ヴォルデモート

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ヴォルデモートきょう
Lord Voldemort
ハリー・ポッター』シリーズのキャラクター
はつ登場とうじょう ハリー・ポッターと賢者けんじゃいし
最後さいご登場とうじょう ハリー・ポッターとのろいの
作者さくしゃ J・K・ローリング
えんじ リチャード・ブレマー(映画えいがばんだい1さくかおおよび回想かいそう
イアン・ハート映画えいがばんだい1さくこえおよびモーションキャプチャ)
レイフ・ファインズ映画えいがばんだい4さく - だい8さく
クリスチャン・コールソン(映画えいがばんだい2さく・16さい
ヒーロー・ファインズ・ティフィン(映画えいがばんだい6さく・11さい
フランク・ディレイン映画えいがばんだい6さく・16さい
ポール・ベントール(舞台ぶたいばん初演しょえん[ちゅう 1]
こえ 江原えばらただし映画えいがばん
石田いしだあきら映画えいがばんだい2さく・16さい
小林こばやしつばさ映画えいがばんだい6さく・11さい
福山ふくやまじゅん映画えいがばんだい6さく - だい7さく・16さい
内海うつみ賢二けんじ(ゲームばんだい1さく
大塚おおつか芳忠よしただ(ゲームばんだい2さく
えなりかずき(ゲームばんだい2さく青年せいねん
ほり勝之かつゆきゆう(ゲームばんだい4さく
詳細しょうさい情報じょうほう
別名べつめい 名前なまえってはいけないあのひと
れいのあのひと
やみ帝王ていおう
きみ
主人しゅじんさま
トム・マールヴォロ・リドル(本名ほんみょう
種族しゅぞく 魔法まほうぞくはん純血じゅんけつ
性別せいべつ 男性だんせい
家族かぞく トム・リドル・シニアちち
メローピー・ゴーントはは
子供こども デルフィーニむすめ
親戚しんせき マールヴォロ・ゴーント祖父そふ
モーフィン・ゴーント伯父おじ
年齢ねんれい 71さいぼつ年齢ねんれい
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ヴォルデモートきょう(ヴォルデモートきょう、えい: Lord Voldemort)は、J・K・ローリング小説しょうせつハリー・ポッター』シリーズおよび、その派生はせい作品さくひん登場とうじょうする架空かくう人物じんぶつ

主人公しゅじんこうハリー・ポッター最大さいだい最強さいきょうてき。イギリス魔法まほうかいひろおそれられる、やみ魔法使まほうつか。「純血じゅんけつ主義しゅぎ」のもと、マグル出身しゅっしんしゃ排除はいじょをもくろんでいる。

かつてあかぼうのハリー・ポッターを殺害さつがいしようとしたさい、そのははリリー・ポッターのあい魔法まほうによって失敗しっぱいし、ちからうしなう。そのため、自身じしん復活ふっかつをもくろんで暗躍あんやくし、だい4かんほのおのゴブレット』で肉体にくたい復活ふっかつさせてからはみずからの最強さいきょう証明しょうめいすべく、ちからうしなった原因げんいんであるハリーを執拗しつようねらう。

登場とうじょうするのはだい1かん賢者けんじゃいし』、だい2かん秘密ひみつ部屋へや』(分霊ぶんれいばこたましいとして)、だい3かんアズカバンの囚人しゅうじん』(名前なまえのみ)、だい4かんほのおのゴブレット』、だい5かん不死鳥ふしちょう騎士きしだん』、だい6かんなぞのプリンス』(記憶きおくのなかの存在そんざいとして)、だい7かん秘宝ひほう』、『のろいの』(逆転ぎゃくてん時計とけい使つかったさい)。

人物じんぶつ[編集へんしゅう]

名前なまえ通称つうしょう[編集へんしゅう]

本名ほんみょうトム・マールヴォロ・リドル (Tom Marvolo Riddle) 。ファーストネームはちちトム・リドル・シニア、ミドルネームは母方ははかた祖父そふマールヴォロ・ゴーントに由来ゆらいし、ほろびははメローピーが間際まぎわ遺言ゆいごんした。しかし幼少ようしょうからトムという「平凡へいぼん名前なまえ」がもともときではなく、のちに自身じしん出生しゅっしょうるとちちおなめい完全かんぜん嫌悪けんおするようになり、自身じしんのフルネームをならえてI am Lord Voldemort” (わたしはヴォルデモートきょうだ)と名乗なのるようになる[1]

のちに英国えいこく魔法まほうかい混乱こんらんおとしいれると、おおくの魔法使まほうつかいは恐怖きょうふのあまり「ヴォルデモート」のくちすことさえおそれるようになった。そこでヴォルデモートをしめ言葉ことばとして「れいのあのひと (You-Know-Who) 」 、「名前なまえってはいけないあのひと (He-Who-Must-Not-Be-Named) 」などがもちいられる。

ヴォルデモートにしたがじんも、「やみ帝王ていおう (Dark Lord) 」や「きみ (My Lord) 」、「主人しゅじんさま」とび、その直接ちょくせつくちすことはほとんどない[ちゅう 2]

ただし、はんヴォルデモート指導しどうしゃでもあるアルバス・ダンブルドアはこれらの隠語いんご使つかうことに反対はんたいしており、その影響えいきょうけたシリウス・ブラックリーマス・ルーピンらもおそれずに名前なまえくちにする。マグルのもとでそだったハリー・ポッターハーマイオニー・グレンジャーは、はじめから名前なまえくちにすることに抵抗ていこうかんはない。そのほか、ヴォルデモートに抵抗ていこうする意志いししめすために名前なまえくちにする人物じんぶつもいる[ちゅう 3]

