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ふんどし

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』

ふんどし(ふんどし)は、日本にっぽん伝統でんとうてき下着したぎ[1]形状けいじょうによっておびじょうふんどしはかまじょうふんどし大別たいべつされる[2]同様どうようのものは世界せかい各地かくち民族みんぞくられ[3][4]帯状おびじょうふんどし南方なんぽうけい民族みんぞくはかまじょうふんどし北方ほっぽうけい民族みんぞく被服ひふく系統けいとう由来ゆらいするというせつがある[2]

概要がいよう

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ふんどし現代げんだいでは下着したぎとして認識にんしきされているが[1]本来ほんらいひもころも性格せいかくをもつ表着うわぎであり狩猟しゅりょうなどの仕事しごとにももちいられた[3]たとえば愛知あいちけん北設楽きたしたらぐんでは昭和しょうわ初期しょきまできこり(きこり)やいかだながしの人々ひとびとふんどし姿すがたであった[3]平安へいあん時代じだい故実こじつしょいにしえによると相撲すもうじん(すまいびと)がふんどし着用ちゃくようするなど、ふるくは相撲すもう力仕事ちからしごとさいにつけるもので常時じょうじ着用ちゃくようするものではなく、時代じだいくだって次第しだい下着したぎとしても着用ちゃくようされるようになった[3]

飛脚ひきゃくふんどし

ふんどしふるくはハダバカマやタフサギなどとしょうされた[2]。『古事記こじき』や『日本書紀にほんしょき』には「ふんどし」(当時とうじみは「はかま」)や「犢鼻褌ふんどし」(たふさぎ)の記述きじゅつがある[3]

「ふんどし」の語源ごげんには諸説しょせつあるが「どおし」であるというせつ一般いっぱんてきであり、当時とうじもちいられていたはかま形式けいしきのものが語源ごげんになっているとされる[2][3]。『松屋まつや筆記ひっき』でも「フンドシ」は「踏どおしの」としている[2]

かく地方ちほう名称めいしょうことなり、関西かんさい地方ちほうでは「フドシ」、関東かんとう地方ちほうでは「フンドシ」、仙台せんだいでは「ウチオビ」、盛岡もりおかでは「コバカマ」、常陸ひたち地方ちほうでは「テコ」、徳島とくしま地方ちほうでは「テテラ」、高知こうち地方ちほうでは「フゴメ」、長野ながの地方ちほうでは「モッコ」とばれる[5]

素材そざい室町むろまち時代じだい以前いぜんあさ一般いっぱんてきだったが、江戸えど時代じだい以降いこう木綿こわたさらぬのおお使用しようされた[3]に、しんモススフきぬ(シルク)、あさひとし使用しようされる。そうかん生地きじあらいものがやわらかく、生地きじこまかいものはかための感触かんしょくとなり、下着したぎにはあら生地きじもちいられているほうおおい。いろ白色はくしょくおおいが、あかあおなどのいろ生地きじ使用しようされており、柄物がらものもある。

男性だんせいよう女性じょせいよう下着したぎ昭和しょうわ10年代ねんだいごろまでふんどし一般いっぱんてきだったとされるが、洋装ようそうにより次第しだいふんどし着用ちゃくようするひとっていった[1]昭和しょうわになるとメリヤスせい猿股さるまたキャラコせいパンツが普及ふきゅうしたが、軍隊ぐんたいでは越中褌えっちゅうふんどし採用さいようされていたため年配ねんぱいしゃなかにはだい大戦たいせんふんどし使つかつづけるひとおおかったとされる[2]

ふんどし種類しゅるい

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代表だいひょうてき帯状おびじょうふんどし

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あかろくしゃくふんどし前面ぜんめんから)
あかろくしゃくふんどし背面はいめんから)
化粧廻けしょうまわし。相撲すもう使つかわれるまわもふんどしの一種いっしゅである。

ふんどし形状けいじょうによっておびじょうふんどしはかまじょうふんどし大別たいべつされるが、歴史れきしてきふんどしとして使用しようされてきたものは圧倒的あっとうてきいちまい帯状おびじょうのものでできたふんどしである[2]

