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ウェットスーツ

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』

ウェットスーツ(wetsuit)は、スクーバダイビングスキンダイビングスノーケリングサーフィンウィンドサーフィン (セイルボード)、ヨット水上みずかみオートバイ (ジェットスキー、マリンジェット) などのウォータースポーツ、あるいは水中すいちゅう土木どぼく、レスキュー・サルベージ、海上かいじょう建築けんちく物上ぶつじょうでの作業さぎょうなどの職業しょくぎょうてき水中すいちゅう水上みずかみ活動かつどうにおいて着用ちゃくようされる保護ほごスーツのうち、スーツ内部ないぶみず浸入しんにゅうするタイプのものをいう (みず浸入しんにゅうしないものはドライスーツという)[1]

日本にっぽんにおいてはようのウェットスーツは「あゆタイツ」「あゆジャケット」などの特有とくゆう商品しょうひんめいばれることがおおい。これらの商品しょうひん販売はんばいルートがちがうだけで実質じっしつてきにはウェットスーツそのものである。日本にっぽん水温すいおんひく時期じき水泳すいえい遊泳ゆうえいすることがすくないため、これらの活動かつどうでウェットスーツを着用ちゃくようすることは比較的ひかくてきすくないが、トライアスロンなどの競技きょうぎしゃなつでも水温すいおんひく地域ちいきでの使用しようはだ日焼ひや負傷ふしょうけたい場合ばあいなど、これらの活動かつどうさいしてもウェットスーツを着用ちゃくようすることがある。

概要がいよう

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ウェットスーツのいちれい (サーフィンようのワンピース)

内部ないぶ気泡きほうふくクロロプレンゴムせい生地きじから出来できている身体しんたい密着みっちゃくする衣服いふくであり、生地きじあつみは通常つうじょう2 – 7 mmであついものほど保温ほおんせいすぐれるが、その反面はんめん運動うんどうせい制限せいげんされ、かつ浮力ふりょくおおきくなってダイビングにおいてはより多量たりょうウェイト必要ひつようとなる。日本にっぽんではダイビングようは5 mm、サーフィンようは3 mmほどあつさのものがもっともよく使つかわれている。生地きじ気泡きほうふくんでいるために水面すいめんではある程度ていど浮力ふりょくち、ダイビングとう潜水せんすいして水圧すいあつがかかると、生地きじ圧縮あっしゅくされて体積たいせきるため浮力ふりょく一時いちじてき減少げんしょうする。適切てきせつなサイズのスーツを着用ちゃくようすることで、内部ないぶ浸入しんにゅうした少量しょうりょうみずが、スーツと身体しんたいあいだうすそう形成けいせいし、これが体温たいおんあたためられるため、保温ほおん効果こうか発揮はっきする[1]。その反面はんめん、スーツのサイズがおおきすぎて身体しんたい密着みっちゃくしない部分ぶぶんがあった場合ばあい身体しんたいうごきにおうじてみず出入でいりしてしまうために保温ほおんせいおおきくそこなわれる。着用ちゃくようたってはサイズを慎重しんちょう選択せんたくする必要ひつようがあるため、着用ちゃくようしゃ身体しんたいのサイズにわせて製作せいさくする、いわゆるフルオーダーメードも一般いっぱんてきおこなわれている。おな理由りゆうにより下着したぎ着用ちゃくようしない、あるいは身体しんたい密着みっちゃくする競泳きょうえいよう水着みずぎ程度ていどのものにする場合ばあいおお[注釈ちゅうしゃく 1]近年きんねんではラッシュガードウェットインナーなどを着用ちゃくようする場合ばあいもある。

形態けいたい

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ワンピース
フルスーツともいう。長袖ながそでちょうズボンがた上下じょうげ一体いったいとなったもの。
シーガル
半袖はんそでちょうズボンがた上下じょうげ一体いったいとなったもの。
ロングジョン
そでなし、ちょうズボンがた上下じょうげ一体いったいとなったもの。
ショートジョン
そでなし、はんズボンがた上下じょうげ一体いったいとなったもの。
スプリング
はんズボンがた上下じょうげ一体いったいとなったもの。半袖はんそでがた長袖ながそでがたがあり、長袖ながそでがたのものはロングスリーブスプリングもしくはりゃくしてロンスプとばれる。
スイムジョン
あしでカットされたもの。そでなし、半袖はんそで長袖ながそでがある。おもサーフィンボディボードなどはげしくうごくウォータースポーツで女性じょせい着用ちゃくようする。
ジャケット
タッパーともいう。上半身じょうはんしんのみで長袖ながそでのものと半袖はんそでのものがある。ビーバーテールとばれる、ずりがらないためのまたがけをゆうしたものもある。フードがいたタイプもり。
ボレロ
上半身じょうはんしんのみでそでなし。;パンツ
下半身かはんしんのみ。はんズボンがたちょうズボンがたがある。