ヴォルデモートが暗躍あんやくしはじめたころ、トム・リドルとヴォルデモートがどう一人物いちじんぶつであることにづいた魔法使まほうつかいはすくなかった[ちゅう 4]。ヴォルデモートの正体しょうたい本名ほんみょうものすくないが、作中さくちゅうではアルバス・ダンブルドアが「トム」とぶほか、だい7かん終盤しゅうばんではハリーが「リドル」とぶ。

「ヴォルデモート」の語源ごげんは、フランス語ふらんすごで「飛翔ひしょう」または「窃盗せっとう」 (vol de mort) 。発音はつおんヴォルデモーで「t」を発音はつおんしないフランス語ふらんすごみがただしく[2]作者さくしゃのローリングもインタビューでヴォルデモートについて言及げんきゅうしたさいフランス語ふらんすごふうに「ヴォルドゥモール」と発音はつおんしている[3]。2022ねん開幕かいまく舞台ぶたいハリー・ポッターとのろいの東京とうきょう公演こうえんではこれまでの日本語にほんごやくとはことなり、ヴォルデモートは「ヴォルデモー」、トム・マールヴォロ・リドルは「トム・マルヴォーロ・リドル」と発音はつおんされる[4]

外見がいけん[編集へんしゅう]

わかいころは父親ちちおやととのった顔立かおだちの青年せいねんだったが[ちゅう 5]分霊ぶんれいばこ作成さくせいをはじめとした肉体にくたい改造かいぞう影響えいきょうで、1956ねんごろのふゆにダンブルドアと再会さいかいした時点じてんではかげもない姿すがた変貌へんぼうしている。はだ青白あおじろく、はな無理むりやりみをれたようにつぶれ、ひとみあかく(映画えいがばんではあお)、いたようにほそいというその姿すがたは、自身じしん所属しょぞくしていたスリザリンりょう象徴しょうちょうへびおもわせる。変貌へんぼう以前いぜんも、激昂げっこうしたときはひとみあか変化へんかしていた。

性格せいかく[編集へんしゅう]

目的もくてきのためなら手段しゅだんえらばず、あかぼう(ハリー)や老人ろうじんでも敵対てきたいするならいのちうばうこともいとわない、冷酷れいこく無比むひかつ自分じぶん本位ほんい性格せいかく自分じぶん以外いがい信用しんようせず、他人たにんちからりることをきらう。異常いじょうなまでにちからえ、ひど差別さべつてき思想しそうっている[ちゅう 6]冷静れいせいさをっているときは無意味むいみ殺人さつじんけたり、ハリーの「死亡しぼう」というホグワーツがわにとって絶望ぜつぼうてき状況じょうきょうのなか、果敢かかん自身じしん攻撃こうげきしてきたネビルの勇敢ゆうかんさをたたえ、じんまねくといっためんせる。しかし逆上ぎゃくじょうすると、部下ぶかじんをも平然へいぜん殺害さつがいする。また、本人ほんにんにとっては勢力せいりょく拡大かくだい利用りようするためとはいえ、魔法まほうぞく迫害はくがいしてきた巨人きょじんやみ生物せいぶつ自由じゆう権利けんりあたえ、偏見へんけんもちいないで友好ゆうこうべるという、ほかの魔法使まほうつかいにはないいちめんもある[ちゅう 7]作者さくしゃは「100ねんぶりにあらわれたもっと邪悪じゃあく魔法使まほうつかい」として描写びょうしゃする。

おさなころから弱者じゃくしゃ隷従れいじゅうさせることを当然とうぜんかんがえているふしがあり、弱者じゃくしゃ隷従れいじゅうさせるために意識いしきてきに「ちから」を行使こうししていた。同時どうじにその「ちから」に限界げんかいがあることも自覚じかくしていたようで、ダンブルドアに「ちから」がかないことをってからは、かれたいしてそれ以上いじょうの「ちから」を行使こうししなかった。魔法まほうかいはじめて接触せっしょくした11さいのときにはすでに「選民せんみん思想しそう」をいており、自身じしんが「他者たしゃとはことなる特別とくべつ存在そんざい」であることをつねのぞんでいる。

両親りょうしんらないという、自身じしん出生しゅっしょうについてコンプレックスをいており、ホグワーツ在学ざいがくちゅうに「純血じゅんけつ主義しゅぎ」をると、純血じゅんけつ魔法使まほうつか以上いじょうにこの思想しそうにのめりんだ。また自身じしん出生しゅっしょう関連かんれんして他人たにんしんあいすることができず、犠牲ぎせいしるしなどの「愛情あいじょうもとづく魔法まほう」の存在そんざいっているが過小かしょう評価ひょうかしている。ダンブルドアには「あのもの知識ちしきなさけないほど不完全ふかんぜんなまま」「みずからが価値かちみとめぬものにかんして理解りかいしようとはせぬ」とひょうされている。

自身じしん復活ふっかつ尽力じんりょくしたバーテミウス・クラウチ・ジュニアを「もっと忠実ちゅうじつ部下ぶか」とび、ろうをねぎらう。ルシウス・マルフォイベラトリックス・レストレンジにも、すくなからず信頼しんらいいているが、かれらにあづけていた分霊ぶんれいばこうしなったさいには「2人ふたり信用しんようしたのは間違まちがいだった」と後悔こうかいする。

セブルス・スネイプにもルシウスやベラトリックスと同様どうよう信頼しんらいいており、作中さくちゅうではベラトリックスがスネイプを嫉視しっしする描写びょうしゃがある。しかしひらけ心術しんじゅつ達人たつじんでありながらスネイプの強固きょうこな閉心じゅつやぶれず、それがハリーとの戦局せんきょくおおきく左右さゆうする。また経歴けいれきにおいて共通きょうつうする部分ぶぶん多々たたられ、クラウチ・ジュニアや、宿敵しゅくてきのハリー以上いじょう同類項どうるいこうとなっているものの、たがいのえない敵意てきい不信ふしん、そして前述ぜんじゅつじゅつくらべの関係かんけいることはなかったとおもわれる。