ろくしゃくふんどし

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ながやく180~260cm程度ていどはばやく34cm〜16cmのさらしぬのもちいたもの。男女だんじょともにもちいられる。臀部でんぶ露出ろしゅつしていることに特徴とくちょうがある。江戸えど初期しょきから常用じょうようされてきたふんどし形式けいしきで、大正たいしょう後期こうきごろまでよく使用しようされた[2][3]現代げんだいではおも祭事さいじ水着みずぎ使用しようされる。詳細しょうさいろくしゃくふんどし参照さんしょう

越中褌えっちゅうふんどし

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越中褌えっちゅうふんどしは、ながさ100cm程度ていどはば34cm程度ていどぬのはしひもをつけた下着したぎ一部いちぶでは和製わせい英語えいごクラシックパンツ[3]、サムライパンツともばれている。医療いりょうよう下着したぎであるTたい越中褌えっちゅうふんどし一種いっしゅみそぎとき使つかわれる場合ばあいおおほか一部いちぶはだかまつではろくしゃくふんどしかわって、こちらが使つかわれる場合ばあいがある。詳細しょうさい越中褌えっちゅうふんどし参照さんしょう

ふご(もっこ)ふんどし

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ながさ70cm程度ていどはば34cm程度ていどぬのりょうはしひもとおしたもの。畚褌もっこふんどし越中褌えっちゅうふんどしをさらに簡略かんりゃくしたふんどしぬの節約せつやくすることができた[2][3]土木どぼく工事こうじとうはこふご形状けいじょうているためこのがついたといわれる。歌舞伎かぶき女形おんながたは、普段ふだんから、これを着用ちゃくよう

わりふんどし

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ろくえつふんどしともばれる。ながさ150〜160cmはば30〜40cm程度ていどぬの使用しようし、片一方かたいっぽうぬのはしやく55〜60cmほど真中まんなかからって、った部分ぶぶんこし方式ほうしきふんどしろくしゃくふんどし越中褌えっちゅうふんどしなかあいだてきもの戦国せんごく江戸えど時代じだいけて一部いちぶ武将ぶしょう大名だいみょう愛用あいようされた。

なお、平成へいせいになってから「ろくえつふんどし」が開発かいはつされた。ろくしゃくふんどしたてなかまでいたかたちになっている。しりろくしゃくさまに、またにはがりがつく。上記じょうきわりふんどし同様どうよう形状けいじょうふんどし

ふんどし職種しょくしゅとうとの関係かんけい

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ふんどしなかには力士りきしまわのように職種しょくしゅおうじた特殊とくしゅふんどしがあるが、力士りきしまわしなど特殊とくしゅれいのぞいては職種しょくしゅによるちがいははっきりしておらず、むしろ時代じだい地域ちいきによるちがいのほうがおおきいとされている[2]

ふんどし利用りよう

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神事しんじ相撲すもう

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まわ

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まわは、日本にっぽん国技こくぎ相撲すもう一部いちぶはだかまつ奉納ほうのう相撲すもう使つかわれる特殊とくしゅふんどしいろ材質ざいしつかたふんどしとはことなる。詳細しょうさいまわ参照さんしょう

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福岡ふくおか博多はかた毎年まいとし7がつおこなわれる博多はかた祇園山ぎおんやまかさや、そのはだかまつ装束しょうぞくとして使つかわれるふんどしかた材質ざいしつは、博多はかたではまわちかい(ただし、生地きじあつさはさらしまわ中間ちゅうかんくらい、うすめの帆布ほぬのかさねた木綿こわた洋服ようふく)が、前垂まえだれを場合ばあいおおい。博多はかた以外いがいでは5mの、さらしをまわ同様どうよう場合ばあいおおい。いずれの場合ばあいよこふんどしはばひろくし(7〜12cm)、むすまわ同様どうようにする。まわろくしゃくふんどしきゅうしゃくふんどしさらしいちたん場合ばあいもある。

きゅうしゃくふんどし

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長崎ながさきけん雲仙うんぜんきゅう国見くにみまち)の伝統でんとう芸能げいのう鳥刺とりさおど」に使つかわれるふんどし股間こかんとおしたぬのむねまでげてめる独特どくとくかたちをしている。本来ほんらい漁師りょうし着用ちゃくようしたふんどしで、まわ同様どうよう着用ちゃくよう

水着みずぎ

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ろくしゃくふんどし利用りよう

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戦前せんぜんまでは日本人にっぽんじん男性だんせいよう女性じょせいよう水着みずぎは、ふんどし一般いっぱんてきで、ほとんどがろくしゃくふんどしであった。ろくしゃくふんどし#水着みずぎとしてのろくしゃくふんどし参照さんしょう

