レンタル

レンタル（英語えいご：renting, rental）とは、代金だいきんと引ひき替かえに商品しょうひんを一定いってい期間きかん貸かし出だすことをいい、賃貸ちんたいとも言いわれる。

概要がいよう[編集へんしゅう]

レンタルは、一般いっぱんにおいて「使用しよう期間きかん・回数かいすうに対たいして、購入こうにゅう費用ひようが高たかすぎる」ような製品せいひん分野ぶんやで主おもに使つかわれているほか、業務ぎょうむ分野ぶんやでは使用しよう期間きかんが限かぎられ減価げんか償却しょうきゃくし難がたい機材きざいなどを企業きぎょう向むけに機材きざいや事務じむ機器ききなどをレンタルする業態ぎょうたいも見みられる。なお企業きぎょう向むけレンタルの、特とくに契約けいやく企業きぎょうに新品しんぴんを所定しょてい期間きかん貸かし出だす業態ぎょうたいに関かんしてはリースの項こうを参照さんしょう。

大抵たいていの場合ばあいは盗難とうなんや破損はそんした場合ばあいの保険ほけんを使用しよう者しゃ負担ふたんでかけており、店舗てんぽで直接ちょくせつ引ひき渡わたされる商品しょうひんは運転うんてん免許めんきょ証しょうや健康けんこう保険ほけん証しょう、学生がくせい証しょうなどの身分みぶん証明しょうめい書しょのコピーが取とられる。またインターネット経由けいゆで申もうし込こみ宅配たくはいで受うけ渡わたしが行おこなわれる場合ばあいは、身分みぶん証しょうの提示ていじを求もとめない代かわりに信用しんよう証明しょうめいが確実かくじつなクレジットカード (日本にっぽん)での支払しはらいしか認みとめないところがほとんどである。

レンタル業ぎょう[編集へんしゅう]

個人向こじんむけレンタル業ぎょう[編集へんしゅう]

一いち度どしか使つかわないもの、短期間たんきかん・短時間たんじかんしか利用りようしないものを低てい価格かかくで貸かし出だすもの
- レンタルビデオ - 映画えいが等とうの映像えいぞう作品さくひんソフトウェア
- レンタカー - 旅行りょこう・出張しゅっちょうなどで出先でさきで着物きものの貸付かしつけで運転うんてんする人ひとのために自動車じどうしゃ（二輪車にりんしゃを含ふくむ）を貸かし出だすサービス
- レンタサイクル - 出先でさきで自転車じてんしゃを貸かし出だすサービス
- 一時いちじ的てきにしか使つかわない衣装いしょうや道具どうぐ -　七なな五ご三さん､成人せいじん式しきや卒業そつぎょう式しき､結婚式けっこんしき、等ひとしの和服わふくや振袖ふりそで、ドレス｡貸かし衣装いしょう店みせに加くわえ呉服ごふく屋やがレンタルも行おこなっていたりする｡
- 家電かでんや家具かぐ
- 高価こうかで専門せんもん的てきな機材きざい
- マッサージチェア
定額ていがく料金りょうきんで定期ていき的てきな交換こうかんを行おこなうもの

企業きぎょう向むけレンタル業ぎょう[編集へんしゅう]

事務じむ機器ききや設備せつびといったものを比較的ひかくてき長ながい一定いってい期間きかん貸かし出だすリース以外いがいにも、一時いちじ的てきに企業きぎょうに様々さまざまな機材きざいなどを貸かし出だすレンタル業ぎょうも存在そんざいする。

例たとえば飲食いんしょく店てん向むけにはおしぼり（平均へいきん約やく25回かいほど再さい使用しようされる）がレンタルされており、企業きぎょうがプレゼンテーションやイベントを行おこなう際さいの機材きざい、あるいは出張しゅっちょうにおけるレンタカーの利用りようなど、様々さまざまな分野ぶんやで一時いちじ的てきに貸かし出だされた道具どうぐ類るいが利用りようされる。

広義こうぎには箱はこ物ぶつなどの形かたちで方々かたがたに建設けんせつされた貸かしホールや多目的たもくてき商業しょうぎょう施設しせつ（→多目的たもくてきホール）も一種いっしゅのレンタルであり、これら多目的たもくてきホールを渡わたり歩あるく無む店舗てんぽ業態ぎょうたいの企業きぎょうも存在そんざいする。

ことプレゼンテーションやイベント用ようの機材きざいにおけるレンタル業ぎょうは多岐たきに渡わたり、映像えいぞう機器ききや音響おんきょう機器ききの専門せんもん業者ぎょうしゃには日本にっぽんにおいて日本にっぽん映像えいぞう機材きざいレンタル協会きょうかい（JVR）という業界ぎょうかい団体だんたいがあるほか、照明しょうめい機器きき専門せんもん業者ぎょうしゃや什器じゅうき類るい・舞台ぶたいやブース設備せつびなどといったものに対応たいおうする業態ぎょうたいも見みられ、イベントプロモーターといった専門せんもん業者ぎょうしゃが施設しせつの予約よやくを含ふくめ、これらを取とりまとめて手配てはいすることもある。

建設けんせつ現場げんばや不動産ふどうさん販売はんばいには、仮設かせつの事務所じむしょが建設けんせつされて、有期ゆうき的てきなオフィスが準備じゅんびされる。購入こうにゅうしてしまうと経費けいひ処理しょりや後始末あとしまつにコストがかかることから、FF＆E（furniture 家具かぐ, fixtures　什器じゅうき and equipmenｔ備品びひん）をレンタルされることが多おおい。