母親ははおやたいしては特別とくべつおもいをいているふしがあるが、同時どうじに「特別とくべつ」であったははでも克服こくふくできなかった「」を異常いじょうおそれている。けることと、他者たしゃにない特別とくべつせいることをもとめた結果けっかやみ魔術まじゅつである分霊ぶんれいばこ辿たどき、それを多数たすう作製さくせいすることになる。結果けっかとして本体ほんたいたましい大人おとな姿すがた維持いじできないほどにそこなわれ、よわてている[ちゅう 8]

才能さいのう[編集へんしゅう]

一般いっぱん魔力まりょく制御せいぎょできないとされる年齢ねんれいから「ちから」を自覚じかくして制御せいぎょするなど、魔法まほう才能さいのうめぐまれており、ホグワーツ在学ざいがくちゅう分野ぶんやわずけた試験しけんはつねにトップ、くわえて監督かんとくせい首席しゅせきつとめ、ダンブルドアに「ホグワーツはじまって以来いらい最高さいこう秀才しゅうさい」とひょうされる。

史上しじょう最強さいきょう魔法使まほうつかいのひとりとされており、ダンブルドアも「あやつにはわしにはないちからがあった」「いかなる魔法まほうこうじてもヴォルデモートにはかならやぶられてしまう」とその実力じつりょくみとめている。ハリーにより一時いちじ失脚しっきゃくするまえは史上しじょう最強さいきょうとされながらも発展はってん途上とじょうにあり、そのちからはますますつよくなっていく一方いっぽうだったとされている。何人なんにんれないホグワーツの防壁ぼうへきさえヴォルデモートならば破壊はかいするじゅつつけるだろうとされており、最終さいしゅう決戦けっせんにおいてはホグワーツの防壁ぼうへき破壊はかいして大勢おおぜい配下はいかをホグワーツにおくむ。また、ヴォルデモートは一定いってい条件下じょうけんかにおいて、未来みらいから特定とくてい事象じしょう排除はいじょするなど運命うんめい干渉かんしょうすることさえできる。

戦闘せんとうにおいてはゆるされざる呪文じゅもんであるはりつけ呪文じゅもん(クルーシオ)や、無尽蔵むじんぞう魔力まりょくにより際限さいげんなく「のろ」(アバダケダブラ)をはなち、防御ぼうぎょさいにはダンブルドアの魔法まほうさえふせ銀色ぎんいろたてなどをあやつる。

映画えいがばんではバジリスクした「悪霊あくりょう」や、エネルギーを集約しゅうやく強烈きょうれつ衝撃波しょうげきは発生はっせいさせるといった、原作げんさくでは使つかわない大技おおわざ表現ひょうげんされている。ホグワーツのたたかいでは、うことをかずニワトコのつえ亀裂きれつはいるが、すうひゃくにん単位たんいそう攻撃こうげきでもやぶれなかったホグワーツの防御ぼうぎょ魔法まほう一撃いちげき破壊はかいする。

魔法まほう知識ちしきかんしても、ダンブルドアは「存命ぞんめいちゅう魔法使まほうつかいのだれをもしの広範こうはん魔法まほう知識ちしきっている」と評価ひょうかする。それにくわえ、かり肉体にくたい創造そうぞうする魔法まほうだい4かん)やほうき使つかわない飛行ひこうじゅつ(7かん)などの魔法まほう発明はつめいするなど、数々かずかず実験じっけんおこな魔法まほう境界きょうかいせんをかつてないほどにひろげたやみ魔術まじゅつ研究けんきゅうしゃとしてのいちめんもある。ちかしいじんやみ魔術まじゅつ指導しどうすることもあり、ベラトリックス・レストレンジはヴォルデモートのほどきによってきん戦闘せんとうりょくゆうしている。また、セブルス・スネイプはほうき使つかわずに自在じざいそらじゅつをヴォルデモートからおそわった。

相手あいて記憶きおく完璧かんぺきかいざんすることができ、ホグワーツの学生がくせい時代じだいからすでに完全かんぜん犯罪はんざいげていた。ダンブルドアでさえ、ヴォルデモートが記憶きおくかいざんをおこなったと推量すいりょうするにしかいたっておらず、みずからの犯罪はんざい証拠しょうこ微塵みじんのこさない。魔法まほうかいでも稀有けうパーセルマウスまれつきのへび使つかい)であり、作中さくちゅうでもペットのナギニとへび会話かいわするシーンが随所ずいしょえがかれている。この能力のうりょく直接ちょくせつ血縁けつえんであるはは・メローピー、祖父そふ・マールヴォロ、伯父おじ・モーフィンもっている。

人知じんちえたひらく心術しんじゅつ使つかとされ、うそ確実かくじつ見抜みぬくことでられる。また話術わじゅつけており、わかいころはたくみな話術わじゅつ相手あいてしんひらくことを得意とくいとしていた。作中さくちゅうではだい2かんでハリーやジニー・ウィーズリーが、だい6かんではヘプジバ・スミスホラス・スラグホーンが、だい7かんでは「灰色はいいろのレディ」が、ヴォルデモートにしんひらく。だい7かんでハリーはヴォルデモートを「そのになれば魅力みりょくてきになれた」とひょうする。

人間にんげん関係かんけい[編集へんしゅう]

ちちマグルトム・リドル・シニアははは「純血じゅんけつ」の魔女まじょメローピー・ゴーント母方ははかた親戚しんせきとして祖父そふマールヴォロ伯父おじモーフィンがいる。