くろねこふんどし

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戦前せんぜん水泳すいえい授業じゅぎょうなどで使つかわれた子供こどもようみずふんどし水着みずぎとしてのふんどし)。広島ひろしまけん長崎ながさきけんでは「キンツリ」、「三角さんかくへい」とばれる。ふご(もっこ)ふんどし一種いっしゅTバックになる。大人おとなサポーターとしてもちいる場合ばあいおおい。

昭和しょうわ初期しょきごろより登場とうじょうし、簡易かんいふんどしばれる。生地きじ黒色こくしょくあさもちいられていた。名称めいしょう由来ゆらい出現しゅつげん不明ふめいであるが、「くろねこ」の名称めいしょう生地きじ黒色こくしょく由来ゆらいしている。国民こくみんみなおよげさけばれ水泳すいえい学校がっこう教科きょうかとしてげられたことで、幼児ようじ小学生しょうがくせいよう水着みずぎとして全国ぜんこく普及ふきゅうし、昭和しょうわ30年代ねんだいごろまで各地かくち散見さんけんされていた。

うみみん

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あかふんどしとう利用りよう

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潜水せんすい漁業ぎょぎょうではかつてはサメのがいけるために、あかふんどしけたり、ろくしゃくふんどしはしばしてりょうおこな風習ふうしゅうもみられた[2]

石川いしかわけん舳倉島へぐらじま海女あまにつけていたふんどし非常ひじょうぬの面積めんせきちいさい越中褌えっちゅうふんどし一種いっしゅ現在げんざいTバックちか形状けいじょう前垂まえだれ、ぜんふくろにあたる部分ぶぶんは3角形かくがたで、のこりはロープじょうよこふんどしきつけたあと、前垂まえだれの部分ぶぶんそとからよこふんどしきつける。

演劇えんげき

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がり

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歌舞伎かぶき時代じだいげき衣装いしょう(また道具どうぐ)としてつくられた、最初さいしょからせることを目的もくてきつくられた特殊とくしゅなふんどし。歌舞伎かぶきではマタギ素人しろうと歌舞伎かぶきではキンかくばれる。越中えっちゅうているが、前垂まえだれと股間こかんぬの(さらし)が別々べつべつになっている。前垂まえだれは武士ぶしやくしろ方形ほうけい羽二重はぶたえ縮緬ちりめん、「いき江戸えど色男いろおとこやくではあか方形ほうけい羽二重はぶたえ縮緬ちりめん町人ちょうにんやくしろ三角形さんかっけいさらしとなる。荒事あらごと繻子しゅすやつひとし勇猛ゆうもう男性だんせい女性じょせいやくでは伊達だてがりばれる化粧廻けしょうまわ豪華ごうか重厚じゅうこうがりになる(一部いちぶまつり・郷土きょうど芸能げいのうでも着用ちゃくよう)。にく襦袢じばん、または下着したぎふんどしうえ着用ちゃくよう。 また着用ちゃくようする役者やくしゃ俳優はいゆうによってじゅう仕立したてたがりのした部分ぶぶん左右さゆうなまりのおもりをれて(えんだま適当てきとうおもさ)、きれいにがるようにせたり、かたちすこし「まるみ」ができるように「分銅ふんどうじょう」のかたちにしたりと、またったとき、いかにがりがきれいにえるかという様々さまざま工夫くふうられる。 時代じだいげきのふんどし参照さんしょう

はんタコ

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はんタコふんどしではないが、ここでげておく。日本にっぽんばんトランクス猿股さるまたステテコ木股きまたとも。明治めいじ以降いこう一般いっぱんした。時代じだいげき素人しろうと歌舞伎かぶき使つかわれる場合ばあいおおいが、時代じだい考証こうしょううえあやまりとされる。はだかまつ(ふんどし着用ちゃくようしない場合ばあい)で多用たようされる。まつによっては、御輿みこしかつしゅふんどし禁止きんしし、はんタコ着用ちゃくよう指示しじする場合ばあいもある。

