさん経路けいろられる。したがってカルビン-ベンソン回路かいろはRubisCOのカルボキシラーゼ反応はんのうによって調節ちょうせつされる。RubisCOによるカルビン-ベンソン回路かいろ調節ちょうせつについては後述こうじゅつする。

RubisCOカルボキシラーゼ反応はんのう反応はんのうちゅうあいだたい

カルボキシラーゼ反応はんのう詳細しょうさい分類ぶんるいすると以下いかのステップをる。

  1. D-リブロース1,5-ビスリンさんがRubisCOの作用さようによりエンジオールがたちゅうあいだたいとなる。
  2. RubisCOにCO2結合けつごうする(この二酸化炭素にさんかたんそ基質きしつではない)。
  3. RubisCO-CO2ふく合体がったいにMg2+結合けつごう活性かっせいがたとなる。
  4. エンジオールがたちゅうあいだたいのリブロース1,5-ビスリンさんにCO2付加ふかし(この二酸化炭素にさんかたんそ基質きしつとなる)、3-オキソ中間なかまたいとなる。
  5. 3-オキソ中間なかまたいのリブロース1,5-ビスリンさん加水かすい分解ぶんかいされ2分子ぶんしのホスホグリセリンさんしょうじる。
  6. 2分子ぶんしのホスホグリセリンさんのうち1分子ぶんしのみがCO2由来ゆらい炭素たんそ原子げんしゆうする。

RubisCOはきわめて分子ぶんし活性かっせい (kcat) のひく酵素こうそであり、3 s−1程度ていどである(酵素こうそ1分子ぶんしで1びょうたり3分子ぶんしのCO2固定こていする)。

カルビン-ベンソン回路かいろ調節ちょうせつ

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くらところいた植物しょくぶつ細胞さいぼうひかり照射しょうしゃすると炭酸たんさん固定こてい速度そくどがしばらくひく状態じょうたいつづくが、次第しだい定常ていじょう速度そくど到達とうたつする。これは、くらところでカルビン-ベンソン回路かいろ関与かんよする複数ふくすう酵素こうそ活性かっせい低下ていかしているからである。RubisCOもそうした酵素こうそのひとつである。しかしRubisCOはひかりそのものによって活性かっせいされるわけではなく、以下いか要素ようそによって活性かっせいされる。

  • Mg2+存在そんざい
  • pH 8.5程度ていどじゃくアルカリ
  • じゅう炭酸たんさんイオン (HCO3) の存在そんざい(ホモトロフィック効果こうか
  • 2-カルボキシアラビニトールいちリンさんりょう低下ていか
  • ATP要求ようきゅうせいRubisCO活性かっせい酵素こうそによる活性かっせい

ひかりによるRubisCO活性かっせいふかかかわっているのはじゃくアルカリによる活性かっせいである。ひかり照射しょうしゃによりみどりたいにおいて光化学こうかがく反応はんのうき、チラコイドないプロトン (H+) がまれるが、このときストロマないpH上昇じょうしょうする。RubisCOはストロマない局在きょくざいしており、活性かっせいける。また、チラコイドのプロトンのみと同時どうじまく電位でんい上昇じょうしょうともなうMg2+輸送ゆそうがチラコイドからストロマがわおこなわれ、ここでもRubisCOの活性かっせい促進そくしんする。チラコイド、ストロマなどの構造こうぞうみどりたいこう参照さんしょう

RubisCOは基質きしつであるじゅう炭酸たんさんイオンの濃度のうど上昇じょうしょうによって最大さいだい速度そくど上昇じょうしょうし、ほん酵素こうそアロステリック酵素こうそであることをしめしている。また、RubisCOのカルボキシラーゼ反応はんのう阻害そがいざいとなりうる2-カルボキシアラビニトールいちリンさん夜間やかん存在そんざいりょうおおく、昼間ひるまには低下ていかする。さらにATP要求ようきゅうせいRubisCO活性かっせい酵素こうそも、光化学こうかがく反応はんのうによりストロマがわATP濃度のうど上昇じょうしょう活性かっせいかぎとなる。すなわち、くらところではすべての要素ようそ逆転ぎゃくてんし、RubisCOのカルボキシラーゼ反応はんのう阻害そがいする方向ほうこうはたらく。

