成人せいじん式しき

2021年ねん、埼玉さいたま県けん熊谷くまがや市しの成人せいじん式しき（熊谷くまがいスポーツ文化ぶんか公園こうえん）

成人せいじん式しき（せいじんしき）とは、年度ねんど内うちに成人せいじんとなる人々ひとびとを学齢がくれいごとに日本にっぽんの各かく地方自治体ちほうじちたいが主おもに1月第だい2月曜日げつようび（成人せいじんの日ひ）に激励げきれい・祝福しゅくふくする行事ぎょうじである。講演こうえん会かいを開ひらいたり、記念きねん品ひんを贈おくったりする。しかし、日本国にっぽんこく政府せいふの主催しゅさいではなく各かく地方自治体ちほうじちたいが自主じしゅ的てきに行いっているため、学齢がくれい方式ほうしきはどこも同おなじだが成人せいじんの日ひ以外いがいに主催しゅさいする自治体じちたいも存在そんざいする。

2022年ねん（令れい和わ4年ねん）4月がつ1日にちに成年せいねんが20歳さいから18歳さいに引ひき下さげられたものの、多おおくの自治体じちたいは引ひき続つづき20歳さいを対象たいしょうに実施じっししている。また、成年せいねんの引ひき下さげに伴ともない、多おおくの自治体じちたいが名称めいしょうを「成人せいじん式しき」から「二十歳はたちのつどい」などに変更へんこうした（詳細しょうさいは#成人せいじん年齢ねんれい引ひき下さげに伴ともなう動うごきを参照さんしょう）。

本節ほんぶしではこのほか、成人せいじん式しきに類似るいじしたイベントについても取とり上あげる。

由来ゆらい

成人せいじん式しきで酒さけ樽たるを開あける鏡開かがみびらき（鏡かがみ抜ぬき）式しき

成人せいじんを祝いわう儀礼ぎれいは古ふるくからあり、男子だんしには元服げんぷく・褌ふんどし祝しゅく、女子じょしには裳も着ぎ・結髪けっぱつなどがあった。文化ぶんか人類じんるい学がくや民俗みんぞく学がくでは、こうしたものを通過つうか儀礼ぎれい（イニシエーション）の一ひとつとして扱あつかう。皇族こうぞくの成年せいねん式しきは、後述こうじゅつのとおり1909年ねんから1947年ねんまで行おこなわれていた。

日本にっぽんにおける今日きょうの形態けいたいの成人せいじん式しきは、第だい二に次じ世界せかい大戦たいせんの敗戦はいせん間あいだもない1946年ねん（昭和しょうわ21年ねん）11月22日にち、埼玉さいたま県けん北足立きたあだち郡ぐん蕨わらび町まち（現げん：蕨わらび市し）において実施じっしされた「青年せいねん祭さい」がルーツとなっているのが定説ていせつである。敗戦はいせんにより虚脱きょだつの状態じょうたいにあった当時とうじ、次代じだいを担になう青年せいねん達たちに明あかるい希望きぼうを持もたせ励はげますため、当時とうじの埼玉さいたま県けん蕨わらび町まち青年せいねん団長だんちょう高橋たかはし庄次郎しょうじろう（のち蕨わらび市長しちょう）が主唱しゅしょう者しゃとなり青年せいねん祭さいを企画きかく、会場かいじょうとなった蕨わらび第だい一いち国民こくみん学校がっこう（現げん：蕨わらび市立しりつ蕨わらび北きた小学校しょうがっこう）の校庭こうていにテントを張はり、青年せいねん祭さいのプログラム「成年せいねん式しき」として行おこなわれた。この「成年せいねん式しき」が全国ぜんこくに広ひろまり現在げんざいの成人せいじん式しきとなった。蕨わらび市しでは現在げんざいも「成年せいねん式しき」と呼よばれており、1979年ねん（昭和しょうわ54年ねん）の成人せいじんの日ひには市制しせい施行しこう20周年しゅうねん、成人せいじんの日ひ制定せいてい30周年しゅうねんを記念きねんして同どう市内しないの蕨わらび城址じょうし公園こうえんに「成年せいねん式しき発祥はっしょうの地ち」の記念きねん碑ひが同市どうしによって建立こんりゅうされた。

蕨わらび町まちの「青年せいねん祭さい」に影響えいきょうを受うけた日本国にっぽんこく政府せいふは、2年ねん後ごの1948年ねん（昭和しょうわ23年ねん）に公布こうふ・施行しこうされた祝日しゅくじつ法ほうにより、「おとなになったことを自覚じかくし、みずから生いきぬこうとする青年せいねんを祝いわいはげます」の趣旨しゅしのもと、翌よく1949年ねん（昭和しょうわ24年ねん）から、1月がつ15日にちを成人せいじんの日ひに指定していした。それ以降いこう、ほとんどの地方ちほうで成人せいじん式しきはこの日ひに行おこなわれるようになった。その後ご、1998年ねん（平成へいせい10年ねん）の祝日しゅくじつ法ほう改正かいせい（ハッピーマンデー制度せいど）に伴ともなって、2000年ねん（平成へいせい12年ねん）より、成人せいじんの日ひは1月がつ第だい2月曜日げつようびへ移動いどうしている。なお、2018年ねん近ちかくの調査ちょうさによって名古屋なごや市し、また宮崎みやざき県けん東臼杵ひがしうすき郡ぐん諸塚もろつか村むらも発祥はっしょうの地ちを名乗なのっている。

参加さんか者しゃ

日本にっぽんの成人せいじん式しきに参加さんかする女性じょせいの服装ふくそうの一いち例れい

成人せいじん式しきの参加さんか対象たいしょうとなる成人せいじんは、本来ほんらいは前年ぜんねんの「成人せいじんの日ひ」の翌日よくじつからその年としの「成人せいじんの日ひ」までに誕生たんじょう日びを迎むかえる人ひとを祝いわう日ひとされている。しかし、最近さいきん（特とくにハッピーマンデー制度せいど導入どうにゅう以降いこう）は前年ぜんねんの4月がつからその年としの3月がつに成人せいじんする人ひとを式典しきてん参加さんかの対象たいしょうにする、いわゆる学齢がくれい方式ほうしきが定着ていちゃくするようになっている。

