ギャバジン (外套がいとう)

ギャバジンを着きた男性だんせい

ギャバジン（英語えいご: gaberdine、gabardine）は、中世ちゅうせいから16世紀せいきころにかけてヨーロッパの男性だんせいが用もちいた、広ひろい袖そでのついた、ゆったりとしたガウンやクロークに分類ぶんるいされる外套がいとう。

ウィリアム・シェイクスピアの『ヴェニスの商人しょうにん』のシャイロックの台詞せりふには、彼かれが着きている服ふくを指さす "Jewish gaberdine"（ユダヤのギャバジン）という表現ひょうげんが見みえ、「ギャバジン」が中世ちゅうせいのユダヤ人じんが着きる外套がいとうとしてのガウンなりマントを指さす言葉ことばとして用もちいられている。

歴史れきしと語源ごげん

15世紀せいきから16世紀せいきにかけて、ギャバジンは、（gabardine, gawberdyne, gabarden, gaberdin, gabberdine など）様々さまざまな綴つづり字じで記しるされ、ファッショナブルな外套がいとうを意味いみする言葉ことばであった。しかし、1560年代ねんだいになると、ギャバジンは、貧まずしい者ものが着きる、織目おりめの粗あらい布ぬので作つくった服ふくを指さすようになっていた。1611年ねんに刊行かんこうされた『仏ふつ英えい辞典じてん (A Dictionarie of the French and English Tongues)』で、ランドル・コットグレイヴは、フランス語ふらんすごの gaban を「雨あめがちの天気てんきのとき使つかうクローク；ギャバジン (a cloake of Felt for raynie weather; a Gabardine)」と説明せつめいしている。1656年ねんに刊行かんこうされたトマス・ブラウントの『グロソグラフィア (Glossographia)』は、ギャバジンを「粗あらい作つくりのアイルランド風ふうのマント、馬丁ばていの外套がいとう、長ながいキャソック (A rough Irish mantle or horseman's cloak, a long cassock)」と定義ていぎしている。その後ご、口語こうごとしての「ギャバジン」は、労働ろうどう者しゃのスモックであれ、子こどものピナフォア (ピニー)であれ、身体しんたいを保護ほごする外套がいとう類るいなら何なんでも指さすようになった。後のちに、トーマス・バーバリーが、1879年ねんに開発かいはつした防水ぼうすい性せいの綾織あやおりり布ぬのを「ギャバジン (gabardine)」と名付なづけたのは、そのような含意がんいを踏ふまえての事ことである。

英語えいごの「ギャバジン (gabardine)」は、スペイン語ごの gabardine、古こフランス語ふらんすごの gauvardine, galvardine, gallevardine に由来ゆらいするものであり、さらに、おそらくは、旅人たびびとないし巡礼じゅんれいのクロークを意味いみするドイツ語ごの表現ひょうげんに起源きげんをもっているものと考かんがえられる。

外部がいぶリンク

• Cumming, Valerie, C. W. Cunnington and P. E. Cunnington. The Dictionary of Fashion History, Berg, 2010, ISBN 978-1-84788-533-3
• Oxford English Dictionary Online, "Gaberdine" (subscription required)
• Picken, Mary Brooks: The Fashion Dictionary, Funk & Wagnalls, 1957. (1973 edition ISBN 0-308-10052-2)