時代じだいげきふんどし

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かつて無声むせい映画えいがといわれたころ時代じだいげき映画えいがでは、ふんどしをあらわせての剣戟けんげきさかんだった。当時とうじ人気にんきスター、市川いちかわひゃくこれすけによる意識いしきてきにふんどしをせるサービスに女性じょせいファンはだいよろこびし、「フンドシももちゃん」とばれた。同様どうようまわりは、わかころ市川いちかわみぎふと衛門えもんや、片岡かたおか千恵ちえぞうばんひがしつま三郎さぶろうかど光三郎こうざぶろうなどもおこなった。とく市川いちかわみぎふと衛門えもんの「きよしたましい」のだい剣戟けんげきシーンのふんどしをあらわにしての剣戟けんげきや、ばんつまの「決闘けっとう高田たかだ馬場ばば」のしりはしょりのふんどし、テレビ映画えいがでは「もり石松ひかげのかずら」で中村なかむら勘九郎かんくろう(のちの18代目だいめ勘三郎かんざぶろう)がふんどしをせての剣戟けんげきがある。

通過つうか儀礼ぎれい

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日本にっぽん一部いちぶ地方ちほうでは、通過つうか儀礼ぎれいとして、一定いってい年齢ねんれいたっすると、成人せいじんむかえたあかしとしてはじめてふんどしめる「ふんどししゅく」とわれる私的してき祭事さいじがある。ふんどし陰部いんぶおおうことから性的せいてき機能きのうったものの象徴しょうちょうとしてあつかわれ、歌舞伎かぶき演技えんぎなかで、着物きものすそをはしょり、とく場面ばめんなどは、陰部いんぶ臀部でんぶせてふんどしめていることをあらわすことで、自分じぶん成人せいじんしたものであるとのあかし象徴しょうちょうしたものである。むかしから、ふんどし成人せいじん下着したぎとして位置付いちづけられており、一定いってい年齢ねんれいたない幼児ようじ子供こども下着したぎとしてふんどし使用しようすることはなかった。幼児ようじ子供こども金太郎きんたろうのような腹掛はらが一般いっぱんてきだった。ただし、福岡ふくおかけんでは厄除やくよで7さい男児だんじは「へこかき」、女児じょじは「ゆもじかき」(湯文字ゆもじ)、と成人せいじん仕様しよう下着したぎはじめてにつける地区ちくがある。時代じだい洋装ようそうかったことで、子供こどもはパッチ(猿股さるまた)を使用しようするようになったが、だい世界せかい大戦たいせんまえまでは、成人せいじんしてからはふんどしえるのが一般いっぱんてきだった。

近代きんだいはいり、明治めいじ政府せいふ徴兵ちょうへいれい制定せいていし、国民こくみん皆兵かいへい義務付ぎむづけられ、徴兵ちょうへい検査けんさけることが成人せいじん男子だんしあかしとして社会しゃかいてき認知にんちされるようになった。この徴兵ちょうへい検査けんささいしろ越中褌えっちゅうふんどし着用ちゃくよう指導しどうされることで、擬似ぎじてきな「ふんどししゅく」に相当そうとうするようになった。軍隊ぐんたい入隊にゅうたいすると、しろ越中褌えっちゅうふんどし支給しきゅうされ、使用しよう強制きょうせいしたことで、当時とうじ日本人にっぽんじん成人せいじん男子だんし通過つうか儀礼ぎれいとしてだれもが「ふんどし」をめなければならない環境かんきょうかれた。

女性じょせいふんどし

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女性じょせいふんどしえんがないと勘違かんちがいされることがいまだにあるが、けっしてそうではない。ふるくは『日本書紀にほんしょき』にも女性じょせいふんどし着用ちゃくようした記述きじゅつ確認かくにんすることができ、一部いちぶでは腰巻こしまきふくめた下穿したばきの総称そうしょうとして「ふんどし」という言葉ことば使つかわれていた。女性じょせいようふんどし前垂まえだれの有無うむ特徴とくちょうがある。世界せかいてき前垂まえだれがあるふんどし男性だんせいようであり、前垂まえだれがない畚褌もっこふんどし(もっこふんどし)などが女性じょせいようとして性差せいさしめかたち前垂まえだれの有無うむであるとわれている。歌舞伎かぶき役者やくしゃ女形おんながた畚褌もっこふんどし着用ちゃくようしているのもこの理由りゆうによるものとされる。[4]