年齢ねんれい方式ほうしきの場合ばあい、誕生たんじょう日びの遅おそい早生はやうまれの人ひとが他たの参加さんか者しゃがほとんど見みず知しらずの人ひとになってしまったり、ハッピーマンデー制度せいどによりその年としの成人せいじんの日ひは19歳さいで翌年よくねんの成人せいじんの日ひは21歳さいになるケースがあることにより学齢がくれい方式ほうしきに変更へんこうされた経緯けいいがある。

他たに北海道ほっかいどう札幌さっぽろ市しと広島ひろしま県けん広島ひろしま市しでは、この1年間ねんかんに20歳さいの誕生たんじょう日びを迎むかえる人ひとを成人せいじん式しき参加さんかの対象たいしょう者しゃとする暦年れきねん方式ほうしきが用もちいられていた。しかし、大学だいがく受験じゅけんで1浪なみしただけで式典しきてん参加さんかが困難こんなんになる場合ばあいが多おおいうえ、前年ぜんねんに他た市町村しちょうそんで成人せいじん式しきの対象たいしょうとならなかった人ひとが翌年よくねん、進学しんがくや転勤てんきんで転入てんにゅうした場合ばあい、2年ねん続つづけて参加さんかできなくなるなど若者わかものの不評ふひょうが多おおかったことから、両市りょうしとも2000年ねん以降いこうは学齢がくれい方式ほうしきに変更へんこうされている。

1960年代ねんだいまでは、新しん成人せいじんは半数はんすう以上いじょうが既すでに社会しゃかいに出でている勤労きんろう青少年せいしょうねんだったが、1970年代ねんだい以降いこう、大学だいがく・専門せんもん学校がっこう進学しんがく者しゃ（率りつ）の増加ぞうかや中卒ちゅうそつ・高卒こうそつ就職しゅうしょく者しゃの減少げんしょうから、新しん成人せいじん全体ぜんたいに占しめる在学ざいがく者しゃの割合わりあいも年々ねんねん増加ぞうかしており、現在げんざいに至いたっている。

総務そうむ省しょう統計とうけい局きょく（2019年ねん12月31日にち）は、2020年ねん1月がつにおける新しん成人せいじんの人口じんこうを122万まん人にんと推計すいけい。総そう人口じんこうに占しめる割合わりあいは10年ねん連続れんぞくで1％を下回したまわった。

技能ぎのう実習じっしゅう生せいや留学生りゅうがくせいなどの外国がいこく出身しゅっしん者しゃの参加さんかも増加ぞうかしている。2020年ねん、宮城みやぎ県けん塩竈しおがま市しでは、インドネシア語ご、ベトナム語ご、英語えいご、やさしい日本語にほんごの招待しょうたい状じょうを送おくった。2019年度ねんどの外国がいこく出身しゅっしんの参加さんか者しゃは全体ぜんたいの約やく6%で30人にんだった。

成人せいじん年齢ねんれい引ひき下さげに伴ともなう動うごき

2022年ねんに民法みんぽう改正かいせいにより成年せいねん（成人せいじん年齢ねんれい）が18歳さいに引ひき下さげられたが、18歳さいは概おおむね高校こうこう在学ざいがく中ちゅうで受験じゅけんや就職しゅうしょく活動かつどうがあるなどの事情じじょうで、当該とうがい年度ねんどに20歳さいになった人ひとを招待しょうたいする等ひとし、従来じゅうらいの形式けいしきのままで行おこなうと八王子はちおうじ市しなどは回答かいとうしている。成人せいじん年齢ねんれいと参加さんか者しゃの年齢ねんれいの乖離かいりにそなえ名称めいしょうを変更へんこうする動うごきも出でている。

2023年ねんに18歳さいを対象たいしょうとした成人せいじん式しきを行おこなったのは、伊賀いが市し（三重みえ県けん）、国東くにさき市し（大分おおいた県けん）、美郷みさと町まち (宮崎みやざき県けん)の3市町しちょうのみで、他たの自治体じちたいではすべて20歳さいを対象たいしょうとした成人せいじん式しきを継続けいぞくした。このうち、国東くにさき市しは2023年ねん5月がつに18歳さい成人せいじん式しきを開催かいさいしたものの、出席しゅっせき者しゃから不満ふまんの声こえが上あがり、2024年ねんには早はやくも20歳さい成人せいじん式しきに戻もどした。伊賀いが市しは18歳さいによる式しきに変更へんこうしたことにより、2023年ねんには従来じゅうらいの形式けいしきでは最後さいごとなる式しき（20歳さいを迎むかえる学年がくねんの式しき）を1月がつに、19歳さいを迎むかえる学年がくねんの式しきを3月がつに、2023年ねん5月がつ4日にちに年度ねんどを跨またいで全員ぜんいんが18歳さいを迎むかえた学年がくねんの式しきを開ひらいた。美郷みさと町まちは2023年ねん1月がつ3日にちの午前ごぜんに20歳さい対象たいしょうの成人せいじん式しきを、午後ごごに19歳さい対象たいしょうの成人せいじん式しきを、8月がつ15日にちに18歳さい対象たいしょうの成人せいじん式しきを開催かいさいした。この18歳さい成人せいじん式しきに参加さんかした新しん成人せいじんは、通学つうがくする高等こうとう学校がっこうの制服せいふくを着用ちゃくようしていた。別海べっかい町まち（北海道ほっかいどう）では18歳さい成人せいじん式しきの挙行きょこうを予定よていしていたが、町民ちょうみんの8割わりが反対はんたいしたため、20歳さい成人せいじん式しきを維持いじすることを決定けっていした。