オキシゲナーゼ反応はんのう

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つよひかり光合成こうごうせいおこなっていた植物しょくぶつ細胞さいぼうを21%O2濃度のうど条件じょうけん通常つうじょう大気たいき)におけるくらところ移動いどうした場合ばあい直後ちょくご大量たいりょうのCO2放出ほうしゅつられる。同様どうよう実験じっけんを1.5%O2濃度のうど条件じょうけんくらところ移動いどうした場合ばあい、CO2放出ほうしゅつ観察かんさつされなくなる。あかり条件じょうけんにおけるCO2放出ほうしゅつひかり呼吸こきゅうというが、この原因げんいんになっているしゅ反応はんのうがRubisCOのオキシゲナーゼ反応はんのうである。ひかり呼吸こきゅう同化どうかしたCO2さい放出ほうしゅつする過程かていであり(植物しょくぶつ生育せいいく速度そくど低下ていか)、おおくの主要しゅよう作物さくもつ小麦こむぎべい豆類まめるいなど)でこの現象げんしょうられることから収量しゅうりょう上昇じょうしょうなど経済けいざいてきにも注目ちゅうもくされている。RubisCOのオキシゲナーゼ反応はんのう以下いかのとおりである。

リブロース1,5-ビスリンさん + O2 → 3-ホスホグリコールさん + 3-ホスホグリセリンさん

一見いっけん、CO2放出ほうしゅつされていないようにえるが、3-ホスホグリコールさんペルオキシソームおよびミトコンドリア代謝たいしゃされCO2放出ほうしゅつする。3-ホスホグリセリンさんはそのままカルビン-ベンソン回路かいろにて還元かんげん過程かていはいる。また、実際じっさいにCO2放出ほうしゅつする反応はんのうのみならず、オキシゲナーゼ反応はんのうがカルボキシラーゼ反応はんのう競合きょうごう阻害そがいすることによって、かけのCO2放出ほうしゅつりょう増加ぞうかさせ、光合成こうごうせい能率のうりつ低下ていかまねく。

RubisCOオキシゲナーゼ反応はんのう反応はんのうちゅうあいだたい

オキシゲナーゼ反応はんのう詳細しょうさい分類ぶんるいすると以下いかのステップをる。

  1. D-リブロース1,5-ビスリンさんがRubisCOの作用さようによりエンジオールがたちゅうあいだたいとなる。
  2. RubisCOにO2結合けつごうする。
  3. RubisCO-O2ふく合体がったいにMg2+結合けつごう活性かっせいがたとなる。
  4. エンジオールがたちゅうあいだたいのリブロース1,5-ビスリンさんにO2付加ふかし、3-オキソがたちゅうあいだたいとなる。
  5. 3-オキソがたちゅうあいだたいリブロース1,5-ビスリンさん水酸化物すいさんかぶつイオン (OH) が反応はんのうし、3-ホスホグリコールさん、3-ホスホグリセリンおよび水酸化物すいさんかぶつイオンをそれぞれ1分子ぶんしずつしょうじる。
  6. リブロース1,5-ビスリンさん結合けつごうした酸素さんそ原子げんしは3-ホスホグリコールさんの2および放出ほうしゅつされる水酸化すいさんかイオンに結合けつごうしている。

上記じょうきのカルボキシラーゼ反応はんのう比較ひかくして、反応はんのうステップはきわめて似通にかよっておりりょう反応はんのう競合きょうごうするのも、こうした酵素こうそてきしょ反応はんのう類似るいじしていることが原因げんいんである。

RubisCOがオキシゲナーゼ活性かっせいゆうする原因げんいんとして、活性かっせい中心ちゅうしんへのO2分子ぶんしまれやすさがかんがえられる。RubisCOをゆうする光合成こうごうせい生物せいぶつ出現しゅつげんした当初とうしょ地球ちきゅうじょう大気たいき組成そせい現在げんざいよりも還元かんげんてきでCO2濃度のうどたかかったとかんがえられており、こうした欠点けってんおもてざいしなかった。しかしながら、陸上りくじょう植物しょくぶつ台頭たいとうにより大気たいきちゅう酸素さんそぶんあつ上昇じょうしょうそして二酸化炭素にさんかたんそぶんあつ低下ていかまねき、RubisCOの欠点けってんひかり呼吸こきゅうというかたちあらわれてきたとかんがえられている。

