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亡霊ぼうれいぼしいき

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
亡霊ぼうれいぼしいき
著者ちょしゃ アン・レッキー
訳者やくしゃ 赤尾あかお秀子ひでこ
イラスト ジョン・ハリス英語えいごばん
発行はっこう 2014ねん10がつ7にち(アメリカ)
2016ねん4がつ22にち日本にっぽん
発行はっこうもと アメリカ合衆国の旗en:Orbit Books
日本の旗東京とうきょうそうもとしゃ
ジャンル サイエンス・フィクション
くに アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく
言語げんご 英語えいご
形態けいたい アメリカ合衆国の旗書籍しょせき(ペーパーバック)、電子でんし書籍しょせき、オーディオブック(朗読ろうどくアジョア・アンドー英語えいごばん
日本の旗書籍しょせき文庫ぶんこ)、電子でんし書籍しょせき
ページすう 日本の旗 448
受賞じゅしょう Locus Award for Best Science Fiction Novel (2015)
前作ぜんさく 叛逆はんぎゃく航路こうろ
つぎさく ほしぐん艦隊かんたい
コード
  • アメリカ合衆国の旗ISBN 978-0-316-24665-1
  • 日本の旗ISBN 978-0-356-50241-0
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亡霊ぼうれいぼしいき』(ぼうれいせいいき、Ancillary Sword)は2014ねん10がつ出版しゅっぱんされたアメリカの作家さっかアン・レッキーによるサイエンス・フィクション小説しょうせつほんさくはレッキーの2013ねんの『叛逆はんぎゃく航路こうろ』ではじまり、2015ねんの『ほしぐん艦隊かんたい』でわる<<叛逆はんぎゃく航路こうろ>>ユニバースさんさくの2さくである。ほんさく一般いっぱんてき好評こうひょうってむかえられ、英国えいこくSF協会きょうかいしょう 長編ちょうへん部門ぶもん英語えいごばんおよびローカスしょう SF長編ちょうへん部門ぶもん受賞じゅしょうし、ネビュラしょうおよびヒューゴーしょうにノミネートされた。

あらすじ[編集へんしゅう]

ラドチの支配しはいしゃ、あるいは帝国ていこくのこれ以上いじょう軍事ぐんじてき拡張かくちょう反対はんたいするその人格じんかく一部いちぶであるアナーンダ・ミアナーイはブレクを養子ようしむかえて艦隊かんたい司令しれいかん任命にんめいし、軍艦ぐんかん<カルルの慈(めぐみ)>の指揮しきけんあたえ、遠隔えんかくのアソエクほしけい防衛ぼうえい任務にんむにつける。ブレクの部下ぶかにはブレクのふる同志どうしであるセイヴァーデンおよびアーナンダ自身じしんぞくからだコピーであることがあきらかになるわかいティサルワット副官ふっかんなどがいる。ティサルワットがアナーンダのぞくからだであることをブレクが認識にんしきしたのち、ブレクはティサルワットのぞくからだインプラントをのぞき、ティサルワットが獨立どくりつした人格じんかく発展はってんできるようにした。

アソエク・ステーションでブレクは、かつてあいし、アナーンダの命令めいれいころすことになった<トーレンの正義せいぎ>でのブレクの士官しかんだったオーン副官ふっかんいもうとのバスナーイドをさがす。ブレクはステーションに<アタガリスのけん>(ブレクの名目めいもくじょう部下ぶかであるヘトニス艦長かんちょう指揮しきする、ステーションにいるもういちせき軍艦ぐんかん)のぞくからだとの乱闘らんとうちゅうころされる蛮族ばんぞく(エイリアン)プレスジャーの通訳つうやくドゥリケと出会であう。ブレクとヘトニスは強力きょうりょくなエイリアンをなだめるために、ラドチに併呑へいどんされたほか世界せかいからの追放ついほうしゃ労働ろうどうしゃとして農奴のうどせい条件じょうけん拘束こうそくするだい茶園ちゃえんぬしフォシフの屋敷やしき正式せいしきにもにふくす。フォシフのくちわる後継こうけいしゃロードによる攻撃こうげきびたブレクは、何者なにものかが停滞ていたい状態じょうたい追放ついほうしゃ誘拐ゆうかいしており、おそらくぞくからだ乗組のりくみいん補充ほじゅうしようとしている古代こだい軍艦ぐんかんだろうとうたがう。もう一方いっぽうのアナーンダ・ミアナーイにつかえているらしきヘトニスと<けん>はブレクにたいして敵対てきたい行動こうどうこすが、ブレクがヘトニスを人質ひとじちにしたために鎮圧ちんあつされる。