また、成年せいねんであるか否ひか、成人せいじん式しきに参加さんかするか否ひかにかかわらず、20歳さい未満みまんの飲酒いんしゅ・喫煙きつえんは法律ほうりつで禁止きんしされている。

令れい和わ4年度ねんど（2023年ねん）以降いこうの自治体じちたいの方針ほうしん例れい

自治体じちたい	名称めいしょう	対象たいしょう	出典しゅってん
新宿しんじゅく区く	はたちのつどい（変更へんこうなし）	20歳さい
渋谷しぶや区く	はたちのつどい
世田谷せたがや区く	二十歳はたちのつどい（仮称かしょう）
大阪おおさか市し	成人せいじんの日ひ記念きねんのつどい（変更へんこうなし）
横浜よこはま市し	二十歳はたちの市民しみんを祝いわうつどい
名古屋なごや市し	成人せいじんの日ひ記念きねん行事ぎょうじ
札幌さっぽろ市し	成人せいじんの日ひ行事ぎょうじ
福岡ふくおか市し	はたちのつどい（変更へんこうなし）

開催かいさい日び

成人せいじん式しきを開催かいさいするお知しらせ葉書はがき
例たとえば、兵庫ひょうご県けん三木みき市しでは地元じもとを離はなれている人ひとなどの参加さんかしやすさを考慮こうりょして成人せいじんの日ひの前日ぜんじつの日曜日にちようびに開催かいさいした

成人せいじん式しきの式典しきてんは、成人せいじんの日ひ、またはその前日ぜんじつ（常つねに日曜日にちようびになる）に開ひらかれることが多おおいが、必かならずしもそうでない地域ちいきもある。

成人せいじんの日ひ以外いがいでの式典しきてん開催かいさいは、その年としのゴールデンウィークやお盆ぼん（旧盆きゅうぼん）、あるいは正月しょうがつ三さんが日にちから松まつの内うちに行おこなう市区しく町村ちょうそんも多おおい。例たとえば2017年度ねんどの新潟にいがた県けんにおいては、本来ほんらいの成人せいじんの日ひである1月がつ8日にちに実施じっしする事例じれいは全まったくなく、前日ぜんじつの1月がつ7日にちが2市し（2会場かいじょう）のみで、残のこりは3・4・5・8月がつのいずれかに行おこなわれている。

特とくに豪雪ごうせつ地ちでは、1月がつよりも温暖おんだんであり（雪ゆきで晴はれ着ぎが汚けがれる問題もんだいもある）、また就職しゅうしょくや進学しんがくで地元じもとを離はなれる人ひとが多おおい地域ちいきにおいては、実家じっかに帰省きせいする人ひとが多おおい5月のゴールデンウィークや8月がつのお盆ぼんに実施じっしする方ほうが、参加さんかしやすいためである。かつては1月がつに開催かいさいしていた自治体じちたいも、5月（新潟にいがた県けん長岡ながおか市しの5地域ちいき）や8月がつ（新潟にいがた県けん長岡ながおか市しの残のこりの6地域ちいき、和歌山わかやま県けん東牟婁ひがしむろ郡ぐん太地たいじ町まち、石川いしかわ県けん河北かほく郡ぐん津幡つばた町まち）に変更へんこうした自治体じちたいもある。

1988年度ねんどは昭和しょうわ天皇てんのうの崩御ほうぎょ直後ちょくごだったことによる自粛じしゅくにより、2020年度ねんどは新型しんがたコロナウイルス感染かんせん拡大かくだいの影響えいきょうの為ため、それぞれ式しきを中止ちゅうししたり、延期えんき（再さい延期えんき含ふくむ）する自治体じちたいがあった。静岡しずおか県けん焼津やいづ市しのように、2020年度ねんどは開催かいさい方式ほうしきを変更へんこうした上うえで、予定よてい通どおり実施じっしする自治体じちたいもあった。

開催かいさい場所ばしょ

たいていの場合ばあい、その市区しく町村ちょうそん内ないで多おおくの参加さんか者しゃを収容しゅうようできる多目的たもくてきホールや大型おおがた体育館たいいくかんが使用しようされる。政令せいれい指定してい都市としや中核ちゅうかく市しのような大だい規模きぼな市しの場合ばあいは、全市ぜんしまとめて1つの会場かいじょうで行おこなう市し、行政ぎょうせい区くまたはそれに準じゅんずる地域ちいき毎ごとに会場かいじょうを設もうける市し、さらに細分さいぶん化かした地区ちく毎ごとに会場かいじょうを設もうける市しと様々さまざまである。また、平成へいせいの大だい合併がっぺいなどによって面積めんせきが拡大かくだいした自治体じちたいも、合併がっぺい前まえの自治体じちたい単位たんいなど参加さんかしやすい区域くいき毎ごとに会場かいじょうを設もうける場合ばあいがある。

特徴とくちょう的てきな開催かいさい場所ばしょとしては地元じもとのテーマパークで開催かいさいする自治体じちたいもある。例れいとして1998年ねんから2013年ねんまでの福岡ふくおか県けん北九州きたきゅうしゅう市しにおけるスペースワールド（2018年ねん1月がつ1日にち午前ごぜん2時じで閉園へいえん）での成人せいじん式しきや、2002年ねん以降いこう続つづけられている千葉ちば県けん浦安うらやす市しでの東京とうきょうディズニーリゾートでの成人せいじん式しき、愛知あいち県けん安城あき市しのデンパークでの成人せいじん式しき などがある。

千葉ちば県けん成田なりた市しでは、例年れいねん成人せいじん式しきを開催かいさいしていた会場かいじょう施設しせつが改修かいしゅう工事こうじを行おこなったため、2015年ねん1月がつは成田なりた国際こくさい空港くうこう第だい2ターミナルビル前まえの屋外おくがいスペースで開催かいさいした。それ以降いこう、2018年ねん現在げんざいも続つづけられている。