RubisCOのカルボキシラーゼ/オキシゲナーゼ活性かっせいとCO2/O2関係かんけいあらわを「CO2補償ほしょう濃度のうど」といい、自然しぜんきているくら呼吸こきゅうひかり呼吸こきゅうがつりあい、みかけのCO2放出ほうしゅつ速度そくどが0になる。一般いっぱんてきなC3植物しょくぶつのCO2補償ほしょう濃度のうどは50–100 ppmである。また、CO2補償ほしょう濃度のうど以外いがいのRubisCOの能力のうりょくしめとして、任意にんいのCO2/O2濃度のうどにおけるカルボキシラーゼ/オキシゲナーゼ活性かっせいである「τたう」がげられる。一般いっぱんてきに、陸上りくじょう植物しょくぶつがたのRubisCO (Form I) は嫌気いやけせい光合成こうごうせい細菌さいきんのRubisCO (Form II) にくらべて、こう酸素さんそぶんあつ条件じょうけん適応てきおうした痕跡こんせきられ、CO2補償ほしょう濃度のうどおよびτたうにおいてすぐれたしめす。Form I、IIについては後述こうじゅつする。

RubisCOの生物せいぶつかいにおける分布ぶんぷ

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RubisCOをゆうしている生物せいぶつとして陸上りくじょう高等こうとう植物しょくぶつ藻類そうるいうずむちるいなどかく生物せいぶつのほか、シアノバクテリア嫌気いやけせい光合成こうごうせい細菌さいきん化学かがく合成ごうせい独立どくりつ栄養えいよう細菌さいきんといったおおくの原核げんかく生物せいぶつ細菌さいきん細菌さいきん)があげられる。RubisCOは一般いっぱんてきにForm IおよびForm IIに分類ぶんるいされるが、細菌さいきんからつかっているRubisCOはどちらのFormにもぞくさないだい3のRubisCOをゆうすることかっている。また、最近さいきんRubisCOに必要ひつようなアミノざんもとくRubisCO-like proteinが細菌さいきんおよび細菌さいきん両方りょうほうからつかっている。

Form Iの特徴とくちょう以下いかのとおりである。

  • だいサブユニット8およびしょうサブユニット8からなるヘテロ16りょうたい(全体ぜんたい分子ぶんしりょうやく550 kDa)。
  • だいサブユニットの分子ぶんしりょうは50–55 kDa、しょうサブユニットの分子ぶんしりょうは12–18 kDa。
  • 陸上りくじょう高等こうとう植物しょくぶつ藻類そうるい、シアノバクテリアといった酸素さんそ発生はっせいがた生物せいぶつおもゆうしている(しかしながら、嫌気いやけせい化学かがく合成ごうせい独立どくりつ栄養えいよう細菌さいきんからもおおつかっている)。
  • 陸上りくじょう高等こうとう植物しょくぶつ緑藻りょくそうるいふく緑色みどりいろ植物しょくぶつでは、だいサブユニット遺伝子いでんし (rbcL) がみどりたいに、しょうサブユニット (rbcS) がかくにそれぞれコードされている。それ以外いがいかく藻類そうるいべに不等ふとう植物しょくぶつクリプトハプトひとしではりょうサブユニットともみどりたいにコードされており、転写てんしゃ単位たんいオペロン)を形成けいせいしている。
  • CO2補償ほしょう濃度のうどτたうにおいてよりこう酸素さんそぶんあつでの活性かっせい適応てきおうしている。

Form IIの特徴とくちょう以下いかのとおりである。

  • Form Iのだいサブユニットに該当がいとうするサブユニットのホモ2りょうたいからなる(全体ぜんたい分子ぶんしりょうやく100 kDa)
  • うずむちるい紅色こうしょく硫黄いおう細菌さいきんひとししゅとしてゆうしている。うずむちではかくコードである。
  • CO2補償ほしょう濃度のうどτたうはForm Iにくらべてこう酸素さんそぶんあつ適応てきおうしていない。
  • Form Iよりもふる系統けいとうぞくするとかんがえられている。