父方ちちかた親戚しんせきは、祖父母そふぼ存在そんざいのみがえがかれている。夫妻ふさいは「金持かねもちで、高慢こうまんちきで、礼儀れいぎらず」な人物じんぶつだったが、名前なまえなどは不明ふめい[ちゅう 9]。この夫妻ふさいは1943ねん、トム・リドル・シニアとともにリドルのかんでヴォルデモートが殺害さつがいした。

母方ははかた親戚しんせきすじであるゴーントは、サラザール・スリザリン子孫しそんであると同時どうじにペベレルさん兄弟きょうだい次男じなんカドマス・ペベレル子孫しそんでもある[ちゅう 10]。ゴーント純血じゅんけつ名家めいかであることにこだわるあまり、いく世代せだいにもわたって近親きんしんこんかえしていた。このため精神せいしん状態じょうたいなんのある人物じんぶつ誕生たんじょうするようになっており、メローピーは父兄ふけいから虐待ぎゃくたいにもひとしい待遇たいぐうけていた。1926ねん12月31にちにメローピー、1927ねんごろにマールヴォロが相次あいついで死亡しぼう最後さいごまでのこったモーフィンがアズカバン獄中ごくちゅうしたことによって、ゴーント断絶だんぜつした。同時どうじに、ヴォルデモートの親族しんぞく全員ぜんいん死亡しぼうした。

著者ちょしゃローリングは当初とうしょ「ヴォルデモートに子供こどもはいない」とこたえていたが[5]、シリーズ終了しゅうりょう発表はっぴょうされた舞台ぶたいハリー・ポッターとのろいの』では、ヴォルデモートのちからとゴーント・スリザリンの血筋ちすじ継承けいしょうするために、部下ぶかのベラトリックス・レストレンジとのあいだにデルフィーニ(Delphini)というむすめもうけていたことになっている。デルフィーニはベラトリックスのおっとロドルファス・レストレンジのもとで世間せけんからかくれながらそだち、ちち復活ふっかつはかるも、ひと一人ひとり殺害さつがいしたつみでアズカバンに投獄とうごくされる。

部下ぶかであるじんは、差別さべつてき純血じゅんけつ主義しゅぎしゃ中心ちゅうしんでヴォルデモートの権力けんりょく実力じつりょくかれたかったもの恐怖きょうふしんからしたがもの大半たいはんめるが、そのなかには、ベラトリックスやクラウチ・ジュニアのように、ヴォルデモートにたいして主従しゅうじゅう関係かんけいえた敬慕けいぼねんいだものもいる。とくにベラトリックスはおっとがいるにもかかわらず、ヴォルデモートにふか愛情あいじょう忠誠ちゅうせいささげており、ホグワーツのたたかいのまえにヴォルデモートのむ。

ヴォルデモート最大さいだいてきとしては、アルバス・ダンブルドアハリー・ポッター名前なまえげられる。ダンブルドアにたいしては、ヴォルデモート自身じしんかれおよばないということを自覚じかくしているため、対決たいけつける傾向けいこうにある。ハリーにたいしては、1979ねんごろに予言よげんった当初とうしょたんなる不安ふあん要素ようそ程度ていど認識にんしきしかなかったが、ハリーにはなった「呪文じゅもん」ががえり、肉体にくたいうしなった1981ねん以降いこうは、自身じしん弱点じゃくてんをなくし、みずからの最強さいきょう証明しょうめいするため、つよ執着しゅうちゃくつようになる。

財産ざいさん・ペット[編集へんしゅう]

つえ
本体ほんたいイチイ再生さいせいのシンボルとされる)、しん不死鳥ふしちょう尾羽おば、34センチメートル。ハリーのつえとはしんおなじ(=兄弟きょうだいつえ)。そのため、ハリーと対決たいけつしたさいつえおもいどおりに機能きのうせず、この弱点じゃくてん克服こくふくするためにニワトコのつえもとめるようになる。
なお、このつえはヴォルデモートの失踪しっそうちゅう、ポッター放置ほうちされていたが、ピーター・ペティグリューによってされ、ヴォルデモートのもど[6]
ナギニ
ヴォルデモートがっている巨大きょだいめすへび。ヴォルデモートがもっと信頼しんらいしている生物せいぶつで、「ヴォルデモートがなにかをきになることがあるとすれば、それはナギニである」とダンブルドアはかたる。
戦力せんりょくとしても強力きょうりょく存在そんざいで、ヴォルデモートの命令めいれい正確せいかくにこなし、バチルダ・バグショットけてハリーのいのちねらったり、スネイプを殺害さつがいしたりする。ヴォルデモートの分霊ぶんれいばこのひとつであり、強力きょうりょく魔法まほう特性とくせいつものでしかたおせない。
名前なまえ由来ゆらいは、インド神話しんわへびしんナーガ (Naga) の女性じょせいがた、Nagini。
分霊ぶんれいばこ

略歴りゃくれき[編集へんしゅう]

トム・リドル時代じだい[編集へんしゅう]

1926ねん12月31にち臨月りんげつはは・メローピーがんだロンドンのウール孤児こじいんまれる。この時点じてんちち親族しんぞくとは音信いんしん不通ふつうであり、ははもリドルをんだ直後ちょくごくなる。まれるまえからちちてられ、名前なまえしかのこさなかったははにも「見捨みすてられた」とかんじていたリドルは、まれそだったマグルの孤児こじいん事務じむてき扶育ふいくにより十分じゅうぶん愛情あいじょうられず、愛情あいじょうしんじられないまま成長せいちょうする。作者さくしゃのローリングはインタビューで、リドルのちは「愛情あいじょうのない結婚けっこん」の有害ゆうがいせい象徴しょうちょうするものとかたっている[6]

