硫化りゅうかコバルト

硫化りゅうかコバルト
識別しきべつ情報じょうほう
CAS登録とうろく番号ばんごう	1317-42-6
PubChem	14832
UNII	INZ5E36Y1V
RTECS番号ばんごう	GG332500
特性とくせい
化学かがく式しき	CoxSy
モル質量しつりょう	90.9982 g/mol
外観がいかん	黒色こくしょく固体こたい（αあるふぁ） 灰色はいいろがかった赤あかの結晶けっしょう（βべーた）
密度みつど	5.45 g/cm3
融点ゆうてん	1195 °C
水みずへの溶解ようかい度ど	0.00038 g/100 mL (18 °C)
溶解ようかい度ど	酸さんに難なん溶
磁化じか率りつ	+225.0·10−6 cm3/mol
構造こうぞう
結晶けっしょう構造こうぞう	八はち面体めんてい（βべーた）
特記とっきなき場合ばあい、データは常温じょうおん (25 °C)・常つね圧あつ (100 kPa) におけるものである。

硫化りゅうかコバルト（りゅうかコバルト）は、化学かがく式しきCo_xS_yで表あらわされる化合かごう物ぶつである。例たとえば、CoS（一いち硫化りゅうかコバルト、硫化りゅうかコバルト(II)）CoS₂（二に硫化りゅうかコバルト）、Co₃S₄（四よん硫化りゅうか三さんコバルト）、Co₉S₈（八はち硫化りゅうか九きゅうコバルト）がある。一般いっぱん的てきには、硫化りゅうかコバルトは、黒色こくしょくであり、半導体はんどうたいの性質せいしつを示しめし、水みずに不溶ふようであり、不定ふてい比ひである。

鉱物こうぶつ・湿式しっしき製せい錬ね

硫化りゅうかコバルトは鉱物こうぶつとして広ひろく存在そんざいし、全すべてのコバルト化合かごう物ぶつの主おもな供給きょうきゅう源げんである。二元にげん硫化りゅうかコバルトの鉱物こうぶつには、カチエル鉱こう (CoS₂) やリンネ鉱こう (Co₃S₄) が含ふくまれる。CoS₂は、黄鉄鉱おうてっこうと同どう構造こうぞうであり、ジスルフィド基もとつまりCo²⁺S₂²⁻を特徴とくちょうとしている。リンネ鉱こうも珍めずらしくスピネルの構造こうぞうを採用さいようしている。Co₉S₈は、非常ひじょうに希少きしょうなコバルトペントランド鉱こう（ペントランド鉱こうのコバルト）である。混合こんごう金属きんぞく硫化りゅうか鉱物こうぶつには、カロール鉱こう(CuCo₂S₄)やシーゲン鉱こう(Co_3−xNi_xS₄)が含ふくまれる。

硫化りゅうかコバルトの鉱物こうぶつは、焼やき、酸性さんせい水溶液すいようえきに抽出ちゅうしゅつすることでコバルトに変化へんかする。コバルト(II)イオンの水溶液すいようえきを硫化りゅうか水素すいそにより処理しょりすることでコバルト塩しおを精製せいせいする方法ほうほうもある。この反応はんのうは、鉱石こうせきからコバルトを精製せいせいするだけでなく、定性ていせい無機むき分析ぶんせきにおいても役立やくだつ。

用途ようと・研究けんきゅう

硫化りゅうかコバルトは、モリブデンと組くみ合あわせて、製油せいゆ所しょで大だい規模きぼに行おこなわれる水素すいそ化か脱硫だつりゅうと呼よばれる工業こうぎょうプロセスの触媒しょくばいとして使用しようされる。合成ごうせい硫化りゅうかコバルトは、電極でんきょく触媒しょくばいとして広ひろく研究けんきゅうされている。

出典しゅってん

• Cobalt sulfide, NIST Webbook