タンポンナプキンなどの生理せいり用品ようひん普及ふきゅうする以前いぜんは、越中褌えっちゅうふんどしやもっこふんどしが「おうま」とばれ生理せいりたいのひとつとしてながあいだ使用しようされてきたという歴史れきしもあるが、当時とうじ生理せいりなか女性じょせいけがれたものとしてきら風習ふうしゅうがあったことから、おおっぴらにかたられることがすくなかった。[6]

また江戸えど時代じだいから戦後せんごにかけては見世物みせものとしてのおんな相撲すもう興行こうぎょうさかんにおこなわれており[7]大衆たいしゅう演劇えんげき世界せかいでは男装だんそうしたおんな役者やくしゃ着物きものをはしょり、内股うちまた白粉おしろいってふんどしをせながら剣戟けんげきえんじてきゃく喝采かっさいびた[8]という。サイジのように一部いちぶ海女あまにつけるふんどし存在そんざいする。[9]

1980年代ねんだい後半こうはん当時とうじ人気にんきアイドルであった武田たけだ久美子くみこ宮沢みやざわりえがグラビアや写真しゃしんしゅうでふんどしをめ、臀部でんぶ露出ろしゅつした姿すがた披露ひろうしたことが話題わだいとなった。ハイレグ水着みずぎTバック一般いっぱんにも浸透しんとうしグラビアでもおおかけるようになっていたが、当時とうじはまだ男性だんせいのものという認識にんしきつよかったため、女性じょせい硬派こうは印象いんしょうのふんどしをめこんだ姿すがたおおやけにしたことは衝撃しょうげきてきであった。近年きんねんでは益戸ましど育江いくえがTV取材しゅざいたいして『手製てせいのふんどしを愛用あいようしている』と発言はつげん[10]木口きぐち亜矢あやだんみつ西にし明日香あすからが日本にっぽんふんどし協会きょうかいから「ベストフンドシスト」を受賞じゅしょうしている。

近年きんねんでは女性じょせい対象たいしょうにした越中褌えっちゅうふんどしやもっこふんどし市場いちばにおいて一定いっていげをたもっている。ショーツとはことなりゴムでそけいのリンパぶし圧迫あっぱくすることがなく、通気つうきせいれないため美容びよう健康けんこう留意りゅういする女性じょせい好評こうひょうである。メーカーがわ肌触はだざわりの素材そざい色合いろあい、可愛かわいらしい模様もようなどをプリントした商品しょうひん開発かいはつ余念よねんがない。また、「ふんどし」というかた抵抗ていこうかんじる女性じょせい配慮はいりょして「パンドルショーツ」「ななふん」といった名称めいしょうばれている。「パンドル」とはフランス語ふらんすごで、「れる」と意味いみ

だんおにろく作品さくひんとう代表だいひょうされるようにSMにおける羞恥しゅうちプレイ女性じょせいふんどしめる行為こういふるくからおこなわれている。なかでもろくしゃくふんどしはきつくげることで圧迫あっぱくによる性的せいてき快感かいかんがあり、男装だんそうしたときのような倒錯とうさくしたエロティシズムをかもす。この羞恥心しゅうちしん快感かいかん女性じょせいナルシシズム陶酔とうすいかんむすびつき、マゾヒズム刺激しげきするという[11]

くノいちにん法帖ほうじょう かげつき』、『真田さなだくノいち忍法にんぽうでん かすみ』といった時代じだいげきVシネマでも女優じょゆう着物きものしたにふんどしをめているのが確認かくにんできる。

文学ぶんがく・テレビ番組ばんぐみ

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古典こてん落語らくご

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古典こてん落語らくごでは、ふんどしめていた時代じだいなのでふんどし関連かんれんした話題わだいには事欠ことかかないが、『にしき袈裟けさ』『かえる茶番ちゃばん』などがげられる。

川柳せんりゅう

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江戸えど庶民しょみんらしをきと描写びょうしゃした川柳せんりゅうにもふんどしはよく登場とうじょうする。代表だいひょうてきなものをいくつかれいげると、

  • 庶民しょみん日常にちじょう生活せいかつんだもの
    • えつちゅうがはづれてとなりのくに[注釈ちゅうしゃく 1]し」
    • 「ふんどしをひねくりまわいちふんし」
  • ふんどしからめて関取せきとりらしをんだもの
    • ふんどしつよいはやがてまくになり」
    • ふんどし故郷こきょうかざ角力取すもうとり
  • ふんどしが「おうま」とばれ生理せいりたいとして使つかわれていたことをんだもの
    • 越中えっちゅう女房にょうぼうがするとこと房事ぼうじ)をき」
    • じゅうさんよん ひめはおうまをのりならひ」
    • 雪隠せっちん手綱捌たづなさばき(月経げっけいたい)をするおんな