などがあり、要求ようきゅうされる保温ほおんせい運動うんどうせいおうじ、それぞれ単独たんどくで、あるいはロングジョン+ジャケット、ワンピース+スプリングのような各種かくしゅわせで着用ちゃくようされる。ワンピースやスプリングの場合ばあいには着脱ちゃくだつのためのファスナーが必須ひっすである場合ばあいがほとんどだが、ノンジップとしょうするノンファスナーワンピースも存在そんざいする。ファスナーははらがわもうける場合ばあい背中せなかがわもうける場合ばあいがあるが、運動うんどうせい阻害そがいしないため、とくにサーフィンようのスーツにおいては身体しんたい伸縮しんしゅくすくない背中せなか (脊柱せきちゅう) がわもうけたものがおおい。また着脱ちゃくだつ容易よういにするため手首てくび足首あしくびに、不快ふかいかん軽減けいげんさせるため襟元えりもとにファスナーをもうけたものもある。

素材そざい

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スキン
クロロプレンの素地そじ表面ひょうめん露出ろしゅつしたもの。下記かき各種かくしゅ素材そざいは、このタイプの生地きじ片面かためん、または両面りょうめん素材そざいふくあわしたものである。クロロプレンゴムペレット、硫黄いおうとう架橋かきょうざい、カーボンブラックとう充填じゅうてんざい内部ないぶ気泡きほう形成けいせいさせるための発泡はっぽうざい軟化なんかざい酸化さんか防止ぼうしざいとう劣化れっか防止ぼうしざいなどを混合こんごうし、加熱かねつしながらロールあいだとおしてシートじょう成型せいけいすることで製造せいぞうされる。水分すいぶんをほとんど吸収きゅうしゅうせず、また皮膚ひふへの密着みっちゃくせいいために内面ないめん外面がいめんのどちらにもちいても保温ほおんせいすぐれたスーツとなるが、強度きょうどよわく、いろくろ一色いっしょくとなるためデザインせいおとるという欠点けってんがある。内面ないめんもちいた場合ばあいすべりがわる着脱ちゃくだつむずかしくなることから、表面ひょうめんすべりをよくする加工かこうほどこしたものもある。また、赤外線せきがいせん反射はんしゃするセラミックスるい添加てんかすることで保温ほおんせいをさらに向上こうじょうさせたものもある。サーフィンようなど水上すいじょうでの活動かつどうおもとなる用途ようとでは、水分すいぶん蒸発じょうはつによりねつうばわれることをふせぐため、外側そとがわをこの素材そざい構成こうせいすることがおおい。ダイビングようスーツの素材そざいには水圧すいあつ気泡きほうつぶれにくいようかための素材そざいもちい、サーフィンようなどのスーツの素材そざいには身体しんたいうごきを束縛そくばくしないようやわらかめの素材そざいもちいるため、ダイビングようのスーツをサーフィンよう流用りゅうようしたり、そのぎゃくをしたりすることはこのましくない。
ぞくにロクハンカブリあるいはロクハンとばれるスーツがある。これは6.5 mmあつ両面りょうめんスキン素材そざいのロングジョン+ジャケットであり、通常つうじょうはファスナーなどをゆうさない。着脱ちゃくだつには多少たしょう熟練じゅくれんようするが、反面はんめん身体しんたいへの密着みっちゃくせい非常ひじょうたか浸水しんすい非常ひじょうすくないことと、陸上りくじょうでも気化きかねつうばわれにくくあたたかいことから保温ほおんせい着用ちゃくよう運動うんどうせいすぐれており、現在げんざいでも一部いちぶのベテランダイバーに愛用あいようされている。ただし、やぶれたりけたりしやすい欠点けってんがあるのであつかいには注意ちゅうい必要ひつようである。現在げんざいではすべりをくしてちゃくやすくするための内面ないめん加工かこう (SCSやスムーススキンとうのコーティングやフィルムけ;タックレス) がひろがり着脱ちゃくだつせい向上こうじょうしている。
ジャージ
スキン素材そざい表面ひょうめんにニット加工かこうしたもの。スキン素材そざい比較ひかくして強度きょうどいちじるしく向上こうじょうしており、さまざまないろやデザインのスーツが製作せいさく可能かのうである。欠点けってん布地ぬのじ水分すいぶん吸収きゅうしゅうすることから陸上りくじょう気化きかねつうばわれやすく、スキン素材そざいほど皮膚ひふ密着みっちゃくしないため浸水しんすいおおくなり、水中すいちゅう陸上りくじょうともに保温ほおんせい低下ていかする。おなじく普通ふつうのジャージ生地きじれると一時いちじてきいろがくすんでえて高級こうきゅうかんとぼしい欠点けってんもあるが、現在げんざいではこれを改良かいりょうしたポリウレタン混紡こんぼうなどとく伸縮しんしゅくせいたかいニットけた製品せいひん[注釈ちゅうしゃく 2]もある。ただし伸縮しんしゅくせいにおいてはスタンダードジャージのほうが一般いっぱんてきすぐれている。また、片側かたがわにのみ生地きじった片面かためんスキン (片面かためんジャージ) もひろ使つかわれ、どちらをひょう使つかうかは一長一短いっちょういったんがある。
起毛きもう素材そざい
起毛きもう
スキン素材そざい表面ひょうめんあつみのあるニット加工かこうしたもの。こまかな気泡きほう体温たいおんによりあたためられたみず効率こうりつよく保持ほじするため、内面ないめんもちいると保温ほおんせいすぐれたスーツができる。登場とうじょうしたのは1990年代ねんだいまつ比較的ひかくてきあたらしい素材そざいであるが、スキン素材そざいやジャージ素材そざい欠点けってんであった、れた状態じょうたい非常ひじょうにくいというてんおおきく改良かいりょうされていることもあって、2006ねん現在げんざいでは主流しゅりゅう素材そざいとなっている。
ラジアル
布地ぬのじられたうえさらにラジアルコーティングがされていて、価格かかくがり伸縮しんしゅくせい低下ていかするものの、スキンよりもはるかにつよく、ジャージよりもさら強度きょうど気化きかねつうばわれにくくよごれにくい長所ちょうしょがある。ドライスーツに使つかわれることがおおいハードラジアル、ウェットスーツに使つかわれることがおおいソフトラジアルのふたつが存在そんざいする。
両面りょうめんジャージ、外面がいめんジャージ+内面ないめん起毛きもう外面がいめんラジアル+内面ないめん起毛きもう両面りょうめんスキン、片面かためんスキンなど、用途ようと着用ちゃくようされる状況じょうきょうおうじてわせが選択せんたくされるが、外面がいめんソフトラジアル+内面ないめんスキンという素材そざいいまのところ見当みあたらない。