評価ひょうか[編集へんしゅう]

評論ひょうろん反応はんのう[編集へんしゅう]

オンライン雑誌ざっし Tor.com のリズ・バークは『亡霊ぼうれいぼしいき』をレッキーのデビュー長編ちょうへんえるもので、スリラー/スペースオペラである前作ぜんさくよりもキャラクターに焦点しょうてんてた「権力けんりょく、アイデンティティ、道徳どうとくかんする拡大かくだい瞑想めいそう」で、レッキーのひろふか世界せかいかんあらわれていると評価ひょうかしている。しかし、バークはほんさくが「ある程度ていど、ミドル・ブック・プロブレムの餌食えじき」になっており、過去かこ現在げんざいのカットバックになっていないために物語ものがたりおそかんじられるとかんがえた[1]io9 でアナリー・ニューウィッツはこの小説しょうせつを「一流いちりゅう世界せかい構築こうちくと、人権じんけん植民しょくみん主義しゅぎ、そして(そう)共有きょうゆう精神せいしんのセックスにかんする一連いちれん豊富ほうふなサブテキストをそなえた魅力みりょくてきもの」として評価ひょうかしたが、強力きょうりょく物語ものがたりつながりがないことを指摘してきし、ブレクの「なんじよりもせいなるせかけ」がリアルなキャラクターの特徴とくちょうである両義りょうぎせい印象いんしょうよわめていると指摘してきしている[2]

Kirkus Reviews はこの小説しょうせつを「なおしのようなものだが、それでも面白おもしろい」とひょうした。レビュアーはブレクのキャラクターの人間にんげんになりたい(サイエンス・フィクションでは一般いっぱんてき比喩ひゆてき用法ようほう)とうよりも人間にんげん身体しんたいのなかでは「孤独こどく限界げんかい」をかんじているもとAIという設定せってい評価ひょうかしつつも、レッキーの高度こうど階層かいそうした社会しゃかい描写びょうしゃにおける「うなるほど明白めいはく道徳どうとく」を指摘してきしている[3]N・K・ジェミシンニューヨークタイムズ同様どうように「しん人間にんげんばなれした」ブレクの他者たしゃ理解りかい困難こんなんさと、「テクノロジーによってさわがいしゃ完全かんぜんになり、人間にんげん不可解ふかかいにも人類じんるい切望せつぼうする」とうSFの比喩ひゆ表現ひょうげんへの挑戦ちょうせん小説しょうせつのもっとも強力きょうりょく要素ようそとして焦点しょうてんをあてた[4]

NPR前作ぜんさく比較ひかくして「『亡霊ぼうれいぼしいき』はかなり満足まんぞくのいくものだが、べつ野獣やじゅうだ」と指摘してきし、「『亡霊ぼうれいぼしいき』は『叛逆はんぎゃく航路こうろ』よりも直接的ちょくせつてき政治せいじてきである」とべている[5]。カナダのナショナル・ポストのレビュアーは1さくしてすべ女性じょせい代名詞だいめいし使用しようを「ほとんど疎外そがいかんのあるトリック」とんだが、「『亡霊ぼうれいぼしいき』のわりにはにならなくなった」とべて表現ひょうげんれた[6]The Portsmouth Review感情かんじょうAI融合ゆうごう評価ひょうかし、このシリーズが「人工じんこう知能ちのうジャンルにおいて、人工じんこう知能ちのう人間にんげん感情かんじょうとを完璧かんぺき融合ゆうごうさせることにより支配しはいてきなものとなっている」とべている[7]