中なかにはロボットの貸かし出だしもみられるが、これはそれらロボットのメーカーと企業きぎょうが直接的ちょくせつてきに交渉こうしょうする場合ばあいもある。日本にっぽん国内こくないではASIMOやLAND WALKER、テムザックの警備けいび用ようロボット「T63 Artemis」などのレンタルやリースが行おこなわれている。

国内こくないレンタル市場いちばの5～6割わりは建設けんせつ機械きかいレンタルが占しめている。

歴史れきし[編集へんしゅう]

企業きぎょうレベルでのレンタル業ぎょうの嚆矢こうしとされるのは、電話機でんわきを発明はつめいしたグラハム・ベルが1887年ねんに電話でんわ会社かいしゃを設立せつりつしユーザーに有料ゆうりょうで電話機でんわきを貸かし出だしたのが企業きぎょうレベルとしての最初さいしょであるといわれている^{[要よう出典しゅってん]}。

しかしながら、日本にっぽんにおいてはそれをさかのぼる事こと10年ねん前まえの1877年ねん（明治めいじ10年ねん）に横浜よこはま元町もとまちの石川いしかわ某ぼうが横浜よこはまの外人がいじん居留きょりゅう地ちの外人がいじんの乗のっている自転車じてんしゃを見みて中古ちゅうこ自転車じてんしゃを譲ゆずり受うけ貸がし自転車じてんしゃ業ぎょうを営なんで繁盛はんじょうしたといわれている^{[要よう出典しゅってん]}。

さらに、江戸えど時代じだいにおいて足軽あしがるたちのあいだではふんどしは「貸かしふんどし屋や」から借かりるのが普通ふつうであったという^[1]^{[要よう出典しゅってん]}。

著作ちょさく権けん物ぶつにおける貸かし出だし[編集へんしゅう]

こういった貸かし借かりにおいて日本にっぽんでは、映像えいぞうソフトや音楽おんがくソフトの利用りように際きわする著作ちょさく使用しよう料りょうが問題もんだいとなったことがある。これらソフトの製造せいぞうにおいては、個人こじん向むけソフトの場合ばあいには貸かし出だしを前提ぜんていとした著作ちょさく使用しよう料りょうが徴収ちょうしゅうされていないためである。この問題もんだいはゲームソフトやパソコンソフトなどプログラム媒体ばいたいでも問題もんだいとされた。

この問題もんだいに際さいして映像えいぞうや音楽おんがくのソフトはレンタルビデオ・レンタルCDなどのレンタル業ぎょうが貸かし出だしの都度つど、著作ちょさく使用しよう料りょうを料金りょうきんに含ふくめ、最終さいしゅう的てきに著作ちょさく団体だんたいに集あつめることで1984年ねんに決着けっちゃくしたが、コンピュータソフトウェアでは当初とうしょ著作ちょさく物ぶつと認みとめられていなかった関係かんけいで、初期しょきの貸かし出だし業ぎょうがその実みとして不正ふせいコピーを容認ようにんするような業態ぎょうたいでもあった（→コピーソフトウェアの歴史れきし）こともあり、ソフトウェア業界ぎょうかいからの追求ついきゅうもあってこれら業態ぎょうたいは衰退すいたい、コンピュータゲームのソフトウェアに関かんするレンタル業ぎょうは過去かこに特定とくていの家庭かてい用ようゲーム機きに対たいして行おこなわれたが、レンタルビデオほどには定着ていちゃくしていない。その一方いっぽうで欧米おうべいではゲームレンタルという業態ぎょうたいも見みられる。なお、1990年代ねんだいレーザーディスクの登場とうじょうがあったが著作ちょさく権けんの問題もんだいがあり、レンタルは禁止きんしされていた。

なおネオジオというゲーム機きは、当初とうしょよりレンタルを前提ぜんていとして市場いちばに出でたゲーム機きであったが、後のちにマニア筋すじから販売はんばいを求もとめる声こえがメーカーに寄よせられ、元々もともとがゲームセンター用ようハードウェアを家庭かてい向むけに再さい構成こうせいしたという高性能こうせいのうもあって、入いれ替かわりの激はげしい家庭かてい用ようゲーム機き業界ぎょうかいでは異例いれいとも言いえる14年間ねんかんに及およぶ市場いちばを形成けいせいしていた。

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

^ 当時とうじ一いち枚まいの長ながさが六ろく尺しゃくもあるふんどし（六ろく尺しゃく褌ふんどし）は男おとこの必需ひつじゅ品ひんであったが、一本いっぽん二に百ひゃく五ご十じゅう文ぶんもして、汚けがれれば洗あらわなくてならなかった。主人しゅじんの供きょうをする時ときは常つねにみなの目めに触ふれ、こざっぱりとしていなければならず到底とうてい一いち本ほん持もっているだけでは間まに合あわず、他方たほうで何なん本ほんもそろえるのには出費しゅっぴがかさむ。そのため、汚よごれた褌ふんどしと一本いっぽん六ろく十じゅう文ぶん（当時とうじソバ一いち杯はい二に十じゅう文ぶん）の料金りょうきんで貨しふんどし屋やで洗濯せんたくして'火ひのし'の効きいた褌ふんどしとを交換こうかんして着用ちゃくようしたという。足軽あしがる人足ひとあしは独身どくしん者しゃが多おおく、住すみ込こみで24時じ間あいだ勤務きんむが通常つうじょうなので褌ふんどしレンタル業ぎょう発生はっせい素地そじがあった。