細菌さいきんがたRubisCO (Form III) の特徴とくちょう以下いかのとおりである。

  • だいサブユニットに該当がいとうするとかんがえられるサブユニットのホモ10りょうたいである(ユーリ細菌さいきんもんぞくする Thermococcus kodakaraensis のケース、分子ぶんしりょうは500 kDa程度ていど)。
  • サブユニットのアミノ酸あみのさん配列はいれつしょう同性どうせいのForm IおよびIIのだいサブユニットと比較ひかくしていちじるしくひくい(Form Iと41%、Form IIと34%;ユーリ細菌さいきんもんぞくするMethanocaldococcus jannaschii のケース)。
  • Pyrococcus horikoshiiArchaeoglobus fulgidus などユーリ細菌さいきんもんからしゅとしてつかっている。


RubisCO-like protein (Form IV) の特徴とくちょう以下いかとおりである

  • Chrolobium limicolaC. tepidumA. fulgidus そして Bacillus subtilis細菌さいきんおよび細菌さいきん両方りょうほうからつかっている。
  • RubisCO触媒しょくばい部位ぶい必須ひっすとされるいくつかのアミノ酸あみのさんいている。
  • C. tepidum にてノックアウト実験じっけんおこなわれたが硫黄いおう代謝たいしゃ欠陥けっかんあらわれ、新規しんき代謝たいしゃけい関与かんよしていることが示唆しさされている。

立体りったい構造こうぞう

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上述じょうじゅつしたようにRubisCOは地球ちきゅうじょうもっと存在そんざいりょうおおタンパク質たんぱくしつである。そのため、歴史れきしてきにも構造こうぞう生物せいぶつがくてき研究けんきゅうすすんだ酵素こうそひとつであった。1971ねん最初さいしょのRubisCO結晶けっしょうられたものの、最初さいしょXせん結晶けっしょう構造こうぞうあきらかになったのは1990ねんのことであった。

まずはじめにられた立体りったい構造こうぞう紅色こうしょく硫黄いおう細菌さいきん Rhosdospirillum ruburm のForm II RubisCOである。解析かいせき結果けっか、Form IIは同一どういつのサブユニット2対称たいしょうせいって結合けつごうしている、分子ぶんしりょう100 kDa程度ていどのホモ2りょうたいであることがわかった。Form I RubisCOの立体りったい構造こうぞう同年どうねんタバコのものがあきらかになった。Form Iはだいサブユニット2しょうサブユニット2のL2S2単位たんいけい4対称たいしょうせいって結合けつごうしている分子ぶんしりょう550 kDa程度ていどのL8S8がたであることがあきらかになった。結晶けっしょうから立体りったい構造こうぞう把握はあくまで非常ひじょう時間じかんがかかったことにかんして、分子ぶんしりょうきわめておおきくたか解像度かいぞうどられなかったことが原因げんいんかんがえられている。

そのおおくの生物せいぶつからForm I、II RubisCOの立体りったい構造こうぞうあきらかになった。また、基質きしつ生産せいさんぶつくわえながら結晶けっしょうおこなうことにより、おおくの反応はんのうちゅうあいだたいおもわれる構造こうぞうられた。具体ぐたいてきにはリブロース1,5-ビスリンさん構造こうぞうたカルボキシアラビニトールビスリンさん (CABP) やマグネシウム-二酸化炭素にさんかたんそふく合体がったいカルシウム-二酸化炭素にさんかたんそふく合体がったい、キシルロースビスリンさん (XuBP)、そして生成せいせい産物さんぶつである3-ホスホグリセリンさん (PGA) などである。

また、2001ねん細菌さいきんがたである Thermococcus kodakaraensis のForm III RubisCOの立体りったい構造こうぞうあきらかになった。遺伝子いでんし配列はいれつなど、既知きちのRubisCOとあい同性どうせいひくかったForm IIIは立体りったい構造こうぞうのFormとおおきくことなっており、同一どういつのサブユニット2対称たいしょうせいって結合けつごうしているL2単位たんいけい5対称たいしょうせいって結合けつごうしている分子ぶんしりょう497 kDa程度ていどのL10がたであることがあきらかになった。