受賞じゅしょう[編集へんしゅう]

亡霊ぼうれいぼしいき』は2014ねん英国えいこくSF協会きょうかいしょう 長編ちょうへん部門ぶもん英語えいごばん[8]および2015ねんローカスしょう SF長編ちょうへん部門ぶもん受賞じゅしょうした[9]。また、2014ねんネビュラしょう[10]および2015ねんヒューゴーしょうにノミネートされた[11]

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

  1. ^ Bourke, Liz (2014ねん9がつ2にち). “A More Intimate Scale: Ancillary Sword by Ann Leckie”. Tor.com. http://www.tor.com/blogs/2014/09/book-review-ancillary-sword-by-ann-leckie 2014ねん9がつ2にち閲覧えつらん 
  2. ^ Newitz, Annalee (2014ねん10がつ20日はつか). “In Ancillary Sword, There Are Worse Things Than War with the Empire”. io9. http://io9.com/in-ancillary-sword-there-are-worse-things-than-war-wit-1648565816 2014ねん10がつ26にち閲覧えつらん 
  3. ^ “ANCILLARY SWORD by Ann Leckie”. Kirkus Reviews. (2014ねん7がつ23にち). https://www.kirkusreviews.com/book-reviews/ann-leckie/ancillary-sword/ 2014ねん9がつ2にち閲覧えつらん 
  4. ^ Jemisin, N. K. (2014ねん10がつ24にち). “Dark Visions: Robert Jackson Bennett's 'City of Stairs,' and More”. The New York Times. https://www.nytimes.com/2014/10/26/books/review/robert-jackson-bennetts-city-of-stairs-and-more.html?_r=0 2014ねん10がつ26にち閲覧えつらん 
  5. ^ Valentine, Genevieve. “'Ancillary Sword' Examines Life on the Fringes of a Galactic Empire” (英語えいご). NPR.org. https://www.npr.org/2014/10/07/353265333/ancillary-sword-examines-life-on-the-fringes-of-a-galactic-empire 2017ねん11月3にち閲覧えつらん 
  6. ^ Kaszor, Daniel (2014ねん10がつ17にち). “Ancillary Sword, by Ann Leckie: Review” (英語えいご). National Post. https://nationalpost.com/entertainment/books/book-reviews/ancillary-sword-by-ann-leckie-review 2017ねん11月3にち閲覧えつらん 
  7. ^ Skane, Rebecca (2017ねん9がつ18にち). “Ancillary Sword by Ann Leckie Book Review | The Portsmouth Review” (英語えいご). The Portsmouth Review. https://portsmouthreview.com/ancillary-sword-by-ann-leckie-book-review/ 2017ねん11月3にち閲覧えつらん 
  8. ^ Scott, Donna (2015ねん4がつ6にち). “The BSFA Awards 2014 Winners Announced”. BSFA. 2015ねん4がつ6にち閲覧えつらん
  9. ^ “2015 Locus Awards Winners”. Locus. (2015ねん6がつ27にち). http://www.locusmag.com/News/2015/06/2015-locus-awards-winners/ 2015ねん6がつ28にち閲覧えつらん 
  10. ^ 2014 Nebula Awards Nominees Announced”. Science Fiction and Fantasy Writers of America (2015ねん2がつ20日はつか). 2015ねん2がつ21にち閲覧えつらん
  11. ^ 2015 Hugo and Campbell Award Finalists”. Locus (2015ねん4がつ4にち). 2015ねん4がつ4にち閲覧えつらん