兵庫ひょうご県けん西宮にしのみや市しでは、それまで成人せいじん式しきを開催かいさいしていた会場かいじょうがアクセスの不便ふべんさで不評ふひょうであったこともあり、2020年ねんより阪神はんしん甲子園こうしえん球場きゅうじょうを会場かいじょうとして使用しようしている。式典しきてんでは、サプライズで阪神はんしんタイガース関係かんけい者しゃが参加さんか者しゃにビデオメッセージを送おくることが恒例こうれいとなっている。

名古屋なごや市し16区くのうち、東ひがし区く・中ちゅう区く・昭和しょうわ区く・熱田あつた区くを除のぞく12区くでは、小学校しょうがっこうの学区がっく毎ごとに、主おもに学校がっこう施設しせつを使用しようして成人せいじん式しきを行おこなっている。2018年ねん開催かいさいの市内しないの成人せいじん式しき会場かいじょうは、174会場かいじょうにものぼる。

なお、成人せいじん式しきの参加さんかに事前じぜんの申もうし込こみが必要ひつような自治体じちたいもある。また、会費かいひ制せいとしているところもある（例たとえば、愛知あいち県けん犬山いぬやま市し）。

問題もんだい

趣旨しゅし再さい定義ていぎの立たち遅おくれ

2004年ねん3月がつに横浜よこはま市し教育きょういく委員いいん会かいが行おこなった市民しみん意識いしき調査ちょうさ によると、元来がんらいの趣旨しゅしである「新しん成人せいじんが、大人おとなになったことを自覚じかくするための行事ぎょうじ」がほとんどの世代せだいで最もっとも多おおいものの、参加さんか対象たいしょう層そうである未成年みせいねん、新しん成人せいじん、20代だいにおいては「友達ともだち同士どうしが再会さいかいする『同窓会どうそうかい』のような行事ぎょうじ」が約やく2割わりから3割わりに及およんでいる。ほかに、20代だい以下いかの女性じょせいにおいては「スーツや晴はれ着ぎを着きて、新しん成人せいじんが一堂いちどうに会かいする行事ぎょうじ」が2割わり台だいに及およんでおり、開催かいさい側がわのイベントの趣旨しゅし設定せっていが、参加さんか対象たいしょう者しゃ層そうのイベントへの期待きたいと乖離かいりしつつあることがうかがえる。

上記じょうきの調査ちょうさにおいては、高校生こうこうせい・未成年みせいねん層そうでは成人せいじん式しきに「参加さんかしたい」という回答かいとうが82.7%、「参加さんかしたくない」が17.2%となった。高校生こうこうせい・未成年みせいねん層そうの回答かいとうにおいて「参加さんかしない理由りゆう」は「内容ないように興味きょうみがないから」が36.8%で最もっとも多おおくなっている。歌手かしゅなどによるコンサートなどのアトラクションについては、高校生こうこうせい・未成年みせいねん・新しん成人せいじんにおいて「必要ひつようである」とした回答かいとうが50%を超こえた一方いっぽう、市長しちょうや政治せいじ家かの来賓らいひん等とうの紹介しょうかいについては、「必要ひつようない」という回答かいとうが全すべての世代せだいで半数はんすうを超こえ、横浜よこはま市しの提言ていげん書しょでは「式典しきてん全体ぜんたいを冗長じょうちょうにし、内容ないようを乏とぼしくする一因いちいんとなっている」と評ひょうしている。

出席しゅっせき率りつの低下ていか

もともと成人せいじん式しきは、法律ほうりつの趣旨しゅしにもあるように、一定いっていの年齢ねんれいに達たっした青年せいねんを行政ぎょうせいなどが祝福しゅくふく・激励げきれいし、これに対たいして参加さんか者しゃが、責任せきにんある自立じりつした社会しゃかい人じんとしてより良よい社会しゃかいの創造そうぞうに貢献こうけんしていくことを決意けついし、それを広ひろく社会しゃかいに啓蒙けいもうするためのものだった。

しかし、1970年代ねんだいに入はいると受験じゅけん戦争せんそうの激化げきかによる浪人ろうにんが増ふえ、加くわえて大学入試だいがくにゅうしセンター試験しけん（旧きゅう大学だいがく共通きょうつう第だい1次じ学力がくりょく試験しけん）と日時にちじが重かさなって出席しゅっせきしなかった新しん成人せいじんも多おおく見みられた。横浜よこはま市し教委きょういの市民しみん意識いしき調査ちょうさ では新しん成人せいじんでは成人せいじん式しきに「参加さんかした」という回答かいとうは74.6%、「参加さんかしなかった」は25.4%で、20代だいでは「参加さんかした」が 69.9%、「参加さんかしなかった」は30.1%となっている。新しん成人せいじん・20代だいの回答かいとうでは参加さんかした理由りゆうとしては「一生いっしょうに一いち度どのことなので、とりあえず参加さんかした」が45%前後ぜんごで最もっとも多おおく、参加さんかしなかった理由りゆうとしては「仕事しごとや勉強べんきょうなどで時間じかんがなかったから」が新しん成人せいじん18.8%、20代だい28.2%で最もっとも多おおかった。

最近さいきんでは自治体じちたいが工夫くふうし、出席しゅっせき率りつが上昇じょうしょうしているところもある。

都市とし部ぶと郡部ぐんぶ

都市とし化かの進展しんてんで、郡部ぐんぶの成人せいじん式しき出席しゅっせき該当がいとう者しゃが減少げんしょうし、一方いっぽうで都市とし部ぶの該当がいとう者しゃが顕著けんちょに増加ぞうかした。