構造こうぞう生物せいぶつがくてき触媒しょくばい過程かてい

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2-カルボキシアラビニトール1,5-ビスリンさん(CABP, 黄色おうしょく)とマグネシウムイオン(灰色はいいろ)をはいしたホウレンソウRubisCOの活性かっせい中心ちゅうしん近傍きんぼう
RubisCOの活性かっせい中心ちゅうしんにおけるリブロース1,5-ビスリンさん赤色あかいろ)とマグネシウムイオン(緑色みどりいろ)の2次元じげんてきはい
マグネシウムイオンを中心ちゅうしん多数たすう水素すいそ結合けつごう存在そんざいしている。また、リブロース1,5-ビスリンさんの2および201番目ばんめのリシンざんもとにカルボキシルもと青色あおいろ)が結合けつごうしていることに注目ちゅうもく。また、リブロース1,5-ビスリンさん加水かすい分解ぶんかいける部位ぶい近傍きんぼうに379番目ばんめのセリンざんもと存在そんざいし、加水かすい分解ぶんかい活性かっせいかかわっているのではないかとかんがえられている。

立体りったい構造こうぞうあきらかになると同時どうじに、サブユニットの機能きのうについてもあきらかになった。Form Iにおけるだいサブユニットはカルボキシラーゼ/オキシゲナーゼ活性かっせいゆうする触媒しょくばい部位ぶいゆうし、しょうサブユニットは機能きのう未知みち部分ぶぶんおおいが反応はんのう調節ちょうせつおこなっているのではないかとかんがえられている。しょうサブユニットのいForm I RubisCOでは活性かっせいが1%程度ていどむことが大腸菌だいちょうきん発現はつげんけいもちいた研究けんきゅうでわかっており、なんらかのかたちでカルボキシラーゼ活性かっせいかかわっていることも示唆しさされた。

Form II、IIIのサブユニットはForm I だいサブユニットと同様どうよう触媒しょくばい部位ぶいゆうしており、基本きほんてきには以下いかべる基質きしつ結合けつごう過程かていしたがうとかんがえられる。触媒しょくばい過程かていにおけるもっとおおくの反応はんのうちゅうあいだたいられているのはホウレンソウのForm I RubisCOである。

  1. RubisCOへの基質きしつ結合けつごうさいして、まずK201(だいサブユニットアミノ酸あみのさん配列はいれつ201番目ばんめリシン)が二酸化炭素にさんかたんそによってカルバミルされる。
  2. カルバミルされたK201、D203(アスパラギンさん)、E204(グルタミン酸ぐるたみんさん)によってマグネシウムイオンが水素すいそ結合けつごうによりはいされRubisCOの活性かっせいがたをとる。
  3. 2-カルボキシアラビニトール1,5-ビスリンさん(RuBPと構造こうぞうとう;CABP)は以下いか水素すいそ結合けつごうによりRubisCOと結合けつごうする。
    1. 1炭素たんそはいした酸素さんそとK175およびマグネシウムイオン
    2. 3炭素たんそはいした酸素さんそとカルバミルしたK201、H327(ヒスチジン)およびマグネシウムイオン
    3. 5炭素たんそはいした酸素さんそとH327
    4. 1リンさんはいした酸素さんそとK334
  4. リブロース1,5-ビスリンさんの3-オキソ中間なかまたいの2炭素たんそのカルボキシルもと(すなわちまれた二酸化炭素にさんかたんそ)に該当がいとうするCABPの2カルボキシルもとはマグネシウムイオンと水素すいそ結合けつごうする。
  5. リシンへの二酸化炭素にさんかたんそはい、マグネシウムイオン、CABPが結合けつごうするとloop6とばれる通常つうじょう活性かっせい中心ちゅうしんにかぶさるように存在そんざいしている部位ぶいコンフォメーション変化へんかし、生成せいせいぶつ開放かいほうできるようにopenな構造こうぞうになる。
  6. 2分子ぶんしの3-ホスホグリセリンさんはいしているケースでもloop6はopenな構造こうぞうっている。

これらの反応はんのうもと過程かていにおいて注意ちゅういすべきなのは、K201にカルバミルされる二酸化炭素にさんかたんそ基質きしつとしてまれるわけではない、というてんである。基質きしつとしてまれるべき二酸化炭素にさんかたんそは、Mg2+-CO2ふく合体がったいおよびとうはいしたときに、3-オキソ中間なかまたいとなるようリブロース1,5-ビスリンさんの2にカルボキシルされる。

