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ジョッパーズ

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
乗馬じょうばようジョッパーズをいているホースショー参加さんかしゃ

ジョッパーズえいJodhpurs)とは、足首あしくびたけすそがぴったりとした、タイトフィットなズボンのことである。

概要がいよう

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ジョッパーズには、乗馬じょうばふくとして着用ちゃくようされる乗馬じょうばようジョッパーズと、オリジナルの乗馬じょうばようジョッパーズをもとにデザインされたファッションふくとしてのジョッパーズがある。乗馬じょうばようみじかいブーツであるジョッパーブーツわせて着用ちゃくようされるのが正式せいしきである。ジョッパーブーツはジョッパーズとおなじくジョードプル(Jodhpur)地方ちほう発祥はっしょう乗馬じょうばようブーツであり、のちにファッションようとしてもれられたてんもジョッパーズとおなじである。たんに「ジョッパーズ」とうとジョッパーブーツのことをすこともあるので、それと混同こんどうしないように「ジョッパーズパンツ」ともばれる。

オリジナルのジョッパーズは、膝下ひざもとから足首あしくびまでがぴっちりして、こしまわりはよこひろがったデザインであり、現在げんざいファッションとしてられるジョッパーズパンツはオリジナルのデザインにちかいものがおおい。一方いっぽう現在げんざい乗馬じょうばふくとしての乗馬じょうばようジョッパーズは、現在げんざい伸縮しんしゅく自在じざいのストレッチ織物おりもの存在そんざいしているため、膝下ひざもとだけでなく全体ぜんたいがぴっちりとしたデザインとなっている。それでも「あしまもりながらもうごきやすい」というジョッパーズ本来ほんらい役割やくわりうしなわれていない[1]

歴史れきし

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インド原産げんさんのマルワリしゅうま。これにチュリダー(ズボン)とモジャリ(くつ)を着用ちゃくようして乗馬じょうばするのがインドの伝統でんとうてき乗馬じょうばスタイル

ジョッパーズの起源きげんはインド北部ほくぶ現在げんざいラージャスターンしゅう近辺きんぺん)の伝統でんとうてきなズボンであるチュリダー(Churidar)にある。チュリダーは足首あしくびまでのたけで、脹脛ふくらはぎまわりはぴっちりしていて、こしまわりはだぶだぶのズボンで、現代げんだいにおいてもジョードプル地方ちほう結婚式けっこんしき着用ちゃくようされている。こしまわりをだぶだぶにしたデザインは、インドのあつ気候きこうにおいてからだねつますのに役立やくだうえ[よう出典しゅってん]、ストレッチ織物おりもの発明はつめいされる以前いぜん時代じだいにおいては、乗馬じょうばちゅうこし大腿だいたい自由じゆううごきを実現じつげんさせるのにも役立やくだっていた。

このチュリダーをジョードプルはん王国おうこくはんおうわか息子むすこであったIdar領主りょうしゅ、プラタープ・シングきょう改良かいりょうしたものが元祖がんそジョッパーズで、1890ねんごろにインドで最初さいしょ仕立したてられた[2][3]

シングきょう熱心ねっしんポロのプレイヤーであり、1897ねんダイヤモンド・ジュビリー(ヴィクトリア女王じょおう在位ざいい60周年しゅうねん記念きねん式典しきてん)にさいし、ポロチームをひきいてヴィクトリア女王じょおう表敬ひょうけい訪問ほうもんしたさいかれのチームがポロの試合しあい連戦れんせん連勝れんしょうしたという事実じじつもあいまって、イギリスのファッションかいにセンセーションをこした[4]。それまでのイギリスの乗馬じょうばふくのスタイルは、乗馬じょうばようロングブーツに脹脛ふくらはぎなかほどまでのながさの乗馬じょうばようブリーチをわせるという「ブリーチズスタイル」だったが、ジョッパーズパンツにジョッパーブーツをわせるというシングきょうの「ジョッパーズスタイル」は、すぐにイギリスのポロ競技きょうぎのコミュニティにれられた。

使用しようれい

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乗馬じょうばふくとして

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ファッションようのジョッパーズのデザインとはことなる乗馬じょうばようジョッパーズとしての特徴とくちょうてき仕様しようとしては、まずあしのカットパターンとシーム(切替きりかえせん)がある。ひざ内側うちがわにパッチ(補強ほきょうぬの)をてることもあり、しばしばかわのような頑丈がんじょう材料ざいりょう使つかわれる。おしり部分ぶぶんかわまたはごうがわのパッチを使つかうこともあり、これはくらじょうにおける乗馬じょうばしゃ安定あんていせいたかめる役割やくわりもある。クラシックな乗馬じょうばようジョッパーズのいろはベージュまたはホワイトだが、現在げんざいでは目的もくてきおうじてさまざまないろ用意よういされている[1]

乗馬じょうばようキュロットは「ジョッパーズ」と「ブリーチ」の2種類しゅるいがあり、ジョッパーズとブリーチが混同こんどうされる場合ばあいがある。乗馬じょうばようブリーチは、乗馬じょうばふく一種いっしゅで、脹脛ふくらはぎなかほどまでのながさで、ロングストッキングおよび乗馬じょうばようロングブーツと一緒いっしょ着用ちゃくようされるのが一般いっぱんてきである。一方いっぽう乗馬じょうばようジョッパーズは足首あしくびまでのながさで、みじか足首あしくびたけのジョッパーブーツと一緒いっしょ着用ちゃくようされるのが一般いっぱんてきである[1]