郡部ぐんぶでは、高校こうこう卒業そつぎょう後ごに大学だいがく進学しんがくや就職しゅうしょくなどで都市とし部ぶに出でて行いってしまう者ものが多おおく、大学生だいがくせいは冬休ふゆやすみが終おわっていたり、社会しゃかい人じんも既すでに正月しょうがつ三さんが日にちに休やすみをとっていて1月がつ15日にちの成人せいじん式しきのためだけに帰省きせいするのは困難こんなんな状況じょうきょうであった。そのため、郡部ぐんぶではお盆ぼん期間きかんに成人せいじん式しきをする自治体じちたいが増加ぞうかした。また、成人せいじん式しきの案内あんない状じょうは住民じゅうみん票ひょうなどを基もとに送おくられる事ことも多おおく、故郷こきょうの成人せいじん式しきの案内あんない状じょうが来こないこともある。現住所げんじゅうしょと異ことなる市町村しちょうそんの成人せいじん式しきに出席しゅっせきしたい場合ばあいは、自みずから希望きぼうする市町村しちょうそんに申もうし出でる必要ひつようがある。成人せいじんの日ひが第だい2月曜げつように移行いこうした2000年ねんごとから地方ちほう部ぶ（中核ちゅうかく市し以下いかの市し）ではその前日ぜんじつに行おこなうケースも少すくなくない。またこの時期じきでも帰省きせいが困難こんなんまたは帰省きせいができても物理ぶつり的てきな負担ふたんが大おおきいなどとされお盆ぼんと異ことなり季き節ぶしが同おなじに正月しょうがつに行おこなう例れいもある。

モラルの低下ていか

箱はこ物ぶつ行政ぎょうせいと言いわれながら公共こうきょう事業じぎょうの予算よさんが増加ぞうかし続つづけた1990年ねん後半こうはんまでに、成人せいじん式しきの式典しきてんが充分じゅうぶん開催かいさいできる施設しせつが都市とし部ぶでも拡充かくじゅうした。しかし、第だい二に次じベビーブーム世代せだいが成人せいじん式しきを迎むかえた1990年代ねんだい前半ぜんはんが過すぎると、少子化しょうしかの影響えいきょうで成人せいじんとなる者ものの数かずが減少げんしょうの一途いっととなっていった。1990年代ねんだい末まつともなると、都市とし部ぶでは式典しきてん会場かいじょうの空席くうせきが目立めだつようになった。また、空席くうせきの増加ぞうかにより、従来じゅうらい会場かいじょう内ないに入はいらなかったような層そうが会場かいじょう内ないに入いれるようになり、それまで会場かいじょう外がいで行おこなわれていて問題もんだいとはならなかったようなことが顕在けんざい化かしてきた。例たとえば、私語しごが収おさまらない、会場かいじょう内ないで携帯けいたい電話でんわを使つかう、そして一部いちぶでは、数すう人にんの新しん成人せいじんグループが会場かいじょうで暴あばれ回まわって式しきを妨害ぼうがいするケースなども見受みうけられる。公務こうむ執行しっこう妨害ぼうがいを理由りゆうとした事件じけんを中心ちゅうしんに逮捕たいほ者しゃが出でるほどの騒さわぎに発展はってんした市町村しちょうそんもある（例れい、2001年ねんにおける高松たかまつ市し）。また、成人せいじんの日ひが1月がつ第だい2月曜日げつようびに移うつった2000年ねん以降いこうは、学齢がくれい方式ほうしきを成人せいじんの対象たいしょうとする自治体じちたいがほとんどになったことから、成人せいじん式しきが事実じじつ上じょう中学ちゅうがくや高校こうこうの同窓会どうそうかい的てきな意味合いみあいで捉とらえられるようになってきた。

さらに、式しきに出席しゅっせきする若者わかものが、外面がいめん的てきには着物きもので豪華ごうかに着飾きかざっていても、会場かいじょうでは久ひさし振ぶりに会あった友人ゆうじんとの談笑だんしょうなどに熱中ねっちゅうする余あまり、主催しゅさいする自治体じちたい首長しゅちょうなどの式辞しきじ・講演こうえんに関心かんしんを示しめさず式典しきてんが騒さわがしくなっている。その結果けっか、本来ほんらい一いち人前にんまえの大人おとなとしての決意けついをすべき場ばである成人せいじん式しきが、かえって若者わかもののモラル低下ていかを露見ろけんさせる場ばとなっている。21世紀せいきに入はいっても、各地かくちでこれまでに様々さまざまな問題もんだいが起おきている。

成人せいじん式しきビジネス

成人せいじん式しきでは単価たんかの高たかい和服わふく・呉服ごふく（特とくに女性じょせいの振袖ふりそで）を着用ちゃくようする新しん成人せいじんが多おおいため、和装わそう業界ぎょうかいにとって最大さいだいの稼かせぎ時ときと見みられている。近年きんねん、日本人にっぽんじんの和服わふく離ばなれが進すすみ呉服ごふく店てんが減少げんしょうの一途いっとを辿たどる中なかで、若者わかものに着物きものの良よさをアピールする数少かずすくない機会きかいとなっている。近年きんねんでは男性だんせいが紋付もんつき袴はかまなどの着物きもので参加さんかする姿すがたも目立めだつ。和服わふくは高価こうかであるため、レンタルや母親ははおやからのお下さがりで済すませる人ひとも多おおい。

また、新しん成人せいじんの着付きつけ・化粧けしょう・ヘアメイクなどをする美容びよう業界ぎょうかいにとっても、成人せいじん式しきの日ひは稼かせぎ時じである。その他た、成人せいじん式しき前まえには、本格ほんかく的てきに化粧けしょうを始はじめる新しん成人せいじんに対たいしてメイク講習こうしゅう会かいを行おこなったりして、自社じしゃの化粧けしょう品ひんの売うり込こみを行おこなう化粧けしょう品ひん業界ぎょうかいの動うごきがあり、また、式しき当日とうじつに着付きつけが終おわった新しん成人せいじんが記念きねん写真しゃしんを撮とる写真しゃしん館かんでも宣伝せんでんに力ちからを入いれたりと、関連かんれんビジネスの新しん成人せいじんに対たいする顧客こきゃく獲得かくとく競争きょうそうは熱ねつを帯おびている。