などがある。

文学ぶんがく

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  • 夏目なつめ漱石そうせきは、『虞美人草ぐびじんそう』のなかなつ風物詩ふうぶつしとしてふんどしげている。「なつふんどしあらう」など、なつ季語きごのような用法ようほう使用しようしている。
  • さかい利彦としひこの『獄中ごくちゅう生活せいかつ』では、さかい巣鴨すがも監獄かんごく(のちの巣鴨すがもプリズン、巣鴨すがも拘置こうちしょ)に入獄にゅうごくしたおりの官給かんきゅうふんどし感想かんそうがある。「いずれも柿色かきいろしみであるが、手拭てぬぐいふんどしとはたて濃淡のうたん染分そめわけになって、多少たしょうをなしているからおかしい。」(さん 巣鴨すがも監獄かんごく
  • いずみ鏡花きょうか『いろ扱ひ』は、作者さくしゃ少年しょうねん乱読らんどくへきかえった私小説ししょうせつきびしいじゅく下宿げしゅくから、貸本かしほん外出がいしゅつする方便ほうべんとして、「ふんどしはずしてたもとしのばせてく」うらわざ開陳かいちんしている。「なにのためだとうんふと、其塾のはた一筋ひとすじ小川おがわながれてる、其小川おがわ洗濯せんたくましたと斯(か)うこたえへるんです。さうすると剣突けんつくくえつて、『どうもふんどしあらいひにきますとうんふのは、なんだか申上もうしああく(にく)いからだまつてました。』とげんけるつもりさ。」
  • 芥川あくたがわ龍之介りゅうのすけげん鶴山つるやまぼう』では、肺結核はいけっかくゆかいている主人公しゅじんこうげんづるが、ふんどしくびぬことを夢想むそうする。「げんづるはそっとふんどしせ、かれあたまきつけると、両手りょうてにぐっとっぱるようにした。/そこへ丁度ちょうどかおしたのはまるまると膨(きぶく)れた武夫たけおだった。/やあ、おじいさんがあんなことをしていらあ。」/武夫たけおはこう囃(はや)しながら、一散いっさんちゃはしってった。」(
  • ぬときはきれいななりで」という美意識びいしきは、近代きんだい社会しゃかいにおいて、ひろみとめられるものであった。芥川あくたがわ龍之介りゅうのすけ追憶ついおく』にはこうある「この「お師匠ししょうさん」は長命ちょうめいだった。なんでも晩年ばんねん味噌みそ(みそ)をいにき、ゆきがりの往来おうらいころんだときにも、やっといえ(うち)へかえってくると、「それでもまあふんどし(ふんどし)だけあたらしくってよかった」とったそうである。」(いちきゅう 宇治うじ紫山むらさきやま
  • 小林こばやし多喜二たきじ蟹工船かにこうせん』では、密閉みっぺい空間くうかんかれた船員せんいんたちの、れた風景ふうけい小道具こどうぐとしてえがかれる。「夢精むせいをするのが何人なんにんもいた。だれもいないとき、たまらなくなって涜をするものもいた。――たなすみにカタのついたよごれたさるまたふんどしが、しめっぽく、すえたにおいをしてえんめられていた。学生がくせいはそれをくそのようにみつけることがあった。」(よん
  • 小林こばやし多喜二たきじ独房どくぼう』では、政治せいじはんとしての入所にゅうしょ体験たいけんにおいて、外界がいかいとのちがいをふんどしつける。「あお着物きものあお股引ももひき(ももひき)をはき、あおふんどし(ふんどし)をしめ、あおおびをしめ、ワラ草履ぞうり(ぞうり)をはき、――うまれてはじめて、おれは「編笠あみがさ(あみがさ)」をかぶった。だが、おれふんどしまであおくなくたっていゝだろうとおもった。」
  • 高村たかむら光太郎こうたろう回想かいそうろく』には、近世きんせい風俗ふうぞく名残なごりが、近代きんだいながれにあらわれてゆく風情ふぜいえがく。「祖父そふ丁髷ちょんまげ(ちょんまげ)をつけて、なつなどふんどし(ふんどし)ひとつであるいていたのをおぼえている。そのころ裸体らたい禁止きんしれいて、おまわりさんが「隠居いんきょさん、もうはだかではあるけなくなったのだよ。」とってやかまし(やかま)しい。そしたら着物きものてやろうというので蚊帳かや(かや)で着物きものこしらとおる(すどお)しでよくえるのに平気へいき交番こうばんまえあるいていた。」
  • 坂口さかぐち安吾あんごあおおにふんどしあらおんな』では、性別せいべつ役割やくわり分業ぶんぎょうとして「ふんどしあらおんな=わたし」を登場とうじょうさせている。
  • 三島みしま由紀夫ゆきおふんどし姿すがた有名ゆうめいだ。市ヶ谷いちがや駐屯ちゅうとんでの割腹かっぷく事件じけんすうねんまえからふんどし姿すがた切腹せっぷくする写真しゃしん映画えいが憂国ゆうこく』をのこしている。
  • 三島みしま由紀夫ゆきお交流こうりゅうのあった稲垣足穂いながきたるほは、ふんどしをしめたうえでの奇行きこう有名ゆうめい三島みしま同様どうよう男色なんしょく趣味しゅみのあったあしはふんどしでインタビューにおうじたり、わかおとこをくどいたりしている。