おさないリドルは出自しゅつじらないながらも自身じしん特別とくべつな「ちから」があると自覚じかくし、その「ちから」を他者たしゃ支配しはいのために行使こうししていた。そして1938ねんなつ孤児こじいんおとずれたダンブルドアから自身じしん魔法使まほうつかいであることをらされ、ホグワーツ魔法まほう魔術まじゅつ学校がっこう入学にゅうがく、スリザリン寮生りょうせいとなる。自身じしん魔法使まほうつかいである理由りゆうについて、このときはちち才能さいのういだものとかんがえ、「くっした」はは普通ふつう人間にんげん(マグル)であるとおもっていた。

ホグワーツ在学ざいがくちゅうすぐれた頭脳ずのう才能さいのうぬしとしてられ、ダンブルドアに「ホグワーツはじまって以来いらい秀才しゅうさい」とひょうされた。5ねん (1942ねん) には監督かんとくせいに、7ねん (1944ねん) には首席しゅせきえらばれている。もともとひときつける魅力みりょくがあり、表面ひょうめんじょう成績せいせき優秀ゆうしゅう模範もはんせいえんじていたこともあって、その父親ちちおやゆずりの端正たんせい容姿ようし不幸ふこう境遇きょうぐうけっしておごらない謙虚けんきょ態度たいどにより、教授きょうじゅじんから絶対ぜったいてき信頼しんらい同情どうじょうあつめた。その一方いっぽう在学ざいがくちゅう分霊ぶんれいばこ存在そんざいり、それを作成さくせいするべく未成年みせいねんながら殺人さつじんおかしている。

秘密ひみつ部屋へや」をさがてたリドルは、5ねんつぎひそかに部屋へやひらき、バジリスク解放かいほうしてレイブンクローせいマートル・エリザベス・ウォーレンいたらしめた[ちゅう 11]。1943ねん6がつ13にち、グリフィンドールせいルビウス・ハグリッドつみせて退学たいがくみ、自身じしん犯人はんにんらえたとしてホグワーツ特別とくべつ功労賞こうろうしょう授与じゅよされた[ちゅう 12]

在学ざいがくちゅう、リドルは純血じゅんけつ主義しゅぎにのめりむと同時どうじみずからの出生しゅっしょうさがて、ちちがマグル、ははがホグワーツ創設そうせつしゃサラザール・スリザリンの末裔まつえいであることをめる。そして1943ねんなつはは実家じっか伯父おじモーフィン・ゴーントと対面たいめんし、「凡庸ぼんようなマグル」のちちが「魔法使まほうつかいのなかでも特別とくべつ」だったははてたことをる。リドルははは復讐ふくしゅうとして、また自分じぶんにふさわしくない血筋ちすじ抹殺まっさつとして、ちち父方ちちかた祖父母そふぼ殺害さつがいし、そのつみをモーフィンにせた。また、マグルのちちおなじ「トム・リドル」の嫌悪けんおし、自身じしん相応ふさわしいあらたな名前なまえとして「ヴォルデモートきょう」を考案こうあんし、ひそかに使つかいはじめる。

このころ、すでにホークラックス(分霊ぶんれいばこ)の概要がいようっており、ホラス・スラグホーンにたましいふた以上いじょう分割ぶんかつした場合ばあいについてう。このほかにも、ちかしい学生がくせいにみずからのちからしめして、のちにじんとなるものしたがえている。こうしたリドルの邪悪じゃあくめん見抜みぬき、警戒けいかいしていたのはダンブルドアだけであった。

卒業そつぎょう進路しんろとして「やみ魔術まじゅつたいする防衛ぼうえいじゅつ」の教授きょうじゅ志願しがんした。ダンブルドアは「教師きょうし恩師おんしという立場たちばからおし影響えいきょうりょく行使こうしすること」と「歴史れきしあるホグワーツこうされた魔術まじゅつ探求たんきゅう」が目的もくてきかんがえ、当時とうじ校長こうちょうアーマンド・ディペットたいしリドルにしょくあたえないよう進言しんげん、ディペットもそれにしたがった。

教授きょうじゅしょく拒否きょひされたため、ホグワーツ卒業そつぎょうは「よるやみ横丁よこちょう」にあるボージン・アンド・バークスに就職しゅうしょく在学ざいがくちゅう経歴けいれきにふさわしくないとして周囲しゅういおどろかせたが、かれ自身じしんは「将来しょうらい特別とくべつになる自分じぶん相応ふさわしい、伝統でんとう由緒ゆいしょある魔法まほう探索たんさく入手にゅうしゅ」を目的もくてきとしていた。そしてみずからの目的もくてき相応ふさわしい魔法まほう発見はっけんすると、ぬしであったヘプジバ・スミスを殺害さつがいしてそれらを入手にゅうしゅし、失踪しっそうする。

ヴォルデモートきょう時代じだい[編集へんしゅう]

失踪しっそうしている期間きかんに、のちにかくひそアルバニアもりおとずれている。また、ひそかに自分じぶん忠実ちゅうじつ部下ぶかじんあつめていた。やみ魔術まじゅつ研究けんきゅうおこなっていたのもこの時期じきである。

失踪しっそうからやく10ねんである1956ねんごろのふゆ、ふたたび「やみ魔術まじゅつたいする防衛ぼうえいじゅつ」の教授きょうじゅ志願しがんし、校長こうちょう就任しゅうにんしていたダンブルドアと会合かいごうおこなう。表面ひょうめんてきには友好ゆうこうてき会話かいわのあと、ダンブルドアは再度さいどヴォルデモートのたのみを拒否きょひする。ヴォルデモートは戦闘せんとう寸前すんぜんいたるもののそのままるが、代償だいしょうとして自分じぶんいのちあるかぎり「やみ魔術まじゅつたいする防衛ぼうえいじゅつ教授きょうじゅ任期にんきが1ねん以上いじょうつづく」という事象じしょう排除はいじょした。この時点じてんでダンブルドアは、ヴォルデモートにつみつぐなわせることができるときったと判断はんだんした。