2018年ねんには横浜よこはま市しなどで振袖ふりそで販売はんばいなどを手掛てがける企業きぎょう「はれのひ」が同年どうねんの成人せいじんの日ひに当あたる1月がつ8日にちに突然とつぜん事業じぎょうを停止ていししたため、同社どうしゃから購入こうにゅうまたはレンタルで着付きつけを予約よやくしていた新しん成人せいじんらが晴はれ着ぎを着きることができず、式しきへの参加さんかをとりやめる者ものが出でるなどの事態じたいが発生はっせいした。同社どうしゃには2年ねん先さきの成人せいじん式しきに向むけて予約よやく金きんを払はらった客きゃくもおり、これについて和服わふく業界ぎょうかいの関係かんけい者しゃは「少子化しょうしかを背景はいけいに業者ぎょうしゃが顧客こきゃくを先さき食ぐいしている」と指摘してきしている。

振袖ふりそでは現在げんざい、女性じょせいにとって「成人せいじん式しきの制服せいふく」のような伝統でんとうとなっているが、これは「作つくられた幻想げんそう」であり、着物きものプロデューサーの石崎いしざき功いさおによると、第だい二に次じ世界せかい大戦たいせん中なかに贅沢ぜいたく品ひんが禁きんじられ、壊滅かいめつ状態じょうたいになった着物きもの業界ぎょうかいが、昭和しょうわ30年代ねんだい（1950年代ねんだい後半こうはん～1960年代ねんだい前半ぜんはん）に復興ふっこう策さくとして成人せいじん式しきに着目ちゃくもくし、上述じょうじゅつの「元服げんぷく」をヒントに、未婚みこん女性じょせいの礼装れいそうである振袖ふりそでを成人せいじん式しきに着きてもらおうと、当時とうじの百貨店ひゃっかてんが中心ちゅうしんに動うごいたことがきっかけだという。現在げんざいでは約やく2800億おく円えんとみられる和装わそう市場いちばのうち、成人せいじん式しきの振袖ふりそで関連かんれんが700億おく円えん程度ていどと重おもきをなしている。成人せいじん式しきの風習ふうしゅうが広ひろがり始はじめた当初とうしょから「女性じょせいは振袖ふりそで」が定着ていちゃくしていた訳わけではなく、上述じょうじゅつの「青年せいねん祭さい」の参加さんか者しゃの服装ふくそうは、蕨わらび市しによると「男性だんせいは国民こくみん服ふく、女性じょせいはもんぺ」だった。

一方いっぽうで、派手はでな衣装いしょうを着用ちゃくようする新しん成人せいじんが多おおいことで知しられる北九州きたきゅうしゅう市しの成人せいじん式しきにおいて、衣装いしょうを注文ちゅうもんした新しん成人せいじんらが、「衣装いしょう代だいは支払しはらわなくて良よい」との誤あやまった噂うわさを信しんじ、衣装いしょう代だいを踏ふみ倒たおすケースが見受みうけられるようになっており、貸かし衣装いしょう店てん側がわが新しん成人せいじんらに相次あいついで訴訟そしょうを起おこしている。

さまざまな成人せいじん式しき

社内しゃない成人せいじん式しき等とう

毎年まいとし、高等こうとう学校がっこう卒業そつぎょう者しゃを多おおく採用さいようする産業さんぎょうで、祝祭日しゅくさいじつが書かき入いれ時どきとなる百貨店ひゃっかてん、スーパー、外食がいしょく産業さんぎょうなどの小売こうり業ぎょうや鉄道てつどう・軌道きどう、観光かんこうバスおよび船舶せんぱくなどの運輸うんゆ業ぎょう、鉄鋼てっこう、化学かがく、繊維せんい、製紙せいし、自動車じどうしゃなどの製造せいぞう業ぎょう、電力でんりょく・都市としガスなどでは、事業じぎょうの性格せいかく上じょう交代こうたい勤務きんむやシフト勤務きんむが多おおく、それ故ゆえに市町村しちょうそんが行おこなう成人せいじん式しきに参加さんかできない人ひとも多おおくいる。

そのため、これらの業種ぎょうしゅでは社内しゃない（職場しょくば内ない）で独自どくじに成人せいじん式しき、いわゆる「社内しゃない成人せいじん式しき」を実施じっしする企業きぎょうもある。これは、成人せいじんを祝いわうと同時どうじに社員しゃいん意識いしきを向上こうじょうさせるという目的もくてきで行おこなわれている。代表だいひょう的てきなものに、はとバスや名鉄めいてつグループ、富士急行ふじきゅうこうなどがある。しかし、1990年代ねんだい以降いこうは不ふ況きょうや大学だいがく進学しんがく者しゃの増加ぞうかなどで高等こうとう学校がっこう卒業そつぎょう者しゃを採用さいようしない企業きぎょうが増ふえたため、20歳さいを迎むかえる従業じゅうぎょう員いんも減少げんしょうし（就職しゅうしょく氷河期ひょうがきも参照さんしょう）、加くわえてリストラや経費けいひ削減さくげんも追おい打うちをかけ、社内しゃない成人せいじん式しきを取とり止とめた企業きぎょうも多おおい。逆ぎゃくに、トヨタ自動車とよたじどうしゃのお膝元ひざもとである豊田とよだ市し（ほとんどの会場かいじょう）や、愛知あいち県けん内うちのその周辺しゅうへんの一部いちぶの市町村しちょうそんでは、同社どうしゃの業務ぎょうむ日程にってい（トヨタカレンダー）に合あわせて成人せいじん式しきの開催かいさい日びをずらしている。

自衛隊じえいたいや海上保安大学校かいじょうほあんだいがっこうなどの全寮ぜんりょう制せいの機関きかんや事業じぎょう所しょにおいても、勤務きんむ日程にっていが故郷こきょうの成人せいじん式しきと重かさなって出席しゅっせきできない者ものもおり、各地かくちの駐屯ちゅうとん地ちや基地きち、海上保安大学校かいじょうほあんだいがっこうや防衛大学校ぼうえいだいがくこうなどの教育きょういく施設しせつにおいて、個別こべつに成人せいじん式しきを行おこなっている。陸上りくじょう自衛隊じえいたいではパーキングブレーキを解といたFH70（松山まつやま駐屯ちゅうとん地ち） や戦車せんしゃと綱引つなひきをする（北きた恵庭えにわ駐屯ちゅうとん地ち） など、駐屯ちゅうとん地ちや部隊ぶたいごとに特色とくしょくがある。海上かいじょう自衛隊じえいたいの隊員たいいんの中なかでしらせに乗船じょうせん中ちゅうだった場合ばあいは、南極なんきょくで成人せいじん式しきを行おこなうこともある。

