二に軸じく車しゃ (鉄道てつどう)

二に軸じく車しゃの例れい（日本にっぽん国有こくゆう鉄道てつどうワム80000形かたち）

二に軸じく車しゃ（にじくしゃ）とは、鉄てつ軌道きどう車両しゃりょうのうちで一ひとつの車体しゃたいの走はしり装置そうちが二に本ほんの車軸しゃじくのみの車両しゃりょうのこと。ボギぼぎー車しゃとの区別くべつで使つかわれる。

電車でんしゃの場合ばあいは、四よん輪りん単車たんしゃ（二に軸じく単車たんしゃ）、あるいは単たんに単車たんしゃと呼よばれることが多おおく、その場合ばあいの台車だいしゃは、単たん台車だいしゃと呼よばれる。

分類ぶんるい

馬車ばしゃや自動車じどうしゃのリーフリジッドサスペンションと同様どうように、板いたばねを懸架けんか装置そうちの一部いちぶに兼用けんようしたものや、台車だいしゃを台たい枠わく（だいわく）に固定こていしたもののように、車軸しゃじくが偏向へんこうできない構造こうぞうのものと、一軸いちじく台車だいしゃを持もち、偏向へんこうできるものがある。

板いたばね懸架けんか

荷重かじゅう変化へんかによるばね両端りょうたんの変位へんいを許ゆるす構造こうぞうの違ちがいにより分類ぶんるいされる。前後ぜんご左右さゆうの車軸しゃじくの位置決いちぎめは軸じく箱ばこ守もり（じくばこもり = ペデスタル）で行おこなわれる。

シュー式しき


シュー式しきの例れい（近江おうみ鉄道てつどうミュージアムにて）		シュー式しき

板いたばねの両りょう端はしに摺すり動どう用ようのシュー（Shoe = 靴くつ）があり、台たい枠わくにはその部分ぶぶんで接せっしているだけで、固定こていはされていない。

リンク式しき


リンク式しきの例れい（近江おうみ鉄道てつどうミュージアム）		リンク式しき

二に段だんリンク式しきに対たいして一段いちだんリンク式しきと呼よばれることもある。板いたばね両端りょうたんはアイ（目玉めだま）形状けいじょうとなり、引ひっ張ぱり方向ほうこうに働はたらくリンク（シャックル）で吊つられている。シュー式しきに比くらべ、ばね両端りょうたんの摩擦まさつが少すくなく、車軸しゃじくの動うごきが良よい。

二に段だんリンク式しき


二に段だんリンク式しき（横瀬よこせ車両しゃりょう基地きちの保存ほぞん車しゃ）		二に段だんリンク式しき

二ふたつの輪わからなる上うえばね吊つりが一ひとつの輪わの下しもばね吊つりを挟はさむ構造こうぞうとなっている。お互たがいのリンクを繋つなぐ部品ぶひんが天秤てんびんの役割やくわりを果はたし、三さん点てん支持しじを形成けいせいする。

一段いちだんリンクに比くらべ車軸しゃじくの動うごきが良よく、脱線だっせんに対たいする抗力こうりょくも上あがり、貨車かしゃの最さい高速度こうそくどで 10 km/hの向上こうじょう(65 km/h → 75 km/h)を果はたした。

「2段だんリンク式しき走はしり装置そうち」も参照さんしょう

台車だいしゃ懸架けんか

単たん台車だいしゃ式しき

黎明れいめい期きの小型こがた電車でんしゃや路面ろめん電車でんしゃに多おおく見みられる走はしり装置そうち。台車だいしゃは台たい枠わくと一体いったいであり、首くび振ふり機能きのうは持もたない。

車体しゃたいから独立どくりつした台車だいしゃ枠わくに装備そうびした軸じくばねと枕まくらばねで輪わ軸じくを懸架けんかする。重かさね板ばんばねを軸じくばねとして輪わ軸じくが車体しゃたいに直接ちょくせつ懸架けんかされた二に軸じく貨車かしゃの足あし回まわりとは異ことなり、構造こうぞう的てきに台車だいしゃを構成こうせいしているので「単たん台車だいしゃ」と呼よばれる。

円滑えんかつな曲線きょくせん通過つうかのために軸じく距を長ながく取とることが困難こんなんで、車体しゃたい長ちょうに対たいして長ながくなる車体しゃたいのオーバーハング部分ぶぶんが走行そうこう中ちゅう上下じょうげ左右さゆうに振ふり子こ状じょうに振ふられてピッチングやヨーイングが激はげしく、横よこ揺ゆれを積極せっきょく的てきに吸収きゅうしゅうする上うえ揺ゆれ枕まくらに相当そうとうする機構きこうを持もたない事こともあって蛇へび行動こうどうを誘発ゆうはつしやすく、乗のり心地ごこちも走行そうこう特性とくせいも悪わるい。高速こうそく化かにも車両しゃりょうの大型おおがた化かにも適てきさず、ボギー式しきに取とって代かわられた。

しかしながらこれには例外れいがいがある。バーニーカーがそれで、既すでにボギぼぎー車しゃ時代じだいになっていた1915年ねんに敢あえて小型こがたの単車たんしゃとして登場とうじょうした。これは車輌しゃりょうを小型こがたにすることで頻発ひんぱつ運転うんてんとワンマン運転うんてんを可能かのうとすることで効率こうりつ化かを図はかった路面ろめん電車でんしゃであった。この電車でんしゃは乗務じょうむ員いんの不足ふそくしていた第だい一いち次じ世界せかい大戦たいせん中なかには一定いっていの成果せいかを上あげ、1930年ねんまで製造せいぞうが続つづけられたが、やがて終戦しゅうせん後ごには収容しゅうよう力不足ちからぶそくや軽量けいりょうゆえの脱線だっせんのしやすさなどの問題もんだいが露呈ろていし、最終さいしゅう的てきに第だい一線いっせんから退しりぞくことになった。

なお、路面ろめん電車でんしゃがバリアフリーの観点かんてんから超ちょう低てい床ゆか車しゃの時代じだいになると、車両しゃりょう全体ぜんたいを車椅子くるまいす対応たいおうにするためにはボギぼぎー車しゃにすることが困難こんなんという観点かんてんから(回転かいてん可能かのうな台車だいしゃを超ちょう低てい床ゆかに対応たいおうさせることは困難こんなんなため)、再ふたたび二に軸じく車しゃが脚光きゃっこうを浴あびることになった。ただし、通常つうじょうは複数ふくすうの車両しゃりょうを連結れんけつして使つかわれ、1両りょうだけ単独たんどくで使つかわれることはない。

一軸いちじく台車だいしゃ式しき

「一軸いちじく台車だいしゃ」を参照さんしょう