1970ねんごろから、活動かつどう本格ほんかくじんひきいて、「マグルまれ」や「はん純血じゅんけつ」の魔法使まほうつかいの粛清しゅくせいした。その過程かてい反対はんたい勢力せいりょく容赦ようしゃなく殺戮さつりくし、英国えいこく魔法まほうかい暗黒あんこく時代じだいまねいた。「不死鳥ふしちょう騎士きしだん」とのこうそうがもっともはげしかった時期じきであり、この当時とうじ、ヴォルデモートがわ勢力せいりょく騎士きしだんがわの20ばいとされる。ヴォルデモート陣営じんえい抗戦こうせんしたやみばらい、魔法まほうしょう職員しょくいん騎士きし団員だんいんらを中心ちゅうしん多数たすう死者ししゃし、一家いっか全滅ぜんめつまれたものすくなくない。ヴォルデモートはマッキノン、ボーン、プルウェットといった当時とうじもっとも強力きょうりょくとされた魔法使まほうつかいの一族いちぞく次々つぎつぎ駆逐くちくしていき、殺害さつがいした犠牲ぎせいしゃ亡者もうじゃ軍隊ぐんたいができるほどであったという。

英国えいこく魔法まほうかい人々ひとびとはヴォルデモートをおそれ、そのくちにするのをけるようになる。その所業しょぎょうは、それまで史上しじょう最悪さいあくやみ魔法使まほうつかいとわれたゲラート・グリンデルバルド存在そんざい人々ひとびと記憶きおくから完全かんぜん忘却ぼうきゃくさせたほどだとわれている。

1979ねんごろ、手下てしたのひとりセブルス・スネイプの報告ほうこくによって、みずからをほろぼす可能かのうせいもの出現しゅつげんシビル・トレローニーによって予言よげんされたことをる。このとき予言よげんされた人物じんぶつ将来しょうらいポッターまれる子供こどもだとかんが[ちゅう 13]、ポッターねらうようになる。

1981ねん10がつ31にち未明みめいピーター・ペティグリュー密告みっこくによってポッター居場所いばしょめ、ゴドリックのたに襲撃しゅうげきし、ジェームズ・ポッターリリー・ポッター夫妻ふさい殺害さつがいする。しかし、当時とうじ1さいだったハリー・ポッターはなった「のろい」がリリーののこした「まもりの魔法まほう」でかえり、自身じしん肉体にくたいうしなう。同時どうじに、たましい一部いちぶがハリーに憑依ひょういし、ハリーとのあいだに精神せいしんてき交感こうかんまれる。分霊ぶんれいばこたましい保存ほぞんしていたことでこそまぬかれたものの、非常ひじょうよわ生命せいめいたいになったヴォルデモートは逃亡とうぼうし、アルバニアのもり潜伏せんぷくする。この事件じけん魔法まほうかいはヴォルデモートが「消滅しょうめつ」したとかんがえ、早朝そうちょうからまつさわぎとなり、ハリーの英雄えいゆうとしてひろまった。配下はいかじん裁判さいばんのすえアズカバンに投獄とうごくされたり、立場たちばひるがえすなどして組織そしき解体かいたいされた。

1991ねんなつ潜伏せんぷくさきのアルバニアにやってクィリナス・クィレルあやつってその肉体にくたい憑依ひょういする。自身じしん肉体にくたいもどすべく「賢者けんじゃいし」をもとめるが、ハリーたちの活躍かつやくによって失敗しっぱいわり、クィレルも死亡しぼうしたため、ふたたびアルバニアへ逃亡とうぼうする。

1992ねん10がつ31にち学生がくせい時代じだい日記にっき分霊ぶんれいばこのひとつ)にふうじていた自身じしんたましいやく50ねんぶりにホグワーツの「秘密ひみつ部屋へや」をひらき、バジリスクをはなつ。しかし翌年よくねん、ハリーによってバジリスクはたおされ、それをあやつっていたたましい日記にっきごと破壊はかいされる。

1994ねんなつ、ピーター・ペティグリューの協力きょうりょくてイギリスに帰国きこく同時どうじに、脱獄だつごくしたかつての配下はいかバーテミウス・クラウチ・ジュニアをひそかにホグワーツへおくむ。よく1995ねん6がつ、クラウチ・ジュニアの協力きょうりょくによって、「ハリーの」をもちいて肉体にくたいもどし、ハリーと決闘けっとうする。しかし、ヴォルデモートのつえとハリーのつえが「兄弟きょうだいつえ」であったため正常せいじょうはたらかず、結果けっかハリーをがすことになる。

復活ふっかつは、魔法まほう大臣だいじんコーネリウス・ファッジ現実げんじつ逃避とうひした態度たいどじょうじ、かつての配下はいかせふたたび組織そしきかためるとともに、水面すいめんでハリーをたおがかりをれようとする。1996ねん6がつ精神せいしんてき交感こうかん利用りようしてハリーを魔法まほうしょう神秘しんぴさそし、けていたじんとハリーをまもる「不死鳥ふしちょう騎士きしだん」とのたたかいをこす(神秘しんぴたたかい)。たたかいの最中さいちゅうがかりとなる予言よげんたま破壊はかいされたとると、魔法まほうしょう姿すがたあらわしハリーをころそうとするが、ダンブルドアに阻止そしされる。このとき、おおくの人々ひとびと姿すがた目撃もくげきされ、公式こうしき復活ふっかつ認知にんちされる。