知的ちてき障害しょうがい者しゃ更生こうせい施設しせつなど入所にゅうしょ施設しせつにおいても入所にゅうしょ者しゃの成人せいじん式しきを行おこなっている。

芸能人げいのうじんなどのメディア人じんにおいても上記じょうき職業しょくぎょう同様どうよう祝祭日しゅくさいじつが書かき入いれ時どきとなる場合ばあいが多おおいため、芸能げいのう事務所じむしょ単位たんいで成人せいじん式しきを実施じっしする例れいもある。例れいとしては以下いかがあげられる。

• ジャニーズ事務所じむしょ（現げん：SMILE-UP.）では、先輩せんぱいタレントが立会たちあい人じんを務つとめる中なかで新しん成人せいじんのメンバーたち（特とくにジャニーズJr.など）が明治めいじ神宮じんぐうへ参拝さんぱいする、いわゆる「ジャニーズ成人せいじん式しき」が恒例こうれいだった。しかし、2006年ねん以降いこうでは2008年ねんに簡易かんいな成人せいじん式しきを実施じっししたのと、2023年ねんに行おこなわれた程度ていどに留とどまっている。
• 特異とくいな例れいとしては、AKB48では2020年ねんまで姉妹しまいグループと合同ごうどうで同様どうようの成人せいじん式しきを開催かいさいしていた。

各地かくちの成人せいじん式しき

沖縄おきなわ県けん石垣島いしがきじまの石垣いしがき市し白保しらほでは、「成人せいじん者しゃが公民館こうみんかんに村人むらびとを集あつめ、成人せいじんした事ことの喜よろこびと村むらへの感謝かんしゃを踊おどりで表現ひょうげんする」といった行事ぎょうじが伝統でんとう的てきに行おこなわれている。

熊本くまもと県けん阿蘇あそ市しでは、2007年ねん以降いこう（開催かいさいが中止ちゅうしされた2021年ねんを除のぞき）、佐藤さとう義興よしおき市長しちょうがアカペラで歌謡かよう曲きょくを歌うたうのが恒例こうれいになっている。

成人せいじん式しきに類似るいじするもの

近年きんねんでは、新しん成人せいじん以外いがいで一定いってい年齢ねんれいを迎むかえた者ものに対たいしてイベントを開催かいさいする例れいも増ふえている。

20歳さい未満みまんを対象たいしょうにしたもの

最近さいきんでは、学校がっこう行事ぎょうじや総合そうごう的てきな学習がくしゅうの時間じかん（総合そうごう学習がくしゅう）などで、20歳さいの半分はんぶんの年齢ねんれいである10歳さい（小学校しょうがっこう4年生ねんせいの時ときにほとんどの人ひとは迎むかえる）を対象たいしょうに「1/2成人せいじん式しき」（にぶんのいちせいじんしき）、「十じゅう歳さい式しき」（じっさいしき）を開ひらく小学校しょうがっこうが全国ぜんこく的てきに増ふえている。

「2分ぶんの1成人せいじん式しき」も参照さんしょう

また一部いちぶの中学校ちゅうがっこうは中学ちゅうがく2年ねんまたは3年ねんになると学校がっこう行事ぎょうじとして「立志りっし式しき」（りっししき）、「立春りっしゅん式しき」（りっしゅんしき）、「少年しょうねん式しき」（しょうねんしき）、「元服げんぷく式しき」（げんぷくしき）を行おこなうところがある。これは昔むかしの成人せいじん式しきにあたる元服げんぷくを迎むかえる時期じきが現在げんざいの中学生ちゅうがくせいの時期じきにあたるため、その風習ふうしゅうを学まなぶ意味合いみあいも兼かねている。

20歳さい過すぎを対象たいしょうにしたもの

被選挙権ひせんきょけんを得えた25歳さいを祝いわう第だい二に成人せいじん式しき（だいにせいじんしき）は、2010年ねん（平成へいせい22年ねん）1月がつ11日にちの『成人せいじんの日ひ』に、東京とうきょう都と中野なかの区くの中野なかのサンプラザで開催かいさいされた。

また、新あらたに30歳さいを迎むかえる人ひとへの激励げきれい・祝福しゅくふくを行おこなうイベントとして、2012年ねん（平成へいせい24年ねん）に、三十路みそじ式しき（みそじしき）が、神奈川かながわ県けん川崎かわさき市しで、30歳さいの成人せいじん式しきが京都きょうと府ふ与謝よさ郡ぐん与謝野よさの町まちで開ひらかれた。地元じもとを離はなれて疎遠そえんになった同級生どうきゅうせいとの絆きずなの確認かくにんや、地域ちいき社会しゃかいのつながりの強化きょうかを狙ねらったもので、三十路みそじ式しきは、神奈川かながわ県けん平塚ひらつか市しや北海道ほっかいどう、大阪おおさか府ふ、新潟にいがた市し、如水にょすい会館かいかん、明治めいじ記念きねん館かんなど、30歳さいの成人せいじん式しきは北九州きたきゅうしゅう市し、横浜よこはま市し、福島ふくしま県けんいわき市し、福岡ふくおか市し、宮城みやぎ県けん塩竈しおがま市し、ホテルの宴会えんかい場じょうなどでも開催かいさいの動うごきが広ひろがっている。