ダイブスキン

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スキンスーツ、あるいはライトスーツともいう。上記じょうきのスキン素材そざい名称めいしょうてきには類似るいじしているがまったく関係かんけいはない (ただし、スキン素材そざいもちいたダイブスキンも存在そんざいする)。ラッシュガードに使つかわれているような伸縮しんしゅくせい生地きじからなる製品せいひんおおいが、0.5 – 1 mm程度ていどうす発泡はっぽうクロロプレン生地きじもちいたウェットスーツもこれらの名称めいしょうばれることがある。前者ぜんしゃ素材そざい相違そういからウェットスーツとはいえないが、用途ようと機能きのうてん類似るいじしているため本稿ほんこう記載きさいする。ウェットスーツと比較ひかくすると保温ほおんせいひくく、しゅとして水温すいおんたかい (28ないし30℃以上いじょう) 場合ばあいのスクーバダイビング、スキンダイビング、スノーケリングなどにおいて、珊瑚さんごいわなどの鋭利えいり物体ぶったいとの接触せっしょくによる外傷がいしょう有害ゆうがい生物せいぶつ、および直射ちょくしゃ日光にっこうから皮膚ひふ保護ほごするために着用ちゃくようされる。かかる目的もくてきから、できるだけ全身ぜんしんおおうことがこのましく、形態けいたい通常つうじょうワンピースがたである。ジャケットがたやパンツがた通常つうじょうラッシュガードに分類ぶんるいされておりダイブスキンとはばれない。

セミドライスーツ

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セミドライスーツ (semidrysuit,semi dry suit) とはウェットスーツの一種いっしゅであるが、ファスナーの裏側うらがわにフラップをもうけたり、防水ぼうすいせいたかいファスナーを使用しようしたり、くび手首てくび足首あしくび構造こうぞうじゅう構造こうぞうにしたりするなどの工夫くふうをすることにより内部ないぶみず浸入しんにゅうしにくくしたものである。外見がいけんおおむねウェットスーツに類似るいじしたものがおおく、ドライスーツと同様どうようのファスナー、くび手首てくび足首あしくびのシールをもちい、ドライスーツにちか保温ほおんりょくった製品せいひん少数しょうすうではあるが存在そんざいする[注釈ちゅうしゃく 3]みず浸入しんにゅう箇所かしょ極力きょくりょくすくなくするためにかた基本きほんてきにワンピースである。ドライスーツより保温ほおんせいおとるが運動うんどうせいすぐれ、ウェットスーツより高価こうかであるが保温ほおんせいすぐれているので、水温すいおんちゅう程度ていど環境かんきょうでの着用ちゃくようてきしている。