その活動かつどう活発かっぱつさせ、魔法まほうかいにふたたび暗黒あんこく時代じだいをもたらす。そして、自分じぶんにとって最大さいだいてきであるダンブルドアを殺害さつがいするようドラコ・マルフォイめいじる。1997ねん6がつ、セブルス・スネイプがドラコのわりにこれをげる。同年どうねん8がつ1にち魔法まほう大臣だいじんルーファス・スクリムジョール殺害さつがいし、傀儡かいらいパイアス・シックネスわりの大臣だいじんえる。こうして魔法まほうしょう掌握しょうあくし、ついに魔法まほうかい実質じっしつてき支配しはいしゃとなる。以後いご、「純血じゅんけつ主義しゅぎ」にもとづき、「マグルまれ」を徹底的てっていてき排除はいじょする政策せいさくすすめる。

ホグワーツじょうでのたたかいと最期さいご[編集へんしゅう]

そして、宿敵しゅくてきハリーをたおすため、最強さいきょうつえばれる「ニワトコのつえ」を捜索そうさく。1998ねんはる、これを入手にゅうしゅする。5月にはいり、ハリーのによって分霊ぶんれいばこ破壊はかいされつつあることをると、ハリーと決着けっちゃくをつけるためホグワーツへむ。じん吸魂おに巨人きょじん構成こうせいされたヴォルデモート陣営じんえいと、不死鳥ふしちょう騎士きしだんやダンブルドア軍団ぐんだんなどで構成こうせいされるホグワーツ防衛ぼうえいたいによる戦闘せんとうとなり、ホグワーツがわ半数はんすう死傷ししょうさせる。しかしこのあいだに、ほとんどの分霊ぶんれいばこ破壊はかいされる。

5月2にち未明みめい投降とうこうおうじたハリーをのろいで殺害さつがいしようとするが、ハリーがぬことはなく、ぎゃくにハリーのなかにあったヴォルデモート自身じしんたましい一部いちぶ破壊はかいされる。しかし、それにづいたナルシッサ・マルフォイ保身ほしんにより、ハリーが絶命ぜつめいしていないことにづかなかったばかりか、凱旋がいせん最中さいちゅう一瞬いっしゅんすきかれ、最後さいご分霊ぶんれいばこだったあいへびナギニがネビル・ロングボトムられ、「破壊はかい」される。ついで、ホグワーツがわだい増援ぞうえん到着とうちゃくし、混戦こんせんなか主要しゅよう部下ぶかをすべてうしない、ついにハリーと一対一いちたいいち対峙たいじすることとなる。

ハリーから自分じぶんが「ニワトコのつえ」の「しん所有しょゆうしゃ」ではないとげられ、分割ぶんかつされたたましいもともど唯一ゆいいつ手段しゅだんである悔恨かいこんのチャンスをあたえられるが、これを無視むし。「しん所有しょゆうしゃ」であるハリーに、「ニワトコのつえ」をもちいて呪文じゅもんはなったため、呪文じゅもんがみずからにはねかえり、名実めいじつともに死亡しぼうする。71さいぼつたましい生前せいぜん分霊ぶんれいばこ作成さくせいによって損傷そんしょうよわっていたため、死後しご世界せかいすすむこともゴーストになって現世げんせいもどることもできず、永遠えいえん生死せいし狭間はざま世界せかい(リンボ)釘付くぎづけとなる。

映画えいがばんハリー・ポッターと秘宝ひほう PART2』では、ハリーの逃走とうそうゆるすところまではほぼ原作げんさくどおりだが、そのげたハリーをいかけ、校舎こうしゃまえ広場ひろば対峙たいじし、一騎討いっきうちちとなる。相手あいて忠誠ちゅうせいしんつえ使つかい、かつ分霊ぶんれいばこのほとんどを破壊はかいされているという圧倒的あっとうてき不利ふり状況じょうきょうでも、最初さいしょはハリーを圧倒あっとうするも、たたかいの最中さいちゅうにナギニがたおされたことで急激きゅうげき弱体じゃくたいし、ついには魔法まほうけ、呪文じゅもんみずからにかえる。それによってからだてていき、最期さいごこえにならない断末魔だんまつまとともに、無数むすうちりとなって完全かんぜん消滅しょうめつする。

死因しいん[編集へんしゅう]

1981ねん10がつ31にち、ヴォルデモートが当時とうじあかぼうだったハリーに「のろい」を使つかったさい、リリー・ポッターのあいによる防御ぼうぎょ呪文じゅもん呪文じゅもんかえされた。このとき、ヴォルデモート自身じしんのこっていたたましい一部いちぶがハリーにっかかり、ハリーは「ヴォルデモートが意図いとせずにつくった分霊ぶんれいばこ」となった。

1995ねん、ヴォルデモートは肉体にくたい復活ふっかつさせるための材料ざいりょうてき)として、ハリーの使つかったため、ヴォルデモートの肉体にくたいはハリーの宿やどるリリーの「ハリーをまも防御ぼうぎょ呪文じゅもん」までもんでいた。したがって、ハリーはヴォルデモートの肉体にくたいきているかぎななくなったのである。また、分霊ぶんれいばこ強力きょうりょく魔法まほう特性とくせいったものでしか破壊はかいできない。ヴォルデモートはその要件ようけんたす「ニワトコのつえ」で、分霊ぶんれいばこのひとつであるハリーにたいして「のろい」をもちいるが、上記じょうき理由りゆうでハリーを殺害さつがいすることはできず、ハリーにのこっていたヴォルデモートのたましいだけが破壊はかいされる結果けっかとなる。