遺伝子いでんし改変かいへんけいによる機能きのう改良かいりょう

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RuBisCOは上述じょうじゅつしたように、リブロース1,5-ビスリンさんへのカルボキシラーゼ反応はんのうという特有とくゆう反応はんのう触媒しょくばいするが、同時どうじにオキシゲナーゼ反応はんのうになうという酵素こうそてき欠点けってんかかえている。また、活性かっせいひくくカルビン-ベンソン回路かいろりつそく段階だんかいとなっている。RubisCOのこうした欠点けってん克服こくふくすることは主要しゅよう作物さくもつ増産ぞうさん地球ちきゅう温暖おんだん防止ぼうしてんにおいてもきわめておおきな影響えいきょうあたえるとかんがえられ、大腸菌だいちょうきんもちいた遺伝子いでんし突然変異とつぜんへんいほうなどによりその機能きのう改良かいりょうこころみられてきた。

近年きんねんのRubisCOの改良かいりょうかんする総説そうせつによると[1]もとめられるべきPerfect RubisCOとは以下いか条件じょうけんたすものである。

  1. CO2へのたか活性かっせいおよびひくミカエリス・メンテン定数ていすうゆうすること(具体ぐたいてき数字すうじとして kcat/Km = 108 M−1s−1
  2. ただし、CO2のミカエリス-メンテン定数ていすうみどりたいストロマにおけるCO2よりもたか (>8 μみゅーM) をしめすこと(ストロマちゅうにおけるCO2濃度のうど一定いっていたもたれつね最大さいだい速度そくどしめすため)
  3. O2たいするCO2特異とくいせい無限むげんだいおおきいこと(オキシゲナーゼ活性かっせい発生はっせいしないように、Sc/o = ∞)

現実げんじつのRubisCOは紅色こうしょく硫黄いおう細菌さいきん Rhodospirillum rubrum場合ばあい活性かっせいたかいもののミカエリス-メンテン定数ていすうたかく、こうCO2濃度のうど適応てきおうしている。一方いっぽう、タバコのRubisCOは活性かっせいひくいが、ミカエリス-メンテン定数ていすうひくいため、ていCO2濃度のうど適応てきおうしている。この結果けっか現状げんじょうもっとも1.の条件じょうけんたしているRubisCOはタバコとなりそのkcat/Km = 3.2 × 105 である。タバコRubisCOのミカエリス-メンテン定数ていすう (Km = 10.7 μみゅーM) を参考さんこうにした場合ばあい逆算ぎゃくさんされうるPerfect RubisCOの活性かっせいは1070 s−1となり、既存きそんのRubisCOの100ばい以上いじょうである。

2006ねんシアノバクテリア Synechococcus PCC7492のRubisCO遺伝子いでんし大量たいりょうのランダム変異へんいたい獲得かくとくし、大腸菌だいちょうきんないでRubisCOが機能きのうする場合ばあいにのみペントースリンさん経路けいろ一部いちぶもちいたカルビン-ベンソン回路かいろによって発現はつげん宿主しゅくしゅ生育せいいく可能かのうになるけいにてすぐれたRubisCOの選抜せんばつおこなった報告ほうこくがある[2]ほんけいでは、RubisCO遺伝子いでんし変異へんいのみで発現はつげんりょう野生やせいがたやく15ばいあるいは活性かっせいが5ばいになるRubisCO変異へんいたいられている。このような、発現はつげんりょう増大ぞうだい活性かっせい向上こうじょうられる理由りゆう構造こうぞう生物せいぶつがくてきあきらかになっていないが、RubisCO自身じしん安定あんていせい寄与きよしている変異へんい導入どうにゅうされていること一因いちいんかんがえられている。ほんけい上手うま応用おうようすることにより、今後こんごさらにすぐれたRubisCO変異へんいたいられるのではないかと期待きたいされている。

参考さんこう文献ぶんけん

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  1. ^ Andrews, T. J.; Whitney, S. M. (2003). "Manipulating ribulose bisphosphate carboxylase/oxygenase in the chloroplasts of higher plants." Arch. Biochem. Biophys. 414: 159–169. PMID 12781767.
  2. ^ Parikh, M. R.; Greene, D. N.; Woods, K. K.; Matsumura, I. (2006). "Directed evolution of RuBisCO hypermorphs through genetic selection in engineered E.coli." Protein Eng. Des. Sel. 19: 113-119. PMID 16423843.

関連かんれん項目こうもく

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