千葉ちば県けん千葉ちば市しでは、熊谷くまがい俊しゅん人じん市長しちょう（現げん：千葉ちば県知事けんちじ）と山里やまざと亮太りょうた（南海なんかいキャンディーズ・花見川はなみがわ区く出身しゅっしん）が発起人ほっきにんとなって、『40歳さいのW（20歳さい×2）成人せいじん式しき』が2018年ねんから行おこなわれるようになった。

日本にっぽんの皇族こうぞく

天皇てんのう、皇太子こうたいし及および皇すめらぎ太ふとし孫まごの成人せいじん年齢ねんれいは、皇室こうしつ典範てんぱんにより18才さいとされている。

1909年ねんの皇室こうしつ成年せいねん式しき令れい（明治めいじ42年ねん2月がつ11日にち皇室こうしつ令れい第だい4号ごう）から皇族こうぞくのうちの天皇てんのう、皇太子こうたいし及および皇すめらぎ太ふとし孫まご、親王しんのう、王おうについては成年せいねん式しきが行おこなわれるようになったが、1947年ねんの皇室こうしつ令れい及附属ふぞく法令ほうれい廃止はいしの件けんによって廃止はいしされた。皇族こうぞく成年せいねん式しきは天皇てんのうおよび皇族こうぞくが成年せいねんに達たっしたときに行おこなわれる儀式ぎしきであった。令れいによれば、天皇てんのう、皇太子こうたいしおよび皇すめらぎ太ふとし孫まごは満まん18年ねん、そのほかの皇族こうぞくは満まん20年ねんに達たっしたときにおこなわれた。

天皇てんのうの場合ばあい、賢所かしこどころの前まえで行おこなわれ（5条じょう）、賢所かしこどころ、皇霊こうれい殿どのおよび神殿しんでんに奉告ほうこくし、勅使ちょくしに神宮じんぐう、神武じんむ天皇てんのう山陵さんりょう、先帝せんてい先さき后きさきの山陵さんりょうに奉幣ほうへいさせる（3条じょう）。式しきがおわって皇霊こうれい殿どのおよび神殿しんでんに謁し、また太皇太后たいこうたいこうおよび皇太后こうたいごうに謁し、正殿せいでんに御ごして朝賀ちょうがを受うけ、宮中きゅうちゅうで饗宴きょうえんを賜たまう（5条じょう以下いか）。

皇族こうぞくの場合ばあい、賢所かしこどころの前まえで行おこなわれ、おわって皇霊こうれい殿どのおよび神殿しんでんに謁し、天皇てんのう、皇后こうごう、太皇太后たいこうたいこうおよび皇太后こうたいごうに朝見ちょうけんする（9、11、12条じょう）。

皇太子こうたいしおよび皇すめらぎ太ふとし孫まごの場合ばあい、式日しきじつに賢所かしこどころ、皇霊こうれい殿どのおよび神殿しんでんに奉告ほうこくし、式しき後ご、宮中きゅうちゅうで饗宴きょうえんを賜たまう（10、12条じょう）。

日本にっぽん以外いがいでの事情じじょう

世界せかいの成人せいじん式しき

堅けん信しん（カトリック教会きょうかい / 聖せい公会こうかい）

キンセアニェーラ（ラテンアメリカ）

ユーゲントヴァイエ（東ひがしドイツ）

その他たの国くにでは日本にっぽんのように成人せいじん年齢ねんれいに達たっした事ことを全国ぜんこく一斉いっせいに祝いわうような祭典さいてんを行おこなう国くにはほとんどない。

中華人民共和国ちゅうかじんみんきょうわこくなどでは、成人せいじんとなった時期じき（18歳さい）のイベントを成人せいじん式しきとして表現ひょうげんすることもある。

アメリカやカナダでは、スウィート16パーティー (Sweet 16 party)が誕生たんじょう日びに行おこなわれ、大人おとなの仲間入なかまいりを祝いわう。主おもに中ちゅう間あいだ層そう以上いじょうの女子じょしが対象たいしょうだが、近年きんねんは男子だんしでも行おこなう。州しゅうによっても異ことなるが、概おおむね16歳さいから自動車じどうしゃが運転うんてんできるようになる。

アメリカでは、家庭かてい単位たんいで15歳さいになるとナイフやライフルを親おやが子こに贈おくって扱あつかい方かたを教おしえる。

成人せいじんとなる年齢ねんれいは各国かっこくで異ことなるが、成人せいじん年齢ねんれいのデータがある187の国くに・地域ちいきのうち、141の国くに・地域ちいきで成人せいじん年齢ねんれいが18歳さい（16歳さい・17歳さいも含ふくむ）である。

（※世界せかい各国かっこくの成年せいねんになる年齢ねんれいについては「世界せかいにおける成人せいじん年齢ねんれい一覧いちらん」を参照さんしょう）

部族ぶぞく等とうの成年せいねん式しき

• かつて欧州おうしゅう諸国しょこくが進出しんしゅつしたガンビアやセネガルのマンディンゴ族ぞく（マンディンカ）には、カンクラングという成年せいねんの儀式ぎしきが存在そんざいする。口承こうしょうによればコモ（komo）と呼よばれる秘密ひみつ結社けっしゃの儀式ぎしきでもある。
• ザンビアのルバレ族ぞく、チョクウェ族ぞく、ルチャジ族ぞく、ンブンダ族ぞくは、8〜12才さいの男児だんじについてムカンダと呼よばれる成人せいじん式しきを行おこなっている。

関連かんれん項目こうもく

• 蕨わらび市し
• 成人せいじんの日ひ
• 成年せいねん（世界せかいにおける成人せいじん年齢ねんれい一覧いちらん）
• 褌ふんどし祝しゅく
• 通過つうか儀礼ぎれい
• 俗流ぞくりゅう若者わかもの論ろん
• 2分ぶんの1成人せいじん式しき

外部がいぶリンク

• 新しん成人せいじん式しき研究けんきゅう会かい - 「成人せいじん式しき大賞たいしょう」選定せんてい機関きかん、成人せいじん式しきの全国ぜんこく情報じょうほうセンター