また、ヴォルデモートは「ニワトコのつえ」の所有しょゆうしゃであるダンブルドアを殺害さつがいしたスネイプが「つえ」の忠誠ちゅうせいしんた「しん所有しょゆうしゃ」だとかんがえ、スネイプを殺害さつがいするのだが、実際じっさいにはその直前ちょくぜんにドラコ・マルフォイによってダンブルドアが「武装ぶそう解除かいじょ」されたため、「つえ」の忠誠ちゅうせいしんはドラコに移動いどうしていた[ちゅう 14]。その、マルフォイていひろげられたハリーたちとじんとの戦闘せんとうにおいて、ドラコがハリーに武装ぶそう解除かいじょされたため、ヴォルデモートとハリーが対峙たいじした時点じてんで「つえ」の忠誠ちゅうせいしんはハリーに移動いどうしていた。そして、ヴォルデモートが「ニワトコのつえ」をもちいてはなった「のろい」は、強固きょうこ忠誠ちゅうせいしんによって「しん所有しょゆうしゃ」たるハリーにたいして効力こうりょく発揮はっきすることはなく、ハリーのはなった武装ぶそう解除かいじょ呪文じゅもんによってかえされる。

このように幾重いくえにもかさなった要因よういんによって、ヴォルデモートのたましい肉体にくたい完全かんぜんほろるにいたる。

ヴォルデモートをえんじた人物じんぶつ[編集へんしゅう]

映画えいがハリー・ポッターと秘宝ひほう PART2』のラッピングバス(車体しゃたい側面そくめん写真しゃしんレイフ・ファインズえんじるヴォルデモート)
俳優はいゆう
声優せいゆう

備考びこう[編集へんしゅう]

2017ねんアメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく大統領だいとうりょうドナルド・トランプイスラム教徒きょうと入国にゅうこく禁止きんし提案ていあんしたさいには、J・K・ローリング本人ほんにんが「ヴォルデモートもまった足元あしもとおよばない悪者わるものだ」とヴォルデモートを引用いんようして批判ひはんした[7]

参考さんこう項目こうもく[編集へんしゅう]

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

注釈ちゅうしゃく[編集へんしゅう]

  1. ^ a b その公演こうえんにおけるキャストについては「ハリー・ポッターとのろいの#キャスト」を参照さんしょう
  2. ^ 原作げんさくだい1かんではクイレルが、映画えいがばんほのおのゴブレット』では、ピーター・ペティグリューバーテミウス・クラウチ・ジュニアが「ヴォルデモートきょう」とくちにする。ヴォルデモートの死後しごえがいた『ハリー・ポッターとのろいの』の時代じだいでは、だれもが「ヴォルデモート」とぶようになっている。
  3. ^ だい7かんではこのことを逆手さかてり、「ヴォルデモート」のかたりのろいをかけ、くちにした人物じんぶつ保護ほご呪文じゅもんき、即座そくざ発見はっけんできるようにする(だい7かん20しょう)。なお、だい7かん22しょう邦訳ほうやくばんでは保護ほご呪文じゅもんれるまえに、ハリーが発言はつげんした "He's abroad!" を「ヴォルデモートは海外かいがいだ!」と翻訳ほんやくするミスが発生はっせいしている。このミスは、文庫ぶんこばんで「あいつは海外かいがいだ!」に修正しゅうせいされている。
  4. ^ 映画えいがばんでは6さくにおいて、学校がっこう朝礼ちょうれいでダンブルドアがヴォルデモートとトム・リドルがどう一人物いちじんぶつであることを示唆しさする説明せつめいをするが、事情じじょうらない生徒せいとたちに理解りかいできたかは不明ふめい
  5. ^ もっとも青年せいねんだったのは、ヘプジバ・スミス殺害さつがいしたころとされる。
  6. ^ そのため、「みぞのかがみ」をヴォルデモートがのぞいたときには、不死ふしそなえた完全かんぜん無欠むけつ自分じぶんうつる。
  7. ^ ダンブルドアも、巨人きょじんやみ生物せいぶつむべきと場面ばめんがあるが、これはヴォルデモートにませるぐらいなら、こちらの味方みかたにつけたほうがいいという理由りゆうであり、真心まごころからくる理由りゆうではない。
  8. ^ だい7かん終盤しゅうばんで、ハリーが「生死せいし狭間はざま」とされる場所ばしょでヴォルデモートのたましい欠片かけら目撃もくげきする場面ばめんがあり、「ちいさなはだか子供こどもかたち」「はだかわがれでもしたようにザラザラと生々なまなましい」と表現ひょうげんされている。
  9. ^ 映画えいがばんほのおのゴブレット』にリドルはか登場とうじょうするが、そこには「THOMAS RIDDLE」「MARY RIDDLE」のきざまれている。
  10. ^ ハリー・ポッターは三男さんなんイグノタス・ペベレル子孫しそんである。
  11. ^ 作者さくしゃのローリングはインタビューで、分霊ぶんれいばこ作成さくせいするさい犠牲ぎせいしゃとして彼女かのじょ名前なまえげており、これが意図いとてき殺害さつがいであるとかる[6]
  12. ^ 当時とうじ、ハグリッドは秘密裏ひみつりアクロマンチュラ(巨大きょだい蜘蛛くもアラゴグ飼育しいくしており、リドルはそれが「秘密ひみつ部屋へや」の怪物かいぶつであると周囲しゅうい誤解ごかいさせた。
  13. ^ この時点じてん一家いっか特定とくていしているため、リリー・ポッターが妊娠にんしんした、1979ねんあき以降いこうであることになる。
  14. ^ たとえドラコがダンブルドアを「武装ぶそう解除かいじょ」していなかったとしても、スネイプによるダンブルドア殺害さつがいかれらがしめしあわせたうえでの行動こうどうだったため、「つえ」の忠誠ちゅうせいしんがスネイプに移動いどうすることはない。

出典しゅってん[編集へんしゅう]

外部がいぶリンク[編集へんしゅう]