アクセサリ

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ブーツ (boot)

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ダイビングブーツのいちれい じょう:ラジアルソール :デッキソール

整備せいびされた砂浜すなはま以外いがい環境かんきょうでは、水底みなそこ物体ぶったいあし外傷がいしょううことをふせぐため着用ちゃくよう必須ひっすである。発泡はっぽうクロロプレン生地きじせい本体ほんたいとゴムせいそこ (ソール) からできたものが大半たいはんである。着脱ちゃくだつ容易よういにするためのファスナーがついたものがおおい。

ソールの形状けいじょうとしては、全体ぜんたいとしてみればたいらなゴムそこ均一きんいつなパターンを形成けいせいしてあり、れた船上せんじょうすべりにくいことを特徴とくちょうとするデッキソール (deck sole) のものと、比較的ひかくてきおおきな凹凸おうとつと、土踏つちふまず付近ふきん段差だんさ形成けいせいしてあり、岩場いわばなどでのグリップにすぐれることを特徴とくちょうとするラジアルソール (ladder grip sole) のものとがある。日本にっぽんのダイビングでは岩場いわばとおってエントリー・エキジットするようなことはすくないこと、また、ラジアルソールは凹凸おうとつぶんだけあつみがあり、フィンのポケットに余分よぶんたかさが必要ひつようになることなどの理由りゆうにより、デッキソールのものがおお使つかわれている。

グローブ (glove)

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おも障害しょうがい防止ぼうし目的もくてき着用ちゃくようする。水温すいおんにより織物おりものせい、クロロプレン生地きじせいなどさまざまな形式けいしきのものがもちいられる。保護ほごされているという意識いしきからダイバーが水底みなそこ物体ぶったい不用意ふよういくようになり、自然しぜん破壊はかいにつながるとしてグローブを着用ちゃくようすることを禁止きんししている地域ちいきもある。

フード (hood)

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体温たいおん損失そんしつ防止ぼうしおよ保護ほごのため頭部とうぶからくび着用ちゃくようする。水中すいちゅうにおける血行けっこうりょうおお頭部とうぶからの体温たいおん損失そんしつは、全身ぜんしんからの体温たいおん損失そんしつの20%をめるといわれており、常時じょうじ水中すいちゅうでの活動かつどうとなるスキューバダイビングではそれほどひく水温すいおんでなくてもフードの着用ちゃくよう必須ひっすである。通常つうじょうクロロプレン生地きじせいであるが、しゅとして高水たかみずあつし環境かんきょうでの保護ほご効果こうか目的もくてきとした布製ぬのせいタイプも存在そんざいする。

脚注きゃくちゅう

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注釈ちゅうしゃく

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  1. ^ 機能きのうじょう観点かんてんからだけいえば、下着したぎ着用ちゃくようすることには実質じっしつてき意味いみがなく、全裸ぜんらうえ直接ちょくせつウェットスーツを着用ちゃくようしてもつかえないが、屋外おくがいなど、全裸ぜんらになることが不都合ふつごう環境かんきょう着脱ちゃくだつすることがおおいことから、なんらかの下着したぎ (通常つうじょう水着みずぎ) を着用ちゃくようする場合ばあいおおい。
  2. ^ 日本にっぽんではライクラまたはオペロンジャージの商品しょうひんめいばれることがおおい。
  3. ^ いちれいとして、Cressiしゃ販売はんばいするICE PLUS[2]がある。

出典しゅってん

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  1. ^ a b 藤井ふじい信彦のぶひこ,山脇やまわき憲明のりあき,岡田おかだ親義ちかよし「ウエットスーツ」『日本にっぽんゴム協会きょうかいだい83かんだい5ごう一般いっぱん社団しゃだん法人ほうじん日本にっぽんゴム協会きょうかい、2010ねん、146-150ぺーじdoi:10.2324/gomu.83.146 
  2. ^ ICE PLUS”. Cressi. 2010ねん11月21にち時点じてんオリジナルよりアーカイブ。2024ねん1がつ3にち閲覧えつらん

関連かんれん項目こうもく

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