漫画まんが・アニメ

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ふんどし下着したぎとして常用じょうようしているおもなキャラクターとしては

などがげられる。

また、博多はかた舞台ぶたいにした青春せいしゅん劇画げきが博多はかた純情じゅんじょう』(長谷川はせがわほう)では、博多はかた祇園山ぎおんやまかさ重要じゅうようなイベントとしてえがかれている。『ろくしゃくふんどし』(青柳あおやぎ裕介ゆうすけ)、『たくみのふんどし』(山崎やまざきだい)、『ふんどし刑事けいじケンちゃんとチャコちゃん』(徳弘のりひろ正也まさや)、『あかふんどしすず乃介』(永井豪ながいごう、『あかどうすずすけ』のパロディ)、『存知ぞんち!ふんどし頭巾ずきん』(日本にっぽん映画えいが内藤ないとう剛志たけし主演しゅえん)、といったタイトルに使用しようしている作品さくひんもある。

テレビ番組ばんぐみ

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その

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  • ハウス食品はうすしょくひんのインスタントラーメン『うまかっちゃん』は、博多はかた祇園山ぎおんやまかさしゅのイラストがパッケージデザインに使用しようされている。
  • ナムコの3D対戦たいせんがた格闘かくとうゲーム『鉄拳てっけん4』では、ボスキャラクター・三島みしま平八へいはちまわがたふんどし姿すがた登場とうじょうする。後発こうはつ作品さくひん鉄拳てっけん6』でも、ふんどしひらめはちようのキャラクターカスタマイズアイテムとして登場とうじょうする。
  • 高田たかだのべPRIDE統括とうかつ本部ほんぶちょうだったころPRIDEおとこまつのオープニングでふんどし姿すがたになって太鼓たいこたたいていた。その影響えいきょうで、外国がいこくのPRIDE参戦さんせん選手せんしゅふんどしのことを『タカダショーツ』とんでいた。
  • 一般いっぱん社団しゃだん法人ほうじん日本にっぽんふんどし協会きょうかい」では2012ねんより、その前年ぜんねんのふんどし界隈かいわいにぎわせた有名人ゆうめいじんに「ベストフンドシストアワード」をおくっている。表彰ひょうしょうしきはふんどしのである2がつ14にち前後ぜんこうだい1かい大賞たいしょう受賞じゅしょうしゃ団長だんちょう安田やすだ安田やすだだいサーカス)。
  • 神職しんしょくようふんどし販売はんばいされている。白木綿しらゆうせい越中褌えっちゅうふんどし主流しゅりゅう[12]