ただし、乗馬じょうばようブリーチにジョッパーブーツをわせて着用ちゃくようすることもできる。たんにブリーチとジョッパーブーツのみを着用ちゃくようした場合ばあいは、すな小石こいしなどがブリーチとブーツのあいだはいってしまう場合ばあいがあるのであまり具合ぐあいくないが、そのうえハーフチャップス着用ちゃくようすればそういう心配しんぱいもなく、機能きのうてきにも目的もくてきにも乗馬じょうばようロングブーツをいたときおなじになる。

子供こども乗馬じょうばならわせる場合ばあい子供こども成長せいちょうはやいので、高価こうかうえ手入ていれの手間てまおおきいロングブーツとすそげの面倒めんどうなブリーチをうよりも、安価あんか手入ていれの簡単かんたんなジョッパーブーツとすそげの簡単かんたんなジョッパーズをったほう安上やすあがりになる。

制服せいふくとして

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乗馬じょうばようジョッパーズのデザインをもとにしたデザインのふくが、軍服ぐんぷくなどの制服せいふくとして採用さいようされることがある。

ファッションとして

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女性じょせい乗馬じょうばスタイルとしては、かつてはうま横向よこむきにすわる「サイドサドル方式ほうしき」が一般いっぱんてきであったが、女性じょせい男性だんせい同様どうよううまにまたがる乗馬じょうばスタイルが一般いっぱんてきとなるにしたがい、女性じょせいも1920年代ねんだいよりジョッパーズを着用ちゃくようするようになった。最初さいしょにジョッパーズを女性じょせい一人ひとりとして有名ゆうめいなのがココ・シャネルである。彼女かのじょ友人ゆうじん旦那だんなに、自分じぶん乗馬じょうばようブリーチのかた真似まねするようにうながされた[5]

スポーツウェアからストリートウェアに移行いこうするクロスオーバーファッションの20世紀せいきのトレンドのひとつとして、様々さまざまなデザイナーがみずからのデザインに乗馬じょうばふくのデザインをれてきており、そのなかにはジョッパーズもふくまれる。 乗馬じょうばふくみずからのデザインにれたデザイナーのなかでももっともよくられているのがラルフ・ローレンであり、「POLO RALPH LAUREN」ラインのベースは乗馬じょうばふくがモチーフになっている。POLO RALPH LAURENは1984ねんメトロポリタン美術館びじゅつかん衣装いしょう研究所けんきゅうじょ部門ぶもんにおいて「Man and the Horse」とだいする展示てんじかいおこない、そのなかダイアナ・ヴリーランドをキュレーターとして3世紀せいきにわたる乗馬じょうばふく歴史れきし展示てんじした[6]

ギャラリー

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ケンタッキージョッパーズ

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ケンタッキージョッパーズを乗馬じょうばしゃ

ケンタッキージョッパーズ(Kentucky Jodhpurs)とは、サドルシート方式ほうしき(アメリカで一般いっぱんてき乗馬じょうば方式ほうしき)の乗馬じょうば方法ほうほうとき専用せんよう着用ちゃくようされる、フルレングスの乗馬じょうばようパンツである。

ケンタッキージョッパーズのウエストから足首あしくびまでは、ハントシート方式ほうしき乗馬じょうば方法ほうほうとき着用ちゃくようされるジョッパーズとおなじくぴったりとしているが、たけがかなりながく、すそがジョッパーブーツをおおかたちでベルボトムふうひろがっており、後部こうぶはブーツのかかとのしたまでひろがり、前部ぜんぶはブーツのかぶとまでおおっている(ただし、爪先つまさきまではたっしない)。ケンタッキージョッパーズを着用ちゃくようした場合ばあい、その全体ぜんたいてきなルックスによって、あしながくてかかと爪先つまさきよりもひくいという、馬術ばじゅつ要求ようきゅうされる理想りそうてきなスタイルによりちか印象いんしょうあたえる。ハントシート方式ほうしきときのジョッパーズと同様どうよう、ゴムのストラップをブーツのしたまわしてパンツの位置いち維持いじ補助ほじょすることが出来でき[1]

サドルシート方式ほうしきにおいて、乗馬じょうばしゃは、男性だんせいのビジネススーツに由来ゆらいする乗馬じょうばふくのスタイルにケンタッキージョッパーズをわせて着用ちゃくようする。いろ通常つうじょうくろやネイビーブルーなどの、ライディングコートにわせた暗色あんしょくである[7]

脚注きゃくちゅう

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  1. ^ a b c d Price, Steven D. (ed.) The Whole Horse Catalog: Revised and Updated New York:Fireside 1998 ISBN 0-684-83995-4 p. 215
  2. ^ http://www.rathore.com/JodhpurPants.htm
  3. ^ Photographs exist of Sir Pratap Singh mounted on a horse, apparently in England, wearing his tight-calfed riding trousers with traditional Indian riding footwear rather than tall boots, dated 1917 & 1918. [1][2] Images, Hulton Archives: 7 March 1917, Sir Pratap Singh on Horseback, Editorial Image #3096959; & gettyimages.co.uk image # 104416011, 1 Jan 1918
  4. ^ http://rajasthantravelguide.com/activities/polo.html
  5. ^ Goodman, Wendy (26 November 1984). “New York Magazine”. p. 72 
  6. ^ Goodman, Wendy (26 November 1984). “New York Magazine”. p. 67 
  7. ^ Crabtree, Helen K. Saddle Seat Equitation: The Definitive Guide Revised Edition New York:Doubleday 1982 ISBN 0-385-17217-6 p. 92-100

外部がいぶリンク

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