ふんどしかんする言葉ことば都市とし伝説でんせつなど

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  • ふんどしふくことわざ
    • ふんどしめてかかる」
    • 義理ぎりふんどしけっかされぬ」
    • ひとふんどし相撲すもうる」
    • おびたんたすきながふんどしには丁度ちょうどい」
  • ふんどしふく地口じぐち
    • 見上みあげたもんだよ屋根やねふんどし
    • 川流かわながれのふんどしで、い(くい)にかかったらはなれない」
  • ふんどしふくよん熟語じゅくごに「緊褌きんこんいちばん」がある。
  • 雅楽ががくにもふんどしきょくがある。いずれも相撲すもうとききょくらしい。
  • 褌担ふんどしかつぎ」は、下位かい相撲取すもうとり。
  • 成人せいじん意味いみするふんどしおや(へこおや)がある。
  • カニはらぶしぞくふんどしばれている。北陸ほくりく地方ちほうではカニのえら食用しょくよう不適ふてき)をし、カニの甲羅こうらけたのちにのぞく。
    • 食卓しょくたくにカニをされた男性だんせいがカニではなく自分じぶんふんどしはずす、という民話みんわがある。
  • むかしからにんかんして「おっとのふんどし(ろくしゃく)(地方ちほうによってははだかまつ参加さんかしゃのふんどし)を腹巻はらまきにすると安産あんざんできる」とういいつたえがある。
  • 徳川とくがわ家康いえやす倹約けんやく自身じしん浅黄あさぎめたふんどしをつね使用しようし、家臣かしんにもそれをすすめていたが、いかに骨太ほねぶと三河みかわ武士ぶしでも下帯したおびだけは真白まっしろのものを使用しようしたとされる。
  • 飛脚ひきゃくのふんどしという都市とし伝説でんせつ佐川急便さがわきゅうびんのトラックにえがかれたイメージキャラのふんどしさわるとしあわせになれる、というもの)もある。
  • 将棋しょうぎにおいて、桂馬けいまりょうりをかけることを「桂馬けいまふんどし(けいまのふんどし)」という。

脚注きゃくちゅう

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注釈ちゅうしゃく

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  1. ^ 越中えっちゅう」のとなりにあるから、という意味いみ男性だんせい包茎ほうけいす「越前えちぜん」という隠語いんごがあった。

出典しゅってん

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  1. ^ a b c 亀山かめやま歴史れきし博物館はくぶつかん - 亀山かめやま、2021ねん1がつ6にち閲覧えつらん
  2. ^ a b c d e f g h i j k 飯島いいじま吉晴よしはる鉢巻はちまきふんどし民俗みんぞく」『古事ふるごと : 天理大学てんりだいがく考古学こうこがく民俗みんぞくがく研究けんきゅうしつ紀要きようだい14かん天理大学てんりだいがく文学部ぶんがくぶ歴史れきし文化ぶんか学科がっか考古学こうこがく民俗みんぞくがく専攻せんこう、2010ねん3がつ、16-18ぺーじISSN 1346-8847NAID 120005858422 
  3. ^ a b c d e f g h i j 古川ふるかわ智恵子ちえこ中田なかた明美あけみころも系譜けいふかんする研究けんきゅう : (だい1ほう)ふんどし系譜けいふとその機能きのうせい」『名古屋女子大学なごやじょしだいがく紀要きようだい31かん名古屋女子大学なごやじょしだいがく、1985ねん3がつ、1-12ぺーじISSN 02867397NAID 110000954535 
  4. ^ a b 平凡社へいぼんしゃ 『世界せかいだい百科ひゃっか事典じてん
  5. ^ 服装ふくそう文化ぶんか協会きょうかい 『服装ふくそうだい百科ひゃっか事典じてん
  6. ^ 講談社こうだんしゃ 『実用じつようばん 下着したぎおもしろ雑学ざつがく事典じてん
  7. ^ けいともしゃ 『おんな相撲すもう民俗みんぞく 越境えっきょうする芸能げいのう
  8. ^ こころ交社 『しん・ふんどし物語ものがたり
  9. ^ 自由じゆう国民こくみんしゃ 『海女あまのいる風景ふうけい
  10. ^ いえでは“はだか”の秋吉あきよし久美子くみこと“フンドシ”の高樹たかぎ沙耶さや. オリジナルの2014ねん11月23にち時点じてんにおけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20141123112233/http://news.livedoor.com/article/detail/3555302/ 
  11. ^ 河出書房新社かわでしょぼうしんしゃ 『SM博物館はくぶつかん
  12. ^ 神祭しんさい便覧びんらん40かん民俗みんぞく工芸こうげい2016ねん9がつ発行はっこうぜん76ぺーじ

参考さんこう書籍しょせき

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関連かんれん項目こうもく

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外部がいぶリンク

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ふんどしの種類しゅるいかた

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みずふんどし

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女性じょせいふんどし

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